【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
糖度の高い作品を書かれるイメージの強い間之さん。
その糖度の高さに時々お腹いっぱいになってしまうこともあるのですが(ごめんなさい、個人的な好みです)、今作品は甘々なだけではなくってちょっぴりスパイスのきいた作品でした。
今作品は2012年に刊行された間之先生のデビュー作でもある同名の作品の新装版。旧版は未読なので違いはわかりません(絶版で手に入らなかった…)。終盤に2篇の短編「恋人は旦那様を叱る」と「旦那様は恋人を愛でる」が収録されていますが、これって新装版にあたり収録された書き下ろしかな?
間之作品の「公爵は愛妻を攫う」は今作品のスピンオフで、「公爵は〜」は既読でしたがそちらを先に読んでいても問題のない造りでした。
えーっと。
今作品はあまりネタバレしちゃうと面白さ半減なので、なるべくネタバレしないようにレビューを書こうと思います。
主人公は六花。
緑色の瞳、明るい茶色の髪、白磁のような白い肌。
彼のビジュアルは日本では異質で、その外見を「気味が悪い」と思い込んでいる立花は常に顔を前髪で隠しひっそりと生きている。
そして何より、彼には幼少期の時の記憶がない。
10年前、寒空の下、独りぼっちで死にかけていた六花を助け、そして引き取り育ててくれたのは呉服問屋の若き店主・桐一郎。常に立花を慮り、優しく助けてくれる桐一郎のことを、六花は大好きなのだけれど。
親子、のような、そんな二人の関係は、桐一郎に許婚ができたことで変化していき―。
というお話。
まずね、六花が可愛い。
彼は自身の境遇(孤児だったところを助けられたとか、彼のビジュアルとか)を非常に引け目に感じていて、自分に自信がない。けれど彼のすべては桐一郎のためにある。桐一郎を一身に慕いひたすら尽くす彼の健気さに、萌えがぎゅーっと掴まれました。桐一郎に許婚ができたことで身を引こうを決意する六花の思考はまさにBLの王道と言って良いでしょう。けれどその王道感すら素晴らしい。萌えの宝庫です。
薄幸少年の六花が、桐一郎に愛され幸せになりましたー。
そんなストーリーを思い描きながら読み進めたのですよ。
いやいやいや。
そこから二転三転していくストーリー展開に圧倒されました。
六花が子どもの時に置き去りにされ独りぼっちで死にかけていた理由。
彼の、幼少期時代の記憶がない理由。
そういったものをバックボーンにしながら、さながら点が線に繋がっていく感じ。六花の、桐一郎への想いは成就するのか?という恋愛面だけではなく、いろいろな角度から六花の姿が描かれていきます。
怒涛の展開、ではないんですよ。
ひっそり、こっそり、でも、そこに描かれている深い愛情。いや、深い愛情、というか、とんでもない執着心?も盛り込まれていて、糖度120%のお話だなー、と思いきやそれにとどまらない。
誰が誰に?
という部分は壮大なネタバレになってしまうので書きませんが、彼の執着心があっぱれでしたね。掌の上で転がしつつ、絶対に逃がさないというその想い。一歩間違えると嫌悪感を感じてしまいそうな執着心。けれど、間之さんが書くとこうもバランスのいい作品になるんだなあ…、としみじみ感じました。
六花の桐一郎への一途な想い、が全面に押し出された作品ですが、それでいてエロさもそこそこあります。性的なことは何も知らないまっさらさんな六花が、桐一郎の手によって少しずつ快楽を与えられていくシーンがめちゃエロいの。
桐一郎、アンタなかなかやるのう…。
序盤、六花の可愛さにKOされつつ読み始めましたが、もう途中から桐一郎のカッコよさと、まあいろいろな「アレ」に、萌えがグンと高まりました。
花小蒔さんの描かれた挿絵も良かった。
間之さん×花小蒔さんてゴールデンコンビだと常々思っていますが、花小蒔さんの描かれる可愛らしい絵柄がストーリーにぴったりでした。
間之さんの書かれたあとがきに今作品の刊行に至る経緯が書かれていて、すごく興味深く拝見しました。そしてデビュー作ということもあるのかな?今作品が間之先生の根っこなんだなという感じ。
甘々なお話、かと思いきや、それだけではない。
個人的にドストライクな、そんな1冊でした。
個人的には最高のコンビと思う間之先生と花小蒔先生のご本。安定安心の甘さで満足しましたが、超好き!とまではいかないかもと思うので萌にしました。白泉社さんで出したもの+書き下ろし。周到イケメンが大好物な方、年の差旦那様呼びがお好きな方に良いのでは。
10年前凍死しかけていたのを拾ってもらった白い肌、淡い茶色の髪、緑の瞳で六花。優しい旦那様の側仕えとして一生懸命の六花を、旦那様は膝抱っこで猫可愛がり、過保護全開で・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
螢(受けの学友)、攻め母、玉井(攻め店番頭)、苑子等攻めを狙う?女子たち、ロバート、東條(攻めの仕事関係者)、堀川子爵、マリア(受け母)、借金取り+その子ぐらい?めっちゃ印象に残るサブキャラはいなかったでした。
++攻め受けについて
受けはひたすら健気。でも悲壮感というより、旦那様好き好きでお側にいてお仕えしていられるなら無問題!そして旦那様にめちゃ溺愛されているのにあんまり分かってないという方。まっしろピュアピュアなんで開発しがいありますよね、旦那様。
で、旦那様。
きっと心の中では鼻血を何回も出しておられるのではと思いますが、一生懸命自制なさって、色々周りを固めて、ようやくお手付。こっちが鼻血出ますよ、ほんと。真っ白な子のお初というか手慣らしというかをなさる訳です。それに「旦那様」呼びが加わり、そしてお上品な方ですのでお言葉遣いが丁寧であられるので、何ともねったりまったりマンゴーのような濃厚甘みあふれるこのシーン。受けに「お手伝いします」なんて言われてよく理性残したなと感心です。最後まで乱れないんですよ、この攻め様。
受けはピュアピュア、攻めの周到な計画に基づいたハッピーへの道のりと、受けさんの色っぽいシーンがめっちゃ萌えたお話でした。花小蒔先生の挿絵もめっちゃ良かったです!
今回は呉服問屋の店主と異国の血の混じる側仕えのお話です。
幼い頃の記憶のない受様が攻様と幸せになるまでと
本編後を描いた短編2本を収録。
受様は呉服問屋で店主の側仕えをしています。
その老舗呉服問屋の店主こそが
今回の攻様になります♪
受様は淡い茶の髪と緑の瞳と城すぎる肌をもち
明らかに異国の血を感じさせる外見が大嫌いで
店ら来る客のほとんどが
異形の者でも見るかのように嫌悪したり、
無視したりするのも当然だと思っています。
受様は10年前の冬の日、
雪の中で来ない人を待ち続けて凍死しかけたところを
攻様に助けられますが
直後に出した高熱でそれ以前の記憶がなく
以降は攻様を保護者として育ち
今では店主となった攻様の側仕えとして
一生懸命仕えています。
攻様は若干18にして店主となりますが
高品質の品のてこ入れとともに若い女性客に合わせた
柄や小物の扱いを始めて手広く事業を展開、
今では若き実業家と呼ぶべき規模で仕事ぶりです。
そんな攻様は店でも女性客に引っ張りだこですが
誰にでも平等に優しく、距離をとって
次々と声を掛けてくる客をあしらっています。
そんな攻様でしたが
ここ1年で1人だけ特別に対する女性が現れます。
彼女は日舞の家元のお嬢様でしとやかな美女な上に
受様を外見で差別することのない数少ない顧客でした。
攻様は彼女が来ると個室で対応し、
必ず水色の封筒と千代紙の封筒を交換しています。
攻様は知人の手紙を仲介しているだけといいますが
店の番頭や攻様の母親は
彼女と攻様の仲が進展することを
望んでいるのは明らかです。
受様は攻様の言葉を信じしていても
微笑ましい様子を見ると心がツキンと痛ました。
そんなある日、
攻様が彼女との婚約すると言い出して!?
旧レーベル版に当時の書き下ろし短編と
今回ように書き下ろし短編を加えての新装版です♪
花丸文庫はデビュー作になり
既刊も所持していて既読ですが
書き下ろしを目当てに手にしました。
今回あえて加筆修正はされなかったそうですが
イラストレーターさんが
硬質な雰囲気の佳門先生から
花小蒔先生の柔らかなテイストに変った事で
より甘い雰囲気になったように感じました♡
受様は自分を助けて学校まで行かせてくれて
傍に置いてくれる攻様が大好きで大切で
いつでも攻様の役に立ちたいと思っている
ピュアピュアな少年です。
対して攻様はかなりの策士さんです。
受様を拾った時には可哀想な子供と言う認識で
受様がどこの誰であるのかまでしっかり調べつつ
見守って育てていく気だったようですが
自分を一途に慕って追いかけてくる受様が
可愛くて可愛くて可愛くて
ひそやかに受様を独占すべく
自分の立ち位置の確保も受様の囲い込みも
していくのですよ♪
知らぬは受様ばかりなり!! と言う状況が
とっても萌えて美味しかったですし、
受様の生家の借金問題等が絡まる事で
攻様と受様の関係だけに終始せず
2人が恋人同士になるまでハラハラ&ワクワク、
たいへん楽しく読ませて頂きました (^-^)/
短編では攻様ばかりか受様までも
お互いに対して独占欲丸出しな感じに
ニマニマしちゃいました♡
時代物らしさは薄く、難しい固有名詞はないのでスルスル読めました。
後書きを読むと、デビュー作の新装版だそう。雑誌掲載後に読者の声から文庫化、それが入手困難になったところでリクエストがあり新装版となったとのこと。愛されている作品なのは読んでいて分かります!
子供の頃助けてくれた、呉服屋の旦那さんの言いつけは絶対守る六花の従順さは可愛い。辛い状況でも健気に頑張るから応援したくなりました。
六花を優しく包み込みつつ好きなように囲い込む、計算高い店主桐一郎も憎めない。
間之さんらしい甘々が楽しめました!
序盤から旦那は甘いし、早めに手を出す(?)ので展開も早くずっと萌え。
受けは女の子っぽく、攻めは完璧すぎる感じは相変わらず気になるのですが、相思相愛は分かっていつつも二人がじりじり成就していく様も、天晴満開なラストも良いです。
崇拝する旦那への気持ちと身体の変化に戸惑う六花、凄ーく好きでした。桐一郎の発言は絶対なので「答えて」と言われれば答えちゃうし、普通はしないと気づいているのに求められればおまじないと称してキスしちゃうし。
雪の降る夜が苦手な理由はとても切ないのですが、桐一郎の布団で背後から抱きしめられて耳に言葉を吹きかけられてゾクゾクして反応しちゃうってヒャ〜〜〜と思いながら読みました。何も知らない受けと教える攻めエッチすぎる(先日読んだ「おひさま色の愛しいひと」と並んで最高です。拝)
桐一郎のものが欲しいのに欲しいと言えず、頭をぐりぐり押し付けて指を入れてもらう六花が切なくてえち過ぎます。
頭を撫でるクセに続き、おまじないの改良版とか言ってキスも深くなるし、キス描写が多いのも良かった…
桐一郎が全て確信犯なのですが、六花の性格を考えながら徐々に囲い込み、コンプレックスを何度も諭し、様子を見て慰めたり温めたりと包容力があって、六花の境遇が辛い分、彼の優しさと安定感にこちらもホッとしながら読めました。結構執着強いけども。
寝ている六花が、桐一郎に抱きしめられている夢だと思って色々な思いを寝言のように喋り、桐一郎は夢に出てきた神仏のように優しく話して癒すシーンはとても素敵で、心に残ります。
六花の生い立ちやお客様の六花への態度が辛かったけど、桐一郎が守っていたので安心…と思ったらまさかの婚約。これは切ないと思いつつも桐一郎の企みが読めたので、途中からは六花の成長を見守っていました。桐一郎の助けがあっての事だけど、自分で考え道を拓いて桐一郎の所に戻った六花に拍手。桐一郎の掌で転がされてる感はあるけど、いつも一生懸命で初心な六花が可愛かった。桐一郎が構いたくなる気持ちが解る。全て綺麗に収まって気持ちよく読めました。面白かった!イラストも綺麗で可愛くて良かった!