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副題に、食べたい、とあるのでカニバリズムの匂いがしていましたが、実際には食べたいという欲を別の形で満たすお話でした。しかしそれもなかなか壮絶で、こういうのが苦手な人もいるだろうなあと思います。
私もかなりダメなので、ほぼ薄めを開けた状態で読みました。むー、痛いし気持ちが悪い。。
最終的には、兄弟の(かなり)痛い愛の形に落ち着いていくのですが、兄の彼女や、リスカの女子高生の末期など、なかなか読み飛ばすというわけにはいかない展開もあります。
スケボーや、ほのぼのBLもある作家さんだけに油断していました。。
私には厳しすぎました。
カニバリズム系読んでみたかったので手をつけましたが想像以上によかった。
血を飲む、人を食べたいという描写を必要以上に騒ぎ立てることなく、みんなが静かに向き合って淡々と自分の欲求を満たしていく感じが好きです。
全体的に絵が綺麗で黒の使用率が少ないからこそ血が際立つし、キャラの表情が無に近いものが多いので次の展開が読めず、ずっと背筋がゾワゾワしてました。
最終的には兄弟の共依存とも違う、桂くんの依存をサイくんが許して受け入れるという関係性に落ち着きましたが、今後サイくんも血の味を知り完全なる共依存となってしまうのか、それとも弟を見捨てられずズブズブになり続けるのか、いつかは弟を見捨てて逃げるのか、それも読めないラストなのがまた最高でした。
これでも兄弟だからこそここまで逃げることも見捨てることもできないで2人で堕ちていってるんだろうなと思うととても良いですね!
個人的には兄が弟見捨て、弟が死もしくは堕ちて、兄絶望みたいな展開も見てみたかったです(超個人的性癖)
みなみなさま似たようなことを言ってますが、BL作品かというと疑問があるが、紛れもなくトジツキハジメ作品ではありました。
男が男にでかい感情を持つところにBLは存在するのだと思えばこれはBL。品川さんは男である方が作品全体に漂うBL感は増したであろうところ、そうなっていないのはやはり世界は弟と兄のためにあるからなのか。
個人的には兄は徹底的に光の人で、鈍感も鈍感で、陽の気をまとい、のらりくらりと大往生を遂げていただきたいが、彼らのいく末やいかに。
BL作品を読んで得るような萌こそなかれ、違った味わいを楽しめました。
首筋がゾワッとするような、とても不思議な感覚で物語が進んでいきます。
偏食な主人公、桂の満たされない欲望。その欲望はどうやら遺伝していると桂が気付いてから、ズブズブと沼にハマるように謎の闇に沈んでいきます。シャープな絵柄と画面のコントラストが夏を感じさせるようで、陰影のくっきりさがますます謎の闇を際立たせていますね。
エロらしいエロはありませんが、妖しい雰囲気が常に漂っていて、寒気のようなゾクゾク感を味わえました。
さて、ネタバレに言及して。
BLとしては桂と兄である栖の関係性ということになるのでしょう。これが恋愛感情なのかは微妙です。食肉の欲求を最初に感じた相手であり、独占欲での束縛にも思えます。兄への食的欲求が性的興奮にも繋がっているようですが、結局兄を性的に求めることはしなかったんですよね。あのまま共依存へと発展して、舐めたり噛んだりしながらの禁断背徳アブノーマルエッチも見たかったなぁ。
桂の兄への執着心や彼女の引き剥がし方など、コイツやべぇな、ってシーンがすごく良かったです。このヤバさを知らずに兄は弟に絡めとられていくのでしょう。気付いたときには二人とも沼に沈んでいるのです。そういうの好き~。
曾祖父のきっかけや人影の謎など、謎のまま終わっているものがあり、このお話がミステリーとして描かれたものではないということがわかります。桂のさっぱりした性格もあって、そこにこだわる必要性もなく、読者としても別に謎のままでいいかな、って思える不思議。サイコホラーにも思える作品でした。
ところで、トジツキハジメ作品、すっごく久しぶりに読みました。私は初期の頃の作品が好きで、特に絵柄も大好きだったので、青年誌向けに絵柄が変わった辺りから読まなくなってしまいました。今回、試し読みではまたかなりシャープになっていたので、いけるかな?と思って購入。久しぶりに読んで、やっぱり見せ方や雰囲気が好きだなーと思いました。行間というか、間のある作品が好きなんですよねー。
次はトジツキ先生のBLらしいBL作品を読みたいなと思いました。
食人欲に苛まれている大学生の弟・桂(けい)と、母親と年の離れた弟が大切な、外交的で爽やかイケメンのサラリーマンの兄・栖(さい)の、血に翻弄されたガチ兄弟の共依存ストーリーです。
参考までに書くと、自傷他傷、手首を切っての流血、皿にある血をスープのように飲んだり、キーキャラクターの女性が死んでしまったり(自殺)します。
「人を食べたくなる」感覚から逃れるために、菜食&菓子パンを食べている桂。実は桂だけではなく、父も祖父も同じ症状に苦しめられていたが、栖には兆候はみられなかった。そしてとある事件を切欠に桂からのカミングアウトを聞いた栖は、弟のために自分が何がどこまでできるかを模索するようになって…という感じなのですが。
最初、表紙とジャンルを見てファンタジーじゃないカニバリズム…?食欲と性欲的なお話なのか?とか色々考えました。そして実際読んでみた結果ですが。私的には最高でした。方向性としては、メリバなのかもしれません。ですが、ラストだけでその後の妄想と考察がはかどることはかどること。あれってもしかしてそうだったの?これってもしかして…? これからもしかして…!が止まらなくなっちゃって、また始めから読み返してしまいました。
数々の謎が描写されていますが、作品上では明確な答えは載ってはいません。が、投げっぱなしでもなく、もしかしたらこうかもね的な判断材料はあるように感じました。
この二人の関係には、恋人、好き、愛してるというようなベクトルではない、嫉妬と羨望、執着心と庇護欲、依存心と諦念感、享受心や順応力、孤独感と飢餓感、などなど、掛け合わせたら物凄く薄暗くなるような感情がひしひしと感じられて、本当にゾクゾクしましたね。ジワジワきます。 そして、ラストですよ。 あぁ、やっちまったんだな、と。
エロいシーンは桂の自慰描写が2か所さらっとあっただけですが、このどうしようもなく、いかんともしがたい感情のやり取りを読めて良かったと思います。
余談ですが、ダブルスーサイドという単語は聞いたことがあったけれど意味を知らなかったので、この期に調べてみたんです。
…タイトルって、やっぱりすごいなと思いましたね。