イラスト入り
WEEDシリーズの第1作です。
続編2作は本当に神作なのですが、この作品だけだと個人的には微妙でした。
金ひかる先生の絵は凄く好きなのですが、若宮が童顔過ぎて挿絵を見るたびに「え?」となりました。見た目が攻めなのに受けっていう設定が良いのになあと思いました。
ただこの作品の時点では脇役でクソ医者の谷脇がシリーズ通して成長していく過程が見れるので、谷脇のゲス時代を読めるという意味では良い作品だなと思います。
“穴があくほど見つめる。唐突にあの男が好きだと思った。好きだと何度も唇で繰り返す。ほかに感情を表す言葉を知らない。胸が熱くなって、涙があふれそうになる。こんな不安定な感情は知らない。”
3部作で、WEED→FLOWER→POLLINATIONの流れですが、お話自体は違うので読みたいものから読んでもそこまで問題のないつくりだと思います。私は谷脇が読みたかったのでFLOWER→POLLINATION→今作の順で読みました。そうするとより今作に度々登場する谷脇にニヤニヤしました(笑)
強姦する側の犯行前の会話から行為まで描かれているのが、BLにありがちな「好きだから勢いでやってしまった」というファンタジーではなく、確信犯なので雰囲気が怖いです。
そこから若宮が被害者の岡田に偶然再会し、スマートに行かない謝罪と誘いのアプローチをして、恋する弱者に成り果てます。今まで相手に踏み込ませなかったラインを軽々と越え、合鍵を渡し相手の食事に合わせ、彼とだから抱き合うことの気持ち良さに感じ入ります。相手に溺れ猛烈な嫉妬と心配を繰り返し、それでもいつまで経ってもプライドが邪魔をして素直になれないのでこじれにこじれます。
この若宮の積み上げてきてしまった性格と愛されたがりの核、恋人にあっさり塗り替えられた生活、彼自身の金銭感覚(金で解決しようとする・すぐ物を買う)、そして同類谷脇の使いっぷりが若宮のなかに混在しているのが良いです。そして腐っても医者なのがカッコいい。
クズが恋に溺れるのは木原さんの作品で多々あり大好きな流れですが、今作はそのクズ相手に早い段階で恋人も同じくらい夢中に愛しているのです!もうハッピーエンドじゃん?ここからどう闇の展開が待ち受けるのかな?と防御心を張っていましたが、若宮の女々しいこじれが延々と続くだけです。そう彼が素直になるだけで彼らは甘々で、一応安泰なのです。
本編後のお話「EVER」は岡田目線で語られますが、彼に起こった事柄を考えると若宮に落ち着くのが信じられない。恋愛体質で他には走ることが好きなくらいで、趣味もギャンブルもない極端でのめり込みやすい性格。他の人とでも上手くいきそうな感じだなと読者も思うように、恋人若宮をいつまでもモヤらせていたのでしょうか。
谷脇もズケズケと露骨に言いたい事を言うしやることなす事クズですが、頭がいいから自分の役割を把握するのが早い。「ここからが俺の腕の見せどころってわけだな」浮気現場工作にノリノリである。
岡田が無心で走るように、特別な爽やかなはなくても無駄な事を考えない、直接的な性格です。それに対してうだうだといつまでも頭で考えモヤる若宮。自分が嫉妬していることすら相手に伝えられない所から、こんなにこじれるか!と言うほどこじれる。
最後には若宮も「好きだ」とそれしか感じられなくなるくらい心底胸に刻み、そして好きな彼と同じく走るのがエモかった!
前半に「(相手のことを、相手にとって自分のことを)何も知らない」という言葉が出たので、一体どんな闇があるの…とゲス顔で楽しみにしていたんですが、何も無かったですね。
また出会いからの2人の性格の差を考えるとリバって当然なんですが、それでも序盤で若宮には一度タチを申し出て欲しかった、そこは少し物足りなかったです。でも岡田に甘やかされ愛され尽くされてしまってどうしようもなかったんでしょうね(笑)
間違えて2部を先に読んでしまいそれから半年が経っていましたが、1部をようやく楽しめました。
今回も安定の最低ぶりがたまらない。
初っ端から3P…拾った男を強姦スタートには驚きました。
最低と最低が揃って最強…悪友の谷脇はここでも相変わらずの顔良くスペック高い人でなしでした。
若宮は正真正銘エリート医師なのでしょうがどこか抜けていたりおいおいな点が多く最低な男であり間抜けな男であり可哀想な男であり面倒くさい男。
女に対する嫉妬、本音を言えずに眠れない夜を過ごし理由を求める岡田にはヒステリー気味に当たり追い出したり。
こじらせ具合が半端なかったのですが、今回もとても人間くさくて本当にめんどくさい奴だな~と思いつつも追うのをやめられませんでした。
普通だったら絶対お断りなことも岡田相手だとゆるくなるどころか許容しちゃうし攻めから受けに転身したのも彼の性格を考えると本当に凄いことだな、としみじみ。
岡田はかなり不幸な人なはずですが…
妻子亡くすわ寂しくてたまらなかった時に強姦されるわ加害者とばったりでくわすどころか嫌がらせの犯人扱いされその後もウロチョロされる…普通なら殺意おぼえてもよさそうですが、彼は彼で幸せな今を手に入れることができて良かったと思います。
肌色の表紙と強姦に気後れして、木原さんの作品の中で読むのを後回しにしていました。平手打ちを食らったような衝撃的な作品でした。恋って、こういう面もあり得るのだと。
金も地位もある自己中心的なエリート医師・若宮が、性悪セフレの谷脇と一緒に強姦した男・岡田と恋に落ちるというすごい設定。しかも、岡田の妻子は交通事故死しており、若宮の患者でした。
何より驚いたのは、奔放に性関係を楽しんできた若宮にとって、これが初めての恋であり、自覚した途端に築いてきたプライドも信条も吹き飛んでしまうという展開。心の奥底に隠れていたのは、寂しさと愛される自信の無さ。傲慢だった若宮が、「何でもするから、お願いだから…僕のこと、捨てないで」と懇願する場面では、恋の狂気を感じて、言葉にならない興奮を覚えてしまいました。
若宮をここまでにしたのは、岡田の清廉さと芯の強さではないかと思いました。
引っ越し業者に勤める岡田と偶然再会した若宮は、とにかく自分の失態を金で始末しようとしますが、岡田は受け取りません。若宮が土足でアパートに上がり込んだ時も、「畳を拭いて帰ってもらう方がよほど誠意がある」と言い放ちます。若宮は岡田に自分にない清廉さを感じ取ったのでしょう。理由をつけて訪ねるうちに、どんどん岡田に惹かれていきます。
不思議なことに、岡田も若宮を好きになり、タチだった若宮を抱くのです。二人で雨宿りしているとき、岡田が強姦された日のことを思い出して、若宮に話す場面に答えがありました。強姦された後、眠った若宮をどれだけ殴ってやろうと思ったか。けれど、子供みたいにしがみついて離れないから、「きっとあなたも寂しい人なんだろうって、そう思った」と。自身は、妻子を交通事故で失って、その悲しみを振り切るために土砂降りの中走っていて、強姦されたのに。自分の寂しさに手いっぱいになることなく、相手の寂しさも感じ取る。谷脇に「雑草」と評される岡田の、その芯の強さ、優しさに、脱帽しました。若宮が完全敗北して、自分の恋心を自覚するのも納得です。
同時収録の「EVER」では、岡田が実業団マラソンに参加するのをきっかけに、若宮が嫉妬したり、当てつけに谷脇と浮気したりするのですが、岡田の気持ちはぶれません。岡田の走りに重ねて、芯の強さを描くのがメインのように感じました。
岡田に惚れ直し、大けがをした岡田と病室で愛し合い、若宮はやっと嫉妬の病から解放されたようです。でも、どんなに抱かれても寂しい気持ちはなくならない…。どうしようもない寂しがり屋さんです。でも、その寂しい気持ちがある限り、岡田を欲しがる気持ちはなくならないのですから、ずっと一緒にいるのでしょうね。
書下ろしの「Passed by~scene 1」で、岡田が若宮を可哀そうに思っていると明かされています。愛されても寂しい若宮のことをよく分かっているのだと、ホッとしました。
岡田は、遺品整理の仕事で、数年前、自分と一緒に交通事故に居合わせた医学生が亡くなったことを知ります。明日のことは分からない。今は目の前にいる人を愛するだけだ。そんな岡田の潔さが胸に沁みて、心地よく物語の着地点を示しているような気がしました。
衝撃。悪友と強姦した男に最終的には抱かれてる。初回とそれ以降が変わったからリバと言っていいのかわからないけど、リバがだめならやめたほうがいいかも?
二人が恋人になるまでは、同じ作者の他の作品と比べるのもなんだけど、いつも1冊かける話が1冊にも満たず、でも凝縮された感じ?もう恋に落ちたのか!と思ったんだけど、その分恋人になってからの話があってラブラブ好きとしては嬉しくもありました。
恋人になってから、恋愛体質な攻めと嫉妬深い?受けなんだけど、若宮は元々恋人クールというか束縛し合わないようなそんな関係を好んでいたのに、それが岡田に初めての恋をしてから岡田のことが気になって気になって、恋人になっても不安を感じてばかりで些細なことで一人で(重要事項)怒ったり喚いたりとんでもないことしたり。そんな若宮に対してべったりな岡田は「悪いところは直すから……」って、あ〜〜いじらしい〜〜と、たまらなくなる。
最悪な出会いから始まった恋で少しずつ変わってゆく若宮。読み終えて、あらすじのそんな恋にであってしまった、と言う言葉がしっくりきました。ハッピーエンドで良かった!
新装版から読み始めたのですが、三部作ということで、他の二冊も早く読みたい。あの谷脇のお話!攻めと受けの名前やあらすじを軽く読んでしまってすでにもう胸が痛い(笑)でも絶対すぐ読むだろうなあ。