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心が捩じ切れそうなのである。
死と生。
生きるために食べる、という生の根本的なストーリーから始まって、貧しさ、ひもじさ、人間が他のいきもの達を使い尽くす(食べたり皮を剥いだり)エゴ…
そんな人間の残酷、それに並行してゴドーとはづの甘くて優しい空気感。
両極端の同居する驚くべき世界。
この2巻の展開として、また、また。ゴドーが死んじゃいます。
布人形が「死ぬ」とはこれいかに。
はづはまた一から旅を始めることになります。
そこで出会う色々な存在。
仕立ての魔法に似た「編み物の魔法」を持つ女性や。
拾ったボロ人形や。
嫉妬に苦しむ「帽子屋」や。
無人の遊園地でまだ働いているぜんまいじかけの自動人形や。
全てエピソードに共通して、はづはおもて裏無く自分の真心を差し出す。
それはまるで「幸福の王子」のよう。
残り少ない布と糸で少しでも役立つように何かを仕立てて、惜しみなくあげてしまうはづ。
でもそれらの全てがまるで恩返しをしてくれるようにはづを守る何かに変化する。
それはイカサマの賭けにも勝てる賭け事の神であり、黒猫の正体であり。
ただ、はづ本人は何も望んでない。恩返しなど。
だから自分を守るためにまたしても護堂が消えた時、「僕は何もいらないのに…!」と慟哭するのだ。
そしてまた、残った腕を開いて小さなゴドーを作り直すはづの姿に震える…
このストーリーはまだ続いてくれるのだろうか?
残酷と感動を繰り返して、はづの願いは叶うのか?
魂は布人形に宿り、護堂は「護堂」として在れるのか?
いつも通りARUKUワールドの凄さに打ちのめされて、立ち上がれる気がしません…
単行本を今が今かとまっていました。
2巻も引き続き童話のようなお話です。
1巻では愛がテーマな感じがありましたが2巻は友愛や恋、憧れもありました。主人公は縫製の他に編物の能力を手に入れ、ゴドー君はボロボロになったり燃えたりキラキラになったりと大変な変身をしています。
それぞれが独立しているような話に見えますが、最後はすべてが線になるようなストーリーなんだろうと、今まで出てきたキャラクターを覚えていないといけないかも…。1巻で出てきた親子や小人など見たことのあるキャラクターが出てくると勝手に元気だったかーよかったーという不思議な気持ちになります。
2巻の中で特に好きな話は編物の魔法使いのおばあさんの話と帽子屋の話です。
はづは自分のしらないところで人に影響を与え、憧れられている存在なんだなと、魅力的な主人公です。
なにより絵柄が最高に好きな感じになりました。
たまに顔の角度、首折れそう、とかその足の関節尖りすぎ、とかあるんですがなにせファンタジーの世界なので気にせずいきます。人形劇みを感じるところも好きです。
そうかと思えばとんでもなく素敵なゴドーくんがいたり、かわいいちみっこキャラがいたり、素敵な素敵な鋏の翅がはえたりして、じっくり読みたい気持と早く先が知りたい気持で混乱します。いい意味です。
1巻と2巻をじっくりよんで、3巻を待ちたいと思います。
私的にARUKU先生作品の中で1番好きです。
キラキラとした万華鏡のように、移り変わりの激しい沢山のお話が詰め込まれていました。
時には優しく時には残酷で、でも救いがある何とも例えようのない世界観でした。
可愛らしいキャラクターが出て来たと思えば、不気味で恐ろしげな存在も現れて、物語を紡いで行くんです。
1巻でも心に刺さる部分があって、胸がキツく絞られるように苦しくなったのを覚えています。
なので2巻も読むのが怖かったんですが、何度か苦しくなって穏やかになっての繰り返しでした。
ARUKU先生の作品は大好きで、中でもこの作品は他の作品より群を抜いて好みです。
ゴトーくんの無邪気な可愛らしさとはづへの献身的なまでの愛、そしてはづに影のように寄り添いながら姿が見えない護堂の愛。
1人と半分と半分の旅が何処に向かっているのか凄く気になります。
特に今回は新たな登場人物によって、世界が壊れ始めました。壊れた世界でさえ美しいと思うはづこそが美しいと思いました。
個人的には「伯爵夫人」の言葉が凄く気になります。あれははづを指しているのでしょうか?
3巻を楽しみに待ちたいと思います。
作り込まれた世界観に圧倒される神作!一コマ一コマが凝りに凝っていて特殊な世界観の話を見事に成り立たせている。どういう話か説明ができないんだけど読めばわかる、読んで損はないと思わせる一冊でした。優しさと残酷さが交互に打ち込まれていて、哲学的な童話のようでもあり、聖書的でもある(?)うまくいえないがすごい!天使と悪魔で好きな人を縫う…とか絶対無理だと思ってたけどめちゃくちゃよかった。ARUKU先生以前他の作品を読んだとき、絵も怖い感じだし話もえぐいし私の感性では理解できない先生だと思ってましたが認識が一変!ファンになっちゃった。難しいけど読者をおいていかないし、なんかすごい体験をした気分になります。そして絵がすごすぎる、上手いを通り越して神々しい。孤独を真正面から描きながらも救いがある。はづが不幸すぎてもう人間離れしているんだが、この人の「自分にできることをする」「小さいものも見捨てない」その生き方、視線に癒されます。
現在もウェブ雑誌で連載中です。
紙の雑誌でも別作品を連載、同人誌も最近出版されています。
ARUKU先生の創作の泉は枯れることなくというより更にこんこんと湧き出しているのでしょう。
ただ何故ベテランの作家さんは皆、ファンタジーやスピリチュアルなものへと向かうのか私にはとうてい理解出来ないと最初は冷めた目で見ておりました。
でも分かってはきました。
それはよく分からないけれどとにかくなんだかスゴい…!のが「昨日、君が死んだ。」だという事です。
私は人間的にとてつもなく矮小なので、身内や勤務先の同僚、あるいはここなら他のレビュアーさん、漫画家さんにだって嫉妬します。
自分と比べます。
自分とそんなに差がないじゃないか、あんな才能はないけどそれに近いとこまではいける気がする、などと思ってしまいます。
もちろん身の程知らず、です。
ところが!
ARUKU先生については嫉妬なんて感情は生まれません。
いつもありがたく読ませて頂いています。
特にこの作品は先生のライフワークなんだろうなと感じています。
魂を削って描いていると思う。
BLじゃないのかもしれない。
いつもの萌えってやつはないかもしれない。
オトナになってしまった人々の為の「童話」としてじっくり読んでいます。
よかったら貴方も読んでくれると嬉しいです。