特典付き
ずっと続きが気になっていた作品の最終巻。
どんな結末が彼らに待ち受けているのか、ドキドキしながら読みました。
……良かったです。色々なものを犠牲にしてきた三人が、幸せな未来に辿り着けたことが本当に嬉しく安堵しました。穏やか、とは言い難い未来かもしれませんが、この先三人が一緒なら大丈夫だと思えます。三人にが共に望んだのは、三人で一緒にいることなんだと納得させられるのは、ここまで三人の心情を一コマ一コマの絵に刻みつけ、読者に伝えてきたからだと思います。
本当に読み応えのある素敵な物語でした。完結おめでとうございます。最後まで彼らを追うことができて幸せです。ありがとうございました!
しっかりしたサスペンスストーリーと、しびれるような男3人の愛を描いたこのシリーズもついに完結の巻を迎えました。
寂しいような、ほっとしたような。。
作者さんが後書き(おしゃれ)で書いておられましたが、しんどかったと。。
これだけの骨太漫画を描かれるのは大変だったのだなあとしのばれました。
それぞれの思いはあれど、ついに黒幕にたどり着くシーンは緊張感がありました。
ただ、悪者だと思っていた人達が意外な顔を見せて、ちょっと拍子抜けした部分はありました。
それでも、ラスト、どの二人の関係をとっても強く揺るがない愛、そして3人でこそ成り立つのかもしれない不思議な絆を感じることが出来て。良かった。
大満足のシリーズでした。
このシリーズの完結を見届けられて、本当に嬉しいです。忘れられない作品となりました。最終巻だからといって3人のBL的な絡みが増えたりすることはなく、今まで同様大国を舞台にした静かな情報心理戦が繰り広げられます。普通なら萌えが足りん!と不満に思うところですが、このシリーズに限ってはそんな風に思えませんでした。なぜなら3人の目線、口元の綻び方、台詞の言い回しから想像できる声音から常に、他2人への愛、信頼、彼らと一心同体であることへの歓びを感じ取ることができたからです。ZAKK先生の描き方は稀有で、BL界の宝だと思いました。
メアリー・ロスと数十年ぶりに対面する展開、痺れました。彼女にとっては皮肉にも、サム1人が意志を伝える状況もあの時と同じで。当時はサムが最も優秀で弁が立つからだった。でも今は違う。ハルもノブもサムと同じ人間だから、サム1人が話すだけで十分なんですね。ノブを見た彼女は何を思ったでしょうか。驚き、恐れ、後悔、罪悪感。少なからず過ぎったでしょう。しかし何の感慨も見せないノブの平坦な瞳を見て、きっと彼の人生に己が寄り添える余地は1ミリも残されていないことを悟ったんじゃないでしょうか。彼女の罪の振り返りに一言も耳を貸さなかった3人の毅然とした態度がとても印象的でした。彼女は残りの人生を、じっくり自分と向き合って過ごす必要があるでしょう。他人に吐き出してわずかでも気持ちを楽に、罪に赦しを、なんて許されるはずがありませんね。
3人は一体何を目的に、これほどの闘いをやり遂げたのか。メアリー・ロスに再び3人が集結したことを突きつけ、罪を認めさせること? 人身売買を助長した罪人たちに鉄槌を下すこと? 今いる子供たちを守るため、孤児院を支援すること? それらはあくまで副次的なもので、結局真の目的は、いつまでもこの3人で笑い合える暮らしを手に入れる、ただそれだけだったんだと思います。ノブさえ健全に卒業させてもらえていたら、もっと早く、お互いもっと平凡な人物として叶えられたはずだった。あの日、そんな未来を壊されてから、細やかな夢を現実にするため3人は危険な橋を何十年も渡り続けた。とても尋常な精神力ではないように思えるけれど、やっぱり他2人が一緒なら何でもできる気がして、突っ走れたんだろうな。各々の他2人への愛の重さがどこをとっても同じなのも、彼らの関係性で好きな所です。性欲からでなく、愛から行為に至るBLも素敵じゃないでしょうか。
「CANIS-THE SPEAKER」は、読み終わった後、すぐ友と語り合いたくなる本です。そうしないと、頭の中で組み上げたパズルが、「あ、崩れそう…」。友と語らって、「あの伏線はどうなったと思った?」「あの謎は解消された? どこで?」と、確認し合いたいです。残念ながら、私の腐友は、遙か遠方。無念です。
今回最終巻4巻が出て、やっとすべての謎が回収できるのか? なにしろこれまでの3巻を経ても、彼らサム・ハル・ノブの、落としどころが、目指すものが、まったくわかりません。他の謎が、いやむしろ増えた感さえありました。
4巻は、購入してまずさらりと一読、それから最初の「-Dear Mr.Rain-」から7冊全部読みました。私の読み取りは合っているでしょうか。取りこぼしはないか。いまいち自信がありません。
なにしろ、サムが財務長官への就任が決まったシーンは、2番目の巻「-Dear Hatter- (#1)」の、沓名の部屋のテレビ画面に、というくらいの情報の散らばり具合が恐ろしいのです。1コマも見逃せません。
ここから、ネタバレになります。しかし、私の解釈は間違っているかもしれないので、誤読で、ネタバレにならないかもしれません。
まずはちょっと整理。
メアリー・ロスとメアリー・ロス孤児院出身の優秀な子どもたちを広告塔にして、B&B社のコミュニティ支援プログラムに、恵まれない子どもたちを救う寄付を世間に呼びかける。このコミュニティ支援プログラムの寄付を通して、4つのNYマフィアと日本の貫田組が、様々な闇取引で得た収入の、資金洗浄をしていた。また、事業の一端として、アジアを拠点とした、児童の人身売買網を展開。その児童たちの供給元の一端(他の孤児院でも行われていた可能性がある)を、メアリー・ロス孤児院が担っていた。
ふう… 彼らの敵の概要はこんな感じかな。
3巻は、B&B社のエドワーズ兄弟の始末を、4人のマフィアのボスに委ねた、ところで終わりました。
この作品の難しいところの一つは、はっきり「〇〇は死んだ」と語ってくれないところです。状況的に「これは殺されるな」と判断して、物語を読み進めねばなりません。うっかり「実は生きていた」もあり得ます。今回のマッケンジーがいい例。
このように、ZAKK先生が意図的に張り巡らせた読者へのミスリードと、登場人物たちが、心情表現なしに(!)発するフェイク情報が、作品には溢れています。
そして、これは緻密な情報戦の物語なのだ、と気づかされます。
エドワーズ兄弟に続き、4人のマフィアを片付け、あとは、メアリー・ロスと阿左美が残されました。
阿左美とは、彼がネットのマーケットに提示した世界の闇取引情報(もちろん、阿左美が介在したすべてではないだろう)を、残らず買い取ることで、3人は阿左美の顧客となりました。
そして、残ったメアリー・ロスの首に、サム・ハル・ノブの3人は、いつでも引き絞れる絞首台の縄をかけたのでした。当時のメアリー・ロス孤児院の帳簿という縄を。
彼女は、いつ暴露されるかもわからないことに怯えながら、コミュニティ支援プログラムという犯罪の生き残った孤高の犯罪者との罪業を背負って、「世界的な慈善家」を演じ続ける、生き地獄の道を歩み続けることになったのではないでしょうか。
サムが、阿左美から買い取った闇取引情報に自分を紐づけたフェイクニュースを、世間に広め経済界を混乱に導き、3人は4巻の表紙絵の如く雑踏に紛れて消えます。
なぜ、サムが消える前に、自分の会社NNCMのコミュニティ・ファンドの投資先を、メアリー・ロス財団にしたのかが、私にはまだ謎です。
ドプンと作品世界に没入して、頭の中で再度パズルを組み合わせてみたくなった時、私はまたこの7冊を続けて読むでしょう。すごい作品です。
ところで、ラストの直前に、彼らはどんな斬新なプレイをしたのでしょうか? 知りたくてたまりません。彼らは3Pですが、リバなんでしょうかね。
ZAKK先生の次回作が、楽しみでなりません。
完結巻。
しかしながら、ますますBLの域を超えて彼らの行動を理解するのが難しい!
いや、彼ら3人の「理由」はわかるよ。
でも、結果を得るための行動の選び方?どのように人を、情報を、カネを動かすのか。そこが、読んでもなかなかわかんない…
ハッカーの使い方や、阿左美の存在や、そういうのもすんなりとは……
自分のアタマの悪さを突きつけられる…
シスター・メアリー・ロスにも直接は糾弾せず。
結局シスターは天誅無しかい!
子供の人身売買に関わって、毎回3人に1人を売って、後の2人を有利な場所に送る。
そんな胸糞な慈善団体。
でもリアルにそういう現実ありそう。
そう思わせる骨太のリアリティを感じることができた。
はじめのリョウと沓名の物語。
今から思えば、既にそこからサミュエル・マーフィーの名前やハルのマフィア姿があった訳だけど、最初からこの展開を見据えてたのかと思うと…その着想に震撼する。
絵柄も大きく変化して、BL漫画というイメージを大きく超えてまるで映画を見ているような体験だった。
何度も何度も読んで考える。そんな作品だと思う。