特典ペーパー付き
独特な味のある作画が大好きで!!
大好き過ぎて!!
紙媒体で古い版をすべて持っているにも関わらず、購入しました。
電子版を買ったのを悔やまれるくらい、常に目につくところに飾りたい素敵さ。
本編自体、読むのは5年ぶり。
アニメーション映画を観ているかのような感覚と感動が蘇ってきて、1ページめくるごとに「やっぱり好きだなあ」と思いました。
才能はあるけれど、経営者としての手腕に問題のある帽子職人の沓名。
やり方についていけず、長続きしない従業員ばかりで店の運営が1番のネック。
人手を探していたとき、雨の中、傘もささずに座り込んでいるリョウに出会って…。
日本なのに外国っぽい。日本人なのに外国人っぽい。
この雰囲気がたまらんのです。
アメリカ人の友人が建てた家を譲ってもらったという沓名の自宅も、ニューヨークかロンドンにありそうな内装のショップも素敵。
沓名の過去とリョウの過去の見せ方が秀逸です。
幼い沓名が捨てられている仔犬に出会ったとき、両親に見捨てられたリョウはマフィアのボス・ハロルドに出会う。
小太郎(わんこ)と沓名の絆がどんどん深まる一方で、リョウは自分の両親の死をニュースで知って、もう本当に自分はどこにも帰れないんだと思い知る。
小太郎を庇って轢かれたせいで右手の感覚を失った沓名と、ハロルドに忠誠を誓うリョウ。
ひとを殴っても痛みを感じない右手を小太郎が舐めてくれることに慰めを感じて、小太郎の頭を撫でる沓名と、任務で失敗したリョウに仲間たちがくれた「一人じゃない」という言葉と、頭を撫でてくれたハロルドの手。
小太郎の死で、自分がなすべきことを決める沓名と、ハロルド命令なしでは生きる価値を見出せないリョウ。
「出会い」には「別れ」を、「結びつき」には「訣別」を、「自己犠牲」には「忠誠」を、交互に描かれた場面の全部が、対照を成している。すごい。
ハロルドの犬として生きることだけが自分の生きる術だったリョウが、ハロルドの最期の計画を知らされず、後始末だけを託されたことで感じる疎外感と喪失感は、自分を愛してくれなかった両親を亡くしたときの比ではなかったと思うのです。
命令されることは、自分がそこにいていいという証。
だけどリョウが出会った沓名は、「好きにしていい」と言う。
それまで自分に情けをかけてくれたひとは「言葉」や「愛情」を欲しがったけれど、沓名は何も欲しがらない。
自分が知っているどんな人間とも違う沓名との生活は居心地が良くて、温かい。
だから喜ばせたい。何か命令してほしい。
犬は命令を受けて動くものという意識が染み付いたリョウが、小太郎を大切な家族として愛してきた沓名と出会ったことでどう変わっていくのだろう、というところで終わる本作。
絶対に続きが読みたくなるので、全部揃えてから読み始めることを強くお勧めします。
さて、お目当てだった4ページの描き下ろしですが。
まず感じたのは、「あれ?何か…、作画が…」。
本編のしっかりした線と違ってちょっと細めのタッチでトーン多め。
2人とも本編とは別人に見える仕上がりに、既に古い方を持っている方に、この4ページのために購入を勧めるか?と聞かれたら、「ぐ…、う…、微妙」と答えざるを得ません。
ついでに言うなら、古い方にあった「あとがき」と「special thanks」のイラストはありませんでした。
巻末のHatterの予告編は古い方と同じ。
これが映画の予告編みたいでカッコいい。
「coming soon」という文字が最後に出てきても違和感ゼロです。
十分長いけれど、全然語り尽くせていません。
言いたいことを全部言ったら、全てのコマを解説しそう。
それくらい深いです。
表現もいいし、演出も最高だし、作画は文句なしに好きだし、素晴らしすぎる作品です。
未読の方はぜひ。ぜひとも。
2013年に茜新社から刊行された『CANIS-Dear Mr.Rain-』ですが、今回竹書房から新装版として新たに刊行されました。
旧版は持っていて、なので今巻も買おうか悩んだのですが、描き下ろしが収録されているということでお買い上げ。新装版に収録されている新たな描き下ろしは4P。この4Pのために買うか否かは個人差がありそうですが、まあね、買っちゃうよね、描き下ろしのためにさ…。
旧版の表紙がとても好きだったのですが、このイラストは口絵として収録されていたのも嬉しかった。
ということでレビューを。
修正はパラッと見た感じなさそうです。
内容ももちろん旧版と同じですが、一応ざっくり書こうと思います。ネタバレ含んでいますので、苦手な方はご注意ください。
主人公は帽子店・DANTEの店長をしている沓名。
沓名の作る帽子は人気で常に繁盛しているが、店員は沓名を入れて3人だけ。職人気質で妥協が許せない沓名はスタッフに対しても厳しく、それ故にスタッフがすぐに辞めてしまうのだ。
今日も今日とてイベントを行う予定だが、いかんせん手が足りない。
どうしようかと悩む沓名だが、帰宅途中、道端で倒れている青年を見かける。その青年を放っておけず家に連れてくる沓名だが、その青年・リョウに店の手伝いを頼むことになり―。
というお話。
序盤は非常にコミカルに進みます。
DANTEで働くスタッフの一人・英子ちゃんの存在がとにかく良いのです。
(ちなみに、もう一人男の子のスタッフがいるが、彼の名前はB男。名前の付け方のセンスが非常によろしいのです)
そこになんとも謎めいたリョウという青年が加わることで一気にストーリーが色づく。
今作品は帽子店が舞台で、そこでは働くスタッフがメインに描かれているわけですが、序盤、そして物語の合間合間に沓名の過去のエピソードが描かれています。このエピソードが実に秀逸です。
沓名が帽子を作るようになったきっかけ。
そこを描いたエピソードなのですが、それだけじゃないんですね。
ワンコちゃんの存在です。
沓名が拾ってきた小太郎(犬)。
可愛がり、家族同然に過ごしてきた小太郎を亡くすという痛みも描かれていますが、この「犬」の使い方が素晴らしい。なぜなら、「犬」を、リョウの存在にも重ねているからです。
家族に恵まれず、自分を必要としてくれる人をずっと求めてきたリョウ。自分を必要としてくれる人に、リョウはワンコさながらに尽くす。「リョウ」という青年像を描くツールとして、「犬」が使われているのです。
小太郎を愛した沓名。
人に愛して欲しい、ワンコのような存在のリョウ。
過酷な過去を持ち、今も何かを抱えるリョウを、放っておけなった沓名の想いが、こういったツールを介してするんと読者に流れ込んでくるためにストーリーに無理がない。
で。
今巻だけ読むとリョウの行動が謎に包まれています。
すべてが次巻以降の伏線になってるからでして。
この後、今作品は『CANIS-Dear Hatter-(#1・#2の2冊)→『CANIS THE SPEAKER (#1・#2の2冊でまだ未完)』と続きますが、繋がりがすんごいです。今巻のこの雰囲気から、そう続くのか―!という感じ。
いやね、あたしゃ正直に言うとZAKKさんの新刊が出ると知った時、『CANIS THE SPEAKER #2』の続編だと思ったんですよ。やっと続きが読める―!ひゃっほい!って。
それが新装版の発売かー、とちょっとしょんぼりしてしまったことは否めない。が、今巻が出版されたことで、再読し、続編に対する期待がより高まりました。
あ、そうそう、描き下ろしですが。
タイトルは『Dear Mr.Rain』。
何しろ沓名は雨男なわけで。雨に降られたがリョウに傘を持ってきてもらわなかった沓名ですが…。
今までの2人、そしてこれからの2人。
そんな二人の関係を端的に描いた内容でした。たった4Pでこれだけ読者に魅せる。さすがZAKKさんだぜ…。
2月には『CANIS-Dear Hatter-(全2巻)』の新装版も刊行されますが、そちらも買ってしまうだろうな。
ZAKKさんの絵柄ってちょっと青年誌ぽいっていうのかな。
キラキラな絵柄ではないですし、流血描写もちょびっとあったりするので好みが分かれるかも。
でも、めっちゃ良い。
仕事も恋も。
モダモダ悩みもがく男たち。
何度読んでも圧倒的な萌えに襲われる。
文句なく、神評価です。
念のためネタバレ有りに設定をしていますが、大きなネタバレは無しのぼかしたレビューとなります。
旧版既読。CANISシリーズ新装版第1作目。
旧版との違いはほとんどなく、カバーイラスト・カバー下の手のイラスト・今回新たに描き下ろされた4Pほどの漫画くらい。
書店での旧版の入手がなかなか難しい状態だったので、これを機に壮大なCANISシリーズの世界へ飛び込んでみるのはいかがでしょうか?
旧版をお持ちの方は、描き下ろし部分との絵柄の違いを見比べるのも楽しいと思います。
ZAKK先生、本当に絵がお上手なので。
本編は線がしっかりめの、目で追っていてわくわくするポップな感じ。
描き下ろし部分は、動きのある描き方はそのままに、より洗練された流れるような線の強弱が美しい。
うーん、目が楽しい。どちらもすごく好きです。
出逢いは雨の日。
とある帽子店の帽子職人兼店長と、空腹で道端に倒れていた美しい黒髪の青年の組み合わせ。
店の人材不足に悩んでいた沓名は、ある日、仕事帰りにリョウと名乗るハーフの青年を拾う。
人懐っこく見目の良いリョウを見て、アルバイトとして働いてくれないかと持ちかけることに…と続きます。
この、リョウという青年が謎だらけなんですよね。
19歳とは思えない色気もあれば、迷い犬のような雰囲気もあり、人懐っこい大型犬のような雰囲気もある。
そして、決して気軽には立ち入れない部分も。
なんて魅力的な青年なのだろうか。
帽子店・DANTEと沓名の家でのやり取りをメインに、全体的にコミカルにお話は進んでいきます。
その合間合間に、2人の距離の縮まり・沓名とリョウの掘り下げ・意味深なカットの数々が差し込まれていく。
コミカルさとシリアスさ、謎めいた部分と過去の描き方が上手く、読み手の興味を惹きつける力が強いです。
こちらの巻はまだまだ序章といったところ。
BL的要素は多いとは言えませんし、受け攻めもこちらだけではわかりません。
ですが、雨で出来た水たまりにたまった水がパシャンとはじけるように、この巻からあちこちにはじけた滴が広がっていきます。
今後の展開が本当に面白いので、まだ未読の方がいらっしゃったら、まずはこちらからぜひ。
CANISシリーズ、おすすめです。
旧版のシリーズは全て既読なのですが、評価もレビューもしていなかったのでこの機会に。
こちらは、描き下ろし『Dear Mr.Rain』を加えた新装版です。
表紙とこの描き下ろしに惹かれて購入したのですが、
『Dear Mr.Rain』はたった4P!!
リョウが拗ねてるレアな感じのショートストーリーで、その姿が可愛くてキュンとします。
まぁ本編には関係ないので、読まなくてもいいかなあ;
旧版描き下ろしの『Shopping?』も収録されていますが、個人的にはこっちの方が好きかな。
とはいえ、再読ですが内容的には文句なし。
まだ序盤のリョウとサトルの出会い編ですが、ガッチリ掴んできます。
丁寧な心理描写が素晴らしいですよねー
リョウの心の闇や過去が断片的に描かれていて、そこに強く心引かれます。
まだまだこれからの2人なので単巻としては物足りないのですが、シリーズ通して読むと納得できる作品です。
旧作をお持ちの方には特にオススメしませんが、未読の方にはこの機会に手に取ってみて頂きたい作品です。
特に、ストーリー重視の方にオススメ!
絵の好みが分かれると思いますので、試し読みされるのもいいかと思います。