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結婚相談所でアドバイザーをしてる信彦、2回目のデートに進めない黒川を担当する事になって…。黒川とにかく威圧感がすごくて上から目線で怖いのでも段々魅力に気づき始めて惹かれる信彦……打ち明けられない切なさもあって良かった……
利用者×相談員の結婚相談所もの。
高スペックのはずなのに、なかなか2度目のデートまでいかない問題児や攻めを受け持つことになった受けのお話。
決して悪くはないのだけれど、失礼ながらこれといった目新しさと盛り上がりには欠けていたかなと思います。
攻めからの受けへの気持ちも分かりづらいような…と、表題作は中立寄り。
ただ、後半の書き下ろし部分が良かったんです。前半で感じたフラストレーションをパッと散らしてくれる内容になっていてこちらは好みでした。
結婚相談員の受けの仕事ぶりはとても真面目で丁寧なものなのですが、お人好しも度が過ぎればなんとやらで、利用者に対して過度に肩入れをし過ぎていたのが気になってしまって…うーん。お仕事面に関しては微妙なところ。
でもですね、恋愛面はすごく良かった。
とっつきにくそうだった攻めの黒川が、読み進めれば進めるほど妙に株が上がっていく男なんですよ。
恋愛どころか対人関係初心者マークな彼が、信彦の言うことを素直に聞いて不器用に咀嚼してから自分の中に落とし込んでいく姿になんだか可愛げを感じちゃいます。
不器用ながら頑張る攻めが可愛い作品でした。
育った環境の違いや価値観の相違も自然に描かれていて、この辺りのフィクションの中に現実味がある描写は好み。
もうちょっと未来の彼らを見守っていたかったですね。
結婚相談所で働いてる受け(ゲイ)と、利用者の攻め(ヘテロ)。
最初は他の利用者と同じ対応をしてたけど、模擬デートやお宅訪問など他の利用者にはしないことをして、親身になりすぎた結果、無自覚に恋しちゃってた。
なかなか婚活に本気を出さない攻めだったけど、マッチングした数人の中から唯一「こいつがいい」と指名した相手が、攻めの初恋の女。
本来なら喜ばしいことなのに受けは喜べず……。
攻めの初恋だというの女が写ってる資料のくだりがめっっっっちゃいいです。
過去の女に執着的に見える攻めと、それにぞわっと焦りを覚える受けの描写が素晴らしすぎた。
(挿絵について)
攻めは、堅気に見えない強面の33歳という設定だけど、挿絵の攻めの顔がどうやっても顔怖くないし30代入ってるように見えない。ただの爽やか好青年で混乱する。
いや〜〜、もう本当に海野幸先生の作品にはハズレがないです。。
たつもとみお先生の美麗な表紙と挿絵も素敵で、ずうっと見ていられる気がする。
(たつもと先生の『ネコ×ネコ』大好きです)
実は本編を読んでいる時は、黒川(攻)はもっと肩幅がガッと広くて少し髪も長めでイカつい感じをイメージしていたのですが。
合間合間のたつもと先生のイラストを見ているうちに、もうこれが黒川だ…と納得。
結婚相談所で働くゲイの信彦(受)と、相談者としてやってきた黒川(攻)。
信彦は相談所内で「どう足掻いても2回目のデートに進めない男」と評判の黒川の担当となります。
女性(だけでなく男性も)を怯えせる眼光鋭い強面と無口っぷり、横柄な態度に辟易としながらも、アドバイスを重ねるうちに実は素直な彼の一面を知り、心惹かれるようになっていきー
というストーリー。
結婚相談所のアドバイザーのお話、私は読むのが初めてでワクワクしました。
異性同士なら可能性ありそうな恋だけど、黒川は結婚相手の女性を探しに来ている完全なノンケ。
これは前途多難な恋になるぞ〜、一体どうやって二人は結ばれるんだろう、と序盤からドキドキしてました。
”人の言うことなんて聞く耳持たず” な人かと思えば、きちんと信彦のアドバイスにも耳を傾け、改善しようとする黒川。
意外な一面(良い意味で)を見てしまったら、第一印象が最悪であればあるほどググッと一気に株が上がっちゃいますよね。
他の方のレビューにもありましたが、やっぱり私も信彦が黒川に語るこの台詞↓にジーンときてしまい、しばし、ページがめくれませんでした。
「恋愛が一時的に盛り上がる花火なら、結婚は焚火のようなものです。
火を絶やさないよう、薪をくべるようにお互いを思い合っていなければ続けられません」
海野先生の作品にはいつも、こんなふうに強く心に残る台詞やシーンがあって、心を揺り動かされます。
終わり方も最高に余韻があって素敵で、黒川と信彦、それぞれの最後の台詞に甘く甘く蕩けるような気持ちに。。
ゲイだから、結婚して一生を添い遂げることなんてできないと諦めていた信彦。
そんな信彦にありったけの愛を注いで、「一生ものになってくれるんだよな?」と囁いてくれる黒川。
自分には縁のない言葉だと思っていた「一生」という言葉をかけられて、自分も相手に一生を誓うことができて…
会話ってなんだろう、恋愛と結婚の違いってなんだろう、そんなことを真剣に考えさせられつつも、じんわり心の温かくなる素敵なお話でした◎
結婚相談所の相談員をしている信彦(受け)は、ハイスペックにも関わらず半年以上成婚どころか2回目のデートにもたどり着けない問題会員の黒川(攻め)の担当になります。
面談に来た黒川は一言で言うと「黒くてデカくて怖い」。
見た目もですが態度も協力的でなく、他の相談員が心折れてしまうのが判るといった具合です。
友人との飲みながら、つい愚痴ってしまったのを偶然黒川に聞かれてしまい、酔った勢いで思っていたことをぶちまけてしまい、デートの採点をすることになってしまいます。
黒川のデートプランに付き合った結果、問題だらけだと言うことがわかるのです。
2人のやりとりが楽しいです。
黒川は昭和初期のような嫁を求めていましたが、今どきそんな人なかなかいません。
デートプランも完璧だと豪語したのに、採点したら30点という点数も驚きです。
性格に問題ありというのではなく、家族に問題ありで、幼い頃母親を亡くし、お金はあるのでハウスキーパーに家のことはやってもらえるのですが、何せ父親と祖父が家にいないので放置されていました。家族というものの実体験がないのです。
古い夫婦感を持つ黒川でしたが、頑固な訳ではなく、きちんと説明すれば考え方を変えることができる柔軟さもあります。怖い顔になる眉間に皺を寄せるのは考えている時の癖なようなもので、それが判ると怖いこともなくなり、忌憚なく話ができるようになるのです。
たまたま出会った友人にうっかりアウンティンクされてしまい、信彦がゲイということがバレるのですが、黒川は態度を変えることもなく、信彦の今までの恋愛がうまくいかなかった話に、真摯に応えてくれたことに、心が晴れるのです。
気がついたら黒川を好きになっていて‥
真面目な信彦が黒川に恋をして、でも自分は相談員。そして黒川はノンケ。
どうなるのかとドキドキしました。
信彦の家族の愛情にも心打たれます。
ノンケの黒川のことをか諦めようとしていた時も、タイミングよくかかってきた姉のアドバイスで、足掻いてみようとするのも安心しました。
後半では、黒川父と祖父が登場します。
紹介され、何の反応もなくよろしくと言われた信彦ですが、後日黒川祖父が相談所に入会してきます。黒川祖父の真意を図りかね、黒川との付き合いを反対されないようになどと考えてしまったせいで、本来の仕事を忘れてしまって、空回りしてしまったけど、やっぱり姉の言葉で自分の間違いに気づく。
ゲイであることに悩み、家族と少し距離をとっていた信彦ですが、今まで与えられた愛情が信彦の根底にあるのがわかってとても良かったです。
ネグレクトかと思うような子供時代を送っていた黒川でしたが、黒川祖父との会話で、愛情がなくてネグレクト状態からだったわけではないのがわかったのが救いでした。
信彦の家族へのカミングアウトまで読めればよかったな、それが少し残念でした。
家族を知らない黒川とともに家族として末長く幸せになってほしいものです。