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流行りの逆行ものに弱々主人公を据えてBL仕様にあつらえたもの。せっかく良い設定なのに、いつもの受けといつもの展開で、ありふれたBL小説の一つに感じた。
でもストーリーの練り方や整え方がとても巧く、この作家さんの他の作品を読んでみたいと思った。
サスランはBLの受けでよくいるタイプ。武力も知力も持たず、窮地に立たされれば他の誰かに助けられる。ウジウジするし自己犠牲に走るし頭も回らない、読み続けるのが辛い視点主。思考の範囲が狭いので、逆行前の記憶も上手く使えていない。
アウスラーフは、逆行前の様子はサスランの回想からしか分からないが、逆行後に明確な目的を持って言動を変えたのが良かった。生きる意味を得た喜ばしさと、性格まで変えなければやっていけない皇室の厳しさを見たようで、切なくもある。
逆行(回帰)ものは好きで別ジャンルの作品をよく読むので、内容は使い古されたテンプレな印象。派閥や次期皇帝の座をめぐる争いなどがあり、徐々に記憶の内容から時期がズレ、予測できないことが起こり始める。皇太后が悪役なのもベタ。
山場はBL大定番の誘拐と救出。またか。よくあるストーリーは、キャラが好きになれるか否かが重要。受け受けしいサスランは見ていて楽しくない。
回帰モノ初心者だった頃に読めばわくわくしながら読めたかもしれないが、これは後発なのに既存作の下位互換に見え、先の展開への興味を持てなかった。
各エピソードは全てどこかで見たことのあるものだったが、組み立て方がとても綺麗で、読み応えはあった。愛を知らないサスランと虐待を受けて育ったアウスラーフ、身分も違うこの二人が未来を変えてハピエン。読後感は良かった。
女王のように君臨する皇太后に蛇蝎の如く嫌われて虐待されてきた第一王子・サウスラーフ(攻め)と隠されて育てられた庭師・サスラン(受け)。
2人が出会い恋に落ち、でも第一王子という立場から権力闘争に巻き込まれ悲劇を迎え、そこからの時戻り、サウスラーフを二度と悲劇的な最期を迎えないように巻き戻る前の知識を使って頑張るサスラン(裏でサウスラーフも)の話。
これはネタバレなしで読んだ方が絶対面白いので、感想だけ。
第一王子というのはこの話の中ではイコール皇太子という立場のことのようで、立場的には皇弟です。初めはちょっと混乱しました。
自分の息子が皇帝になる時、自分の夫である先帝と他国の女性との間の息子を第一王子としたことに怒り狂う女王然とした皇太后の行動には嫌悪感しかありません。
そして彼女の魔の手からなんとか逃がそうとするサスランの必死の行動は健気すぎて辛いくらいです。
本当にこの2人はハッピーエンドを迎えることができるのだろうかと何度もハラハラしました。
お互いへの愛情は疑うべくもないのですが、状況がずっと逼迫し続けているので、お話の中に甘さはほとんどありません。
甘い話が好きな私には結構辛かったですが、ずっとハラハラしっぱなしで心臓に悪い、けれどすごく良い話でした。
了、という文字を見てホッとするなんて経験したことのない読了感でした。
そして、最後の方で明かされる事実に驚き、もう一度読み返してみるとまた違う楽しみが味わえますので、ぜひネタバレなしで読んでください。
挿絵効果は絶大
内容のイメージとピッタリ
元庭師のサスランには、秘密の能力が眠っている。
恋人である第一皇子が、自分を庇って皇太后が送った刺客に殺害される。
そのとき、サスランの「時戻しの力」が発現。
4年前にタイムスリップして、愛する皇子を守る為にサスランは智慧を巡らせる。
手嶋サカリ先生の作品は「蟻の婚礼」しか読んだことが無かったのですが、あちらも凄く面白かった記憶があります。
読みやすい文章に魅力的なキャラ、そして設定を活かした展開が凄く卓越してるんです。上手いとしか言えない作家さまで、もっと人気が出ても良いと思いました。
ネタバレ無しで読んで欲しいので極力内容に触れないように感想を書きたいと思います。
アウスラーフを思うサスランがとても健気で、彼を死なすまいと行動するのですが、全てが裏目に出て絶望感を募らせて行く様子がとても切なかったです。
そして、サスランが陰から手助けした影響なのか、前回とは微妙に性格が違って来ているアウスラーフにドキドキして期待してしまいました。
アウスラーフを生かすために彼と恋人になってはいけないと、他の令嬢との婚約を勧めていざ婚約が決まると無情感に襲われるサスランに凄く萌えるんです。
元の結末にならない様に必死に足掻くサスランが健気で、それでもアウスラーフに忍び寄る魔の手が恐ろしいと感じました。
このお話が秀逸だった点はサスランが自分の力について全く知らないところでした。彼の母親がサスランを守る為に何も教えておらず、人と接触しないで極力目立たないようにとしか言い残してないのです。
お話の結末に感動して、yoco先生の挿絵が世界観に合っていて凄く好きな作品になりました。
多くの方にこの作品を読んで欲しいです。
手嶋先生だ!とウキウキ購入。先が気になってどんどん読んでしまうお話でしたが、超刺さるものは無かったので萌にしました。しかし麗しい表紙だ。yoco先生の色使い、ほんとに好きだ。本編250P弱+あとがき。表紙のイメージ通りのお話です!
共に生きようと第一皇子に告げられた翌朝。従者を解任すると言われ皇宮を出されたものの、その日軍隊と共に旅立ったはずの第一皇子がサスランの前に現れ「戻るんだ」と問答になります、そこを襲われ皇子は絶命、あまりの絶望に一粒涙をこぼしたところ、なぜか体は一回り小さくなっていて、目覚めた部屋は従者になる前に使っていた部屋で・・・と続きます。
攻め受け以外は
皇太后(攻めを嫌う)、皇帝(攻め兄)、ハズル(攻め従者)、シャイマ(預言者)、アディラ(公爵令嬢)等等。サブキャラで♡って思った人はいなかったです。どの方もちょびっとだけ足りなかった。
++良かったところ
受けが健気なところですね。涙を流すんですけど、人様に憐れんでもらいたいって感じは一切なく、ただただ悲しんで涙を流す。でも次の瞬間に、どうしたら防げるか?どうしたら変われるか?を考え、地道に行動を起こすんです。そこが良かったなあ。泣いて助けてもらえるのを待っているだけじゃないって感じられたので、良かった。虐げられている第一皇子を救うべく、まず最初に起こした行動が、綺麗な水を差し入れする ってところ。そこに端的に表れている気がします。特別な力がある訳ではないけど、自分にできること、ささやかなことかもしれないけど、やり遂げる。良い。
攻めはただただ受けに惹かれ受けを愛するようになる、虐げられている皇子。あまりな状況に自分がいるだけで国が乱れる→毒殺かもーん って思考をしていた方。そこが受けの想い、兄(皇帝)の想いを受け、国を支えるって方向に変わるところも良かったです。がんばれよ!って応援したくなる。時間戻ってからは、押しが強くなったところも良き。
攻め受けとも好きだったんですけど、あと一押し、爆発的な何かがあれば嬉しかったなあと思った一冊でした。兄皇帝、キレものだったみたいだし、皇太后より、兄皇帝がもう少し出番多いと嬉しかったかも?
