電子限定おまけ付き&イラスト収録
獣の耳と尻尾がついた獣人…と、ほんのりファンタジーな設定がありつつ、なんだかちょっと古き良きBLの香りを感じる作品でした。
起承転結も分かりやすく文章も読みやすいですし、架空の世界が舞台の物語にもするっと入り込んで読めるかなと思います。
健気で不憫な受けを誠実に愛する攻めがお好きな方なら、きっと楽しめるのではないでしょうか。
序盤に語られるランバートと薫人の出逢いのシーンに、今後描かれるであろうときめきあふれる再会を期待しながら読み進めていたのですが、8年後がまさかの状態となっていてびっくり。
その後、ランバートが薫人を伴侶として迎えて溺愛する様はまさに王道シンデレラストーリーといったもの。
受けのこととなると、途端に心が狭くなる攻めが好きです。
薫人も卑屈すぎず嫌味のない健気さを持った頑張り屋の良い子でした。
誤解と思い込み要素が若干切なく作用するものの、そこはやはり王道。
なんとなくこうなるだろうなと想像しながら、想像通りと予想外が楽しめました。
秘密を持っての婚姻があとから効いてくる展開に、おっ!となりました。面白かったです。
ただ、気になった点も少々ありまして。
薫人の周りに嫌なやつが多くはないかなあと、序盤から続くチクチク針で刺すような悪意に食傷気味になってしまいました。これが大きかった。
なんというか、徹底的に悪意を浴びる不憫さMAXからの溺愛コースだったら話は別なんですよ。
でもそうではなくて、序盤の悪い環境から脱した薫人を再会後のランバートがかなり溺愛しているだけに、その後もチクチク続く悪意が合間に入ってくるとバランスが悪く見えたかな。
お話のスパイスだとは分かっていても、身も蓋もないことを言えば、もうそろそろ心置きなく幸せになっても良くないか?なんて思ったりもして…
獣人が人の耳と合わせて4つある状態なことと、薫人の叔父夫妻のもやつきが晴れない点、ランバートの秘密があっさりすぎるほどにあっさりと解決してしまったのも気になりました。
とはいえ、秘密を打ち明けてからの溺愛っぷりは気持ちよく楽しめましたし、後半の伏線回収も面白かったです。
個人的に好きだったキャラクターはローデリック王太子。
歯切れの良い物言いと、親しみやすそうな中に見える絶妙な食えなさがツボでした。
高星先生挿絵だったので購入。はなの先生お久しぶりだったのでどうかな…?と思っていましたが、読みやすく、攻めが好きなタイプ♡だったので萌2に近い萌にしました。ふふふ…可愛いのです、攻めが。本編250ページほど+あとがき。
外交官だった父に連れられ訪れたことのあるプロレシア。そこの貴族へ政略結婚で輿入れすることになったのですが、相手は幼い頃に一度会っていて、「もう一度会えたら…」と思っていたランバートで…と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
ハインツ(攻め友人♡好き♡挿絵あり(最高!神!)、超大好き眼鏡陽気イケメン)、ルイーゼ(♀、攻め元婚約者)、ローデリック(王太子♡好き♡)、攻め両親、攻め弟夫婦、攻め宅使用人たちぐらいかな
++攻め受けについて
受けさんは腹に抱えているものがありつつ、憧れていたランバートに嫁いできた、薄幸健気お利口さん。武家出身なんで、剣舞なんてできちゃう、カッコよき!表紙ではわかりにくいですが、長髪さらさらロン毛さんです。柴犬系で、ぷりぷりお尻にくるくるしっぽを想像いただければよいかと。ああくるくるしっぽ大好きなんだよなー
そして攻め!ふふふ、なんと性的に訳アリ(笑)。もともと受けを気になっていたんだと思いますが、一途に という訳ではない感じ。ルイーゼもいたしね。でもいざ結婚するとなったら、それはまあ溺愛なさっていて。独占欲強いし性欲ばっちりになったし、その溺愛っぷりがよろしいのです、ニマニマです。
お話的に「ああなるほどね!」と思うところあり、溺愛っぷりにニマニマし、十分楽しめた一冊でした!読みやすいし、犬好きな方にはおススメしたいなあ!
挿絵話を一つだけ。カラー口絵の受けの表情がさいこーーーーーに好きです!!!ぐっっと何かをこらえるような攻めの表情も良き♡
今回はプロレシア国の英雄の狼獣人と
政略結婚する瑞穂の国の柴犬獣人のお話です。
思い描いた未来を歩めなかった受様が
攻様の隣に居場所を見出すまで。
瑞穂の国は海に囲まれた島国で
長く他国との交流を断っていましたが
30年前に開国すると瞬く間に発展を遂げます。
受様は瑞穂の国の柴犬獣人ですが
赤、白、黒の毛色が混ざった胡麻色で
毛並みにコンプレックスを持っていました。
受様の父は外交官として西の大国プロレシアに赴任し
2国の架け橋となる仕事に邁進し尊敬もされますが
子供達は毛色が特殊な受様を受け入れてくれず
送別パーティの日でさえ仲間外れにされます。
しかしその扱いが元でプロレシアの英雄と
一時を過ごす事ができ、受様はまたプロレシアを
訪れたいと思うようになります。
この英雄が今回の攻様です♪
ところが受様の父が流行病で亡くなると
叔父が屋敷も財産も手にして受様を冷遇、
母屋を出された受様は使用人のごとくこき使われます。
そんな受様の日々を変えたのは
父の友人でプロレシアに派遣されていた外交員より
もたらされた縁談でした。
プロレシアと瑞穂の国の関係をより強くするための
婚姻にプロレシア側で名乗りを上げた攻様が
白羽の矢を立てたのが受様だったのです。
受様は叔父の元での暮らしよりも
たとえ政略結婚でも攻様ともう一度会う道を選びます。
果たして受様の結婚が受様にもたらす未来とは!?
プロレシアと瑞穂の国の架け橋となるべく
攻様に嫁いだ受様のもふもふファンタジーになります♪
8才の受様は父に帯同して初めて訪れるプロレシアに
夢と希望を抱いていましたが
見た目の違いに敏感で正直な子供達からは
父のようには認められませんでした。
そんな日々の中で唯一の良い思い出になったのが
攻様との邂逅であり、攻様からの婚姻の申込みに
再びプロレシアにむかいます。
受様を望んで嫁とした攻様なので大切にしてはくれるのに
受様を伴侶として愛してくれることはなくて
受様がぐるぐるするのはお約束ですが
攻様が伴侶をもてなかった理由が解決すると
受様が"男"という部分がクローズアップされて
元婚約者がモトサヤを狙う危機展開と
受様もこの婚姻には・・・という暴露展開は
それまでの受様の健気路線な描写からすると
細かな伏線はひいてはあるものの違和感しかなく
モヤモヤが拭えなかったので「萌」評価としました。
せっかくの獣人設定なので
もう少しもふもふ突出描写があると良かったです。
プロレシアと瑞穂の国を対比させる事で和洋を対比させ
2人の背景に国同士の外交問題を絡めていたのは
面白かったです。
はなのみやこ先生の作品大好きなので、今回も楽しみにしてました。何となく他レーベルの作品と繋がりがあるのでは?と勝手に期待していましたが、残念ながら関係はありませんでした。
そして他にも勝手に期待してた面があるんですが、こちらも残念ながら最後まで触れられてなかったし、コミコミさんの小冊子にも書いてありませんでした。
私は悪いヤツにはそれなりの罰を求めているのですが、薫人の実家を乗っ取った叔父はそのままでしたね。薫人の実家は父親が一から成した財であって、決して叔父には相続権が無いと思うんです。そしてランバートから薫人の嫁入りの支度金として、国家間でやり取りがあったお金さえ奪ってます。この辺りを罰せられなかったのかと不思議でした。
内容的には王道の不憫受けと溺愛攻めのお話で、特に目新しさは感じませんでした。ただ、薫人がずっと感じてたランバートの匂いをもっと設定に活かして欲しかったです。勿体無くてモヤモヤしました。
そして、プライド高くて最後に大恥かいた令嬢がいましたが、ランバートの証言だけだったのでその辺も甘くてモヤつきました。
もっと大恥かいて社交界に出てこられないような設定や描写が欲しかったです。
ランバートの父親もなんですがザマァが手緩くて、消化不良な感じです。もっとバッサバッサやって爽快感を出して欲しかったです。
私はザマァが大好物なんですが、最近の作品の(他作家さまも)ザマァが手ぬるいのは最近の流行りではないから避けるように言われてるのでしょうか?
はなの先生の書く健気で可愛く聡明な受けが好きです♡
今作の薫人も正にそれ。外交官だった父の影響も大きいけど向上心があり聡明、謙虚で優しい薫人は可愛かった。父の死で財産等を叔父家族に奪われ、使用人として働いてるのは辛い。けど父の知人から持ち込まれたランバートとの縁談を即決したのは良かった。後に葛城と密約があり苦しむ事になるけど、あの劣悪な環境に居るよりはいい。
結婚相手は父の赴任時代に1度だけ話した憧れの人ランバート。国の英雄でスパダリ、寡黙なのが玉に瑕。
ランバートも使用人達も優しくて夢のような生活だけど、つがいの営みが無いのは悩むよね。理由に驚いたけど、だからこそ薫人と結婚できた訳で、薫人にだけ発情してくれるのは逆に嬉しい。
ランバートに溺愛され華開いていく薫人だけど、本来の性格かルイーゼの登場や密約の為に身を引こうとするのは辛かった。自信を持って!と思うけど、それが薫人なんだなぁ。
ランバートの一途さやローデリックの助けもあり、2人の絆が強固になったのには安堵。こういう子だからこそ薫人には幸せになってほしい。
ラストの弟夫婦との場面は幸せが溢れていて笑顔になれました。
ローデリックの短編も彼の良さが存分に出ていて良かった。ほのぼのと幸せを感じられる作品でした。