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表題作おかえりなさい、愛しい子

シアリーグ
20歳?,亡国の王子
ロセル
4歳?,帝国第12王子

あらすじ

忘れ去られた十二番目の皇子ロセルは、捨ておかれた父皇帝の側室シアリーグを母のように慕っていた。暴君の父の目に触れぬよう、シアリーグの大きな愛に包まれて心身ともに健やかに育つロセル。いつか武勲を立て、彼を下賜してもらうのが夢だったが……? 擬似親子の究極の執着愛!!

作品情報

作品名
おかえりなさい、愛しい子
著者
宮緒葵 
イラスト
橋本あおい 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403526008
2.8

(16)

(1)

萌々

(2)

(8)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
40
評価数
16
平均
2.8 / 5
神率
6.3%

レビュー投稿数8

宮緒先生節炸裂の、ねっとり纏わりつく執着攻めの怖さを堪能

やー……これ、評価に迷う作品でした…!
好みと評価が大きく分かれる作品だろうなあ、というのが読後すぐの正直な感想。

宮緒先生節炸裂!!という感じの、義母BLです。
義母BLというジャンル自体は、正直自分の好みではないんですよね。
橋本あおい先生の絵柄も、個人的には好きなんですが今回は攻め受け共にものすごーーく女性寄りだった気がする。もう少し男味を感じさせて欲しかった、、とは思う。

内容も、皇帝である父王の残虐な振る舞いなんかは正直全く好きじゃなく、途中で「おえ…」ってちょっと気分が悪くなっちゃうぐらいだったんです。

でもでも。

どこまでもねっとりと纏わりつく、執着。
自分が何を求めて宮緒先生の作品を読むか?といったら、もうこの一言なんですよね。
そしてそんな、気分の悪くなるような「ねとねと執着!」を存分に感じさせてくれる作品だったと思う。だから、萌え2です。
(宮緒先生の作品がとても好きなので、ちょっと贔屓は入っちゃってます。「萌」と迷った)

期待していた執着攻めへがしっかり見られたのと、物語としてきちんとオチもついており、一気読みできる面白さがあったから。

決して正統派BL!とは言えず、気軽に人におすすめできる感じではないんですが。。

少し捻った設定が好きで、義母BL問題なし!で、さらにねっとり恐ろしい系の終着攻めが大丈夫な方。そんな方なら…萌える…かも…!(自信はなし)

6

母性!

宮緒葵さんらしさが香るうえに母性あふれるお話でした。

二重の意味があるってことかな?

自分の苦手要素というか、それはどっちかっていうとやめてほしかったなあな所を書くと真相のネタバレになってしまうので…。

皇帝の後宮で母を亡くし後ろ盾もない四歳のロセルが側室のシアリーグと出会って本当に良かった(泣)二人の孤独やロセルの運命も良い方へ運ぶね!と思っていたら…。

実は二人とも強い魔力の持ち主で。そのお話もとても読み応えがありました。

う〜ん、何を書いてもネタバレになりそうで。

好みじゃない設定の部分が、受けが攻めの乳首をまるで赤子のように吸うところや、そこから進んでまるで赤ちゃんみたいになるところなんですよね。攻めに母性があるのがちょっと…なのと、元の攻めの正体の性別や執着もやたら現実味があって…。

国盗り救国と合わせてさすが宮緒さん、読ませる力がすごいです。

宮緒さんって母性攻めが好きなんですかね?他にもそういうお話ありますよね。

よしよししての部分とかはツボでした。

4

絡め取られる

先生買い。とある理由により今ひとつ「読みたいなー」って盛り上がりが少ないまま読み始めたのですが!面白かった。どうなるのかとハラハラして、最後まで一気読みでした。宮緒先生お好きな方でしたら、お気に召すのではと思うねっとり話、本編250頁弱+あとがき。個人的にはひっくり返ってほしかったけど(笑)

帝国第十二皇子として産まれたロセル。亡き母そっくりのキラキラ容貌ですが、冷酷傲慢我が道を行く父、皇帝からは見向きもされていません。そんなロセルの住む後宮に、エレシウスの王子が迎え入れられたとの事。自分と同じ金髪だと聞き、一目見たくなって…と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
クバード(ロセル父、皇帝)、ロセル以外の皇子、その母親たち、オルハン(ロセルの母に助けてもらった魔術師の一人)ぐらい。

++ 攻め受けについて

心を失ったきらきら美人が後宮に、って聞いたら、ねえ?想像するじゃないですか。まずそこでね、あら…となりました。

またその、心を失ったという美人さん。儚げ薄幸美人って思ったんですね。そこでも、あらら…?となったのです。

読みが外されて、あたふたするのですが、お話が惹き込まれたんです。どうなるのか?!と氣になって頁をくっていたら、一冊読んでしまいました。あれこれ気になるところはあるのですが、終わっちゃった…という印象です。

ロセルは人の上に立つのが適している方。人を率先して引っ張っていくというのではないんですけど、周りから引き立てられちゃうタイプかな。

シアリーグはすごい魔術師で、ロセルのことがとある理由により大好きで大好きで。儚げ美人かと思いきや、腹黒属性多めなのでは。

今回、宮緒犬はいないと思うのですが、執着という意味ではこわいと思うほどの執着ありました。どっちがどっちに入れるんだ?と頭を捻りながらの色っぽいシーンもとろとろ多めで、読めば読むほど絡め取られていく心地です。宮緒先生の既刊大好きな方はたまらんのではないかと思う一冊でした。

3

神は神話の存在ではなく

今回は帝国に滅された国の王子と第12皇子のお話です。

母を亡くし父帝にも顧みられなかった受様が
父帝の側妃だった攻様によって帝王になるまで。

テトロティアは東西の交易路が交わる砂漠の小国から
代々の王の武力と経済力で大陸南方の大国となります。

受様の父である現帝は好戦的で
1年の半分以上を戦場で過ごして周辺国を攻略し
好みの美男美女を後宮に連れ帰るため
生れた皇子皇女は50人を超えます。

受様は魔法王国と名高かったウィシャスの滅亡時に
家臣や民の助命と引き換えとなった王女の忘れ形見です。

豊富な魔力を現わす金髪をもつ受様ですが
母が亡くなると後ろ盾もなくなり
誰にも顧みられない存在となります。

そんなある日、受様は
父帝が魔法王国だったエレウシスを殲滅し
金髪の王子を妃としたという噂話を耳にします。
この王子こそ今回の攻様になります♪

攻様に母の面影を求めた受様は
新入りの妃の部屋のある東翼に入り込み
大地の女神もかくやという美貌の佳人と出会うのです。

ただ長椅子に座す佳人は身じろぎも瞬きもしません。
悲しみで心を閉ざしたのかと攻様の投げ出された手に
受様が触れると触れた部分から熱い何かが流れてきて
全身から力が抜けとしまいます。

倒れそうになった受様を抱き留めたのは
今まで微動だにしなかった攻様でした。
受様を抱き上げた攻様は「私の子」と受様を呼び
受様も「母上様」と見た目より逞しい腕にすがるのです。

果たしてこの邂逅がもたらす未来とは!?

心を閉ざした側妃の攻様に執着された受様の
王位簒奪物語になります♪

ギリシア神話の大地の女神の神話を下敷きにしていて
子を奪われた(女神である)攻様が己の子と(確認)する受様を
取り戻すまでの物語となります。

攻様はある理由で心を閉ざした木偶人形でしたが
受様の魔力によって目覚めると

もてる知識と魔力によって
後宮内の悪意と策謀から受様を護りつつ
受様を立派に育てあげるのです。

受様は攻様を後宮から解放すべく
力をつけて攻様を下賜される男になろうとしますが
攻様を母と慕う気持ちは徐々に変化していきます。

己以外が力を持ち事を許さない父帝
己の息子の為なら他の皇子達の犠牲も厭わない妃達
受様の母国の民として隷属を強いられる魔術師達

それぞれの思惑に翻弄されながらも
王としての器を見せる受様は天晴ですし
神話とシンクロする攻様の描き方も見事ですが

攻様の受様への執着度が半ばなく
純真無垢な受様に手を手に入れるために
邪魔になるものは全排除する手腕はえげつなく
お好みによって評価が割れそうなお話でした。

個人的には母子の関係が強調される事で
体現される激しい沼っぷりが宮緒先生らしくて
どっぷり楽しく読めました。

3

宮緒節炸裂

読みながら、あー…これは間違いなく宮緒先生の作品だなとひと読みで分かる作品でした。もし、BL作品の作者当てクイズがあったとして、こちらの作品が出題されたならば、迷わず宮緒先生の名前を挙げます。それくらい宮緒クレグランスがプンプンに香る物語でした。

ちょいと歪んだ母性愛、母親に甘えたい欲望が解放された、親と子の依存愛と言うべきでしょうか。…2人だけの異質な世界がキワモノ感満載です。怖いっちゃ怖いし、面白いっちゃ面白い。とにかくクセの強い作品なので、評価も割れそうな気がします。

私としては、宮緒先生の過去作の「乳親」なんていう超クセつよ作品にハマり、小説もコミックスも読み漁ったことがありまして。読みながらその作品が頭に思い浮かんできました。ロセルがシアリーグの胸の小さな粒をちゅうちゅうと吸うシーン……その光景には何故だか懐かしさを感じました(笑)


どんなお話かっていうと、もう大体お分かりかと思いますが、濃厚ねっとりな母子愛ヨロシクなお話です。血の繋がりは全くないですよ、精神的なレベルで成り立ってる母子愛なので。

残虐な皇帝の父の側妃であったシアリーグと、捨て置かれた十二番目の皇子として後宮で出会ったことから物語が始まっていきます。金髪で美しい見た目の2人は初見で惹かれ合い、後宮でこっそり逢瀬を楽しみます。シアリーグに魔術の基礎をレクチャーされるロセルはその才能を開花し、それと同時にシアリーグに陶酔していくことに。もちろんシアリーグの方も、出会ったその瞬間から"私の子!"などと宣うくらいなので、ロセルを異常に溺愛し執着する母親へと邁進していくのです。

幼い時に母親と死に別れ、父には見向きもされない親の愛情に飢えたロセルにとって、シアリーグの存在は救いであったことは間違いありません。同じ魔術師としての才を受けたことも相まって、2人の間には誰にも入り込めないほどの隙間のなさは、ただの母子の関係じゃないことは明らか。自分のことを何よりも優先し、愛し、癒してくれるシアリーグに抱く想いは、母に対する情かそれとも……。ってところがこの作品の見どころです。

ときに母親と子として、ときに恋人同士として触れ合う彼らは、彼らにしか成立しえない特別な関係で結びついている印象を強く受けました。"どっちか"、じゃなくて"どっちも"なんですよね。それが独特な2人だけの世界を生み出しているから面白い。
最後はシアリーグの思惑の余韻があるから、この作品が終わってもなお続きがあるかのような感覚に満たされます。シアリーグとロセルの関係は、もしかしたらここからが始まりなのかも知れません。


それはそうとして。
2人のポジショニングの話ですが、予想と逆でこれにはちょっと驚きでした。
ロセルの子種を誰にも渡したくないと言っていたのでてっきり……。ロセルへの執着を考えれば、まー分からなくもないけど、わたし的にはしっくりこず。
シアリーグの底知れぬ闇の部分を表すにはこれがベストなのかな。色んな意味で想像の斜め上をいく作品だと思いました。
宮緒先生の描く母子愛、濃密に堪能しました^ ^

2

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