電子限定かきおろし付
自分にとって彼は自分に新しい道、視点、守りたいものをくれた人であるのにそれが彼にとっては自分のせいだと思ってしまうというすれ違いが見ていて心にくる。自分がこの漫画に入っていたら絶対同じこと思うだろうなって共感できるからこそ心にくるものがある。
BLのラブラブ系よりも内容重視の物語。
ほんとに染みるお話。
何気ない一コマのようだけど彼らには長い時間をかけて作り上げた希望なのだなと思った
事故により大きな障害を持つことになる晴人と彼を支える晃のお話。
苦労や辛いこと大変なことがありながらも、私は理想的、希望的なお話だと感じました。
突然の事故で地獄のような日々を送ることになる晴人。
尊厳死に救いを求める気持ちはとてもよくわかる。
それが「お守り」というのも。
障害だけでなく、大病や持病や慢性疾患、人間関係や経済的なこと…人によってはさまざまな困難があるわけで、そんな人にとってはいつか死によって解放されると思いながら、晴人のようにそれまではしたいこと、できることをする…それが人生でもあると思います。
晴人は自分のことだけでなく晃の夢や人生を犠牲にしていると苦しむのもわかる。
前半の晃はやたらテンション高く、したくてしていることだろうけど少し無理していませんか?と思わせる演出にも感じましたし。
それでも晃が誰と何をして生きていきたいか…選択するのは本人ですもんね。
そんな晃を気遣い、晴人のことも理解してくれる芝先輩の存在が大きい。
芝先輩のような人がいるといないとでは全然違う。
晴人は小説家としての才能があり成功し、愛するパートナーと共に生き、夢を叶える。
決して悲劇ではない。
大変な苦労がありながらも努力して、しあわせな人生を送った物語だと思います。
BLとしては、パートナー制度や家族ではない見舞い者の病院での扱いがリアルでよかったです。
タクシーの運転手さんと晴人のエピソードが秀逸でした。
晴人はもともと引きこもりタイプだし、自分の大変さで視野が狭くなっていただろうからバリアフリー的なことが障害のある人にとって便利で当たり前であることがあるとこの時初めて知ったんですもんね。
障害だけでなくいろんな悩みを抱える人にとっていいヒントになるシーンだと感じました。
こんなBLは今まで見たことなかった。是非ドラマ作品になって欲しいと強く願うほどとても、リアルかつ純愛そしてやはり現実味が凄くこちらも何か考えさせられるような作品でした。
確かに車椅子の人が居たりすると目線が自然とそこにいってしまいますね。私は祖父が重度の血友病で車椅子を子供の頃から押していたので、もしかしたらそこまで珍しくは思ってはいないかもしれませんがそれでも他の人よりも気を遣ってしまうし特別視してしまうかも。
それに生まれた時からではなく事故でそうなってしまったことで、色んな葛藤があるのだなと鮮明に伝わってきました。感動しました。
身近に身体が不自由な人がいないのですが、素人目線からすると車椅子使用者の心情の解像度がとても高かったのではないかと感じました。互いの好きという感情を疑う気持ちは微塵もない。でも、好きだけで難なく日々を過ごせるほど、身体の不自由さを抱えての同棲生活は甘くはない。過干渉にもならずいつも自然体で晴人と接する晃には温かい気持ちになりましたが、そんな彼に壮大な夢があったとしたら、晴人がいつまでも罪悪感や引け目を捨てられないのも無理はありません。しようと思えば自死できるという選択肢が救いや希望になる。綺麗事でない、これ以上ないほど正直な気持ち。私たち健常者にその考えを咎める権利はありませんね。
それでも、旅先で晃は晴人に会いたくなるし、晴人は今日はまだ死なずに晃の隣にいたいと思う。事故で余計に抱えるものが増えたかもしれないけれど、それらを抱えながら、相手と過ごす尊い今日という1日を大事に大事に積み上げていってほしい。誰にでも起こりうることですから、この作品はすべての人に寄り添い、希望となりえる作品といえるのではないか、そんな風に思いました。
起きてからベットを出るまでに40分、普通にトイレで排泄もできない
仕事があって恋人もいるんだからめぐまれているなんてフィクションだと分かっていてもとても言えない、障害とともに生きることの難しさと苦しさがリアルに描かれています
ケアをする側の家族がつぶれてしまうのはよくある話なので、芝先輩みたいな人が周りにいてくれたことはよかった
(晴人の家族には最後まで理解してもらえなかったのかな…)
晃の、世界一周の夢を語るときのキラキラした目と、晴人を支えようともがく中で光を失っていく目が
それを一番近くで感じているであろう晴人の気持ちが
…ほんとうに胸が苦しくなりました
大事な人を自分から解放したいと別れを告げた晴人への晃の強い答えに涙腺崩壊でした
読みかけの本を読み終わるまで、来月の恋人との約束まで
長いこの先の人生のことを考えたら心がつぶれてしまうから、ほんの少し先の小さな楽しみのことだけ考えて生きる
それは自分にも覚えがある感覚でした
(「モモ」という児童文学に出てくる道路掃除夫のおじいさんの話を思い出しました)
病院の警備員さん?や介護タクシーの運転手さんのような寄り添い方ができる人になりたいなぁ
もう少しを積み重ねて一緒に歳をとり、認知症になったと思われる晴人のメモ「晃がかわりにおぼえているからそれでいい」を見て、しんどい中にも幸せな日々があったんだと感じました
悲劇じゃないよ、私もそう思うよ!!!
あとエッセイ6冊分、読ませて欲しいです切実に。