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表題作結婚したら海のそばに住もうね

岡本千宙
大学1年生〜社会人、18歳→28歳
甘崎菫
大学1年生〜社会人、18歳→28歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

きれいだ。きみは世界一きれい。

器用で明るく人気者な千宙と、引っ込み思案だが素直な菫。同性婚ができる現代で出会った、正反対なふたりのじれったい恋愛譚!

同性婚の成立から約二十年。大学の入学式で菫に一目惚れをした千宙は、持ち前の人当たりのよさで距離を縮め、秩父から青山に通う菫の相談をきっかけにルームシェアまでこぎつける。嫌われたくない。でも大好きで、恋人になりたい。菫を一途に想う千宙と、「好き」の種類をゆっくり確かめている菫の恋模様の行方は…!? 片想い、ルームシェア、就職、遠距離――そして結婚。きらめく恋愛と揺れ動く人生をぎゅっと詰めた、もだキュン初恋BL!

作品情報

作品名
結婚したら海のそばに住もうね
著者
とらのとら 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576240985
4.5

(47)

(34)

萌々

(6)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
210
評価数
47
平均
4.5 / 5
神率
72.3%

レビュー投稿数12

入学式での運命の出会い






タイプの違う優しい2人のクロニクル


横浜から青山の大学通う千宙(攻め)は大学の入学式で一目惚れした秩父から通う菫(受け)と仲良くなりたくて、距離を詰めすぎず離れすぎずと絶妙な間取りで仲良くなっていきます。
通学が遠い菫が一人暮らしを検討していると知るや菫の気にいる物件を探し、ルームシェアへ持ち込みます。
タイプが違う2人ですがとても馬が合い、お互いを尊重しながら生活していくのです。

菫と千宙の2人それぞれの視点で、大学生活から社会人になってからの2人の生活を覗いてる感じ読んでいきます。

千宙は優秀で、それほど努力しなくても要領良く生きていけるタイプで就活でもたくさんの内定をもらっていました。
菫をとても大切にしているのですが、優しすぎて断れずに菫を泣かせてしまうこともありその度に後悔しています。

菫はほんわかのんびりというタイプですが、直感を大切にし、頑固なところもあります。

この話には悪い人が出てこないので、ストレスフリーで読めます。

同性の結婚が認められた世界線なので、初めから男同士とか考えることなく、普通に好きになって付き合うという感じに話が進むのですが、あらすじには書いてあるけど、本筋に同性の結婚が認められてるって話が出てこないので(最後の方にやっと出てくる)、同性同士ってことに誰も突っ込まないんだなーとちょっと不思議な気持ちで読んでいました。

2人が穏やかに時々困ったこともあったりしながら、これからも歩んでいくんだろうなとほんわかした気持ちで読めるお話でした。

1

No Title

 とらのとら先生は「元愛人と年下の犬」で知り、あまりの文章のうまさとシチュ設定の好み一致で即ファンになりました。
 情景描写、心理描写どれをとってもうまいんです。

 同性婚が認可されてから20年ほど経っている舞台。
 同性愛とか異性愛とかの概念がないというか、どっちもあって当然、みたいな空気感が良い。
 恋愛の意味での好きという告白も、なんの抵抗もなく受け取ったり。二人のいい感じの空気に、おふざけ無しの「付き合っちゃえば?」というセリフが投げかけられたり、幸せな世界観。
 大学の入学式で菫(受)に一目惚れした千宙(攻)。男だからとか男なのにとか一切なしに「かわいい」で頭が埋め尽くされて、一瞬にして脳内で受けをベタ惚れ溺愛してる全肯定botになってて微笑ましい。

 エロシーンが濃密濃厚とか激しいとかではないのに、めちゃくちゃエロい。
 単調でもなく、在り来りなシチュでもないから、流し見せず読める。
 心理描写が本当に本当にうまい。
 そしてお互いにベタ惚れの甘々溺愛してるから、隙あらばイチャイチャしてて尊い。

 この笑顔守りたい、みたいになる二人です。
 夢中で読んでると、いつの間にかニヤけてることに気づく。

 ただレナ視点の悠太とレナ(メインカプの友人男女カップル)シーンは要らなかったかな。2ページほどですが。

2

制度として同性婚が認められている世界

BLの結婚ものにあまり惹かれないのですが、高評価だったので読んでみました!

先生があとがきでおっしゃられていますが、今回敢えて制度として同性婚が認められた世界という設定にしたと。
私には、それがとても良かったです。

現代ものでふんわり結婚と言われても…と違和感が強いタイプなので、そういう世界だときちんと言ってくれたので、2人がずっと一緒にいたい→結婚と考えたのがスムーズに捉えられました。

ストーリーは、とにかく優しく丁寧で甘くて大好きしか詰まっていない。そんな作品でした。

大学の入学式で攻めが一目ぼれして、仲良くなって、同居することになって…と一目ぼれから段階を踏んでお互い大好きな恋人同士になるまで。そして、社会人になって遠距離恋愛も経験して、お互いに何より大切にしたいものに気がつく。

2人のトキメキや恋心、大学生の青春や戸惑い、色んな感情が色鮮やかで温かい気持ちになりました。

個人的に萌えには刺さらずではありますが、素敵な作品だと思います。

この作品を後で思い出したとき、きっと攻めから受けの矢印がとてつもなくデカいと思い出すだろうな笑
受けも攻めを大好きなんだけど、とにかく攻めの「菫くん可愛い」が印象的です笑

2

癒された

最後まで幸せいっぱいの素敵なお話でした。
生きていく上で一番大切なモノを選んだ2人に癒されたぁ。
初の紙書籍とのこと、電子書籍の他作品も読んでみたいと思いました。

4

幸せのおすそ分けを貰っちゃった(*˘︶˘*).。.:*♡

初めましての作家さま。
他のお話も読みたくなる、そんな素敵な2人のお話でした(≧▽≦)

受様の菫と攻様の千宙。
大学の入学式で出会った2人。
人見知りな菫に一目惚れだった千宙は、優しく距離を縮めていく。
同居して、それが同棲となり(*^^*)

もう、千宙の溺愛ぶりが、めっちゃ好き♡
優しくしたい、幸せにしたい、ずっと一緒にいたい。
そんな学生同士の、スレてない素直な恋愛に、きゅんがとまらなかったです⸜(*˙꒳˙*)⸝

菫視点では、千宙の優しさや愛情溢れる言動にときめいて、また菫の真面目さや一生懸命さが微笑ましく。

千宙視点では、菫の可愛さや素直さにぎゅーっとしたくなり、また千宙の菫ファーストぶりに萌えまくり。

それぞれの視点で、相手へのときめきに一緒にときめいて、こんなの一緒に好きになっていっちゃいますよ(*^ω^*)

相手を思いやって大切にしていて、言葉も態度も惜しまず。
愛と誠実さがあふれる、本当に愛おしい素敵な2人(*ˊ˘ˋ*)♡
私まで幸せのおすそ分けをもらって、ほっこりにっこり暖かい気持ちになるお話でした(*^^*)



4

安心安全の癒やし系BL

とらのとら先生、楽しみな作家さんが増えました。
この本すごく大好きです!!

◎攻め
千宙(ちひろ) 優しくてモテモテなのに気取ったところがないスパダリ
◎受け
菫(すみれ) 自分に自信がないけど一生懸命な頑張り屋さん

大学入学からの十年間、二人が出会って恋をして結婚するお話です。
出会ってすぐ菫くんに一目惚れをした千宙くん。見た目がかわいいから? かわいいからすぐ好きになるなんて不誠実じゃないか? と思い悩みながらも、菫くんの内面を知るたびにどんどんと惹かれていきます。
菫くんがめちゃくちゃ素直でおっとりとした良い子で、菫くんから発信される全てのエピソードがかわいすぎて身悶えちゃう千宙くんの気持ちすっごくわかる〜!

そんな菫くんも入学式で声をかけられた時から、千宙くんに好感をもちますが、千宙くんを大好きな友達は自分以外にもたくさんいる。「あんまり大好きにならないようにしないと」と自制します。それってもう大好きじゃん…! と思いますよね。でも恋を知らない菫くんは気づかないのですよ。
最初は友達としての「大好き」だったけど千宙くんに優しくされるたびに好きの種類がわからなくなる菫くん。
二人は付き合う前からお互い「大好き」って想い合ってて、これで付き合ってないの!? ってなるんですけど、そのスローペースが全くストレスならないし、むしろキュンキュンとして見守っていたくなりました。

菫くんに嫌われたくなくて、優しくしたくて、好きだ付き合ってなんて言って怖がらせたくない、となかなか自分の本心を言えない千宙くん。付き合うきっかけが菫くんからの言葉だったのがすごく良かったです。そのときの菫くんがかわいくてかわいくて…!
二人が付き合った日のクリスマスイブ、多幸感に溢れていました。ピュアだけど、ちゃんとそういう意味で千宙くんが好きだったんだと分かるシーンがあるのですが萌えすぎて大変でした。菫くんどこまでも素直。全部言っちゃうんだね、かわいい。

就職して遠距離になりますが、ちゃんと想い合っていてお互いを最優先にする二人なので、切なくてもそれを超える幸せな結末が待っているので安心してください。

「菫くん」「千宙」と呼び合っているのも可愛い。思わず呼び捨てしちゃった菫くんに対する千宙くんの受け止め方が最高でした。
千宙くんは甘く優しくて、話し方とかも柔らかいけどめちゃくちゃ頼りになる人ですよね。さすが「令和の攻め」です。菫くんのことすぐ抱き上げるし膝に乗せたり攻めっぽいことするけど、かっこ悪いところも自己申告したりして全然いやみがない。
優しさにあふれている先生の台詞の言葉選びがすごく好きです。文章も柔らかくて温かい。
場面描写もお上手で、挿絵のないシーンでも頭の中で自然と「こんな感じの建物なんだろうな」とか「こんな景色なんだろうな」と思い浮かべることができました。

感想を書いていたらまた読み返したくなりました。お話の中で引っかかるところがないので、どんな気分の日でも安心して読めるのが嬉しいです。
このお話に出てくる人たちがずっと幸せでいてほしいなと切に願います。

みずかねりょう先生の挿絵もすごく美しくて、特に遠距離中の二人がビデオ通話するシーンが好きです。
菫くんのみの挿絵のところは、すごくすごく良いシーンなので、実際に読んで確かめていただきたいです。
ピュアな二人の甘酸っぱくて幸せなお話が好きな方におすすめです!

5

優しい初恋物語

今回は大学で出会った同級生同士のお話です。

受様に一目惚れした攻様が
友人関係からゆっくりと受様の恋人、伴侶となるまで。

受様は自然豊かな秩父生まれて
内気で大人しい性格で友人が少ないものの
祖母と両親に見守られてのびのびと育ちます。

大学生となり、大学は東京青山に決まりますが
祖母が寂しがるために実家から2時間半かけて
通学を予定しています。

祖母の希望で一緒に臨んだ大学の入学式にて
受様は学生番号順で隣に並んだ攻様と隣席となり
初めての友人を得ます。

攻様は両親と姉とで横浜駅そばのマンション暮らしです。
社交的で物怖じしない攻様は中学も高校も
たくさんの友達に恵まれ大学生活も楽しみにしていますが
何か大切なものを見つけられたらいいなと思っていました。

そんな攻様は大学の入学式で
学生番号順に割り振られたパイプ椅子に座ろうとして
隣の席の受様に声をかけた事で
一生の宝物になりそうな人との出会いを果たすのです。

初恋未経験な攻様には一目惚れは不誠実に思えますが
入学時に祖母を伴ってきている事
挨拶したいという攻様にありがとうと言う事
静かで優しい話し方もとても心に響くのです。

攻様の初恋の行方とは!?

大人しくて人付き合いが苦手な受様と
対人スキルが強くフレンドリーな攻様の恋物語です♪

とらとのとら先生の紙書籍デビュー作は
大学で出会った2人が恋をして愛を育てていくもので
大変楽しく読ませて頂きました。

受様の入学式に出席したことで
思った以上に通学が大変と知った祖母は考えを改め
受様も1人暮らしを検討し始めますが
何から始めたらいいのかもわかりません。

そこで攻様に相談するのですが
攻様的には受様と同居できるかも!?な相談であり
早々に良き物件を一緒に探し始めます。

偶然学校の近くにみつけた貸し物件は
大学OBの持ち物で2人を知ったOBに
格安で貸し出しされる事になるのですが

その裏にはOBの過去が関わっていた事が
後に明かされるのも上手いなあと思いました。

攻様の友人が受様の友人となり
青山の一軒家で2人が恋を育てていき
受様が受かった会社が熱海で遠恋になったりと

前に進んでいくために対する苦難はあるものの
心身が傷つくつらい展開はなく
両視点使いも巧みでそれぞれの相手に対する想いが
丁寧に綴られていて一気読みでした (^-^)/

全体的に攻様がラッキーマンすぎる感じがありましたが
電子の既刊も読んでみたいと思います。

5

こんな世の中だから読みたい物語

わーお( ´∀`)
これ、すっごく面白いですね!ランキング上位だったので、興味ホイホイで購入したけど、見事にハマっちゃった。他のレビュアーさんの熱もすごいし、人気な理由に納得の作品でした。


現代もの作品は、誤魔化しの効かないリアルさが求められるせいか、書くのが難しいと思うんですよね。
だけど、この作品。2人の関係性の構築は元より、両視点に基づいた心理描写、充実した大学生活と情景描写といったアプローチが何とも魅力的に描かれていて、すごく引き込まれました。

その大きな力となったのは、作者さんの描く力。これに尽きます……!!
主人公2人のウブな恋模様や恋人同士の恋愛模様にちゃんと裏付けがある。まず、これです。
実在する関東近郊のエリアがモデルとなっていることからも分かるように、現実の舞台が丁寧に物語の世界にトレースされていて、リアルもリアル。多くの読者が頭の中にポッカリ思い浮かぶ景色に、2人が生きる世界がその延長にあるのではないかと思う錯覚を呼び起こすストーリーがとても素晴らしいと思いました!

リアルと仮想が混ざり合う空間の世界観がとても面白く、そんな世界で育まれていく2人の恋愛模様がより魅力的に映りました。要領良しの溺愛攻めとふわふわおっとり受けのカップル2人は、最初っから可愛くて甘くてお似合いです(´∀`*)
家族も友人も、借家のオーナーも会社の人たちも、ぶつかってケーキをダメにしちゃった男性もみんな2人を応援する良い人たちばかり。こんな羨ましい環境ありますかーってくらい。千宙と菫の住まうこの世界は2人のために回っているような気すらしました(笑)

社会人になって忙しくてすれ違う生活を送っていても、2人が消極的選択をするんじゃなく、どうしたらお互いが一緒にいられるかの積極的選択に向かって答えを出していくところは拍手!
置かれた状況を悲観してウジウジしないところ、これも大事な要素です。
読む側の気分アゲをしてくれる、こんな世の中だから読みたい物語……明日への活力のため、ビタミン補給剤としてこうして癒されるのが私の幸せです( ´∀`)


読みやすい文章と、ウィットに富んだセリフがちょいちょい飛び出す作者さんのセンスの良さもGOODポイント。わたくし、ちろこの「これからも読み返していきたい作品リスト」の仲間入りしました^ ^
文庫本にしてはちょいとお値段高めですが、これから先何度も読み返すことを考えると、私は購入して良かったなと思っています。

5

また楽しみな作家さまが

今は異世界転生とかにハマってる私ですが、たまには現実的な恋のお話も読みたいと思って購入しました。紙本になるのは初だそうです。これからがとても楽しみな作家さまの作品に出会えました。

現実世界とそんなに隔離してない時代設定で、でも同性婚が20年前に成立してる世界観なんです。だから同性愛者でも恋愛の先に結婚という選択肢が普通にあって、もし、現実に同性婚が成立したらこのようなCPも生まれて来るのかなと感慨深かったです。

ですがお話自体は小難しい話ではなくて、大学の入学式で出会った2人がお互いに特別な存在となって行くのを淡々と書いてあると思いました。導入部はゆっくりじっくりと進み、途中からはサクサク時が進んで行ったように思いました。

千宙(ちひろ)と菫(すみれ)の出会ってから10年あまりのお話ですので、派手な事件や出来事などは起こりません。誰もが経験するであろう学生生活や親元を離れての生活や、同居から同棲、友人との旅行や就活などが書かれているんです。

そして千宙はイケメンでモテモテですが菫しか見えてないので、そう言った意味でのハラハラやイライラはありません。ただ、良い人でありたい為に優先準備を間違えて後悔の念に駆られる出来事はありました。分かりやすい悪意や悪人は存在しません。

凄く可愛らしいと思ったのが2人の記念日でした。それと千宙の心の声ですね。菫のことが本当に大好きなので、読んでてこちらもホッコリさせて頂きました。こんなに心の声が駄々漏れな攻めは初めてでした。そして凄く優しいんです。

なので彼が最終的に決断したことにすごく納得でした。この作品はBLではあるけれど、どのジャンルでも千宙というキャラは好まれると思いました。そして菫も普段は大人しいけど根っこの部分は深くて揺るぎない強さを持っていると思いました。

このお話で素晴らしかったのは千宙と菫の家族が、2人の仲を当たり前のように受け入れている点でした。また、2人が借りてた家の大家さんの存在感が良かったです。多くの方に読んで欲しい作品でした。

6

”青春そのもの”の恋の成長の形。心震える優しい物語

とらのとら先生、初読みの先生です。
そしてこちら、先生初めての「紙の本」とのこと!出版おめでとうございます!・:*+.

うう…もう、このお話、大大大好きです。
どこまでも優しい世界線なのに、途中うるうるしてしまう箇所がいくつもあった…
(文体はちょっと特徴ある部分もあるかもしれないけれど(「である」で終わる文が多いところなど)、
物語世界に引き込まれて読み進めるうちに、全く気にならなくなりました)

読み終えてしまうのが惜しくて、3日ぐらいに分けてちょこちょこ読み進めたほど。

みずかねりょう先生の挿絵も、作品の雰囲気にぴったり合っていて
ため息が出るほど素晴らしかった。。
攻め受け共に黒髪なんですが、パッと見ただけで二人がすぐ見分けられる。すごいなあ…

序盤も序盤、攻めの千宙(ちひろ)が入学式で菫(受け)に一目惚れする描写から、
物語の世界観に惹き込まれました。
現代ものですが、リアルな現代とは少し違う。同性婚が法的にも認められ、
ごく普通のこととして受け止められている世界です(本当にこんな世界が早く実現するといいな)。

全編通して、胸を抉られるような事件とか、悲しい別れとか、そういったことは一切起こらないんです。

なのに、なのに、なんでだろう……切なくて甘くて酸っぱい、そして時に苦い。
そんな青春時代の彼らの揺らぎを、物語の中の10年間をごく間近にリアルに感じられて、胸がいっぱいになってしまう。

主人公二人の両片想いはもちろん良き。なんですが、個人的にチラッと出てくるだけの三好さんと樹の話にグッときたー…

詳しいことは書きませんが、自分が好きな誰かが違う人を追いかけていて、
でもその好きな人のためになんとか人肌脱ごうとする高校時代の友人・樹。。
そして終盤に明かされるその恋の結末の形が、もう!!!
夢物語、もしくはファンタジーかもしれないけれど、たまらなく胸がきゅーっとしました。

で、主役二人の恋愛もまた、自分のツボを押して押して押しまくるエモさなんですよね。もう、本当に好き。

まず、なんでも卒なくこなすイケメンモテ男・千宙のその一途さ健気さ。
菫に一目惚れした時から、ひたすら菫だけを追いかけ、彼の幸せの基準は
「菫に笑顔でいてもらうこと」そして「菫のそばにいること」。

これが、ずっとずっと揺らぐことがないんです。

就職によって離れ離れになり、遠距離恋愛に耐えられなくなった二人、
千宙が下した決断も潔くてかっこ良くて、もーーー、全私が惚れた…!!!!!
生まれ変わったら、こんな溺愛一途彼氏に愛される価値のある人になりたい。
(現世では難しそうなので笑)

一方、受けの菫くんはちょっと「大丈夫か?」と思うようなぽわぽわ天然内気なタイプなんですが。
(話変わりますが”尾骶骨に残る蒙古斑”を読みながら想像してめちゃめちゃに萌えました…)

でもでもでも、大事な場面で最初に素敵な言葉を発するのは、いつもいつも菫くんの方からなのですよ!!
少なくとも、私の記憶にある限り3回。(最初の告白と、遠距離恋愛が限界を迎えた時と、そして終盤のとあるシーン)

もちろん千宙も自分から言うつもりでいるんだけど、
菫くんが必ずそれより先に言ってくれるんですよね。

もう、この二人の揺るぎない愛と関係性が素敵すぎてキラキラしていて眩しくて、
目眩がした…!!

二人が通う大学が”あの”大学を連想させる名前で、立地もその通りで、
都内の見知った土地、駅名なんかがふんだんに出てくるところも最高に良かった◎
秩父はね…都内に通うには、遠いよね。。もはや小旅行だよね、と
うんうん頷きながら、序盤のシーンを読んでいました。

で、二人に家を貸してくれたおじいさん、徳山さん。
この方の思わぬ恋路と、明かされるその後のお話も、最高に幸福感に包まれるもので…

熱海の家で海を眺めながら暮らす二人の、3年後、5年後、10年後そしておじいちゃんになるまで。。

二人だけでなく、その周囲の人々(主人公二人の親友たちの物語も最高なんです)のことも、
ずっとずっとそーっと追いかけて後ろ姿を見ていたいと思える、どこまでも優しい物語。
読めて良かった…大好きな小説の一つになりました✨

9

ゆるっと

みずかね先生おっかけで購入。とらのとら先生は初めましての先生だったんですけど、良かった。すごく良かった。「圧倒的な何か」は無かったんだけど、あとあと自分のレビュー見ると「あーこの受けすげー好きだった!」と絶対思うだろうなと思ったので、萌2にしました。攻め受けの関係がすごーーーーーーく良かったんですよう。ファンタジー要素なし現代日本大学生から始まる時系列長めの穏やか恋話です。いやーほんとに良かったわ。熱海住みたい。表紙絵の印象そのままのお話です!みずかね先生、神表紙絵です!

埼玉の最寄駅までバス、という家に住んでいる菫。大学入学したものの、大学までは通学3時間コース、どうしたものかとほわほわ考えていたら、入学式に知り合った千宙(ちひろ)が「一緒に物件探そうよ」と言ってきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
悠太+レナ(二人の大学同級生、付き合ってる)、攻め家族、受け家族、徳山(金持ちの大家さん)、受けバイト先関係、二人の就職先関係者等々。なんだろう?サブキャラなんだけど、ちゃんと生きているって感じに書かれていて、どのキャラもいいんですよね。先生のお知り合いにモデルの方がいるのか?と思うほど。シンクロしたからかなあ?

++攻め受けについて

攻めはとにかく世渡り上手な方。何もさせても器用にこなして№1になっちゃう印象。いますよね、お近くにも。上手いなあって方。そのタイプでしかも顔が良いと来たら、まあモテるモテる。でも遊び人じゃないです。ちゃんと内面知ってから惚れるって思ってたらしいです。しかーし。大学入学式で出会っちゃったんですよねえ、受けに。

受けが最高。大好き。
何が良いって、天然ほんわか天使なんですよ!攻めが可愛い可愛い、言いまくるんで、実際、第三者的に見てどうなんだ?というところは読み取れなかったんですが、性格が最高に良い。今時、大学入学式におばあちゃんと一緒に行く子なんて、そうそういないっすよ。ああもうこの序盤の、おばあちゃんと一緒に入学式行って帰るってエピソードだけで泣ける。
そうそう、ちゃきちゃきした子じゃないんです。人見知り強くて、就職の面接なんか、面接官と顔合わせられなくて、ことごとく落ちちゃうような子。ほわほわしていてねえ・・・話し方も独特で、ぽつり・・と言葉を出す感じです。ちっトロくさいっと感じる方もいるかもしれませんが、私は庇護欲くすぐられて攻めにシンクロしたのかな、ハグしたくて堪らなかったでした。

あと、出てくる二人の住処(青山あたり)がめっちゃ良かったです。先生、なんかリアル物件を見ながら書かれたのかなあ。すごく行ってみたい!という気持ちになるんです!

あーまだまだ書きたりないし、伝えられてないんですが、本当にこの二人の恋話、めちゃくちゃ良かったので、ぜひぜひ手に取って読んでください!ああ癒される。これは電子買って永久保存だな。先生の過去作も読んでみよう!先生、ほんとに素敵なお話、有難うございました!

10

初恋で大学生から大人へと成長していく2人の姿が尊い

千宙×菫

男同士の恋が普通となった
同性婚が成立した社会で、
純粋で真っ直ぐに育まれる恋模様。

ほとんど困難のない恋だが、


好きという気持ちに支配されて、
心が躍り、胸の奥が疼くという感覚が溢れる。


両視点が交差する進行で、

大学の入学式で出会う2人。
一目惚れしてしまう千宙と、
少しずつ自覚していく菫。

友情の範囲で手探りしながら加速する両片想い、
それぞれの片想いが揺れ動く様子にくすぐられる。
男同士だからこそ自然に始まるルームシェアで、
縮まる距離とともに、恋人未満の微妙な関係から、
ついに恋人となる瞬間に感動する。

就職によって遠距離恋愛という試練に向き合う2人、
ずっと一緒だったのに、離れる寂しさが少し切ないけど、
遠距離の中で心はつながり続けて、
結婚しても、終点ではなく未来に向かう2人の姿が心に沁みる。

恋する気持ちも、
初めてのキスの相手もエッチの相手も何もかもがお互いで、
その初恋のときめきを実感するし、
大学生特有の生活のキラキラした青春感も感じられる。

大学生から大人へと成長していく中で、
菫を一途に愛しながら前向きに進む千宙と、
健気で悩みながらも千宙に想いを寄せる菫。
2人が人生の岐路を共に歩む姿が描かれた、
力強い純愛の物語に温かい気持ちになりました。

5

この作品が収納されている本棚

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