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バンドものはかっこつける感が小っ恥ずかしくなることが多いのですが(気まジャガは別)
本作はかっこつけるというより退廃的ですね。
ロンドンぽい。
前作「ショーが跳ねたら逢いましょう」収録の「Rockin' in my head.」の続編。
ビート・"ブライアン."
ニック・"ジョーンズ"
「ウディが死んだよ まだ27"だ」
先生はブライアン・ジョーンズ(ローリング・ストーンズ)がお好きなんでしょうか。
彼も27歳で亡くなったし。
表紙のニックはブライアン・ジョーンズにちょっと似てるし。
ニックもビートも、ギター弾きが好きだった。
ギター弾きの方も。
何とも苦い渋い終わり方だけれども、それはそれでいいと思えるのがいい作品ですね。
もう1作は、前作収録の「Cafe et Cigarette.」の前日譚。
リュシアンは過去に悲しい恋をしていたんですね。
青の顔料を全身にまとったリュシアンとミシェルの絡み、見開きの絵がなんともエロチックでございました。
カラーで見たら美しいだろうな。
リュシアンはテレビンの匂いが苦手だったのに、Cafe〜では、その匂い好きだよとルネを口説いていたのがおしゃれでした。
完全に好みですが(5☆満点)
すごい ☆☆☆☆
面白い ☆☆☆
内容が好き ☆☆☆
絵が好き ☆☆☆☆☆
キャラが好き ☆☆
萌える ☆☆
先生自身海外生活の経験があるか、洋画をたくさん嗜まれているのかなと思わずにはいられないほど、相変わらずリアリティとロマンティックさが上手に両立しているなぁと感じました。ルームメイトかつバンド仲間であるビリーとニックのくっついては離れを繰り返す不毛さ、どうしようもなさが海外映画に描かれるゲイっぽいなと。結局最後までニックを捨てられないビリー。振り回されてばかりでも、彼にはニックという存在がどうしても必要なんでしょう。
前作で好きだった作品に登場する画廊オーナーのリュシアンの過去が読めたのも嬉しかったです。大人の男に必然的に惹かれていく若いリュシアン。でも、ミシェルも完全に遊びだったわけではなくて、彼もちゃんとリュシアンに惹かれていて。ただ、結果的にはそれは言い訳に過ぎず、双方にほろ苦い記憶が残る。ハピエンに終わらない分、途中の顔料を全身に被ってキャンバスの上で絡み合った2人の濡れ場が引き立って、刹那の交歓に酔い痴れました。
えすとえむ先生のデビューコミックス「ショーが跳ねたら逢いましょう」収録の「Rockin in my head」完全版です。
「cafe et cigarette.」の前日譚も収録されています。これも好きだ〜〜
◾︎ビリー(ギター)×ニック(ギターヴォーカル 自由奔放)
このCPもいいけれど、ピート(ビリー憧れのバンドのヴォーカル)とジョー(同ギター)の関係も最高。
「ショーが跳ねたら〜」でもまとまりのいい作品でしたが、前後にこんな分厚い人間模様があった。みんながみんな言えない思いを抱えていて、虚勢をはってる。
ピートの留守電ひとつでパブに来たジョー、その場で偶然にもビリーと出会い、ピートの死を知るジョー。カバー裏までしっかりご覧ください。とにかくドラマチックで運命的で、えすとえむ先生が描くからこそそれが創作物としてまとまっています。この絵柄でなければ安っぽくなってしまうかもしれない。
ビリーとニックの関係性で好きなのは「THE FIRST DAY OF MY LIFE」
ニックの音楽が自分の人生と言ったビリーだけど、ニックの音楽を生んだのは他ならぬビリーで、彼は本当にニックの音楽の母親だったわけです笑
個人的にはビリーとニック関係には恋愛もセックスも無くても良かった。でも、これはBL漫画ですからね。ジョーとピートもキスシーンはあるけど、どこまでの関係性だったのかな?どちらもブロマンス止まりでもいいな、自分は。
【エイジ・コールド・ブルー】
「ショーが跳ねたら逢いましょう」に収録されていた【Rockin in my head】という短編を元にシリーズ化したものが6話この本に収録されています。
ルームメイトでバンドメンバーでもあるギタリストのビリーとボーカルのニックのお話。ニックが素行不良で、前単行本ではニックにギターと金を持ち逃げされたところで終わってましたが、この単行本では彼が戻ってきたところから話がスタートしています。
「どんなに歌を書いても 一番 伝えたい事だけ 言えない」
鬱屈した気持ちを抱えて、もがき苦しんでのたうちまわるニックは、その後もドラッグや酒に溺れてステージに満足に立つ事も出来ず、やがて事件まで起こしてしまい…。
ビリーとニックの他に、彼らが敬愛する大御所バンドの元ギターと元ボーカルの二人の話も絡んでてそちらの二人の話も切なく味わい深いし、【Too old to die】で出てくる歌詞がなんとも心に突き刺さります。
【I saw blue】
前巻「ショーが跳ねたら逢いましょう」に収録されていたギャラリーオーナー リュシアンの若い頃のお話です。美術学校に通うリュシアンと新任講師ミシェル。街角の本屋にずっと売れずに残っている本の間にメモを挟んで、連絡のやり取りをしあう二人。
この二人が交わるシーンが何ともアートでエロティック。
真っ白で巨大な紙を下に敷いて、リュシアンが真っ青な顔料を頭から被って交わるんです。二人で絡み合ううちにミシェルの体も自分の瞳と同じ青一色に…。
ところが幸せは長続きせず、姉のフィアンセとして紹介されたのがまさかのミシェル。。。。
時は経って、かつての本屋で未だに売れずに残っていた本に、かつて自分が残したメモを発見したリュシアン。うっかり手を滑らせてその本を人の頭に落としてしまうのだけど、そのぶつけられた相手が「ショーが跳ねたら逢いましょう」に登場した絵描きのルネでして【cafe et cigarette.】にお話が繋がるという仕組みになってます。
【ニ・プーカ ニ・ペーラ】
ニ・プーカ ニ・ペーラとはロシア語で「羽毛も羽根もなく」という意味の幸運を祈るフレーズだそう。
幼馴染で小さい頃から宇宙を夢見ていた少年二人。やがて空軍パイロットとなり宇宙飛行士に選ばれて…。1961年の相手を地球、自分を衛星に見立てて語るシーンがとても好きです。
どれも切なさやほろ苦さをたたえていていて、なんども読み返したくなる一冊です。
ニ・プーカ ニ・ペーラ以外の8作中7作が
「ショーが跳ねたら~」収録作の続編になってます。
続編ではありますが物語の時系列的には此方の作品のほうが前になっているので、
先にこちらから読んでも楽しめます。
一番好きな話は I saw blue
「ショーが跳ねたら~」に収録されていたcafe et cigarette の前日譚です。
青いペンキをかぶって、大きな紙の上で愛しあうシーンが凄く印象的。
この絵を描くためにこの話を作ったかのような
圧倒的な存在感でした。
最後の涙顔もセクシーすぎる。