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表題作薔薇色じゃない

阿久津慧一
大学生→大手食品会社勤務、20歳〜35歳
水野光流
大学生→フードスタイリスト、20歳〜35歳

同時収録作品薔薇色じゃない

早坂
カメラマン
水野光流
フードスタイリスト

その他の収録作品

  • 16年目
  • 17年目
  • あとがき

あらすじ

二十歳で出会い、同棲から始まった平凡で満ち足りた関係は、社会に出てもずっと続くと思っていた──
25歳になり、念願のフードスタイリストのアシスタントとして修業の日々を送っていた水野。恋人の阿久津の誕生日を手料理で祝うはずが、すれ違いから喧嘩になり、一方的に別れを告げられてしまう。「二度とあんな恋はしたくない」──ところが一年後、偶然の再会をきっかけに、再び友人同士として恋愛とも友情ともつかない関係をつづけることに…!?
人生の分岐点で一度は別れを選んだ男たちが、15年の時を重ねて辿り着いた愛の最終形‼

作品情報

作品名
薔薇色じゃない
著者
凪良ゆう 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011610

ちるちる評価ランキング

63

4.6

(46)

(34)

萌々

(8)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
13
得点
210
評価数
46
平均
4.6 / 5
神率
73.9%

レビュー投稿数13

人生薔薇色じゃなくても

九年前の同著の新装版だそうです。
凪良先生の貴重なBL新刊。
大好きな復縁モノときたら放ってはおけぬ…。

ふたりの年齢と視点から綴られる展開が絶妙。
しかし!
二人の世界にどっぷり浸っていたら
突然の別れ、女と結婚!?
頭をぶん殴られたような衝撃。た、たまげた⋯。

そこから取捨選択、紆余曲折、山あり谷あり
二人それぞれの時を過ごしていき、
お互いの恋人が変わるのも色んな意味でたまらなかった⋯
二人の想いとタイミングがずれる、うまくいかないほど焦らされ
こちらのテンションも上がっていきました。

最後の最後でようやく復縁したときがもう..
グサグサに刺さりまくり!
仲直りのアイスクリームで泣いたし
「以前と身体が違う」って気づくのがエチすぎた..。
「他の男ともこういうふうになった?」
ぐわーーーっ_(_^_)_

もし別れがなかったら薔薇色の人生だと感じられただろうか?
別れがあったからこそ大事だとわかる関係。
他の恋人と比べるからお互いじゃなきゃならないとわかる関係、オトナ..!
冒頭の衝撃を差し引いても、大満足の展開でした。
阿久津よ、光流を永遠に幸せにするように!

特装版にはSS「16年目」と「17年目」が入っていました。
穏やかに愛をかみしめる、その後の2人。
あとがきには凪良先生へのQ&Aも。

復縁厨にはたまらないストーリーでした。
女性と結婚、当て馬とお付き合いする描写が苦手な方はお気をつけください。

0

薔薇色じゃない…けども!!

読んで、ほんとに恋愛は単なる薔薇色じゃないんだ!!!って…叫びそうでした。

運命の相手だと疑うことのなかった、阿久津と水野。結構序盤で人生の分岐点を迎え、そこから辿る長くて濃いストーリー。これ以上ないくらいフィーリングが合って付き合い出して、好きで好きで…って時期を過ぎ、お互いのいいところも悪いところも理解したら、分かるからこそ笑って許せなくなってしまう。

これはBLに限ったことではなく、異性間でも同じようなジレンマに陥ることはあるでしょうし、性別の差がないBLならではのしんどい描写はほんとに容赦なくて、リアルで辛かったです。視点が変わりながら、年月を重ねる様子が描かれているのですが、側から見たら(オィオィ、違うって!違うだろって!)と肩を掴んで引き戻したくなることしばしば。

関係性に名前を付けず、どうしたって離れ切ることができない2人。もどかしくて不器用だけど、その分愛しくて。どこに辿り着くのか、ドキドキしながら読了しました。市井に生きる普通の男性を描きたかった、という作者の矜持がビシビシ伝わる一冊です。

0

巧みな心理描写が素晴らしい

作者様買いです。
先生の作品は、発狂してしまうくらいの恋愛の苦しさ、揺れ、迷い、毎回読みながら、その心情の描写が素晴らしくて、大好きです。

以下、盛大なネタバレ含みます。


本作品、攻めの阿久津の別れ方があまりにもひどすぎて、最初はどうにも許せなかったのですが、そのひどい別れを告げられた時の水野の絶望感があまりにもリアルで、息が詰まるように苦しくて、ほんとに切なかった。
味覚がおかしくなるほど精神的に打ちのめされた水野がかわいそうだった。

そこから9年、偶然の再会などありつかず離れずの関係を続けていた2人。
勝手知ったる間柄であるが故の居心地の良さ、未練、友人関係。
いつバランスを失ってもおかしくない、ギリギリバランスを保っている関係。
終わったことは受け入れているはずなのに、出てくる未練。
人生には白黒はっきり色付けできない部分がつきもので。

紆余曲折を経て、阿久津に復縁を求められた際に、断る水野。
自分のことを許せなかった?と阿久津に聞かれた水野が、ずっと好きだったと言うところがもうもう、猛烈に切なくて。
同時に、別れた時の水野の心の痛みの大きさも、再認識した。
9年も引きずっていたと自覚し、その事実にまた絶望。

阿久津の評価が自分の中では最低でしたが、最後にやっと盛り返してくれました。

料理は愛だと思います。水野の作る料理はとても美味しそうです。
その愛に報いるように、料理を頑張ってみた阿久津。
阿久津の作る暴走気味で、遊び心が加味され過ぎて、どんどんおかしな方向にいっている料理に笑ってしまった。
また阿久津の水野に対する愛情と、決意を形にして、残そうとした阿久津、頑張りました。
水野が幸せでよかったです。

素晴らしい心理描写、心に沁みました。

2

タイミングが良いのか悪いのか

凪良ゆう先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
擦れ違い 4
不器用 3
エロ 1
な感じだと思います。

阿久津さん×水野さんのカプです。

20歳の時に出会った阿久津さんと水野さん。相性の良さから自然と惹かれ合い、同棲も始まり、2人の関係はずっと続くと思われたが…。

今作は新装版とのことですが、旧版の方は未読となります。

攻めの阿久津さんと受けの水野さん、年齢を重ねながら、それぞれの視点で物語りが書かれていき、最初の出会いは20歳。それから同棲し、阿久津は会社員、水野さんはフードスタイリストのアシスタントとなり、時には喧嘩もするけど、それでも上手くやっていた。それでも色々な思いや擦れ違いが重なり、阿久津さんの25歳の誕生日の時に別れてしまいます。

しかし、その後も再会し、お互いに秘めた思いを抱きながらも相手のパートナーの存在などから、表面上は友人関係を続けていきます。でもやっぱりお互いの言動に意識してしまう。そんな2人の15年の歳月を経ての復縁ものなのですが、やっぱり物語り終盤でやっと復縁するので、それまでの間のやり取りは阿久津さんに奥さんがいたり、水野さんも新しい恋人が出来たりと、色々とモダモダモヤモヤしてしまいました。

阿久津さんも水野さんも、良くも悪くもタイミングが重なって、別れてしまったり、再会しても相手にパートナーがいたり、相性の良さだけではどうしようもない、もどかしさに終始萌えを感じることは出来なかったですね。阿久津さんと水野さんの擦れ違いもですが、阿久津さんと奥さんの擦れ違い描写などもあるので、読んでいて少ししんどくなってしまいました。

阿久津さんと水野さんはゲイでしたが、女性同士でも異性愛者でも、恋愛というものはタイミングの良し悪しに左右されてしまうのかな、と色々と考えさせられるリアルな心理描写や人間関係、恋愛模様など、読んでみては如何ですか。

3

余韻に浸ってます

新装版になった事を機に初めて読みました。
良かった。
良かった…
15年かかってたどり着く、阿久津と水野の恋愛のお話。
読みながら、過去の自分とリンクするところも合って苦しくなったりしましたが。

2人の二十代から四十代に至るまでの、生きていく思い、いろんな選択肢を決めなきゃならない辛さ。
私もまあまあな年頃になった今に、この作品に出会って良かったと思いました。
阿久津の心情にたびたび登場する、標識のイメージがなんともつらい。自分自身を見えない何かが俯瞰して、問いかけするのは過去の行動を審査する自分自身でも有り…
観念的な謎なぞみたいな事を書いてしまいましたが、誰しもあるよなぁ。あの時の選択を違ったものにしていたら、と思う事はありますもんね。
とはいっても、過去の選択肢の結果で、今の自分が成立してるんですが。

読み終わって、美味しい料理と、作る人、食べる人、食べるものを調えること大事にしなきゃなあと、ちょっと反省しました。
水野と「才」の大将の作る料理の、とてもとても美味しそうな事ときたら…
阿久津のお母さんが、亡くなって、阿久津の実家の団地の台所で、しっかり出汁をとって丁寧に料理を作る水野。2人で美味しく食べて、ただ団地の部屋に布団を敷いて、話しながら眠る。
ここ、泣きました。
たくさん、印象的な場面は有って、じっくり読んで良かったなぁとしみじみ感じています。余韻に浸りたい。

そして、やっぱり私は現代に生きる人の話が、好きなんだなあと再確認しました。
また読み返します。
円陣闇丸先生のイラストも、めちゃくちゃ素敵でした。
マカダミアナッツのアイスクリームが食べたくなる衝動に駆られますね!

4

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