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舞姫は暁に黄金の恋を紡ぐ

maihime ha akatsuki ni ougon no ai wo tsumugu

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表題作舞姫は暁に黄金の恋を紡ぐ

ラジャン・アジ・ヤマール
シダール王国第二王子
レネリア(レネ)
隠れ里の里長の次男、「黄昏の踊り子」一座の主事の舞姫、17歳

その他の収録作品

  • つま先だちの庭(あとがきにかえて)

あらすじ

一族の者とともに、ある目的のために各地を踊って回るレネ。シダール王国の第二王子ラジャンに頼まれて恋人のふりを引き受けたことが、二人の運命の思わぬ幕開けとなり……?

作品情報

作品名
舞姫は暁に黄金の恋を紡ぐ
著者
尾上与一 
イラスト
もちゃろ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403526282

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41

4.7

(40)

(34)

萌々

(2)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
190
評価数
40
平均
4.7 / 5
神率
85%

レビュー投稿数6

一目惚れから始まる恋

一目惚れ同士の二人。片や大国の第二皇子、片や存在を秘匿しなければいけない一族の里長の第二子という、背負っている背景が二人とも重たく大きい。
それだけに様々な責任が伴い、こちらを立てればあちらが立たず、何かをしようとすれば国や一族を巻き込む大問題に発展し、二人の思惑など、しきたりや建前や先祖代々伝わる習わしや伝承その他の前ではなんの意味もないくらい、思うように事を運ぶことができません。
とてもはらはらしました。
シタール国第二皇子のラジャンは一言でいえばパリピの陽キャです。対するレネは苦労人でまじめな子で、ラジャンの軽率な行動によってレネやミルドヴァが窮地に立たされるなどするため、どうしても印象が良くなくて、読書中内心で何度も突っ込みました。
ラジャンを単体で見ればいい人なのですが、あまりにも自分の背景に目をつぶり我を通しているように見えるため、また、その行動が裏目に出ているように見えてしまうため、ストレスがたまりました。
二人の関係性が、燃え上がるような恋だったり、愛情深い繋がりが見えればまた違ったのですが、一目惚れしただけでお互いのことをよく知らないので当然相手を疑いもしますし(お話が進むにつれて、困難を乗り越えていくことで徐々に関係が深まっていきます)、ラジャンが強引な分、そしてレネの立場が特殊な分、レネやミドルヴァの皆さんがただただ気の毒でした。
ページの半分くらいまでは先が見通せずどうなってしまうのだろうとわくわくしていましたが、最後の解決策がかなり力技で、二人にとって都合がよすぎるようで腑に落ちず、残念に感じました。

0

ラブ欲す。

素敵な表紙に誘われて、初めての尾上作品。

いかにも陽キャな攻めがミステリアスな素性の舞姫に一目惚れ。
偽装恋人を頼み父王の前で受けにキスしたら、思いがけず結婚しなきゃいけなくなり…というお話です。

偽装恋人も攻めからの突然のキスもBL的にはあるあるですが、まさかこんな騒動になるなんて。
徐々に解き明かされていく受けの正体や国の事情…お互い庶民じゃないので大変で。お互いにちょっといいな程度から始まる関係なので、あまり2人に甘い雰囲気はなく、少々読み進めるのが大変でした。

受けの頑張る姿に献身や健気さ、攻めの男気は感じるのですが、いまいちどちらのキャラクターにも共感もできず。思った以上にBL的な萌えもあまり感じられなかったかなぁ。

少し時間を置いて評価を変更するかもしれませんが、少し期待したものと違ったかなと思います。今は萌とさせていただきます。

4

はらはらもの

先生買い。雑誌で一度読んでいたのですが、大幅加筆。あれ、もとの話こんなんだったっけ・・・?と少し戸惑ったからか、ちょっと萌が減っちゃいました。お話にはぐいぐい引き込まれてあっという間に読んじゃったんですけどね。ハラハラものがお好きな方にはおススメかな。本編260P+あとがき代わりの小編2P。

シダール王国の第二王子として生まれたラジャン。町に繰り出し居酒屋で庶民と気さくに騒ぐ陽気な王子ですが、祭りのある日、酒場で「伝説の黄昏の踊り子が踊っている」と聞き、見に行くと・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
攻め側近(頭かっちん寄り)、攻め兄(王太子)、受け兄等家族、受け側近(こいつも頭かっちん寄り)、受けの里の方々 ぐらいかな。

++攻め受けについて

攻めは陽キャ、王太子と対抗する勢力になりたくないから国を出たいと思っていて、しょっちゅう街中をふらついているような方。あ、キラキライケメンです。
人を率いる力というものを備えているんだと思います。

受けは、自分たちの持っている力(恵み?)を、自分たちの住んでいるところ以外にばらまく役目を負った舞姫(舞って祝福をばらまく)。その役目を果たし、病の姉のための薬を探し・・と自分のことは棚に上げている方。美人さん。巫女的要素があり、ウブウブ、触っちゃいけない状態の人です。それを攻めがさくっと✖✖ちゃうもんですから、さあ大変というお話です。

攻め受けの超ドすれ違いに、目を白黒させたり、お話がどうなるどうなるといったものでしたので、ハラハラしすぎて、恋心に萌える部分が少し薄くなっちゃいました。ファンタジーお好きな方、無垢で巫女タイプな受けが好きな方だったら嬉しいのでは と思う一冊でした。最後の2P、すっかり落ち着いて、ふったり楽しそうにしている受けの様子がありまして、そこが一番うれしかったかな。本編、ずっとハラハラだったので。

4

魅力的な二人が良い

隠れ里の舞姫・レネリアと王国の第二王子・ラジャン。逆境に正面からただ立ち向かうのではなく、たおやかな彼らゆえに迎える結末が嬉しい。脇役の彼らの兄上たちや侍従のキャラも魅力的。 尾上先生らしい、レネがしなやさでありつつ心が強い受けでまたお気に入りのキャラが増えました!

7

偽装から本物へ……たった1つのキスから始まったゴールデン婚姻譚

つい先日、尾上与一先生の別作品を読んだばかりの身としては、作風の振り幅の広さに驚いているところです。
あちらは第二次世界大戦中の時代背景でどっちかというと現代歴史もの。こちらはガッツリファンタジーもので、時代も場所も設定も世界観も何から何まで真逆でした。

しかしながら、物語の端々に映る緻密で詳細な描写と、次第に惹かれ合っていく想いの所在、スッキリとした着地点はやはり共通するところがありますね。そこに聞き心地の良い作者さんの文章が加わって、実に見応えのある婚姻譚となっています。
本作品は、世界史的にいうところのペルシャ系の王国と、黄金の国と呼ばれたジパングのイメージを基にした日本の秘境の里をミックスしたような世界観で、豪奢的かつ幻想的な描きが美しいなと思いました。


この物語は、舞姫に恋した王子と伝説の舞姫が、国や故郷のしがらみを乗り越えていかに婚姻にこぎつけるかの結婚大作戦なストーリーです^ ^
妃となるか、妻となるか。大国に嫁ぐか、里の嫁になるか……両者が共に男なために生まれてしまった勘違いから、婚姻の危機が訪れてしまうことを主軸に物語が動いていきます。
婚姻が成立するに当たっての里の掟や、父親である王の裁可といったものが、何とまぁ面倒くてですね(笑)、あっちを立てれば、こっちが立たぬ…こっちを立てればあっちが立たぬと、結婚の話が一向に帰着しません。

一応どちらもファミリーも結婚にはOKなのに、どちらの籍に入るかで大モメです。しかもこの2人、元々は偽装の恋人同士で好き合ってたわけでもなんでもなく、ラジャンがレネリアにうっかりキスしちゃったことからこんな大騒動へと発展してるんですよね。
キスしたら番になるというレネリアの里のルール。じゃあ結婚しましょう、とはなったとしても、レネリアが里にラジャンを迎えたところで、ラジャンの父親である王がそれを許さない。じゃあ、王子の妃になるかといっても、よそに嫁ぐのは里的にNGで里を追放されるとのこと。追放されるならラジャンに嫁げば良いじゃんって感じですが、真面目なレネリアはそうしたくないんだって……。
こんな結婚騒動見たことないってくらい、や…厄介だ…(・・;)


さてさて。この結婚は成就するか否か。
ラジャンが里に嫁ぐか、レネリアが妃となるか…それとも第3案があるのかないのか?
2人の意思をちゃんと反映した納得のいくカタチの結婚がどんなものか非常に気になるところですが、フッフッフ……( ̄▽ ̄)この収め方は想像すらしてなかったので、素晴らしいラストに歓喜の嵐でした。
その功労者である両者のお兄ちゃんズがめちゃくちゃ良い存在感。さすがは国と里のトップにいるだけあって、合理的かつ実利的で、また兄弟愛を重んじた和解策がすんばらしかったです。

体液が金になる特殊な民族性のファンタジック要素はパンチがあり、非常に面白かったですし、敵国を欺くために皆で一致団結するシーンも読み応え抜群でした。
ラストを迎えたとて、この先もずっと幸せが続いていくであろう余韻を感じるストーリー性には未来への期待と希望が溢れていて、満足感や多幸感をたっぷりと味わえる読後感が最高でした^ ^

8

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