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この作品、続編ありきの作品だったんですね。前作の終わり方が、何となくスッキリとしない終わり方だなと思ってました。
特に智秋の方が腹の内を晒しきっていない感じにモヤッとしていて、この続編を読んで前作のモヤリの違和感がスルリと解けました。
作者さんの中ではこの続編が最初から頭にあった上で、敢えてああいった終わり方にしたのでしょうか。今作はSeason2の上下巻ですが、2巻3巻とした方がしっくりきます。
続編じゃなく、完全に前作の話の続きって感じ。前作で語りきれていないこと、伝わりきれていないこと、智秋の抱えている背景といった、智秋という人物像に対する謎めきが今上下巻でもって明らかになります。
とはいっても、この上巻ではその全ては分からず、下巻を読み終えて知るところになるのですが、上巻はその下地作り。お互いに自分の仕事を頑張って成果を出す…恋人にカッコいいところを見せたい欲から始まる恋人編のストーリーとなっています。
無事に恋人同士となり、同棲をすることになった彼らの甘い日々にただ酔いしれるだけの話ではありません。確かに前作にも増してエロさは増し増しにはなりましたが(←期待してました 笑)、そんな2人のラブ期を邪魔する輩や、それまでの毎日に変化をもたらす仕事事案が舞い込み、一気に2人の置かれる環境が慌ただしくなります。
仕事が忙しくなってすれ違いが生まれるぶん、相手の気持ちを推し量ったり不安感が増すのは恋人のことがそれだけ好きだという証拠でしょう。慧の執着は智秋を手放したくないという思いからくるもので、智秋の執着は捨てられたくない思いからくるものです。
恋人に執着するという意味では同じ性質なのに、2人の執着は種類が違うことに注目しながら読んで欲しいなと思います。それが智秋の心の枷にも繋がりますゆえ…。
仕事の頑張りが変に空回ったり、予想もしない方向へと飛んでいきそうな雰囲気のまま上巻を読み終えましたが、今後起こりゆく展開はどんな様相になるのかすごく気になります。
脇を固める登場人物たち1人1人の存在感も、良い人悪い人抜きにしてとても良かった。下巻も楽しんで読んでいきたいです。