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ふたりなら、幸せを見つけられる
Renta!先行配信。仕事で体調を崩して地元に戻った真智。幼なじみの然に再会。
真智が心に抱えたものとか、然の抱えるものとか……。然は一見チャラっと明るいお坊さんって感じなのだけれど……
2人の関係があることをきっかけに変化していく。真智は冒頭とにかく疲れたサラリーマンという感じだったのに然の前だとめちゃくちゃ可愛い表情になるんですよね……
あの街で静かに愛を育んでほしいな。少し不思議な感じのある物語でよかったです
発売を心待ちにしていた里つばめ先生の新刊『落花と破鏡の』。
緑と銀とを基調とした表紙の色合いは、同時発売の『東京似非紳士倶楽部』の赤と金とに対になっているようにも見え、その並びに惹かれて久々に電子書籍ではなく紙の本を購入しました。
里つばめ先生の書かれる作品の登場人物たちの、目が語る描写が大好きです。
台詞になる箇所とならない箇所。人々の台詞にならなかった部分、それをしみじみ読ませてくださる。
その余白のテンポがとても心地よいです。
人知れず迷い悩んでいるさま、想いを口にしかけて結局言葉にはならなかった瞬間、そんな時間があたたかく描かれている、そんな作品でした。
里つばめ先生の作品の全攻めが本当に好きなのですが(造形も設定も性格その他も)今作の攻めの然くんも良すぎて……
長めの黒髪に袈裟で若干生臭坊主感もあるとか……でも実は超一途とか……
過去の重さも相まって犬○叉の弥勒様もびっくりしちゃうくらいの色気でした。
姉を失くしたことによって生き残った自分が許せない真智と、捨てられた母親に金を強請られてやる気のない生き方をする然。幼馴染のふたりは真智の久しぶりの帰省によって再会します。
幼い頃のふたりにはどうしようもできなかったことによる苦しみや後悔、相手に対する淡い恋心の切なさが強く響きます。事件や謎はありますが、わりと淡々と物語は語られ日常の中で解決していきます。ただふたりが再会したことによって、止まっていたふたりの時間がやっと正常に動き出したように感じられました。周りは変わらなくてもふたりが変わればそれでよかったんですね、きっと。
「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」一度死んだ人は二度とこの世に戻ってこないこと、また、一度壊れた男女の仲が元どおりにはならないこと。タイトルの意味を知ると物語をより理解できる気がしました。また、真智と然の名前の意味を調べるとそれもまた考え深いですね。
里つばめ先生らしく日常の中にあるちょっとした気持ちの揺れや同性との関わり方が、しっとりと描かれた作品でした。この作品も何度も読みたくなる作品になっています。
連載がはじまった時、タイトルにすごく惹かれました。
「落花と破鏡の」は「落花枝に帰かえらず破鏡再ふたたび照てらさず」からきていると思うのですが、意味は簡単に言うと「覆水盆に返らず」。
真智は姉の事故についてずっと傷を抱えて生きてきました。
取り返しのつかないことをしてしまった後悔、けれども瑠璃姉は然いわく、「怒ってない」。真智は自分なんて生きていていいのか…とまで思いつめていましたが、良い意味で、元通りにはならないのだから、前を向いて自分らしく生きていってほしいという瑠璃姉の願いがチラチラ見えます。
一方で然と然の母親の関係、こちらは真智とは真逆で、取り返しのつかないことをしてしまったからもう二度と元通りにはならない、言葉通りになったわけです。
タイトルから真智と姉の関係、然と然母の関係、そして然と真智の関係の繋がりがわかるとさすが里先生だなと。
最後の「水鏡」のタイトルも、然と真智の心は今は穏やかに凪いでいるのかなと明鏡止水を思わせるタイトルで素敵でした。
同時発売の『東京似非紳士俱楽部』とはまたガラッと違うテイストのこちら。
Renta!さん先行配信で拝読しました。
(他電子ストアでは10/10〜配信開始とのことです☺︎)
最高に沁みる、切ない再会愛ストーリー。
黒髪和尚×会計事務所勤めで故郷に出戻った青年、の二人のお話です。
傷を抱えた幼馴染同士の再生の物語でもありました。
(※序盤から「身内の事故死」、受けのトラウマの原因となる出来事が
出てきます。苦手な方、ご注意ください)
コミカルなシーンも挟みつつ、
全体に切なく静謐な空気が流れており一本の映画のよう。
胸がきゅっとなる設定、場面がいくつもあったのですが、
個人的にグッときたのが、各話の扉絵での二人の距離・目線の変化です。
第1話の扉絵では完全に背を向けている二人ですが、
2話・3話...と進むごとに距離が近くなり、
目線も合うようになってゆく。
特に6話の然(攻め)を抱きしめる真智(受け)と、
7話で見つめ合い微笑み合うカラーの二人、
そして8話で階段の上から優しく真智の手を取る然、
このイラストが最高に沁みる...
ゆっくりと解け、変化していく二人の心と関係性が
扉絵の表情だけでもまっすぐ伝わってきます。
BL的萌えどころ、キャラの萌えどころとしては、
まずは攻め・然の黒髪和尚、袈裟姿かなと...!
途中スーツ姿もチラッと出てきて、二度美味しい(*´◒`*)
そんな彼は女性人気も抜群、女たらしで
それなりに(というより、かなり?)遊んでたんだな...と
推測できる描写もあります
(↑ここ!自分の希望としては「受け一筋!」でいて欲しかったですが、
まあ現実はそんなうまくはいかないよね...と自分を納得させながら
読み進めました)
なんとなく軽くて、人たらしで掴みどころのない然ですが、
中盤以降で語られる彼のトラウマ、心の傷に触れることで、
ちょっと彼への見方が変わるかも。
「相談会」の中で適当〜に相談者の話に相槌を打ち、
”お気持ち”を受け取っている然のしたたかさに序盤、
苦笑したのですがそうやってお金を集めていたのも、
元凶である生みの母親と関係があったのか...!と、納得&驚きです。
真智の記憶にある中学時代の彼とは、
なんだか大きく変わっていた然。
抱える事情と心の傷のせいでそう見えていたけれど、
その内面と真智への燻る思いは、変わっていなかったのですね...
”母親”との確執、自分の存在意義に対する然の葛藤に共感しつつ、
そこに手を差し伸べ然を救い上げる真智の言葉が印象的でした。
故郷に出戻った真智も然との再会で救いを得るんですが、
然もまた、真智の言葉によって救われる”相互救済”、
互いが互いを必要とする関係性なんですよね..刺さる...
で!この然、傷とトラウマだけでなく、ある「不思議な能力」を
持っていて...
というところが、受け・真智のトラウマとも関わる
大事な設定になっています
受けの真智は、久しぶりに再会した
金に困っている同級生にも手を差し伸べたりするなど、
どこまでも優しい人物。
自分のせいで姉が亡くなった、と強い後悔と喪失感、トラウマを抱えています。
そんな彼が過労で倒れ、出戻った故郷で再会した然との
交流の中で過去の傷が癒やされてゆくー
前述したように真智と然、二人がそれぞれの存在、言葉によって
互いに救い救われていく描写に、胸がじんとしました。
そして想いを確かめ合った二人の初エッチも
しっかり描いてくださっていることに感謝・:*+.
(修正は不要な描かれ方です)
甘くて、静かで、美しかったー...
本編ラスト、真智の姉のお墓参りをした後、
真智には見えない姉の頭にポン、と
柔らかく手を置き歩き出す然の姿が印象的でした
お姉ちゃんもきっと、やっと、安心して笑顔で
真智のことを見ていてくれるよね( ; ; )
然を悩ませ、苦しませ続けた母親にも
きちっと落とし前がつけられるラストの展開にも、ホッ。
読み終えてもう一周して、あらためてタイトル
「落花と破鏡の」という言葉の意味を考えてしまいます。
落花=花が散って落ちること、その落ちた花(桜)
破鏡=故事からきた言葉で、夫婦が離縁すること
とのこと。
この作品の中では本来の意味である”夫婦の離婚”については
描かれていないけれど、「縁が切れる」という意味では、
実の母親との”縁”にある区切りのついた然のことを象徴しているのかな。
(あまり深読み・考察は得意えはないので、あくまで想像で、、)
(※追記:「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」という諺があることを
先ほど知りました...!
死んだ人は二度とこの世にかえってこないこと、
また、いったん破れた男女の仲は
再び元どおりにはならないことなどのたとえ、とのことです。
真智の姉の死の象徴だったのですね;)
縁が切れた先にも、義理の父親である和尚の”包み込む愛”が
強く感じられ、心が温かくなりました。
(父と息子、二人のコミカルなやりとり、怒られてばかりの然の姿も
可愛らしいです(*´艸`) )
「落花」の”落”という言葉は、攻め受け二人の心から
剥がれ落ちた(完全にではないにしても)心の傷のことを指しているのかな、
と想像しました
「落花と破鏡の」と、”の”と続き、先=二人の未来を予感させるような
締め方も本当に素敵。
じんと静かに心に染み渡る、再会×再生ストーリー。
心に残る一冊です・:*+.
★修正:なし(濡れ場はありますが修正不要な描かれ方)(電子Renta!)