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表題作タトゥーあり

志賀丈二 ヤクザ
島優一郎 大学助教授

その他の収録作品

  • 69で74(ろくでなし)
  • カサンドラ・ローズ(「タトゥーあり」外伝)

あらすじ

非の打ちどころのないエリートであるT大若手教授島優一郎と全身を美しく刺青で覆った無教養で陋劣なやくざ志賀丈二との出会い―それは凍てついた優一郎の人生に血を通わせ、父の静かな呪縛から解放させた。
凌辱の絶望と苦悩から再生した彼は、性感と情緒の錯綜する淫蕩な究極の知的快楽追求へと向った。

作品情報

作品名
タトゥーあり
著者
栗本薫 
イラスト
定広美香 
媒体
小説
出版社
成美堂出版
レーベル
クリスタル文庫
発売日
ISBN
9784415088808
3

(5)

(2)

萌々

(0)

(0)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
12
評価数
5
平均
3 / 5
神率
40%

レビュー投稿数3

タトゥーあり

読んでみて、一言感想「これが多分鬼畜受けだっっっ!!!」ってマジ思いました。
つか・・・・・読んでる途中から?

ちょうど私これ読んだ時「鬼畜受けとは何ぞや?」って考えてた時期だったんですね。
「鬼畜受け」って良く言う人はいるものの、どーもそれ私にはまだ全然良く分からないジャンルだったんです。まぁ・・・そんなこんなで「鬼畜受け」に対しての予備知識とか全然なかったんですが・・・・・コレはなんだかマジで感覚的に「鬼畜受け」だとすぐ分かりました。
って言うか、私が「これこれこうなんだ」ってイメージ出来る「鬼畜受け」にピッタリはまったんすね、これが。

とは言え、これ本前半は、受け鬼畜じゃないです。単なるクールビューティーなエリート眼鏡です。
どっちかって言うと、それを陵辱しまくるんですから、はっきりくっきり攻めのヤクザのが鬼畜なんですよ。
だし、はっきり言うと私、これの前半あんまり好きじゃなかったです、まだ。

後半も陵辱です。ただ、このアタリになって来ると、受けがだんだん攻めを意図して、心理的に操るようになるんです。もちろん攻めは気付いてません、前半と同じく、主導権があるのは全部自分だと思いこんでいるんですよね・・・・・
この辺、マジ受けとかの心理描写がものすごいシュールでリアルだと思ったんですよ。

前編からこの話は、どーもちょっと文章とかがやたら回りくどくて、すごくアクがあるなぁ~とは思ってんですよ。受け視点なんですけどね、なんか哲学的で、どうもだから私好きでなかったってのあったんですが・・・・・・実際途中何度も読むのやめようか思いましたもん。でも、後半読んでて、あることに気がつきました。

(・・・・・これは・・・・・この語り口の難解さは全て鬼畜の前フリだったのか・・・?)

って。

もしそうだったらすごいと思いました。ってかそうなんだろうな・・・・・

私精神的にどろどろしたフクザツで難解な鬼畜って好きなんですよ。でも実際そういうBL鬼畜のってあんまりないんですよねぇ~

ヤクザも、決して美化とかされていない、実際にいそうなリアルさとかも色んな面、私は他に類を見ない「神」作品だと思っているんですが・・・まぁ、色々特殊な話だとは思うんで、好みは分かれるかも、です。あんまり読みやすい感じの話でもない気もしたし。

4

“呪われた知性の徒”とは?

表紙からしてあまり期待していなかったんですが久々にぞくぞくするような興奮を味わえました。そもそも強姦から始まり、傷が癒えないうちにまた犯されるというサディスティックなところが好みですし、そこから徐々に話の核が内面の精神的な倒錯に移っていくんですが、この作家なので読みごたえはあるし、かと言って小難しくもない、退屈しない程度の俗っぽさで引き込まれてしまう。絶対的に美しく気高く貴い存在を汚す快楽を描く作品はBL界では特に珍しくもなく、わかりやすいものに「ショタ」属性があるけれど、それらの中でもこの作品が素晴らしいのは確かな筆力に裏打ちされた世界観の完成度の高さだと思います。濡れ場の多さや主人公の人格が豹変してしまう点に軽々しさは否めないものの、全体的に満足感の方が上回りました。特に「外伝」が激しくツボで、本編はここに至るまでの前菜だったのだなと読んでいる最中勝手に納得してしまいました。笑

1

目覚める魔性

さてさて、かなりレビューに困る作品だと思うんですよね。
教育者の家系のサラブレッドで純粋培養されたような若き教授の
いつの間にか形成されてしまった心の歪みみたいな作品なんです。
一応、攻め受けの枠はあるのですが、初めに読み進めた感じと
後半に感じる内容があまりにも違う印象になってしまう。

別にそれだけ、受け様が変わってしまったからと言うような内容ではなく
書きはじめと、中盤位から書き手の思惑が少しずれてしまったのではないかなんて
感じてしまう事があるんですよね。

美しすぎる美貌と優秀な頭脳を持った貴公子みたいな受け様は
たまの、ストレス解消みたいに男と抱き合うのですが、ある日ヤクザに
その美貌の為にロックされて、無理やり凌辱されてしまう。
それもかなりサドが入りまくった、受け様を傷つける行為でのセックス
1度だけの行為だと思っていた受け様、でもヤクザはそれからも・・・
そして追い詰められる受け様は、全ての事を終わらせる為に死を選ぶ

でも、目覚めた病室で助かってしまった事を知るが受け様は既に生まれ変わった
ような魔性の人のようになっていたんです。
ヤクザをも手玉に取り始め、翻弄されて苦しめられていたはずの受け様が
今度は追い詰める側のような感じ、さらには父親への今までの屈折した思いが
新たな方向へと受け様を駆り立てていくのです。
なかなか一筋縄でいかないようなお話でしたね。
そして、ラストでも、なかなか納得出来ない終わり方だったように思います。
濃い内容で読みにくい作品と言う印象が残る作品でした。

2

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