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「流浪の月」と似た型の構成。
人間関係構築が下手で、どんどん悪い方に行く流れを変えられない、
弁明できない受け身の日永君。
日永望は、自分の気持ちを偽れない、感情をストレートに行動に表す性格。
それが、悪いほうにばかり展開してしまう。
バイオリンを練習していたら、知らない同級生が褒めてくれた。
それから気になって、勢田春人を意識するうちに好きになる。
好きな子をただ見て居たいだけの観察が、
付き纏い=ストーカーとして勢田の家族が怯えて通報。
補導されて、からかう同級生に怒り、日永は蹴る。
暴力事件を、弁護士の父親が示談に抑え込み、転校することになる。
・・・本当は、両成敗で済むことなのに。
その後、偶然勢田に会い、呼びかけたら勢田が階段から転落、頭部打撲で記憶喪失。
記憶を失った勢田と同居する日永。
記憶を取り戻した勢田と話し合い、やっと意思疎通が叶う。・・ここまで続く緊張、とても長かった。
人付き合いが下手で、自分の気持ちに正直な日永は、誤解されやすい。
そんな不器用な日永をやっと勢田が理解してくれて、良かった。
読んで辛い展開だったけど、結末が明るいのでほっとした。
苦痛な展開だったので、再読はしないと思う。
凪良先生の執着攻めが好きで拝読。
第一印象は、こちらの作品の攻めがアップデートして「美しい彼」になったなぁといった感じでした。
どちらの攻めも受けを神聖視しつつ、どこか危うさを秘めていて自分勝手で…それでいて、愛が重い部分が似ているなぁと思いました。
違うとすれば、日永の方がいい意味でも悪い意味でも行動力あります。
より恐ろしさを感じるのは日永の方です。
物語は攻め視点。
これも美しい彼と同じです。
攻め視点だと異常だとも思える行動の心理を垣間見ることができるので、また違った面白さがありました。
記憶喪失となった受けに嘘をついて囲い、共に生活する中で幸せを噛み締める攻め。
記憶喪失は非日常なのですが、その他の生活がリアルなだけに、どこにでも居そうな雰囲気がとても素敵でした。
受けを一途に思うが故に暴走してしまって、親とも友人とも縁を切った攻めに同情しながら、それでもすれ違いともどかしさがあり、心が揺さぶられます。
攻めのやっていることは常軌を逸していて理解こそできませんが、受けを思うその気持ちは理解できます。
攻め視点なので、どうしても攻めの味方になってしまいます。
それでも愚図で身勝手で「君がいないと死んでしまうlという危な気な攻めを、男前な受けは受け入れてくれます。
最後はしっかりハピエン。
やってることはぶっ飛んでるし子供のようだけれど、読み終わると「日永」という人間に愛着が湧いています。
良くある、執着とは全然違う、本当のストーカー執着でした。
しかし作品全体に流れている空気はとても綺麗で感動しました。
学生時代に受に出会ってから、受の家の下でずっと受の部屋を眺めたり…大人になって再会してからは記憶喪失なのをいいことに身分証ですべて隠して受の身元を引き受けます。
途中無理やり襲ってしまったりもしますがそんなことがあっても受もだんだんと心開いて行く所が丁寧にえがかれてます。
受も攻も心が綺麗でストーカーというテーマもありますがこの2人が両思いになって本当に良かったと思いました。
攻が生きずらそうで、最初は運送仕事などしていて可哀想でしたが、最後はしっかりした所に就職できていたので良かったです!
チョット萌えたとかすごく萌えたとか、萌えなかったとか……そういう基準で評価することがそぐわないおはなし。ボーイズのラブの話だと言うよりは、家族関係の話だよなぁ…という気がしてなりません。
日永と勢田の二人とも、性格形成に家族との微妙な関係が影響を及ぼしすぎていますよね。勢田の場合、ストーリーの後半まで何不自由ない家庭で育った青年とミスリードされるように書かれていますけど。
行われていることの多くはまぎれもない犯罪行為で、勢田が酷いことばかりされているのに何故日永を愛してしまうんだろう?と一見感じてしまいますが。そう言う場合、往々にして当人同士にしか分からない気持ちの歪みがあるもので、勢田が客観的には飛び抜けた美形というわけでもないという設定からも妙なリアリティと怖さが泌みだしています。
彼らの今後はちょっと考えても、前途多難にも程がある…という具合で波乱だらけなのでしょう。しかし、いつか穏やかに…穏やかに過ごせる日が来るといいな、と思います。