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大学生の新太には大好きな推しがいる。大学の近くのマンション建設現場で働く、長身でイケメン推定二十代の作業員。遠くから眺めるだけで充分だったのに、ある雨の日泥水をかぶったことで初めて言葉を交わすことに、という、一目惚れからスタートした恋のお話。オメガバース。
ポイントは、中学生の時のバース判定の一斉検査では新太はベータ判定だったということです。両親ともにベータで、ベータとして生きてきて、つるんでいる友達もベータの子がほとんど。それが大学3年生のあるとき突然過呼吸のような症状になって救急車で運ばれて、オメガです、と診断されてしまう。なんの覚悟も知識もないままにバース性が変わるという相当な一大事に見舞われるのですが、たまたま入部していた映画サークルが実はオメガ性の学生の互助会的な役割を果たしていたり、たまたま仲の良いクラスの女の子がオメガ性だったりで、周囲のフォローを受けながらオメガ性についての認識を新たにしていきます。
新太のいいところは、人のアドバイスを素直に聞いて、自分が間違えたと思ったらすぐに謝って行動を改めるところ。そして、前述のフォロー体制はあるものの自立心が強く、とにかく自分でなんとかやってみようとするところです。人に頼る前にまず自分で頑張るので、周囲も手を貸しますし、若干いい子過ぎるきらいはあるものの読んでいるこちら側も不遇な状況は気になるしで応援してしまいます。
お相手の国嵜さんは、確かにとてもかっこいい人なのですが、こちらも色々と拗らせている方で、とても不器用。新太は「損」と表現していますが、まっすぐなだけに障壁にぶつかりダメージを直に受けるタイプの方です。前向きで頑張る新太と相性がいいなあと思って読んでいました。
こちらの作品に描かれるオメガバースは、たとえば運命の番はベータが作り出した都市伝説だよ、というように、アルファ・オメガとベータとの間にはバース性に関する誤解がはびこっている、という設定です。本格的なヒートの前兆で、新太が過呼吸のような症状に陥るのですが、この症状と性欲が必ずしも直結していないことや、アルファとの接触で薔薇のような香りが漂ってきて呼吸が楽になる、というのがいいなと思いました。想像もしやすかったです。その後の新太の本格的なヒートでは、「淋しい」「人恋しい」気持ちで強烈に胸が締め付けられる、というのが個人的にとても好きでした。
気になったのは、国嵜さんが御自身の悩み、わだかまりを新太に打ち明けた場面で、新太がそのひとつひとつに自分の意見を伝え、それが国嵜さん的には刺さるのですが、新太が社会人設定だったら良かったなと強く思いました。私が気にしすぎなだけなのですが、いくら良い事を口にしても、でもこの子は学生なんだよなと思ってしまう。社会人であれば、言葉の裏に経験を感じられて重みがあったのにと。ただお話全体を見ればやはり新太が大学生だから成立する部分も多いので(映画サークルの存在とか長期休暇とか)結果として今の設定でよかったと思いますがここだけは気になってしまいました。
思い込みの強い二人。番となった今後どんなカップルになるのか、想像すると面白いです。新太はこのあと就活ののち社会人になり、国嵜さんは本社でばりばり働くでしょうが、ものすごい過保護になるのが目に見えるので小さいトラブルも多そうですね。
作家買いプラス、「現場の推し」というパワーワードに期待値マックスで手に取った本作。うちの近所でもよく工事をやってますが、推しがいたら散歩がはかどりそうです。
海野先生の作品はお仕事ものが多いこともあり、隣の駅で起きてるような、身近に感じさせてくれるラブストーリーの印象が強いのですが、今回のオメガバ現代劇でも、その空気感があります。一般的にオメガバといえばファンタジーで、不憫環境からのし上がるシンデレラストーリーが多いイメージですが、本作では隣の工事現場で起きている物語のような、距離感の近さが魅力です。
受けが攻めにアタック(レトロ失礼)するお話は、元気が出るし大好物です。フラレたのに攻めを諦められず、より好きになってしまい、気持ちのままならなさに公園の椅子を叩き続ける受けが可愛そうなのにおもしろいw
受けのヒートの臨場感が凄いです。ヒートに伴って受けを覆いつくそうとする寂しさが胸に迫ってきて、ついうるっとします。
海野先生の描く攻めは、強いだけではなく繊細なところがあって、隙も弱さも見せてくれてキュンときます。俺を諦めるなと恨みがましい目で見てくる攻め、「好きだが!」とキレぎみに伝えてくる攻め、コミカルで可愛くてたまらなかったです。
親身になって話を聞きつつ視野を広げてくれるサークルの先輩達や、受けの変化に戸惑い、すぐには変われないけど、徐々に理解し寄り添ってくれる仲間たちといった、多様な人間関係も魅力です。
アルファやオメガに対して、"こうあるべき"と多くの人がとらわれていますが、「ベータの作ったオメガバ都市伝説」というフレーズは、ユーモアがありながらアイロニーが効いています。自分にとっての幸せは何かを問い直す、というテーマが通底にあります。
攻めも受けも、どこかおかしみを感じさせる面もありつつ、誠実に一生懸命生きていて、素敵な2人のラブストーリーでした。テーマとしてはきれいに収束しているんですが、2人が萌え萌えしいので、もう少し読みたい感じではあります。出産育児編とか、社会問題のど真ん中でもあるので、海野先生がどのように描かれるのか読んでみたいです。
海野先生の新刊、ようやく読めました!
めっちゃ良かったです!
本作は大学生の受けが、工事現場で働く攻めにドンドンアプローチしていくところから話が始まります。攻めは最初塩対応だったのが、ある瞬間から攻めが受けに執着し始めます。この反転がとんでもなく萌えました!!笑
攻めは男前でかっこいいけど、ちょっと抜けててそこも可愛かった笑
受けは真っ直ぐで素直な性格で、こちらもまたかなり可愛い。ベータからオメガになって世界が変わり、そのせいでちょっと萎縮して落ち込んでる姿は胸が痛いぐらいでした。
そして何より今作で萌えたのは巣作りの要素!!
オメガバースものであったりなかったりする要素の一つですが、個人的にはあると断然嬉しい!笑
受けが攻めにもらった、もうとっくに匂いなんて消えてるものをギュッと抱きしめるシーンはかなり萌えました。
ヒートの解釈も、エロエロって感じではなく、初めて見るもので、流石は海野先生、これは面白い!となりました。
現代物が好きで、オメガバースに抵抗なければ絶対楽しめると思います!オススメです!
オメガバース設定が好きなので読んでみましたが、とても楽しく読めました。
大学近くの建築現場で働く国嵜に憧れていた新太が、告白をきっかけに初めてのヒートを迎え、自分がオメガだったと知る、という流れ。
突然これまでの自分が変わってしまう戸惑いや、それでも国嵜への想いを諦めきれない新太のまっすぐさが可愛くて、自然と応援したくなります。
口ベタで不器用だけれど誠実な国嵜と、素直で一途な新太の距離が少しずつ変わっていく過程が、甘くて切なくてよかったです。
オメガバースらしい要素もちゃんとありつつ、思い込みやすれ違いもあって、そこがまた二人らしくて。
読後感もよく、二人まとめて推したくなる一冊でした!
「ベータからオメガになる」という設定は何作品か読んだことがあるけれど、ここまでリアルに主人公の戸惑いや居た堪れなさに感情移入させられたのは初めてかもしれない。
自分の信じてきたものや見てきたもの、価値観が、根底から覆る衝撃たるや…。
すぐには実感が湧かない部分も、不意に触れる悪意や好奇の目に徐々に否応なく理解させられていく辛さ。不条理さ。
明るく真っ直ぐでポジティブ!というのが長所だった新太が、落ち込んだり疑心暗鬼になってしまったりする姿は見ていてとても辛かった…。
でも明るく真っ直ぐでポジティブな新太に影響されて良い変化を見せる人や救われた人がいるのも事実で、その人たちに今度は救われるかたちで強さを取り戻していく新太の姿に、私は心揺さぶられたのです。
推し活→ガチ恋→玉砕→試練→すれちがい……
と、物語上なかなかうまく噛み合わない恋なのだけど、壁(私)は早々に気付いていた、、、攻め(国嵜)も新太に惹かれていることに……。
そこから国嵜が溺愛過保護激甘に転じる様子はもぅ、なんと言うか、最高でしたね………。
めちゃくちゃ読後感良かったです。
海野幸先生の新刊は、さすがの面白さでした!!
続編でも番外編でも、この先の2人の様子を垣間見ることができるなら、ここに1人のオタクが歓喜に震えます……!!
