小説

  • 狼くんは社長の甘いごちそう。

狼くんは社長の甘いごちそう。

ookamikun wa shacho no amai gochisou

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作狼くんは社長の甘いごちそう。

神近環千,33歳,ワチホールディングス社長
狼賀九郎,24歳,カフェレストランのオーナー

その他の収録作品

  • エピローグ
  • あとがき

あらすじ

狼系獣人・九郎のカフェレストランは今日も閑古鳥……。ある日不思議なドアで繋がった先にいた、全裸で仁王立ちした美形・神近環千は偏食家の社長。怪しげなドアで迷惑をかけたお詫びにカフェ経営をアドバイスする、その代わりに自分のごはん作りをとグイグイお願いされてしまう九郎。マイペースな強引さに最初はドン引きだった九郎だけど、素直にごはんを美味しいと褒めてくれる環千に、いつしか心は温かくなってーー。

作品情報

作品名
狼くんは社長の甘いごちそう。
著者
小中大豆 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344843363
3.4

(58)

(10)

萌々

(23)

(16)

中立

(2)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
10
得点
192
評価数
58
平均
3.4 / 5
神率
17.2%

レビュー投稿数10

偏屈なハイスペック男子が恋を知るまで

作家買い。小中先生の新刊は、ケモ耳+ファンタジー要素満載のめっちゃ可愛らしいお話でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







人間と獣人(肉食系獣人と草食系獣人がいる)が共存している世界が舞台。

主人公は肉食系獣人に分類される狼系獣人の九郎。
五人兄弟の末っ子で、共働きの両親の代わりに料理を作るようになったことがきっかけで、現在はカフェレストラン・ロウロウのオーナー。
店の内装や料理にもこだわり作ったカフェ。料理には自信がある。
ところがオープンして3か月、閑古鳥が鳴きっぱなし。料理はおいしいものの、立地が悪いこと、そして九郎が肉食系獣人であるという事でお客さんが全く入らない。

そんなある日、店じまいで掃除をしようと用具入れを開けると、なぜかそこは違う部屋に繋がっていて―?

というお話。

九郎のカフェの用具入れが、違う部屋に繋がってしまった理由。

それは、その部屋の持ち主・環千が「どこでも繋がるドア(仮)」を発明し、彼の部屋と九郎のカフェの用具入れが繋がってしまったからで…。


環千という男性は、神近グループという日本屈指の大企業の御曹司。
が、彼は実家の力を借りずに自身の手で次々と会社を興し、そして成功させてきた、というハイスペック男子。

傲慢で、横柄で、さらに偏食。
そんな環千が、彼の偉大なる発明「どこでも繋がるドア(仮)」を他に公言されないように、九郎にカフェが流行るように助言してやる、と交換条件を突き付けてきたことで二人の仲は急速に近づくのですが。

ケモ耳。
どこでも繋がるドア(仮)。
と、ファンタジー要素満載です。

ファンタジー要素もありつつ、でもコミカルでもある。

実は環千の家庭環境は複雑かつ過酷なものだった、というバックボーンがあり、その生育環境ゆえに彼は偏屈さんに育ってしまっています。が、そんな彼に、偏食を直し、愛すること、そして人の温かさを教えたのが九郎。性格も家庭環境も全く異なる二人が、少しずつ距離を縮めていく過程が、めっちゃ優しくそして温かかった。

二人のやり取りがほのぼのなんです。個人的には環千が九郎にプロポーズしようとして伝える言葉に爆笑してしまいました。

環千の発明も九郎のカフェも、二つともとんとんと改善していき、二人の仲も順調。
けれど終盤に、試練が二人を襲います。

が、基本的に甘くて優しい展開なので、痛い展開は苦手、という腐姐さまでも安心して読むことが出来ると思います。

お金持ちの御曹司で、イケメンで、彼自身何でも完ぺきにこなすことが出来るハイスペック男子の環千。
けれど彼は、人として一番大切な「愛」を知らずにいた。
そんな彼にせっせと食事を与え、愛情を教え、人として成長させたのが九郎。

九郎の家族愛もすごく良かった。
兄ちゃんたちが、超絶にカッコいいのです。

爆笑あり、萌えあり、家族愛あり、ホロリと切なくなるシーンもあり。
めちゃめちゃツボに入る作品でした。

あと、九郎のケモ耳と尻尾。
九郎の気持ちを代弁するかのような動きをする時があって、これがまた可愛かった。

文句なく、神評価です。

7

狼くん(受け)の耳としっぽが可愛すぎる

小中先生らしい、かわいさ満点でぶっちぎりに萌えるお話でした!
人間の天才社長 x カフェレストランを経営する末っ子狼獣人。

攻めの天才的発明による「どこでも繋がるドア(仮)」で、2人の家が繋がっちゃいます。
世間からかなりズレた攻めと、世俗には疎いけれども家庭的な受けが、お互いを思い合って行く様子がとてもよかったです!
受けは末っ子らしく素直で甘え上手なところがあり、なおかつ尻尾と耳で感情がわかっちゃうので可愛くて可愛くてたまりません!
攻めが目をしょぼしょぼさせるのがよくわかります。私も読んでいてしょぼしょぼしました(可愛すぎてです、決して疲れ目のせいではありません)。

個人的にですが、攻めの口調&眼鏡から、どうしてもラ⚪︎゜ュタのム⚪︎カ大佐のイメージが先行してしまい、彼の声でセリフが再生されてしまいました(笑)
それはそれですごく面白かったのですが(笑)

生い立ちや家庭の事情が複雑すぎる攻めに降りかかる受難がかなり大きく、気持ちが通じたあとに離れ離れにならなければならなかった受けと攻め。
期間は長くかかったものの、攻めがきちんと気持ちを伝えてくれたので(そのシーンもとても良かったです)、受けも待つことができたのだと思います。

この作品はぜひ攻めの視点でも読んでみたいです。
けっこうな頻度で目をしょぼしょぼさせていたので、きっと彼の心の中は受けのことを好きすぎて忙しかったのでしょう。
いつからそう思いはじめたのか、詳細に語ってもらいたいものです。

0

二人のやりとりなんかが笑わせてくれるのです

シリアスからほのぼのまで、幅広い作風が魅力の小中先生。
今回はお得意のクスッとさせてくれる可愛いラブコメです。
いやもう、二人のやりとりが可愛すぎて萌える萌える!!

こちらですね、実はひたすらほのぼのでして、こう驚きの展開だったり、グッと心に迫る切なさみたいのはあまり無いのです。
山場でも展開は予想出来て安心して読めちゃうし。
が、個人的にはこういう、ひたすらほのぼの可愛い作品も大好きなんですよね。
ただただ安心して読める、ほのぼの甘々作品もたまにはいいんじゃない?と。
そんなワケで、とても楽しく読めました。


で、内容ですが、獣人と人が存在して共存してる世界観での、ほのぼのラブコメでごはんものでもあります。
狼系の獣人・九狼のカフェと、不思議なドアで突如繋がった変わり者の社長・環千の自宅。
それは天才的な頭脳の持ち主である環千の発明品でー・・・・と言ったお話になります。

九狼ですが、おっとりのんびり愛され末っ子と言った感じで、彼の経営するカフェは閑古鳥状態。
そこに突如現れた変わり者の社長・環千が、自分が発明した「どこでも繋がるドア(仮)」をそのままにしてもらう代わりに、九狼のカフェの経営アドバイスをする事になり、と言う流れです。

と、獣人や人間が存在し、更に「どこでも繋がるドア(仮)」だったり、環千の自宅ではロボットが家事をしてたりと、なんだか不思議な世界感。

が、基本的には主役二人のほのぼのな交流が楽しい作品なのです。
そもそも、攻めである環千がかなりの変わり者。
九狼が初めて環千と出会った時、彼は全裸で修羅場の真っ最中なんですよね。セフレ二人が自宅でバッティング状態で。
でもですね、そんな状態でもちっとも焦らず、なんかやたら堂々として偉そうな彼。
はち合わせて目を白黒させる九狼の前でも全裸で平気で仁王立ち。
九狼の方が焦って「とにかく服を着て下さい!」みたいな。

で、つくづくマイペースな環千が、「腹が減ったな。ちょうどいい、何か食べさせてくれ」と言い出す。
彼はですね、明らかに天才肌の変わり者なんですよね。
が、その言動が妙にツボで面白いのです。
えらそうな口調で「ニンジンは入れるなよ」と子供みたいな事を言い出す。
そして「食べられないわけじゃない。ただ好きじゃないだけだ」みたいな。
一事が万事この調子で、それにいちいちツッコミを入れたり、ちょっとした仕返しなんかでやり込めてる九狼とのやりとりが楽しくて仕方ないのです。
何だろうな・・・。
環千がいちいち余計な事をいい、それを軽くあしらう九狼みたいなシーンが、とにかくクスッとさせてくれるんですよ。

で、ここから更に萌える展開。
こんな時間を過ごすうち、互いに惹かれ合ってゆく二人-。
環千ですが、超えらそうな言動と思っていたら、要は不器用なんですよね。
そして、九狼はちょい天然。
惹かれ合うまま体を重ねる二人-。
そこで、自分がまだ九狼に気持ちを伝えて無い事に気付く環千。
この時の台詞が傑作でして。
「これについては私も初めての案件で~云々。そのために言葉で感情を表す人間として基本的な~云々。」みたいな。
ヒートアップする環千に対して、九狼が付いていけずに「はぁ・・・」とかやってるのがまた笑えるのです。
この後、環千渾身の告白をするのですが、ちょい天然な九狼はそれに気付かず華麗にスルー。
がっくり肩を落としてる環千が笑えるやら気の毒やら。

ここに、環千の複雑な関係である祖父との事情が絡み、とある事件が起こります。
まぁ切なくはあるのですが、展開は読めるのと九狼が非常に前向きな為、そこまでヤキモキする事無く見守れる感じですかね。

これ、九狼の作る美味しそうな料理も魅力になってるのですが、ラストもまさにそんな魅力が詰まったほのぼの素敵なもの。
山も谷もあってと言う作品がお好きなら物足りないかもしれませんが、個人的にはこのひたすらほのぼの甘々な世界に浸って楽しく読めました。


9

どこでも繋がるドア(仮)が繋げたモノは空間にあらず

今回は天才的な頭脳を持つ偏食家の社長と
狼系獣人のカフェレストランオーナーのお話です。

閑古鳥の鳴く受様のカフェ起動にのり
攻様の偏っていた食と暮しが修正されて
2人が新たな生活を始めるまで

この世には人類の他に
動物を祖先に持つ獣人が存在します。

受様は狼を祖先に持つ肉食系獣人で
退化しきれなかった耳と尻尾に
狼系獣人のルーツが残っています。

受様は乙子ばかりの人兄弟の末っ子で
共働きの両親や年の離れた兄のために
料理を始めたことがきっかけで
調理学校に進学し料理人となります。

卒業後はレストランに就職しますが
親戚筋が閉店した喫茶店を格安で譲り受け
カフェレストランをオープンします。

受様は人間も肉食系獣人も草食系獣人も
あらゆる人が訪れて欲しいと
店の内装やメニューまでこだわりましたが

開店から3ケ月たった今も
訪れるのは受様の家族だけという
閑古鳥が鳴く状態でした。

とは言え
今は頑張ってできる事をするだけと
まずは店の掃除をしようと
用具入れを開けると

なぜかそこには掃除用具は一つもなく
なぜか見た事もないドアが
存在していたのです。

しかもそのドアの向こうは
オレンジ色の光に包まれている上
何やら争っているような気配がします。

思い切ってドアの向こう側へと
踏み出した受様が見たものは

端正で花のある顔立ちの全裸の男と
彼に対している人間と猫系獣人でした。

この全裸ながらも美貌の男こそ
今回の攻様になります♪

攻様は突然現れた受様が
どこからやって来たかを知ると
揉めていた2人を強引に追い出して
受様の通ってきたドアを確認し始めます。

なんとそのドアは攻様が発明した
「どこでも繋がるドア(仮)」で
受様の店と攻様の自宅が
繋がってしまったようなのです。

攻様は受様の店の近くに工場をもつ
自動車会社を立ち上げた社長で
瞬く間に業界トップにまで押し上げた
経営者でもありました。

様々な分野で発明を行い
特許を取得していて
「どこでも繋がるドア(仮)」も
完成すれば世界輸送ビジネスが
ひっくり返るような超極秘研究だと
自画自賛します(笑)

受様は自分が消されるのでは!?と
戦々恐々としますが

受様の作る料理を気に入った攻様は
ドアの実験結果の経過観察と引き換えに
受様の店の問題改善に一役買うと
提案してきます。

受様は攻様の提案を快諾しますが
攻様は受様が思った以上に
問題ありな人物だったのです。

本当に受様の店の閑古鳥が
いなくなる日はくるのか!?

人間と獣人が共存する世界で
天才肌で俺様なゴーイングマイウェイ人間と
おっとり系ながらも意思は固い狼系獣人が
巻き起こすラブコメディになります。

攻様は日本屈指の大企業の御曹司ですが
彼の才能に脅威を覚える祖父の元で
押さえつけられて育ちます。

彼はいつか祖父の下から抜け出したいと
様々な分野で画期的な発明をして
事業を成功させてきます。

そんな攻様なので基本は俺様言動で
さらにはかなりの偏食家なのですが

「どこでも繋がるドア(仮)」の
設定座標軸がズレて受様の店と繋がり
受様の料理を食べたことから
全く集客できない受様の店を改善すべく
アドバイザーに就任します。

攻様はドアの実験結果を見つつ
地元に根差した愛され店を目指しますが

風邪をひいた攻様を看病して
受様が風邪をうつされた事から
2人の付き合いは私的な分野にも
広がっていくのです。

全く性格が違う2人ですが
互いに惹かれ合っていくので
このまま恋仲になって終幕なのかな
と思いきや

攻様の元秘書による
研究データの盗難事件が勃発し
攻様がテロ計画犯として
警察に身柄を拘束してしまいます。

2人がお互いの手を取り合うまで
ハラハラ&ワクワクし通しで
たいへん楽しく読めました♪

最初は俺様な攻様を
純な料理人が胃袋から落とす!!
ってほのぼの系かと読み進めたら

攻様の事情が明らかになるにつれ
徐々に不穏な雲行きになって
かなり予想外な展開でした。

恋をしたら優しくなるだけじゃなく
強くもならなきゃいけない。

ほんわかなムードの中にも
芯がある素敵なお話でした (^-^)

今回は狼繋がりで佐倉温さんの
『オオカミさんの過剰な求愛』をおススメ♪
こちらは俺様な攻様が狼です。

4

どこでもドアで恋が始まる

狼の獣人が開いた町はずれのレストラン。
料理のおいしさには自信あるけど、狼族だという事で、人間のお客さんにも、草食系の獣人のお客さんにも、なかなか寄り付いてもらえない。
そんなある日、掃除用具室のドアを通って、傲岸不遜な男と出会う。
という、ケモ耳系ファンタジーになんちゃってSFをプラスしたようなお話。
どこでもドア(仮)なんてSF要素が、大した説明もなしに違和感なく成立するのは、元々獣人族と人間が共存して暮らしているファンタジー設定だから。
でも、お話自体は、普通には出会うはずのない二人が、ちょっとしたきっかけで知り合い、不器用?に恋を育む王道ラブコメディ。
尻尾で感情が隠せない狼族がかわいいです。


3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP