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表題作捨て猫の家

フィル、エドに拾われた人間の子供
エド、吸血鬼 

同時収録作品てのひらふたつ分の恋

フィル、エドの血をもらい永遠を誓った人間
エド、吸血鬼

その他の収録作品

  • 描き下ろし:『甘い記憶』

あらすじ

ひとりで孤独に生きてきた吸血鬼のエドは、ある日、気まぐれから捨て子の少年フィルを拾い、以来一緒に暮らしている。好きだと言い、無邪気になついてくるフィル。そんなフィルにエドは欲情し、戸惑う。この気持ちは…… 長い間忘れていた感情に支配されたエドは、フィルにくちづけるのだが…
出版社より

作品情報

作品名
捨て猫の家
著者
井上ナヲ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
ミリオンコミックス CRAFT Series
発売日
ISBN
9784813051466
3

(23)

(2)

萌々

(1)

(16)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
13
得点
66
評価数
23
平均
3 / 5
神率
8.7%

レビュー投稿数13

愛と苦悩の美しい対比

フィル×エド

本棚から出てきた井上ナヲ先生の美しい一冊。
これまで放置していたことに驚いた。


19世紀のイギリス風の雰囲気が、
哀愁と繊細が漂うトーンが絶品で素敵。

永遠の吸血鬼と、
限りある人間の
切ない愛の物語が息をのむほど美しい。


少し残酷な吸血鬼のエド、
強気美人でクーデレで、
内に秘めた恋心に怖じ気づいて、
怯えや戸惑いを抱えていく。
冷たい外見とは裏腹に、繊細な心を見せてくれる、
逃避、嫉妬、気持ちの揺れなどが心を捉えて離さない。

フィル、
エドに拾われて育った子供で、一緒に住んでいる。
たとえエドに好かれなくても、
子供から成長する過程で見せる
エドへの変わらない一途さ、
純粋な愛情には辛酸をなめるような恋になるけれど、
エドへの無垢な想いがただただ心を打つ。

痛切なエッチシーンに胸がギュッとなる。
エドの恋に苦しむ姿から愛情がはっきりと表現されていて、
実はとっても健気で、
フィルへの想いがもう涙が出るほど愛おしい。
その切なさを映す顔から
彼の心が手に取るようにわかる。

2人の関係を深める選択肢がぼやけつつも、
2人の間に流れるのは人間の境界線を越えた愛なのだろうか?
共に血を分かち合っている愛に身震いしてしまう。

当時の先生の絵はもう素晴らしかった。
細部までこだわって描かれていて、
エドの苦悩で複雑な表情、
フィルの純粋で可憐な瞳、
2人が共に過ごす時間、
その一瞬一瞬が心に深く刻まれました。

0

また読み方まちがった?

積み本から『夏だ!ホラーだ!オカルトだ!』と まつり開催中です(個人的に)
そもそも 吸血鬼ってオカルト? ホラー? なの?


自分で拾った人間の子に欲情して そのなんとも言えない感情から逃げて突き放した


蓋開けてみれば 両片想いなんだけど ここからがね
普通にすすめば「永遠」を誓いあった時点で 吸血鬼が人間の血を吸っちゃえばいいだけなのに吸わないの


逆に自分の血を飲ませ その非人道的な行為で人間と一線を引き永遠を誓いあう みたいな

自分と同じモノにしたくなかったからなのか 人として生きづらくなったとしても 人として生きたい何かがあったのか この辺り曖昧すぎて話し合っての結果だったのかもはっきりしないんだけど

人間の子の成長をみながら共に重ねる月日も 人間と吸血鬼の違いは歴然で そんな中での告白 

確かに拾われたときが彼より小さくて 守られるだけの存在だったから 彼よりも高くなった身長とひとまわり大きくなった手 同じ目線で 彼のすべてを受け止めたかった って 

成長した人間の子が健気すぎる


その告白をうけての「俺だけのものにしたい」に ここでやっとふたりの永遠が始まるんだなと


吸血される描写はなかったけど ここからやっとふたりだけの時間を永遠に過ごしていく

モノクロの無声映画の中にあって そこにだけ色があるように 静かに青白く燃える炎をただ黙って見つめるだけ そんな雰囲気で 盛り上がりは一切ないんだけど 互いを想い失いたくないだけで描いた未来がこれなら 帯の『最初で最後の恋』ってのが強烈に響いてくる


って思ったんだけど え? 今更だけど ほかの方のレビューで気づく
吸血鬼になってたの? それでも成長するって設定だったの?

えぇぇぇぇ? ダメだ どこで読み間違えたんだろ?
ちょっと 速攻もう一周してくるわ

1

雰囲気

絵がすてきです。
白と黒(ベタというのか)の世界。コントラストがいい。

静か〜に淡々と進みます。
よくわからない、明らかにされない部分が多く、雰囲気でなんとなく楽しみましたw

「僕のことを嫌いにならないで」と言う少年フィルがかわいい。
フィルに惹かれていてもそれを認められない吸血鬼のエドは、キスをしておきながらフィルを冷たくあしらうわけですが。

追い出したフィルを迎えに来たエドに対して「僕は云ったよ エドのことが好きだから一緒にいたいって…」「ちゃんと云ったよ」と泣いちゃうのが健気で。
そうだそうだ!エドはっきり言ったげて!と思いました。
ここでハグして「家に帰ろう」と言うのがよかったです。

その後「てのひらふたつ分の恋」に出てきたデコっぱちの青年がフィルだと最初わかりませんでした。あんなかわいかったのに…ww

フィルがエドより身長、手が大きくなって…の、キス、絡みのシーンが色っぽかったです。

0

吸血鬼という題材にモノクロのゴシックな絵が合う

絵がとても綺麗で好み(*´Д`*)
トーンを使わない白黒のゴシックな雰囲気が話と合っていて素敵です。

ただ…話はちょっと(´・ω・`)
作者の中で自己完結してしまっているのか…説明不足で首を捻ってしまうことがいくつかあります。
特に気になったのは↓について。
セスは結局どういう人だったの?
単なる血液提供者にしては意味ありげに出てきているのですよね~。
そして何よりもフィルの成長。
あなた、吸血鬼になったんじゃないのΣ(○д○ノ)ノ
何で大きくなってるのー?
アレですか?
自分の望む年齢で成長を止めることが出来るという設定なのですか?

ってかフィル、アリスさんはエドの“食べ物用”として親しくなったのかい?
…アリスさん、逃げてε=ε=ε=ε=(ノ´Д`)ノ

0

「君が選んだ最初で最後の子」

久しぶりに読み返してみたら、なんだか以前読んだ時より好きだなぁと思いました。
淡々と進むお話なので、何度か読み返した方が理解が深まるのかもしれません…。

ヴァンパイアものは好きなのですが、「永遠の命」、これが課題ですよね。
この本もある意味それがテーマかなと思います。
主人公2人が出会う前の出来事は全く語られていないので、ヴァンパイアのエドについては謎が多いのですが、ツンというよりも恐れや戸惑いが態度に出てしまうんじゃないかなと思いました。
フィルは人間の子供なんですが、エドに拾われてエドを好きになり、その思いを真っ直ぐ一途にエドに伝えてきます。
でもエドが冷たくあしらうので、その度に傷ついてしまう。
前半はフィル視点で描かれているのでとても切なさが伝わってきました。
そしてエドに血を与えるセスの気持ちも…。
台詞とモノローグが少な目なんですが、景色を切り取るように描かれるコマ割りはとっても雰囲気があって、間を上手く取ることにも効果を上げていると思います。

1

まるで詩のような静かな物語。

タイトルのとおり、「家」がコンセプトになっているお話です。迎える場所であり、共に帰る場所であり、暖かい場所でもあり、誰かを招待する場所。

外国が舞台の孤独のヴァンパイア(エド)と何となくという理由で拾われた少年(フィル)との物語。
独特の繊細で美しい雰囲気の中、登場人物も台詞も少なく、設定についても多くを語られない為、他の方のレビューを読んで発見する部分も多々ありました。(ありがたいです。)
読んでいる最中も、読み終わった後も色々方向へ話を想像出来るのも面白いかと思います。

その分、背景やキャラクターの表情など、間合いで見せるモノクロ映画のようで素敵でした。トーンを使わず黒と白の絶妙なバランス具合が、切ないような少し影のあるこの作品に合っていました。緻密な背景に人物が埋もれることもなく、扉絵の金色の組み合わせ方も好きです。

話は一人の美しいヴァンパイアが小さい少年を拾って、懐かれていく内に少年(フィル)に対して「人間=血を吸って飢えをしのぐ存在」だけでは無くなってしまう。
この感情に困惑し、フィルを突き放してしまうが、協力者でありエドに好意を寄せている人間に指摘されて・・・。
契約をして眠るフィルに「目がさめたらふたりきりの世界だ」と甘美な台詞でもありますが、寂しい台詞でもある言葉を言うエド。世界に取り残されるような閉ざされた雰囲気で、一旦幕が降ります。

その後の【てのひらふたつ分の恋】では、フィルが人を家に招こうとすることで、「彼らの家」のドアが外に開かれるようでした。光を感じられます。
共に生きると契約をしたフィルが成長し、人間ではない道を選ばせてしまったと思い悩み、彼の世界が広がることに不安と嫉妬するエド。ツンデレで不器用です(笑)

フィルに関しては小さい頃から、純粋にエドを追いかけてるので健気に思えます。
エドに「好き」だと伝え自分の手の内は全て見せても、エドの気持ちが見えない。幼いフィルが泣きながら懸命に訴える姿はグっと来るものがありました。
体格も良くなりエドよりも大きくなったフィルも、格好良いのですが、純粋さがあるようで「エドが僕を選んでくれてよかった」と言うシーンはまた素敵です。

人よりも長い長い時間を生きる彼らは、今もどこかにいるのではないか。と思えるようなお話でした。孤独で生き続けたエドが長い年月の中で1人を選び、フィルと共に生きると思うと胸がいっぱいになります。

2

黒が漆黒

猫というタイトルにひかれ購入

イラストは表紙から見てもわかるように
たぶん馴染めないと思いました
実際なじめなかったです

ですが、物語がしっかりしていたため
読み終わる頃には慣れましたし
黒がきついと思っていたけど深いと思えるほどになりました

吸血鬼の少年ですので
血を吸いますし返り血を浴びたりします
ファンタジーな描写じゃないだけに
引き込まれました

そうでありながら、線の細い吸血鬼
なぜか一人の少年をひろってそばにおいている
彼の血はすわない

アレに欲情した
と告白するくだりは、情緒があるなと
思いました

物語は決して明るくないのですが
異次元の世界というよりは
人の闇を見ているような
物語でした

少年は可愛いのですが大きくなった
少年はあまり可愛くないです
外見がですが

吸血鬼は年をとらない
少年がおいて死するとき
その後どうなるのでしょうか


1

モノクロの画面構成に飲まれろ

吸血鬼の話です。
吸血鬼のエドは、拾った人間の子供・フィルと暮らしている。そんな始まりです。
タイトルは「捨て猫の家」。玄関ドアや、そのドアの閉まる音などがキッチリ描かれていると思います。家を出て行ったり、逆に追い出したり、「他人」を招いたり、家が主軸となってお話が進んでいきます。

何より、白黒で描かれた画面に圧倒されました。第一話のフィルの服が素敵です。白黒なのに色が伝わってくるようで(フィルの髪の色とか)、素敵でした。
あと、エドが可愛かった。気高い猫ですね。揺らがない自分を揺るがす恋に動揺して、気持ちと裏腹なことをしてしまうんです。
えろシーンが良かったです。焦れる感じが。

私は、吸血鬼という設定、名前から「ポーの一族」を連想してしまったんです。
「時間」に重点を置いているところが似ている気もしました。
でも、違うものです。この作品事態に起伏のない、静かな雰囲気が流れています。あとは、はっきりとした画面、緻密な線。
この作品は通説の吸血鬼としての部分と、作者の方の考えた吸血鬼の部分とがミックスされています。そこを少し念頭に置きながら読むのがオススメです。
これは一意見ですが、雰囲気を大事にしている作家さんだと思うので、あんまりハッキリ明確に答えを描かれる方ではないのかもしれません。

私はこの作品で井上ナヲさんを作家買いするようになりました。独自の世界観をお持ちの方です。

3

唯一無二の存在

 表紙の色使いに惹かれて、読みました。
吸血鬼ものを読んだのは初めてでしたが、抵抗なく読めました。

 静かで切なくて、少し不気味な雰囲気のある作品でした。
二人の会話が少ないので、彼らの表情から感情を読み取るのが楽しかったです。
吸血鬼のエドが色気たっぷりでとても美しいです。
エドに拾われたフイルも、健気でとても可愛く成長した姿もみれて良かったです。

 成長したフィルがエドに想いを伝える場面は感動しました。
絵に無駄な装飾がなく、白黒映画のような所が素敵だと思います。
幼い頃捨てられて孤独だったフィルをエドが救い、
成長したフィルが今度はエドの孤独を受け止め二人に愛が生まれたんですね。
 この作家さんの他の作品は、ないのでしょうか。

2

まりな

はじめまして、茶鬼さん。
わざわざ教えてくださって、本当にありがとうございます。

「捨て猫の家」が初コミだったのですね。
挿絵をしているという小説の方も、読んでみたいと思います。
そのうち、コミックスが出ることを楽しみにしたいです。

茶鬼

まりなさん、はじめまして
井上ナヲさんは、この「捨て猫の家」が初コミックだそうです。
昨年は、大洋図書の「CRAFT」で連載がありました。
最近ではプラチナ文庫「猫のためいき」の挿絵を描かれていました。
他の出版社さんで作品を描かれているかどうかは、自分は不明なので知っている分だけ挙げてみました。
今年あたり、またコミックスの出版が多分あるのでは?と思いますよ。

二人『ポーの一族』な感じです

ものすごく雰囲気のある作品です。
絵も好みで、一目で好きになった作品ですが、登場人物達が饒舌でないので、読者が想像して思いを巡らさないといけない作品かもしれません。
その作業が好きな人には、とても好きな作品になると思います。

ヴァンパイヤのエドが拾った子供がフィル。
フィルはエドがヴァンパイヤということを知っていますが、とてもエドが好きなのです。
でもある日、フィルに欲情してしまうことに気が付いて避けるようになるエド。
エドは人間を襲って血を吸うのですが、セスという人物と契約もしてるみたいなんですよ。
ここが解説がないから想像しなければならないところ。
多分、自分が思うにエドはセスに身体を与えて血をもらっているのでは?と思うのですよ。
というのも、フィルが危険な目に会ったことを知らせなければよかったと、そして少し嫉妬するような発言をしているからです。
セスの登場はここまでです。
明快さを求める人には少し不満が残る人物かもしれません。
そしてフィルを救いだし、彼にはフィルが必要だと、ずっと一緒にいる存在なのだと、フィルに血を分け与えるのです。

そして、次にフィルが登場すると大きくなっています。
エドはそのまま。
あれ?ヴァンパイヤになると成長はそこで止まるのでは?と通説では思いますが、この設定では、自分の好きな年齢で成長を止められるようになっているみたいなんですよ。
身長も、手の大きさも、エドを超えた時、その時初めて二人は結ばれるのです。
何年も生きているはずのエドが初々しくて可愛かったです♪
今までエドがフィルを守る立場だったのが、フィルがエドを守る立場になった、ある意味対等になった時かもしれません。

題名の「捨て猫の家」も、よるべのない二人が、その血をもって肩寄せ合い暮らす家のこと。
フィルはもちろん捨て猫ですが、エドも野良猫で捨て猫の帰る家なんですね。
最初にも述べましたが、空気を見せる作家さんなのだと思いました。

5

永遠を誓う

表紙からは全く吸血鬼ものとわかりませんが、
内容のほうも吸血鬼もの独特のドロドロした感じがなく
静かで切なく、重みのある作品でした。

余計なことを省いて淡々とした雰囲気の作品なので
すこし冷たい印象を受けたり疑問に感じる部分も出てくるとは思うのですが
私はむしろそこがとても気に入っています。
作者さんはあえてシンプルに描かれていると思うので
あえて“曖昧さ”を愉しむのが良いんだと思います。
台詞は少なくても、一言一言に重みがあるので“永遠を誓う”程の
お互いの深い愛もちゃんと伝わってきます。
そして萌えのポイントとしては下克上なところ!
最初はエド(吸血鬼)×フィル(人間)なんだと誰もが思うことでしょう。
私もてっきりそう思い込んでいました。笑
なので後半の展開はとっても萌えました~(^v^*)

井上さんの絵柄は個性的なので意見が分かれると思われますが
とても細かいところまで描かれて、黒の使い方がとっても上手なので
トーンをほぼ使用していないのもありますが雰囲気があって私は好きです。

2

昔の無声映画のようで・・・

表紙買いをした作品なんですが、会話はしているもののこちらへ訴えてくるものが些か弱く、「画から読み取るの?」「無声映画のスタイリッシュさを目指しているの?」と問いたくなりました。
なので、作者の言いたいことが届ききらない感があって、こちらとしても煮え切らないまま終わっちゃった感じです。

吸血鬼ものは好きなので、もっと評価をアップしたいのですが、エドが「ツン」過ぎて、吸血鬼の孤独感とかが伝わりきれていないんです。あと、フィルが大きくなってるってことは、仲間にしちゃったわけじゃないんですかね?しちゃってますよね?
このお話の中での特別ルールがあるのなら、そこのところははっきり書いていただかないと読者も迷うと思います。

辛口批評になりましたが、お話として何巻か続くのであれば、それも解消されていくのでしょうか?

4

静かな吸血鬼もの

吸血鬼ものですが、淡々としているというか静かな雰囲気の作品でした。

気まぐれで拾っただけの子供に、特別な感情を抱いていることに
戸惑い、突き放してしまう。
エドの不器用さがなんだか切なかったです。

いろんな要素を削って、シンプルに描かれているのだと思いますが
フィルがエドに惹かれた理由や、エドの抱える孤独、
そういうものがいまいち描ききれていない印象を受けてしまったのが残念。

『てのひらふたつ分の恋』では、フィルが育っていてびっくり。
仲間にされた=成長はしないと思っていましたが、
後半で、「もう十分かな、背も」とフィルが言っているので、
好きなところで成長(老い)が止まるという設定なのでしょうか…。
この辺り、ちょっとわかりにくかったです。

絵柄は、正直好みが分かれるところだと思いますが、独特の雰囲気があります。

2

この作品が収納されている本棚

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