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恥ずかしながら水原さん初読み。
本当に読み応えのある、ノベルというより小説な作品だった。
主人公の語りで綴られる。失踪した婚約者の捜索という大きな流れのなか、出会った男性と初めて深い人間との関わりを持つ過程が丁寧に描かれる。
もしかして痛い結末だったらどうしようと思いながら読んだけど、痛すぎずに独語の後味もよかった。
雅幸は心優しい男性。30過ぎて会社勤めをしているが、強い野望はなく、結婚して子供を作って、ということに幸せを見いだそうとしている。ところが、婚約者に結婚式直前で失踪される。2人の預金も引き出されていたが、詐欺とは信じられず必死で探し始める。唯一の肉親である弟は裏稼業だが婚約者に似た美貌の持ち主だった。捜索を手伝ってもらううちに、2人は近づいていき。。
というあらすじ。
不幸な生い立ちを持つ婚約者の弟、綱紀。現在はヤクザの下請けのような仕事をしている。世間慣れしているように振る舞っているが、損得の絡まない愛情を知らずに育ち、自分は陰が好きな猫、「陰猫」だと言う。
一方の雅幸は何の不自由もなく育つが、何かに特別秀でたわけではなく、めざす目標もない。人間関係は希薄で、優しい性格は、実は他人と深い関係を築くことを、おそらく無意識に避けるための防衛手段だろう。綱紀の独白に、自分も日の当たらない陰猫なのだと思う。
そんな2人が出会い、お互いを必要とするようになる。しみじみしました。
最後は、何か予想外のことが起きたらどうしようと心臓バクバクで読み進めましたが、割とあっさり大団円でした。そこだけがちょっと不満。救いの無かった婚約者の女性がちょっと気がかりです。
でも、読み応えがあったので神評価にしました。
作者が作者だからすこし警戒して読みはじめたがじんわりくる話でヨカッタ!
主人公は結婚式を一週間後に控え、婚約者に逃げられたマジメなサラリーマンの受。しかも、女性に預けた大金を持ち逃げされたにもかかわらず、彼女にはなにか理由があって失踪してしまったのだとひたすら信じるような善良な男。
そんな受が婚約者のゆくえを知ろうとした先にいたのが、女性の弟である攻。
ヤクザの下請のような仕事をしていて、出逢いも最悪ならそのあとの態度もサイテーの俺様男だったが、捜索をてつだってくれることになったなんてところから話がはじまる。
この攻が、とんでもないツンデレ(笑)
作者が作者だし、最初は裏がある男かもなんておもっていたが、読みすすめるごとにカワイー面が飛びでてきて転げるほど萌え(笑)
婚約者の姉弟は施設そだちの不遇な環境にいたせいか、姉弟とも性格がひねくれている。そんなひねくれ俺様攻の不遇なおいたちや不器用な顔が2人で婚約者を追っていくうちにわかってきて、受もどんどんひかれていくのだ。
外ではヤクザの下請をしているせいか物騒な野生のケモノみたいな男なのに、温良な受のまえだとひなたぼっこするネコみたいにカワイイ男になってしまう!
とくに病気のシーンは萌え死にそうになった(笑)
読めば読むほどそのボルテージが上がっていくからワクワクする(笑)
話は後半とてもせつないシーンがあったりするが、それで2人の愛情がとてもよく感じられてたまらなかった。婚約者である、攻の姉も憎めない女性であったのもほっとさせる。
作者あとがきの次にあるイラストレーターのイラストあとがき(?)は、個人的にとても好き。せつない雰囲気が伝わってくるようだった。
水原作品で一番好きかもしれない。挿絵も素敵だし、お話の流れも、キャラも全部全部素敵でした。
水原作品だけど、受けはそんなに痛い目にもあわないし、読後感も穏やかでした。
まず、攻めはツンデレです。年下なので拗ねたりもして、やってる事だったり言ってることは酷いのに、段々可愛く思えてきます。何より受けにゾッコンになっていくのが分かりやすく、読んでて楽しいです。パワーバランスが攻めの方が強いかと思いきや、最後は完全に受けが手綱を握っていて良い関係だなと思いました。
まあ途中から完全に受けに振り回されてしまうのですが笑
受けのおっとりしつつ芯のある性格がいいですね。ここまで綺麗にほだされるキャラもなかなかいないって感じで、段々と攻めのことを受け入れていきます。何より気に入ったのが丁寧口調。ちょっと古風なのがエッチでいいです。
あとは攻めのお姉さんがいいキャラしてます。幸せになるのが怖くて逃げ出してしまうという、当事者からしてみればかなり厄介なのですが、どこか気持ちがわかるというか…。
何度も読み返したくなるような良き作品でした!
私が今まで読んだこの作者様の作品は、どうにもシリアスで読後に辛い印象が残るのですが、この作品は一応丸くおさまった感があり、ほっとしました。
丸ごと1冊表題作です。
会社員・北村雅幸(32歳)は結婚直前に婚約者中上美紀(30歳)に失踪される。美紀の行方を知ろうと弟・中上綱紀(26歳)に連絡をとり、一緒に探すことになるのですが…気がついたら綱紀とデキていたという話です。
自業自得とはいえ、自分の彼氏が弟になびくという美紀が気の毒でした。別の作家さんの作品で、彼女を姉にとられてばかりの男がいたのですが、そちらは笑えたのに、こっちはつい同情してしまうのは、同性だからなのかもしれません。
最後のあとがきで思わず吹き出しました。著者様の後にイラストを描かれた草間さかえさんの1ページがあるのですが、ご自身が好きだという理由で挿し絵指定があると思い込まれたシーンを見事に描かれています。これ、そのまま挿し絵に使えますよ…力の入れようが見事でした!
水原さんといえば、今までは痛いお話が多かったので、ちょっと構えて読み始めましたが、このお話は全然痛い系ではなかったです。
結婚を決めた人に貯金600万円を持ち逃げされた雅幸が、婚約者の弟と一緒に捜します。
弟はちょっとヤバイ仕事をしてて、まじめな雅幸とは正反対の世界の人。
そんな人と一緒に婚約者の捜索をするのですが、弟から聞かされる姉の話はどこか殺伐としていて、信じがたい内容ばかり。
雅幸の知る彼女は、本当にそんなひどい面をも持っているのかわからなくなります。
そして、真面目ゆえに人を信じて疑わない性格が、かえって「頼りない」と思われ、弟・綱紀に惚れられ、10年来の同僚にも告白され戸惑ってしまいます。
「結婚サギ」だろうと思って読んでいたのですが、彼女は意外にもあるトラウマ(?)ともいえる精神的なプレッシャーに耐えられない人なのだということがわかりました。
もっとちゃんと支えててあげていたら…と自分に後悔する雅幸ですが、悪いのは彼女なんです。
どこまでも人がいいんですね、彼女のすべてを許してしまうんですから、もう脱帽です。
風邪をひいた弟がものすごーく甘えてくるところなんか、とっても可愛くてたまりませんでした。
こんな人間ありえない、と思いながらも結構楽しくてサクサク読んでしまいました。
水原さんの全然痛くなくて甘々な雰囲気も悪くないと思います。