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余計なことかもしれませんが、未読の方にひとこと。作家さんは『スピンオフだから前作を読まなくてもOK』的に言われてますが、やっぱり読んだほうがいいです。今作だけでは説明が絶対的に足りないです。
確かにメインキャラクターは変わってますが、大元の設定で続編的側面が大きいですから。特に『円佳の弟(の時計)と藤村』に関わる部分が、今作ではあっさり流し過ぎで、よくわからないかもしれません。
さて本題ですが、私は本編(藤村×斗貴編)よりもこちらのスピンオフの方が好きですね。
『皇帝』なんてニックネームで呼ばれる名塚が、なんともヘタレなお子様(悪い意味だけではないです)でした。全然皇帝じゃないんですが、この方が好きですね。そして、『医務室の女王』と言われる円佳が、結構可愛い小悪魔なんですよね。
私の本来の好みからすれば、年下攻(しかもこれ一回り違う・・・)は苦手なんですが、『女王様とワンコ』は例外のひとつの典型なんですよ~。ヘタレ・ワンコ攻(もういっそ年下なら、とことん『青い』方がいいですね!)の場合はわりと平気なことが多いんです。しかも襲い受(襲われ攻・・・?)ですからね。
最後の円佳視点のSSがよかったです。これがないと、今ひとつ円佳のキャラクターが掴みづらかったので。
しかし、ホントに円佳は『攻』だったんでしょうか?ただのでまかせ?あまり突っ込んで知りたくないような気はします。
今回はSDの養成所の1年生で青のクラスリーダー・皇帝と
養成所の医務室の女王と呼ばれる保険医のお話です。
攻様視点の出会いから恋の駆引きの様子と
受様視点の後日談を収録。
2年の教育を終了すれば世界のどこへ行っても就職に困らない
SP以上のプロSDを育成する養成所・アルカトラズ。
今年の新入生三クラスうちの青クラスのリーダーが今回の攻様です。
フランス人の母の血を色濃く継いだ攻様は
キラキラな金髪と蜂蜜の様な色素の薄い瞳の持ち主。
その外見と落ち着いた態度から『皇帝』と呼ばれています。
攻様は旧家に生まれますが、
家の中で絶対的な存在だった祖父は彼の生母を嫌い、
義母の生んだ弟を跡取りとしたばかりか、
彼のサポートとして生きる事が当然という環境で育ちます。
そんな彼にとってこの養成所の募集は
息苦してたまらない家を抜け出す為の千載一遇のチャンスでした。
とは言え過酷な任務につくSDの訓練は厳しく、
ある夜、息抜きに深夜の散歩をしていた攻様は
敷地を抜けた森の先に岬のようなポイントを発見します。
空と海とがあいまいな世界に溶け込むように深呼吸をした時・・・
何の前触れも無く肩に何かが!? 響き渡る絶叫!!
しかし月明かりに照らし出された人物は
要領の良い攻様には無縁な医務室の主でした。
今回の受様になります♪
攻様が来るより前にいたらしい彼は
ガタイの良い訓練生に比べて細身過ぎて実際以上に小さく見え、
優しい雰囲気とあいまって年齢不詳。
年上の余裕を崩そうと口説きに掛かった攻様ですが、
『医務室の女王』との呼び名は伊達ではなく、
放たれた台詞は「私に抱いてほしいの?」
さすが年の効!
抱きたいほうな攻様は撤退を余儀なくされます。
ですがそのまま引き下がるほど弱気でもない攻様、
受様がいつも元気で強気な『姫』をも引かせる人物と知ると
俄然アタックにも力が入ります。
さらにはキスなら許されるくらいに接近した彼の部屋で
殉職事故で無くした弟の時計を前に弱った姿をさらされては
もう深みに嵌るなと言うほうが無理というもの。
その上、彼の弟の元パートナーにして同僚でもある教官に
ファーストネームで呼ばれて笑いかける彼を見た時、
嫉妬で目がくらんでムリヤリ押し倒してしまいます!!
果たして二人の恋の行方はいかに?!
見た目以上に年上(干支一回り)の受様の思った以上の可愛さに
翻弄される攻様の様子も楽しい本編ですが、
受様視点の続編を読むと結構彼もメロメロでしたね。
今回は誘い上手な女王様といつの間にやら彼に夢中な攻様で、
橘かおるさんの『月夜に咲く花』はいかがでしょうか?
「難攻不落な君主サマ」の続きのお話。
前作に出てきた、南の孤島にある、護衛のスペシャリスト・SDの養成所にいる天使のように美しい外見をした保健医・石原が出てくるお話。
天使のように美しい外見とは裏腹に「医務室の女王」と呼ばれる石原を、冷たい扱いにも関わらずにめげずに口説き続けているのは、訓練生の名塚。
フランス人の母親から受け継いだド派手な美貌で、クラス生から『皇帝』とも呼ばれていて……
という話でした。
前作でインパクト抜群だった保健医さんにコナをかける男が現れる話でした。
いやあ……幸せになってくださってよかったです、としみじみしてしまう。
名塚は派手な外見の割に、ちゃんとしていて、むしろ自分の派手な外見にコンプレックスを抱いている……という。
なんでも持っている人でも、それにまつわるコンプレックスはあるし、それでもそこに胡坐をかいてきた事実はあると思うので、そういう人が思い通りにいかない相手に巡り合って、やりとりしていくうちに恋に落ちる話でした。
石原の方の過去については、前の話で触れられていたせいか、あまり深堀されず……の印象でした。
さらっと読めるつれない男に恋をする男の話をご希望の方には、オススメします。
SPをも上回る護衛のスペシャリスト・SDを養成するための孤島、通称『アルカトラズ』。
厳しい適性テストを勝ち抜けた訓練生は、更に厳しい訓練内容でどんどん人が減る。
半年も経つと3分の1にまでなった1年次の訓練生の中で、一際目立つ風貌の男・名塚は
保険医で通称「女王」の円佳(男)にアプローチを仕掛けています。
舞台設定も人物設定も派手な今作。
訓練生達は過酷な環境を楽しみながら仲間意識を持っていて、
またその訓練内容も読んでるだけで結構過酷で(笑)
実際に日本にはこんなの有り得ないだろうなぁとは感じつつ、楽しんで読めました。
ただちょっと、名塚の考え方に難有りな感じ。
同じチームの人に対する考え方だとか、自分の西洋系な顔が嫌いなのとかが
私としては「ちょっとそれ違うんじゃない?」と思う点がまま有りました。
結構考え方が自分勝手気味?なんです…。
チームのリーダーがそれでいいのかッ!と突っ込みたい…。
まぁ所詮まだ二十歳なので、そんなものなのかなぁとは思いますが。
ムリヤリ円佳としてしまった後もそれは然り。普段は大胆なのにいざという時チキンみたいです。
ある意味、このなぁなぁ感はリアルに通ずる所があるかも知れません。
最後までよく解らない人だったけど、謝った時などの誠意はなかなか良かった☆
保険医の円佳もよく解らない人…笑
見た目とは裏腹な言葉には勿論ちょっとは意外性がありましたが、
「女王」かどうかと言われればそうでもない感じ。粗筋などに有った「怖ーい」印象は薄かったです。
まぁ、自ら乗っかっちゃう所なんかは「あぁ…」と思っちゃいましたけど!
しかし……そもそも、ここは訓練生との恋愛OKなのでしょうか…?
いわゆる先生と生徒だから…みたいなのが一切無かった…?
2人のくっつくまでの出来事や円佳の過去話も割とあっさり解決しているので、
立場的な事の波風が有ったらもう少し締まったんじゃないかなと思います。
結構辛口なことをペッペと言ってしまいましたが、つまるところ…
作品の大きな動きにはあまり関わらない些細な設定やエピソードが、いちいち躓かせる感じです…。
「え、じゃあなんでこうなの・こうだったの?」と心の中で突っ込んでしまう。
名塚家の人の行動は総じて、特にそう思いました。
貪欲(!?)な私には、色々と……あと一押しください!な、ちょっとした消化不良気味…。
真崎先生作品にたびたび感じてしまう、人物の動き・考えが(。-`ω-)ンンー?なのが
今回は結構色んな部分に有ったみたいです。
あんまり捻くれたハートをお持ちではない方におすすめです。←