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猿喰山疑獄事件

sarukuiyama gigoku jiken

猿喰山疑狱事件

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表題作猿喰山疑獄事件

星義彦,星グループの若き総帥
鷺坂貢,美貌の放浪の庭師

その他の収録作品

  • 第一話・王様の庭
  • 第二話・かわいい小鳥ちゃん
  • 第三話・庭師の分際
  • 第三 1/2話・アヒルの分際
  • 第四話・マイダス王の指先
  • 第五話・詐欺師の定義
  • 番外編・詐欺師の本分
  • 第六話・事件の始まり
  • 第七話・終着駅
  • 第八話・心中・猿喰山
  • 第九話・調書
  • 最終話・来世の約束

あらすじ

星グループの若き総帥、星義彦。猿喰山にある星家の屋敷に入り込んできた庭師・鷺坂貢。義彦は鷺坂の美貌と自由な心に次第に魅了されて行くが、鷺坂の意図は別にあって…? 愛を告げる義彦に応えた鷺坂の思惑、そして真実とは!? 最後まで予測不能な純愛物語、ここに開幕! 描き下ろしも同時収録!
出版社より

作品情報

作品名
猿喰山疑獄事件
著者
ARUKU  
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
ISBN
9784862636270
4.4

(167)

(123)

萌々

(15)

(18)

中立

(4)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
42
得点
733
評価数
167
平均
4.4 / 5
神率
73.7%

レビュー投稿数42

まさに予測不能の純愛物語

初めは愛を知らずに育った横暴なセレブ男が、
素朴な庭師に出会い、恋をして癒されて行く
ほのぼのとした物語だと思っていたのですが。
これが大間違いでした。

中盤から鷺坂が不穏な動きを見せ始めた頃から、
物語はなにやらきな臭い方向へ。予測不能な展開にハラハラ。
鷺坂の真意は何なのか?鷺坂と星の恋と、
彼らに関わる人達の人生が悲しくて切なくて。
グイグイと作品の世界に引き込まれてしまいます。

そして最終話「来世の約束」で、こうきたか!と唸りながら、涙がポロリ。
ラストシーンが本当に素晴らしくて!!
美しくも神々しいラストに感動です!

これは漫画か?と思うくらい膨大な文字量に、癖の強すぎる絵柄。
特に絵柄に抵抗を感じる人が多いと思います。
なので一般受けはしない作品かもしれません。
しかし私は絶望と魂の救済を見事に描いたこの作品が大好きで、
遙々アルクさんは今後も追いかけて行きたい作家さんになりました!

15

ともふみ

おはようございます&お久しぶりです、藤棚さん。
インパクト大の題名と「予測不能な純愛」というあらすじに惹かれつつも、ものすっっっごく苦手な絵柄に逡巡していたのですが、藤棚さんの神評価に背中を押してもらいました。
そして大正解!ありがとうございました。

来世の約束はとにかく涙腺にも心臓にもキました。
BLでこんな話が読めるなんて…。
ほんと絵柄はちょっと(まだ言う 笑)という方ですが、私も作者追いしそうな予感大です。

藤棚

>うえおさん

こんにちは。
コメントをありがとうございます。

>いやぁ~…すごい作品でしたよね。
すごい作品でした!そしてこの作品のすごさを、
ボキャ貧の私には上手く伝えられないのがもどかしくて(>_<)

絵柄が非常にネックだとは思うのですが。
でも一度ストーリに入り込めば、
絵柄はそれほど気にならなくなりますよね~
私は最近では、この絵柄も味があってイイ!と思うようになりました(笑)
できれば多くの人に読んでもらいたい作品です。

2009年№1作品でした

2009年に読んだBLマンガの中で一番傑作なモノといったらこの「猿喰山疑獄事件」だったと断言できます。
絵は好きじゃないけど、およそBLらしからぬおかしな題名に興味を持って読み始めたら、はまりました!
表情の乏しい絵も苦にならないくらい引き込まれるストーリー。
あとで思いました、こんなに秀逸なストーリーで絵もおそろしくキレイだったらひょっとして評価は別のところへ行っていたかもと・・・この作品にはこの絵だから説得力があるのだと。
サスペンス・ミステリーの相を呈しながら登場人物達の気持ちが切々と胸を打つ感動。
皆さんも書かれているように衝撃のラストに涙がとまりませんでした。

他の作家さんもよくモチーフにするアンデルセンの「王子と小鳥」
色々な解釈と表現があるけれど、傷つきながらも守られる最後の約束が、「うちに帰ろう」このラストのセリフが、今まだレビューを書いていても、涙をあふれさせます。

冷酷な男が詐欺師の男と出会い、その心を通わせる。
単に純愛の物語ではあるのですが、端々に盛り込まれるエピソード、気持ち、それらが巧みに作用して感動を生むという作業の神業を見せつけられたようです。
後になって表紙絵に、小鳥、鳥かご、薔薇、チョコレートとキーワードになるアイテムが盛り込まれていることに気が付きました。

2010年も注目の作家さんです!!

15

レビューは読むなっ、な作品かも。

こんな、すごい作家さんがいたとは!ジーザス!ジーザス!BLの神様、有難う!
正直、、まず本屋で手に取らない、癖のある絵柄。
ですが、読んでみて是非とも皆さんに勧めなきゃと、絵が苦手ってだけで読まないのはもったいない~!!

皆様おしゃられるように、これはレビューすんの難しい、、。レビューは読まないほうがいいんじゃないかな~?ってレビュっといてなんですが。
先入感持たずに読むのが一番いい。
私、衝撃のラストって、、を勘ぐり過ぎて、まさかのフャンタジーか?いやいや?兄弟オチ?とか。
勘ぐりすぎました。いや、ダメって事じゃありません。

アルクさんの作品はいつも孤独感がつきまとっている。
二人の孤独な男の行く末を、祈るような気持ちで読まずにはいられません。
童話のナイチンゲールが織り込まれ、美しく残酷で幸福な、、舞台は現代ですがお伽噺のようです。
張り巡らされた伏線に何度か読んで、ハッとしたり。
脇役が効いていたり。
最初読んだときは、よく解からなかった、カエルの折り紙。
人間には失うことが出来ない、逃れられないものがあるんだよ。カエルは鷺坂にそう云ったのかな?

何度読んでもモヤモヤしたり、、単に切ないとは表現できないような複雑な気持ちになります。
この気持ちは、木原作品を読んだときの気持ちに似ています。
なんとも表現できない切なさ、幸福感に涙が溢れる。
ああ、いい話だった。で、終わらない。読後に、う~んと考えさせられる。
5回程読みましたが、まだうまく着地出来ないのです。何年後は、どう感じるのかなぁ。

アルクさんを見つけてきたリブレさんGJ!!
只今アルク病で過去のアンソロ本やら何やら集め中です。
今、最も期待している作家さんの一人です。
本年のダークホースですな。

12

あの世に持っていく思い出

遙々アルクさん、レビューしたつもりで忘れてたので改めて。今まで3冊コミックス出てるのかな。数日で集めてしまいました。決して絵が上手いとは言えないのだけど、ひとつひとつが切り取られたドラマのようで、余韻が残るけれど、物足りない、もっと読みたい、と! 噛めば噛むほど味の出るスルメというか。全てのキャラクターにはちゃんと人生があるのがわかる、似た人など誰もいない、魅力的な人物ばかりです。短編もいいけど、長い話を読んでみたい! …その結果です。
冷たい風の吹き下ろす屋敷に住む王様と、突然入りこんできた庭師。王様の言うことなどきかない自由な庭師に何故か惹かれていく。だが彼の正体は恋愛詐欺師だった…。
単純なBLの世界なら愛があれば大丈夫なのだけど、もう一人の詐欺師に情報を流したことで警察に目をつけられる。騙されているとわかっていても愛を告げる王様と、騙す相手の孤独を知った詐欺師。相手から金を引き出す前に寝てしまった詐欺師と、詐欺師相手に来世の約束をする王様。そして警察が――。
メロドラマのようでいて、ほのぼのとした会話と、醜い現実が交叉して、純愛は形作られていく。事件は起こり、相手を想うがゆえに別の道を選ぶ二人。ラスト、これで幸せなのか!?と愕然とするとともに涙が~。
表紙の小道具にも意味があると後でわかる。薔薇とチョコレート、手袋に小鳥。
あの世に持っていく思い出で鞄がパンパン。それが幸せなのだと老人は語り、荷物は少ないほどいいと詐欺師は言う。
私の鞄はBLでいっぱいです。これを読めてよかったという幸せ。

最初と終盤に出てくる検事さん、ビター×スイートの攻のお兄さんかな。名前が平凡なので、気付くのが遅れました。確かにおもろい一家だ。

12

罪か否か

何度読んでもいつまでたっても感想がうまくまとまりません。
正直、アルク先生の平面的なイラストやどこかセルロイドの人形を思わせるようなキャラの顔などが苦手な方には、生涯手を伸ばさない一冊でしょう。それが分かるからこそ、私自身人に勧めたことがありません。
キャラクターたちの独特な雰囲気、基本的に長方形のみで淡々と割られているコマ、ぎっしり詰め込まれる内容、特にこの作品は吹き出しが多いので必然的に情報量も増えています。そこに特徴的なイラストがはまるわけです。
表紙を見ただけではそんなに特殊なイラストではなかろう、まぁ耽美系かしらと感じるのですが、慣れるのには少し時間がかかる風合いですよね。

でもアルク先生にしか描けない、もの悲しさ・うら寂しさがそこらじゅうに重く垂れこめていました。
人が触れないところを嫌味なくかすめていくのも、先生の古めかしさを感じる作風だからこそ受け入れられるのかなと思います。痴呆症のことも、内気なガキと称することも、本物の鷺坂の末路も。

特に、鷺坂もとい蟇田の最後。
誰がこうなることを予想していましたか? 彼は確かに詐欺師という職についていました、裁かれるべき人間であり罪を償うべきことを重ねてまいりました。
愛を感じ始めた星に対してもひどい裏切りを働きました。なにしろ彼は詐欺師でありましたから、欺くことが生業でありそれを星に対してもすることで自身は決して王様に心を寄せちゃいないと説いているようでもありました。……なるべく心を寄せないように、近づいてしまわないように、自分が何者であるかを忘れないように…みえました。
出所後、新たに歩みはじめた世界でただ星のことをそっと地上から夜空を見上げるようにそっと、誰にも迷惑をかけずにかの人のことを想っていただけだったのです。星は会いたいだろうと思いますが、でも蟇田が選んでいたのは寂しい王様との別れでしたし会わす顔もありませんし、なにより会ってしまえば自らの感情を認識してしまうから、だからこそ進んで再会への働きかけをしなかったのでしょう。
蟇田は悪い人間でしたが、悪くならなければ彼は生きられず、でも悪いことを正当化はできませんからやっぱり悪だったことは、間違いありません。

そんな蟇田の過去をすべて清算してしまうような展開。

衝撃的です。まさか、こうなるとは考えもしていませんから。
インパクト抜群の絵面は忘れられません。
星が愛したあの蟇田の顔はもう、ないかもしれない。
声帯だって元通りにはなっていないかもしれない。声、もう違うかもしれない。
王様、と甘えてねだった指も顔も手も声も体もなにひとつかつての蟇田とは違うかもしれない。
それでもきっと、星は蟇田を愛するのだろうなぁ…。

はたと気が付いたのですが、アルク先生の作品にはページを捲っての唐突な場面転換の手法が多様されていると思います。それがゆえに、お話自体からテキパキとした印象を受けるのかもしれません。
柔らかい、よりも硬いと感じるのに、でもお話の雰囲気はノスタルジックで童話っぽい。総合的にみると柔らかさがあるのですよね。本当に不思議。
あと生真面目な星と子供の組み合わせって、絶妙で可愛らしくって。ほっとします。
帰ろう。一緒に、帰ろう。

11

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