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いわゆる「芸人シリーズ」の1作。
でも他の作品を読んでなくても大丈夫。私自身もこの「芸人シリーズ」は読み順バラバラに読んでます。
「恋で花実は咲くのです」
時間軸は、「芸人」1作目の「何でやねん!」のCPコンビ『バンデージ』が40代の大物になっていてる頃。
主人公・芝山隼斗は漫才コンビ『スパークファルコン』のツッコミ、29才。
しかし、いまひとつ芽が出ないまま、父親が倒れたのを機に実家の旅館を姉夫婦と立て直すために漫才を諦め、大阪を離れて3年。
実家の旅館だけでなく、地域の旅館組合を巻き込んで寂れた地域を再生させようと頑張って、成果が出てきていたその時。
かつてのマネージャーが『迎えに来た。一緒に帰ろう』と現れた………
現役時代、このマネージャーが自分に気があったことは気付いていて、でも気付かないふり?というかそこには触れずに過ごしていた経緯があって、今回またお笑いの世界に呼び戻そうとする時田は、そういう恋愛込みで隼斗を欲しているわけです。
対して隼斗は、一度はお笑いを捨てたから戻りづらいという意地や、地元の復興を投げ出せないという責任感や色々あってはじめは固辞してるんだけど、漫才の夢が中途半端に終わったことで心の中にまたお笑いへの熱が高まり、ぐるぐると煮詰まっていきます。
そして時田の恋も受け入れるんだけど、いつ時田を恋愛的に好きになったの?という感じかな…
「笑って花実は咲くのです」
座付き作家としてお笑いの世界に戻った隼斗と、新しい劇場の支配人・時田。
お笑いの弱肉強食的側面をえぐって、お仕事BL的です。
仕事への取り組み方の違いで何となくすれ違いがあったり。仕事ではぶつかっても好きな気持ちは離れない。この辺はやはり時田は大人で、でも思いっきりヘタレで。
2人はついに最後まで結ばれますが、デレデレの時田に対して隼斗はかなりツンです。
「愛で花実が咲きました」
1年後。
新劇場は順調。ネタの復活が感じられる熱気です。
時田と隼斗も順調。ツンの隼斗も甘えるようになりました。
新刊「片恋の病」をきっかけにシリーズを再読しています。
お笑いを舞台にした作品では一番これがコミカルだなと思いました。
「片恋の病」も、「何でやねん!」「月も星もない」もシリアスでぴりぴりしたものを感じるのですが、こちらは支配人×元芸人という支える立場だからか、ふははと笑えました。
コンビでないカップルだからか、仕事ではともかく恋愛ではそう言い争いにはなりません。芝山が口に出さず、腹の中で「何か言えやコラ」とか毒気づくのが面白かったです。
芸人じゃなくなったという寂しさや立場の変化、他の芸人の今後を左右するという重圧、職場恋愛の難しさという心情もかかれていますので、仕事モノ好きにも良いと思います。
草間先生のイラストが作品の雰囲気にぴったりでした。私の一番のお気に入りは、時田の背中を蹴る芝山です。ただ、文章を読んだときは、イラストのような横蹴りでなく、真後ろから足の裏でどかっと蹴る姿だったのですけれど。
「片恋の病」を読んで芝山に興味を持った方に超おすすめです!時田の印象が変わって笑います。
草間さかえ先生のイラスト。
かっこいい男は目の保養です。
萌え萌え。
草間先生の 本中のコメントマンガも笑えた。
この本も 話の内容を確かめずに購入。
一発 即表紙買い!!
小説はイラストで決める事が多い私。
当たりでよかったです。
話もどんどん引き込まれて最後までするする読めました。
お互い仕事で妥協は絶対にしない男二人の話。
どれだけ剣呑な空気が周りに流れようとも
自分の仕事は自分で片をつける。いい男達だった。
対等な男と男の話で面白かった。
最後のイチャイチャがギャップがあってかわいいので
ニヤニヤしながら読めました。
芸人になる夢を捨て、郷里の温泉街で働く隼斗のもとに、元マネージャーの時田が現れた。
隼人に向かって「迎えに来た」と言った彼は、隼人に新しくできる劇場の専属の漫才作家になってほしいという。
隼斗はその申し出を、一度は捨てた夢だから、と即答で断るけれど、時田はそんな隼斗を諦められないと言い、温泉街にとどまった。
そのことから、隼斗が必死になって封じてきた、お笑いへの熱い思いも、時田への密かな想いが溢れ出してしまう……
という話でした。
隼人は一度は、ちっとも売れなかった芸人への想いも、本心を最後まで告げてこなかった時田への想いも割り切ったつもりでいたけれど、実のところ、お笑い番組も今までの自分のネタ帳も見ることができないくらい、未練があって。
それを必死に覆い隠して、自分はこの温泉街の人間なのだから、と言い聞かせるようにして日々を送っていた。
そこに突如再び、時田が現れて。
あろうことか、隼斗の都合も聞かずに「迎えに来た」と言い出した。
もちろん、隼人は大混乱。
挙句、断腸の思いで切り捨てたはずの過去を突きつけられて、思わず、時田に対して怒鳴ってしまう。
それでも、私情も含めて、隼斗を連れて帰ろうとする時田は、隼斗の実家である旅館に泊まり、隼斗を説得しようと試みてくる。
で、まぁ、結局は隼人はその時田の説得に折れて――というか、自分の気持ちに正直になって、再び芸人の世界に戻ることになる。
それが一つ目の話。
それから、少しずつ時間が進んだ二つの話が入ってました。
二つ目の話は、実家での後始末を終えて、東京に出てきた隼人が仕事で時田とぶつかり、自分の仕事のやり方はこれでいいのか、と思い悩む話。
それともう一つは、そこから更に一年が経ち、関係が落ち着いた二人の間のちょっとした嫉妬の話。
普通の恋愛小説みたいな綺麗なハッピーエンドじゃなくて、ちょっと泥臭かったりする話でしたが、だからこそ、互いが恋人同士として続いていくんだろうな……と思うような最後で、とても面白かったです。
甘くはないけれど、素敵なBLを読みたい方にはオススメします!
久我さんの、お笑い界物シリーズ4作目。
一番最初の「なんでやねん」が容姿才能ともに持ち合わせたスーパースター『バンデイジ』、「月よ~」は、お笑いブーム最後のスター『パイロットランプ』、そしてお笑いブームがさって、お笑いをやめてしまった男の話「それは言わない~」と、ずっと時間は続いて、どんどんリアルさが増しているこのシリーズ。
今作品は、お笑いブームがさり、実力がありながらも、どうしても売れずに、一度はお笑いをあきらめて郷里に戻った男が、3年後、芸人としてではなく、漫才のネタの作者として復帰するというお話。
現実のお笑いブームの流れともリンクして、実にリアルな設定です。
久我さんの作品のおもしろさは、こういった設定のリアル感。
実際の社会の動きもそうですが、主人公たちだけでなく、周りの家族や幼馴染みや他の芸人など、総ての登場キャラたちの設定や、郷里にいたのが3年間という時間の流れなど、それら総てに納得のいく説得力がある。
そして、ちゃんと人の話を聞くことができ、自分で自分を見直して、自分の人生を前向きに受け入れることができる、そんな登場キャラクター達がとても好きです。