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表題作青に沈む庭

玖珂逸人,29歳,元義兄の喫茶店マスター
岩瀬一,20歳,写真家志望の大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

岩瀬一は「家族」の繋がりを信じ、大好きな元義兄の玖珂逸人のもとに通い詰める日々。病的に憧れすぎている自覚はある。ただ、姉と離婚して以来、すべてを諦め孤独の中で微笑む彼が哀しくて、けれど自分では癒せないことも知っていて…。そんな折、ふとしたきっかけでこの気持ちが恋だと気づいてしまう。せめて本気で想っていることだけは知ってほしい。ふられることを覚悟の告白。そうして望まれたのは、会いに来ないで忘れることだった。圧倒的な拒絶を噛み締める一。だがその矢先、逸人が押し隠していた秘密を知ってしまい…

(出版社より)

作品情報

作品名
青に沈む庭
著者
朝丘戻 
イラスト
山田シロ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576101651
3.3

(49)

(17)

萌々

(7)

(12)

中立

(3)

趣味じゃない

(10)

レビュー数
11
得点
152
評価数
49
平均
3.3 / 5
神率
34.7%

レビュー投稿数11

恋も家族も大事にする話

基本は、元義兄弟の逸人と一の恋の話。
でも、離婚をした姉や父母との家族の事や、ずっと愛されないで育ってきた逸人の父親の事。
全てが丸っと円満にはならず、幸せになるために、ここから、自分たちで変えていこうという最後がとっても良かったです。

この作品の好きな所は、
逸人の気持ちは、読み進めていくとなんとなく分かってくるけど、相思相愛だからハイ!付き合う!という簡単なものではなく。
一は長男だし、姉は元嫁だし、男同士だし。。。様々な葛藤。
あとは、出てくる女性が二人ともサバサバしていて、気持ちがいい!
特に姉の真がかっこいい!こんな人になりたいわぁと思いながら読んでました。
そして、出てくる土地が自分の良く知っている所なので、現実にある地名を使ってもらえると、やっぱり嬉しい!
ぜひ、読んでみてください。

4

他人同士から家族は始まる

作者様が描く情けない大人としっかり者の年下カプがお気に入りです。前作にあたる「あめの帰るところ」も同じような組み合わせでしたが、この作品は二人の恋を通して家族のありかたを問うたお話だと感じました。

逸人は温かい家庭を作ろうと求めていたはずなのに、最終的に相手と相手の家族を騙すことになってしまいます。その罪の意識を一緒に引き受けていこうと覚悟する一の成長と二人の行方を、一の姉である真の心情に寄り添いながら見守りました。

逸人の営むお店が湘南にあったり、一が写真のプロを目指していたり、作中にお花や猫がでてくるところは、作者様ご自身がお好きそうなイメージをそのまま投影しているようで、ファンにはたまらない演出です。そういった一つひとつ、大切に選ばれたもののさりげない描写にいつも癒されます。

5

え?そっちだったの!?

全体を通して、恋愛というよりは家族愛がテーマ。
家庭に恵まれなかった逸人と、家庭に恵まれてる一。
対照的なふたりですが、この家族愛がたまらなく切ないです。
なんといっても、脇キャラの女性陣が素敵。
桃色部分はきわめて少ないですが、逸人のセリフに激しく萌えました。

優しくするけど、手加減はしないよ

ヘタレだと思ってたら、とんでもない猛獣だった、みたいな。
個人的には絶対に逸人が受だと思ってたので、そこでもう仰け反るほど驚きました。
いや……性格的に、絶対に一の方攻だと思うんですけどね。
だから↑のセリフに余計に萌えました。
私はリバ全然OKなので、リバップルという形で読んでみたいとも思いました。

1

現実の痛み

 これは絶対しっとり系のいい話だ! と思って読んだら、やっぱりしっとり系のいい話でした。
 こういうので当たりを引くとワクワクしますよね!

 物語の主人公は岩瀬一。
 一って書いて「いち」。

 一には真という姉が一人いて、その姉は一度、二十歳の時に結婚し、その三年後に離婚した。
 一は、その姉の元夫である元義兄のことが大好きで、元義兄の玖珂逸人の元に通い詰める日々だった。
 逸人は、一の姉と離婚すると共に、今まで勤めていた大手企業を辞め、「夢」と言っていた海岸で喫茶店を営む日々をしていた。
 けれど、一の目に映る逸人は何となく表情も冴えず、全てを諦め切った表情を浮かべているように見えた。
 一はそれが悲しくて、なんとかして逸人を笑顔にしようとするけれど、逸人は二言目には一に対して「もう来なくていい」と言い、「バイトとしては雇わない」と言うのに、時給九百円のお小遣いを一にくれたりする。
 一はそんな自分の立場を歯がゆく感じるのだけれど、同時に自分では逸人を癒せない事を強く意識していた。
 そこまでして逸人を想う自分の気持ちを、一は家族や友人に感じる親愛の情だと、深く考えた事もなかったけれど、ふとしたことがきっかけで一は自分が逸人に抱く想いが「恋」であることに気が付いてしまう。
 せめて本気で想っている事だけは知って欲しい、と思った一は、振られる事を前提に決死の思いで告白するけれど、結局、逸人に望まれたのは一が、逸人にもう会いに来ないで忘れる事、だった。
 一は、自分に対して彼がそう感じるのは、まだまだ自分が子供で頼りないせいだと考え、自分がずっと思っている事だけは忘れないでほしい、と告げ、彼の前に姿を表さないようになる……


 という話でした。
 家族に恵まれなかった逸人と、家族に恵まれた一。
 逸人は、一の家族を壊したくないと、ありきたりの幸せを一とその家族には手に入れて欲しいと願い、その手を振り払うけれど、真っ直ぐな一は、その逸人の想いまで踏み越えて、彼を手に入れる……という感じの話でした。

 なんというか、一の真っ直ぐさと純粋さが、逸人には怖かったんだろうな……と思いますが。
 こういうちょっと現実を噛みしめる感じの痛い系の話は大好きです。

 そしてそれよりも何よりも、元妻・真がかっこよすぎる!

3

読み手を選ぶ作者であり作品かと。

いやー、最初の数ページはオノマトペ多用、体言止め多用、
かなり強烈で独特なリズム感のある文体に感動すらしましたよ、小生。

展開が特別悪いわけでも、キャラ設定が弱いわけでもないんで、
これはシュミの問題でしょう。ウン。
義兄弟モノアレルギーでもないし。
いや、決して悪い作品ではないんですが、読み進めるごとに
変なストレスたまるんですよコレ。

銀色夏生さんとか好きな人はハマるんだろうなと(たぶん)
全編ポエム状態のトロットロした世界が……うぅぅ…。

たとえばですよ、一穂ミチ先生とか最近では尾上与一先生ですね
ああいう方々の世界観もどこか詩的なものありますが
それをポエムな文体で書かれると、
プリンとゼリーにクリームとチョコレートトッピングしました的な、
居心地の悪さを感じる……。

極端な話、このプロットでほかの作家さんが書いてたら
こうも「ウグググ…」とはならなかったかもしれない。
紙で作った星をためこんでるとかどんなポエム…orz

大筋では決して悪くないのに、付随するエピソードがいちいち中二病…。

さらに周囲の人々が結果的にものわかり良すぎるのもなんだかなー。

8

ofnotice

〉jimmyさん
あ~意外にいらっしゃるんですねぇ、朝丘作品ダメっていう方。
「あめの帰るところ」なんかは大絶賛の嵐だったので、正直なレビューがつらかったですw
パーツパーツでは「おぉ!」と思うところもあるんだけど、
それが連綿と続くとなかなか辛いものがあります(苦笑)
とくに「くち」とひらがなで書いてあるのにものすごいひっかかりました。
いや、どうでもいいことなんでしょうが、「くち」がなんで「口」じゃいけないのか
小一時間問い詰めたいぐらいなんですよ、えぇ。

「世界観」ですか、なるほど。
たしかに特殊な世界観ですよね…。

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