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表題作リバーシブルスカイ

陸豪士(くがたけし)
27歳,クライマー
中井蒼一(なかいそういち)
30歳,外科医

同時収録作品リバーシブルスカイ

中井蒼一
外科医
陸豪士
クライマー,弟の親友

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

今から汚されるのは、私じゃなくて、君だ

絶望に陥った弟の親友・陸(くが)を救おうと、蒼一は陸とともに住もうとするが…。
リバもの登場‼︎

高校時代、クライマーを目指していた医者の蒼一は、弟の親友・陸に夢を託し、活躍を密かに見守っていた。しかし、登山中に弟が死亡し、陸が重傷を負ってしまう。彼を救いたい一心で、ともに暮らし面倒をみるが、肉体は回復しても、陸の心はズタズタなままだった。毎晩悪夢にうなされる陸を起こしていた蒼一は、ある夜夢うつつの彼に、突然襲われ…。
相手への想いに葛藤しながらも、頂上を目指す二人の運命はーーー。
禁断のリバものが遂に、登場‼︎

作品情報

作品名
リバーシブルスカイ
著者
沙野風結子 
イラスト
和鐵屋匠 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344820944
3.5

(28)

(3)

萌々

(11)

(12)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
7
得点
96
評価数
28
平均
3.5 / 5
神率
10.7%

レビュー投稿数7

リバ嫌いじゃなければ

私は問題なく読めました。

弟の昇がどんな思いでいたのか、そのあたりが読者に委ねられているんだと思いますが、やっぱり蒼一のことを性対象としてみてたんですよね、ハッキリとは書いてないけど。
だから兄にはザイルを任せられなかった。

蒼一は最後までそこには気づかなかった、のかな。それでも蒼一と陸がお互いに求め和えたのが私には萌えどころでした。
リバですが、そこもエロティックで、流石沙野風結子さんの力量。わざとらしいリバではなく、自然とそういう流れを作られていて、リアルでした。本来そういうものかもしれないと。
単純な山岳遭難や山の中の話ではなく、平地をベースにしてそこの人間関係を書いているので、そういう意味でも良かった。

軟禁されていた陸のところからの脱出劇は爽快です。二人のキスシーンはジンと来ちゃった。
けど、窓に穴開けたらそんな高層階ならヤバイことになるんじゃ?ってのはね、フィクションだから目をつぶっておきます(笑)

山岳モノは、あんまり無い気がしますが(真崎ひかるさんのくらい?)BLには向いてる気がする。
男のロマン的な…ヤクザモノの方がわかりやすくはあるんですけど、萌は山岳モノの方が良いかも。

2

山岳テイスト満載のエロ表現が素晴らしいです

BL小説界のK2でしたね。登頂するまでに時間がかかってしまいましたが(積んでたので…)、登頂して見上げる空の蒼さに自分が融けてしまいそうだ…くらいの気持ちになる山岳BLでした。すごかったな!!

主人公は天才アルピニストを弟に持つの蒼一。高校のときに弟(昇)の親友となる陸のクライミングを目の当たりにして以来、自身のクライマーへの夢を彼に託し(ひっそりと)医者の道に進むのですが、有名なアルピニストとして活躍していた昇のK2での遭難以降、ザイルパートナーとして重症を負った陸との関係がはじまる、、というお話なんですが。現在進行しているドラマの合間に、遭難した当時の状況や過去エピが挿入され、徐々に様々な事実が明らかになっていき、いい緊張感をもって楽しめました。蒼一に思いを寄せるお嬢様とか、陸に執着する理学療法士の存在もドラマを盛り上げています。

すでにレビュアー様のご指摘にもありますが、山岳ものってBLとの親和性が高いですね。山岳ものといえば夕映先生、というイメージなのですが、こちらは本当に沙野先生らしい山岳ものという印象でした。特にエロが素晴らしくて…相手の身体に”登攀する”、”割れ目(クラック)、攻めたおしたい”、”パンプしそう…”等々、クライマーらしい(?)表現が散りばめられていて、、、中でも爆発したのが、相手のなかに自分のTNKをおさめきったときの一言
”頂(ピーク)だ…”
萌死ぬかと思いました。いや、一回逝ってました。
私はリバ好きなんで抵抗ありませんが、描かれている2人の関係性から見ても、どっちがどっちという固定じゃないほうが自然な印象ではないかと思いました。

リバに加えて、前半はちょっと兄弟と陸の三角関係的なイメージがありました。(昇→蒼一→陸→昇←?蒼一)ここの感情の流れは不確かなのですが、、この兄弟は陸を介してしか結ばれない宿命だったんだなとぼんやり思いました。

ずっと死(昇)に憑かれていた陸が、生きる意義であり人生で最初のザイルパートナーだった蒼一のところに戻り、再び山に向き合う展開の尊さ、締めくくりのカッコよさに痺れました。命をかけた男たちの世界、夢とロマンと萌がいっぱいの山岳ものがもっと読みたくなりました。

2

クライミングか生きてる

途中まで陸、昇の関係が純粋に友情なのか恋愛関係にあったのかが分からなくて
どっちだろ、どういう関係なんだろ、3人の関係性にドギマギしました。
恋愛じゃなかったにしろ、陸と昇は命をかけ合う特別すぎる関係で
陸と昇にしか分かち合えない山を愛する男の絆の深さ、
兄としても登山家としても入り込めないことに苦しむ蒼一、
クライミングの切迫感も加わってキリキリ苦しい。
その苦しさが、たいそう良かったです!!苦しみにもがく男たち!!
すれ違いから想いを通わせるまで
シリアスでスリリングな展開に惹きこまれました。

リバという点に関しては
病みかけの陸を目覚めさせるためのショック療法なところが強く
陸の意思があってのリバではなかったですし、
今後も蒼一×陸になることはなさそうだなぁという印象。

リバが苦手な人も読めるリバというのは納得。
リバ好きな人が萌えるリバかというと難しいところ。
私はどちらもが攻めてみたい!受けてみたい!受け入れてやるよ!!
という求めあって、納得し合ってのリバが好きなので・・・
陸×蒼一の時に、蒼一が陸のお尻に指入れちゃうのはおおぉっ!となりましたが!
受ける素質もあるから蒼一×陸ももっとあると良いんですけどね。
リバものもっともっと増えてくれ~~~

慎重だから故に強い蒼一はとても魅力的で、
3人の生き様がカッコよかったです。

2

こんなにBLと親和性が高いとは…

ちるちるユーザーさんのレビューを見て気になり、手に取りました。たまたまレビューをチェックしていて良かったです。このきっかけがなければ、購入するのがずっと後になっていたかもしれません。

先日NHKで若い登山家が無防な挑戦をして命を喪ってしまうという心苦しいドキュメンタリー番組を視聴していただけに、こみ上げてくるものがありました。この作品も壮絶な内容で、展開もよく考えつかれたものだなーと感心させられるものでした。

あとがきに先生がこの作品を執筆するにあたり、自らに課したクエストの内容を知って驚きました。そのクエストを達成する為にこれだけの作品が生み出された…という所がホント読者冥利につきますね。人によっては、大変高いハードルになるかもしれませんが、お陰様で心の中はK2クラスの高みに登れましたww
クライミングがここまで、BLと親和性が高いものだとは…。完全にヤラレましたよ。特に昇と陸が思い出を積み重ねた空間は二人だけの侵せない聖域で…。「極限状態」、「二人っきり」のキーワードに目からウロコです。

孤高の人達が命懸けで山に挑む理由は千差万別ですが、少しは理解に近づける足がかりとなる一冊でした。ダークな面も匂わせるビジネスサイドの話も触れられていて、綺麗事にされず、リアリティーがあった所が良かったです。タイトルの意味の深さに泣けました。この作品からクライミングというこの世の高み(自然界の極限)への挑戦の光と闇の側面の表裏一体感を肌で感じ取れたところが感慨深かったです。

キャラクターが魅力的なので、カップリングも非常に萌えました。男同士のリアリティーのあるBLがとても良かったです。いい夢見させてもらいました。こういうBLを求めているんです。男同士でないと到達出来ないような精神的な高みを味わいたくって。文章の美しさ、物語りの深みに絶対的信頼感のある作家さんですが、BLに対する感度も鋭いですね〜!地雷のある方も、そちらはあくまでプライベートな側面にしかすぎませんので、壮絶な三人の生き様を知って欲しいです。地雷に尻込みされるのは勿体無いです。自分にとって特別な一冊になりました。また読み返そうと思います。

5

珍しいリバーシブル小説

冒頭、登場人物たちのの高校時代から始まります。
クライミング部の副部長・3年の中井蒼一と、蒼一の弟で1年の中井昇(しょう)、そして昇のクラスに転校してきた陸豪士(くが たけし)。
医者になるか迷っていた蒼一が、陸のボルダリング姿を見て、すっぱりとクライミングをやめて医学部に進む決心をする…
それから10年が経ち、蒼一は外科医となり、昇は天才アルピニストとしてヒマラヤの山々を無酸素で登攀していた。そしてそのザイルパートナーが陸。
だが、2人で挑んだK2で登頂成功後の下山中に雪崩に遭い、昇が還らぬ人となる。大怪我をして帰国した陸は、精神的にも大きなダメージを受けていて…
肉体的には回復してくるが生きる意志を失い、昇の幻を見ているような陸。1人にしたら食事も摂らなそうな陸を、蒼一は自分の部屋に住まわせる。
蒼一は元々陸の素晴らしい身体の動きやクライミング姿に惹かれる気持ちを持っていたのだけれど、最初の2人の「接触」は、陸の夢うつつの中での行動で、多分自分では性交とも思ってなかっただろうし、まして相手が蒼一だとも思ってなかったのでしょう。
蒼一の方も激痛と少しの快感とともに、これは陸の好意・欲望から来る行為ではない事も分かっていて、お互い忘れようと言う。
しかしそのあと蒼一は、同性との関係性に踏み込む勇気もないまま陸への感情が高まっていきます。
一方陸の方もその行為の後、目が覚めたようにリハビリに励むようになり、蒼一へも微妙な感情を抱いていきます。
この作品の一つのポイントとして、今はもうここにいない「昇」の存在があります。
陸と昇は決して恋愛関係ではなくもちろん肉体関係も一切無いのですが、陸には昇が全てのようなところがあり、昇がいたから自分も登山家になり、昇がいたから山で極限状態になっても必ず生きて帰ってきた。なのに昇が死んだ。
蒼一は陸に惹かれるけれど陸の目には昇しか映っていないと感じ、自分が昇の代わりのような気持ちにもなり、そして昇の代わりになどなれないと絶望し、いつでももういない昇を挟んだトライアングルのよう。
途中から陸にとっての昇は「山での死」と同義語になり、「生」に繋ぎとめてくれる蒼一から引き離された後はズルズルと死の誘惑に引き摺られていきます。
そんな危うい陸を現実に引き戻す方法として、蒼一は陸を貫くのです。

蒼一の勤める病院での院長選挙や、上司の娘との交際、陸に異常に執着する理学療法士・野木、野木に監禁されて強要される恐ろしいトレーニングなどが絡んで、後半スリリングに展開します。

リバーシブルという観点から言うと、一度「蒼一x陸」があるけれど、基本は「陸x蒼一」だと思います。
ラストの2人のHシーンは、陸が蒼一を「蒼一を登攀したい。色んなバリエーションで極めたい」と言って登山に例えているのが面白いけれど、かなりエロくて官能的でした。蒼一に挿れながら、蒼一に指を入れられて喘ぎながら攻める陸が良かった。
山の恐ろしさを知りながら山に登らずにはいられないクライマーのメンタリティ、鍛えられた肉体のムーブの描写なども非常に読み応えがありました。
極限の崖で空を見上げる時、空に登っていくのか空に降りていくのか、上下が反転を繰り返す…
それが美しいリバーシブルスカイ。

6

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