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樋口先生に愛の話を書かせたら、右に出る作家さんはいないんじゃないでしょうか。
お恥ずかしながら、子供を育てながら私自身が愛ってなんだろう、なんて悩むことがありまして。
無償の愛とは?
愛しているなら何でも許してあげるべきなのか?
いつだって全力で存在を認めてあげるべきなのか?
そんなふうに出来ないなりに、そんなことを悩んで、けれど、ちゃんと受け取れなかった愛情が後々にまで自分の中に小さな穴になって残ることを知っている。
だからこそ悩んで悩んでぐるぐるしてしまうんですが、望の心情ととてもシンクロしてしまって、なんだか本当に切なかったです。
『ブラックホールのような孤独の穴、
どんなに愛情を与えられても蓄積されず満たされない。
寂しさを感じ続けている』
そんなふうに、望は自分の心を作中で表現している箇所がありましたが、望の心の中にある穴は、多分、どんな人にも存在しうる穴で、どんな人もずっとその穴を埋めたいと切望していると思うんです。
たからなのか、望の弱さや狡さ、そういうところは共感できないなぁ、なんて部分も多々ありながら、先を読まずにはいられず、あっという間に一気読みしてしまいました。
正しいことをらいつでもできるのなら、こんなに迷うことも泣くこともない。
まさに、これなんですよね。
泥の重さも知らないで、さっさとあがってこいっていう。俺だってそうしたいよ!できないから苦しんでる!
この言葉、本当にグサッときました。
望も俊一も、ただの普通の人なんです。
だからこそままならないことか沢山ある。
大切に思っていても、通じ合えない気持ちがある。
中盤、2人が言い争っている最中、お前がすきなんだよ!と言葉にした俊一ですが、こんなに好きの違いが辛い告白なんて、今までにあったでしょうか…
泣けて泣けて仕方ありませんでした。
死ネタは大の苦手で、小説で泣く時ってだいたい死ネタの時が多いんですけれど、この作品は、ずっと鼻をズルズルさせて読んでいました。
そのくらい、心にくる作品です。
終盤の家族のやりとりも本当に泣かされました。
それぞれの立場、それぞれの思い、でも綺麗事や優しさだけではどうにもできない家族間の問題。
距離が近いからこそ、甘えもでて相手を傷つけてしまう。
それが、やっと少しだけ傷の修復に向かった場面。
どの人物の気持ちにもリンクしてしまって、辛くて苦しくて、けれどやっと少しだけほっとできました。
この作品は、BL作品に出てくるかっこいい攻めや、愛らしい受けが繰り広げるような壮大なお話ではないんですけれど、よく居る普通の人が、よくある悩みを抱えて、そうして乗り越えて、愛を見つける、愛のカタチがたくさんつまったお話でした。
俊一と望の「ぼうや、もっと鏡みて」 を先に読んでしまったので、
内容に新鮮さを感じられなかったのが残念。
実家は総合病院を経営、父も兄二人も医師。
末っ子の望は、母を早く亡くし、長兄に面倒を看てもらいながら育つ。
いつもちょっとトロイ望は、いじめられっ子。
そんな望を俊一は保育園に通う頃から仲良くしていた。
望はゲイだと親に告白、親が怒ったままなので家に戻れない。
望が大好きなのは俊一。 でも俊一に道を外させたくない。
望は、他の人と付き合って別れる都度に怪我をする。俊一に泣きついて抱き着く唯一の瞬間が、望の至福。
俊一が、アルバイト先で知り合ったカメラマンに望を紹介。やっぱり殴られて別れてくる。
・・・ここから先は、「ぼうや、鏡をよくみて」に続く。
望は、馬鹿ではない。性格が変わっている。
鈍くて、怒りが沸かない。すぐ赦しちゃう。懲りない。
赦してしまう望に「お前は強いな」と誰かに言われる場面が何回も出てくる。
望は、強い人なんだろうか?? よくわからない。
あー、辛っ。
あまりに主人公の望が弱くて苛ついたのですが、実は全然弱くなかった。
むしろ、ものすごく心が強い……
まぁでも許すのも愛だし、許すことは強い人にしかできないことなんだろうなあ。
ダメな男に好かれるのか、男をダメにするのか。
ダメ男ホイホイの望はゲイで、幼馴染の俊一が好き。
しかし、俊一にゲイであることを打ち明けた望は、彼から「俺を好きにならないなら別にいい」と言われてしまいーー…
予防線を張られてしまった望は、もう俊一に気持ちを打ち明けることができません。
誰よりも望を否定し、見下している俊一。
そのことに、本人すら気付いていないから罪深い……
こいつ、望のこと好きでしょ?と思わせるほど過保護で執着心の強い俊一ですが、その気持ちは抑え込んだまま。
恋愛の意味で愛せないし抱けないのに、望を手放ししてやることもできない。
そんな俊一が紹介した年上の男が、これまたクズ。
これには驚いた。
数いるダメ男の中で、最もダメ。キングオブダメ男。
優しさと暴力の繰り返しにゾッとしました。
執拗に望を追いかけてきては殴る蹴るの暴力。
悲しくて悔しくて泣けた。
数少ない光は、望の次兄・康平と、予備校の竹田。
この2人に救われたよ。
人として素敵な2人でした。
さまざまな困難を乗り越えて諦観の境地に至ったかのような望には、吹っ切れた強さを感じました。
これから追いかけるのは俊一になるんだろうなあ。
ある意味ザマァだわ。
『愛のはなし、恋のこと』がまた秀逸!
「愛されることは不自由、愛することは自由」
……この言葉の意味に納得。
でも、愛を失いたくないと思っている時点で、きっともう愛しているんだと思うんだけどな……
ハッピーエンドとはいえないけど、すごく刺さるお話でした。
続編も読みます!
なんだろう……すっごい憤りを感じるし、イライラするし。
読んでいて、決してハッピーになったわけじゃない。
ひたすらやるせなさを感じていたのだけど、どうしてか最後まで引き込まれるように読んでしまいました。
報われない恋をする望、応えてやれないが離れることもできない俊一。
自分がゲイだと言った瞬間に築かれた壁。
だけど好きになってしまった。いや、打ち明けたときにはもう惹かれていた。
報われない恋をしながら、俊一以上に好きになれる人を探す望のことを、否定はできない。
苦しいなら、誰かに助けて欲しくなる。
だから、好きじゃないのに体を許してしまうのは駄目だとは、わたしは思えないんです。
だけど、俊一ばかりを見る望は他者には鈍感で、その無神経さが仕方のないことだとしても、なんだか辛い。
他の人を好きになれたらラクなのにとは言うけれど、恋って決してラクじゃない。
ラクさを求めるうちは、俊一からは逃げ出せないんじゃないの?と。
一方俊一ですが。
大事な幼なじみが傷つくのは許せないのは、分かる。
けれど、俊一からはズルさを感じます。
『望が最後に頼ってくるのは、俺なんだ』というような。
いっそのこと、望をこっぴどく振ってやれよ!となる。
望を選んであげるの?と期待してしまう瞬間があって、だからこそ余計に辛い。
暴力は絶対に駄目。
だけど、手をあげていないだけで、俊一も望を傷つけてる。
言葉や態度も、立派に暴力です。
心を傷つける。
許してくれるから、傷つけていいわけじゃない。
すべてを許してしまえるのは望の美徳かもしれませんが、許してはいけないものもある。
だから望、怒りなよ。と思うシーンもしばしば。
これは一般的なハッピーエンドじゃない。
だけど、望はようやく『さみしさ』に足掻くことはやめ、うまく付き合えるようになりました。
望としては、良い方向に向かった結末。
果たして俊一にとってはどうなのか。
急に変わってしまった望に、俊一は戸惑いはじめます。
巻末のおまけにある、俊一の変貌の片鱗。
そこから、また期待してしまう。
どうかその期待が裏切られることのないよう祈りながら…次に行きたいと思います。
非常に評価が難しかった。結局真ん中をとって萌。
印象に残る話ではあったけど、やるせない。
自分のその時の気持ち次第で、変わりそうな一冊でした。
のっけから申し訳ございません。
ゲイとして生きるうえで
ツラい事は沢山あると思うんですけど
だからっていつも被害者になるような出来事ばかりなんて…。
望は昔からちょっとぼんやりしていて
いじめられても怒ったりしないし、
一度痛い目に遭ったのに
反省の色を見せられて大貫とまた付き合って
結局ダメだったり
口先だけを簡単に信じて
五島にまんまとヤられちゃうとか
優しくて素直と言えばそれまでかもしれないけど
なんでなの??って思ってしまいました。
それこそ、望だから、なんでしょうね…。
他人に寂しい思いをさせたくない、
ガッカリさせたくない結果
自分が酷いことをされるというのは
読んでいて痛々しかった。
ずっと俊一を好きで、
俊一は庇ってくれたり助けてくれたりしてきたけど
それは恋愛の意味の好きじゃないと知りつつ
俊一以上に好きになれる相手はいないなんて
殺生な……!!
でも、望がお願いすると、
唇を合わせるだけのキスはしてくれるってツライ。
正直、俊一の気持ちはわからなくもないのです。
望が心配で仕方ないけど
同じ意味で好きになってやれないことや
手の届くところにいて幸せになって欲しいから
自分の知り合いの篠原なら大丈夫と思ったことも。
表面上は大人で穏やかな篠原が
まさかあんなに危ないヤツだとは
俊一にわかるはずもないし…。
望が、俊一を安心させる為にも
篠原を好きになればいいんだって思い込もうとするところと
篠原に殴られ、気を失った一度目の時の
望が俊一に思わず叫んだ想いには共感できました。
でも、自分で傷つくのがわかってるのに
流されるように好きでもない男と寝ちゃいけないよ…。
大貫も五島も望を好きな気持ちは本当はちゃんとあって
あんなに酷かった篠原ですら
望の心には俊一だけなのが許せなかったんでしょうけど
人としてやっちゃいけない事ってありますよね。
予備校の受験アドバイザーの竹田や
次兄の康平が理解のある優しい大人で良かった。
俊一との事も家の事も
明るい未来が待っていそうで安心しましたが
ほとんど悲しい気持ちで読んでしまったので
中立とさせていただきます…。
「しゅみじゃない」評価にしましたが、何かがカチッとハマったら「神」評価に変わるような不思議な空気の作品でした。
この二人は私が理解できない種類の恋愛をしているんだろうなと思いました。もちろん男同士だからという意味ではないですよ。色んな恋がありますよね、当然です。その上で私は望にも俊一にも共感できませんでした…。
俊一は基本的にズルい男で、それを自覚していないから尚さら質が悪い。彼が優しさと思ってやっていることはとても残酷で、望はそのことを知っていながら俊一を否定しないどころか自分を卑下しちゃう。
うーん…なんだか苛々してしまって、萌えに至りませんでした。
医者の息子で男三人兄弟のデキの悪い末弟、多田望と保育園の頃から彼を庇い、守ってきた優等生、本山俊一の物語。
ピュアな受けちゃんは大好物です。望くんはピュアなんだけど、同じ過ちを繰り返しちゃうおバカさんなところも…。育って来た家庭環境や、来る者拒まず去る者追わず的な諦めキャラから、望は自ら同性愛者であることを卑下して、一番大切なものが見えていません。そんな彼が成長していく姿が描かれています。幼なじみものは大好きなので期待して読み始めましたが、い~い感じにイライラさせてくれました(汗)。
望は予備校生なのですが、恋愛(というか俊一)の方が大事で、受験勉強(というか生きることそのもの)に身が入りません。愛情に飢えている彼にとって、常に安心させてくれる誰かを求め、手に入れることは一大事なのです。人生誰しもそんな時期があると思います。若しくは生涯追い求め続ける場合もあるかもしれません。…でも、もしそれが望のキャラ付けの一つなら女の子で描かれちゃっても同じなような気がして。しかもね、彼は受けだしね、読んでいて思考回路が女の子のソレとしか思えなかったの。リアルに望みたいな男の子がいたら苦手なタイプ。ドン引いてしまうかもしれません…。他方、俊一はノンケで男同士の一線を越えるのは無理なので、望とお互い好きは好きでも永遠に交わらない感情なはずなのに、なぜかチュッチュできてしまうのはちょっと不思議でした。そういうものなのかなぁ?
俊一が望に紹介した男の登場で一波乱起きますが、望がその後どうなっていくのかはぜひ本編で。彼らと同世代くらいのお若い方には響くであろうグッと来る要素が満載ですが、ただの年寄りにはキャラに共感しにくく、見守るには歯痒過ぎて、ちょっとキビシイものがありました…。続編があるのでそちらに俊一視点が描かれていたりするのでしょうか。続きを読んでからレビューをした方がよかったのかもしれませんが、とりあえずは本編のみの評価です。
発行当時から何度も読んでいるのにレビューはしていなかったので初めてします。
望は幼馴染を好きなのに好きと言えずに、好きだと言ってくれる人を好きになりたいと付き合うけれどやっぱり一番に好きにはなれない。
望の思い人で幼馴染の俊一は、だれとでも付き合い傷つけられても簡単に許してしまうことに毎回怒っています。
無自覚で男を誘ってしまう望です。
寂しさを埋めるために他の人で代用にするから、代わりにされた人が焦れて時に暴力という手段で振り向かせようとしてしまう気持ちがしっかり描かれていて酷いことをしているのに許してしまう望みの気持ちもわかります。
DVは許せないし愛を言い訳に暴力はあってはならないと思います。
でも、それでも怒れない望の気持ちががよくわかるのでとても複雑です。
何度読んでも毎回感動します。
望の報われない思いに悲しくなり、同じように愛してやれないことで苦しむ俊一の苦悩に苦しくなります。
でも、読むたびに「愛はね、… 」の続きの言葉がその時々でいろいろ浮かびます。
その時の恋愛感や、仕事や人間関係での悩みとか体調とかで前向きだったり悲観的だったり優しい気持ちだったりと違うのだと思います。
だから何度も読みたくなるのかもしれません。
初読み作家さんです。
正直、全く期待していませんでした。
タイトルや表紙、あらすじを見て、
「あー、私には合わないかもなぁ…」と
思いつつ、最初のページをペラリ。
いやあ、裏切られました。良い意味で。
特にラスト。
良かったです。
ちなみに現時点で、続編「ぼうやもっと鏡みて」は既読です。
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主人公の望(受け)は、幼馴染の俊一(攻め)にずっと片思いをしています。
しかし、俊一はノンケ。
望がゲイだと知っても親しくしてくれますが、
「俺を好きにならなきゃいいよ」という、最初から望に釘を差します。
これはなーちょっと酷いかも。
俊一の印象が私の中で悪くなりました。
「俺を好きにならなきゃいいよ」という言葉は、
望の心にも深く突き刺さり、
今後のストーリーを左右する言葉となります。
そして、幼馴染の俊一(攻め)に好きという気持ちを伝えぬまま、
主人公の望(受け)他の誰かを好きになろうと、ずっと努力し続けます。
しかし、その努力も報われず、いつもつまらない男にひっかかっては
泣かされ続けます。
心も体も傷ついたあとは、いつもどうしても俊一の元へ……。
そうすると、俊一は望に親身になって助けてくれるので、
最初は「良いヤツかな?」と思ってましたが、
これがトンデモナイ!!(怒)
望が本当は自分のことが好きなことを知っていながら、
他の男を紹介したり、お遊びでキスしたりするようなやつなのです。
このお遊びのキスが、もう怒髪天です!!
普通、キスされたら
「この人、私の事好きなんだな」って
思いますよね?
望がちょっと希望を持ったり、期待してもおかしくないですよね?
でも俊一にとっては、それは犬とキスしているのと
同じ感覚だったたのです。
うっわ、ひっどい!
望は、人間だぞ!
俊一、サイテー……。
望も望で、つまらない男に引っかかっては、
それに懲りず、愛されたい一心でまたつまらない男に引っかかる……
それの繰り返し。
それだけならまだしも、
つまらない男に「良い所もあったから」「優しい所もあったから」
という理由で、全く怒ることなく許してしまいます。
ああ、どうか怒ってくれよ、望…。
何度も同じ過ちを繰り返さないでくれよ…。
俊一を一途に想いながら、他の男にフラフラしないでくれよ…。
もう、まるでビッチじゃないか……(泣)
こんなんじゃあ、一見健気な望も嫌いになりそうだよ…。
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この物語は、報われない望の恋を見ていて、
本当に辛くなります。
どんなことをしても、俊一は振り向いてはくれない。
報われないと思い知らされるたびに、
望の切ない恋心で、胸が締め付けられそうになります。
随所随所が全て切なく、
どうにかして望を幸せにしてあげたくてたまりませんでした。
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そして、ストーリーは俊一が篠原という男を望に紹介するという展開に。
望は俊一のことを一途に想っているのに、なんと残酷な!
ああ、もう俊一サイテーのサイテー!
望を庇ったり、匿ったり、優しくしたり
いいところもいっぱいあるのに、
こんな望の一途な気持ちを踏みにじるなんて、ホント酷い男です。
しかし、この篠原。
一見紳士に見えましたが、DVのストーカー男だったのです。
篠原に身も心もボロボロにされる望。
俊一はそれに対し、望を匿い、大切に扱いますが、
やはりそれは、幼馴染として。
望にとっては切なく、そして私も一緒に辛い気持ちになりました。
そして望は言ってはいけない一言を口にします。
「俊一は、どうせ、おれを抱けないじゃんか……!」
ああ、それを口にしたあとの望の狼狽えよう。
健気でたまりません。
そして俊一は望を抱こうとしますが、はっと我に返ります。
えええっ、何故!
ちゃんと体は反応していたじゃないか!
男同士が気持ち悪いわけじゃないんでしょう?
望を愛しいわけではないんでしょう?
だったら何故……
望の気持ちを考えると、胸がぎゅうっとなる場面でした。
そして、ついに望は決心します。
篠原のこと、
今まで付き合ってきた男たちのこと、
望を追い出し、再び振り向いてくれた家族のこと…
それを考え、
一つの答えを出します。
「おれはずっと俊一が一番好き。
でもおれはもう、これだけでいいよ。
他になんにもなくていい」
望は俊一を好きという気持ちだけ。
それだけを心のなかに入れようと決心します。
俊一からはもう、何も見返りは求めないと……。
ここのシーンは、望のあまりの変わり様と悲壮な決心に
私自身が波に攫われそうでした。
望がついに、こんなにつらい決心をしたんだ…と。
望がついに強くなった。
俊一から独り立ちをして、
誰からも頼らず生きていこうと決心した。
それに感動しました。
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「お母さん、あのね、愛はね………」
と、出てきてこの物語は完結となります。
この本の中で「愛」とは一体何だったのか。
それを読者に語らず、この話は終わってしまいます。
その先は「読者自身で考えてね」という暗黙の提示なのでしょうが、
書いて欲しかったなぁ……。
愛とは、一体何か?
私が勝手に考えても良いのならば、
「この本に関する限り」ということで、
愛とは
「与えられるものではなく、惜しみなく与えるもの」
というのは駄目ですかね…?
途中までは正直、望の余りのダメんずっぷりにイライラしました。これって所謂DV被害者の共依存よね、なんて思いながら読んでいましたが、後半の望の感情の変化にぐいぐい引き込まれました。
心の内にある寂しさの穴、求めるばかりで周囲から既に与えられていた愛情に気づいていなかったこと、家族との関係の修復。様々な過程を経て成長してゆく望が後半になるにつれどんどん愛おしく思えました。
王道BL的な『ずっと幼馴染に片思いしてたけど、紆余曲折有って、俺だってお前のことが…!なんだ両想いだったのね!からの、ラブラブえっちでハッピーエンド☆』のようなパターンかと思って読み始めたので、個人的には最後の最後まで二人の関係性が恋人に発展しなかったことが僥倖でした。安直に身体の関係にならなかったことで望の愛の深さや芯の強さ、幼馴染の成長に取り残されたようで戸惑う俊一の動揺などがよく伝わって来て、巻末のオマケも含めてきゅんきゅんでした。
これはこれで個人的に満足度の高い結末だったので、続編も大変好評のようですが、この先二人の関係が進展してゆくのは見たいような見たくないような…。
なんだろう、あまり感情移入できなかったです。
受にも攻にも、自分に共通する部分が皆無だったせいかも。
私は受の不幸は蜜の味だと思ってるところありますが、それって攻を一途に思ってて、攻をはじめ周囲の環境や人間が酷い目あわせたりってことなんですが、望の「攻に対する一途な想い」は、私の中でちょっと違うなという所があって、もやっとしたものが最後まで残ってしまいました。
望が全てを許してしまうから、周りが調子にのる
さもありなん。
けれどもそれって一概に俊一や周囲が責められることだろうか。
根本にあるこの受の姿勢に大きな問題があるというか……育った環境といってしまえばそれまでだけれども、仮に望が男性じゃなくて女性だったなら、多くの女性は共感よりもイライラ感じるんじゃないかしら、とかね。
一途にずっと好きな人がいるのに、振り向いてくれないから、寂しいからと、自分を安売りする気にはなれないので、モヤモヤモヤモヤ。
攻めの優柔不断っぷりもモヤモヤモヤモヤ。
オマケに終わり方も微妙な感じにモヤモヤモヤモヤ……な感じなので、続編でどう纏めてくるかに期待。
樋口美沙緒先生の本は、これが二冊めです。
今話題のあの虫さんシリーズは未読。
初読み本は、育ての親とその息子との三角関係のお話で。
確か最後の方で、あるキャラが変貌(?)するのが楽しかった記憶があります。
面白い話を書くなぁ、と思いました。
この本は、実は数年前から気になっていました。
まだ片手くらいしかBL小説を読んでいない頃。
まだ樋口先生も小椋先生も知らなくて、続編もまだ発売されていなかった頃です。
まずは表紙の絵が綺麗だと思って。
次に、筋書きの内容に惹かれました。
〝片想いの相手から、別の男との交際を薦められる話…〟
想像では、ノンケの俊一(しゅんいち)はまったく気がなくて。
それでも望(のぞむ)の気持ちに少しづつ引きずられていくのかな?
そんなふうな話かと思っていました。
優しくて、柔らかくて、哀しくて…みたいな。
なぜだか急に、この話を無性に読みたくなり。
ある事をキッカケに、読んでみました。
そしたら…想像とはまったく違う!
かなり身体も心も痛~いお話でした。
これをもしも気になった当時に読んでいたら、まったく別の感想になっていたかもしれない?
今このタイミングで読んで良かったなぁ~と、つくづく思います。
一言で言ってしまえば、執着愛のお話でした。
望はどうしょうもないほどひた向きに、俊一への恋情を見せます。
けれど望は実は、俊一の本質に気づいている。
なのに執着し、依存し続けます。
他の男と付き合うのは、俊一のためだと言い。
その恋人達の前で平然と(しかもベッドの中でも)俊一の話をしたり。
俊一に関するものを、相手の目につくところに置いておいたりする。
大好きなはずの俊一には、痛い別れをして俊一に泣きついた元恋人との再会を、俊一の目の前でいとも容易く受け入れてしまう。
天然とか純粋で片付けるには、あまりにも無神経な男の子です。
俊一は、望へ優しく接しているようでいて。
実は誰よりも一番、望へ酷い事をしています。
大貫や五島や篠原といった、望のかつての恋人や現在の恋人よりも。
なん十倍も、なん百倍も、言葉や態度で酷い事をしている。
相談にのったりキスを受け入れたりと甘やかす事も、俺に執着しても見返りは無いのだと突き放す態度も、すべてが自分自身のためで。
その勝手さでどれだけ望を木傷つけているかに気づかない、気づこうとさえしない。
自分を守る事ばかりに神経をとがらせている、自分勝手な男の子です。
この、とてつもない人間臭さ、未熟さ、卑怯さ、やるせなさ。
読みながら「ムッチャ腹立つわ~!」とか「あんたが一番悪い!」と主人公の二人に何度思った事か!
だからこそ、引き込まれてどっぷり世界にはまりこんで。
最後には「今まで読んだ中で一番好きかも?!」となりました。
好き嫌いかなりわかれるとは思いますが、私はこのお話すごく好きです♪
望は家族愛に恵まれなかった寂しさが、そのままそっくり俊一に注がれていたのかもしれない。
もしも彼が両親や兄弟に大事に愛情深く育てられていたら。
ここまで俊一に執着しなかった気がします。
俊一は逆に家族愛に飢えていたり、器用なタイプでは無かったら。
望への執着を見せる事に、こんなにも迷わなかったかもしれない。
結局は俊一の中の矛盾が、望を地獄へと突き落としていたのだと思います。
そして、最後の望の大きな変化。
勿論、とてつもない出来事が望を大きく成長させた訳ですが。
望が取り戻した家族との絆が、俊一への執着を和らげたようにも感じました。
私はず~っとこういう話が読みたかったのだなぁと、つくづく思います。
樋口先生、小椋先生、本当にありがとうございます。
私はこのお話、今まで読んだBL小説の中で一番好きと思うほどのめり込みました。
今から続編、楽しく読ませていただきます。
追記:
長くなりすぎたので。
エピソードへの感想や二人意外の人物の感想も。
「好き」の種類の感想さえも書けず。
ただ、二人のマイナス点だけを書いたような…。
ストーリーの良さがちっとも伝わらないレビューになってしまいました。
申し訳ないです…。
登場人物の中では、望の二人の兄が大好きでした。
まったく違う性格の二人ですが。
苦労人の長男も、望の一番の理解者である次兄も。
それぞれとても魅力的です。
愛はね、…亡くなった母親が、望(受)に内緒話をするように囁いた言葉。
忘れてしまったその続きを望なりに探し出す話でしょうか(^-^)。
望は、小さいころから俊一が好きで、いつの間にか恋愛対象として愛するようになり、15歳の時に俊一に「俺、男しか好きになれないんだ」と告白し、俊一から「俺を好きにならないなら、べつにいいよ」と言われた。
だから、望は俊一を好きになってはいけないと思っていて、自分を好きだと告白してくれる相手を、もしかしたら好きになれるかもしれないと受入れてしまう(>_<)。
自分が寂しい思いをしたから、相手に寂しいと言われると手を差し伸べてしまう(>_<)。
望は、俊一が好きでその気持ちを捨てる事ができないから、別の人と付き合っても上手くいく訳がなく…付き合う相手を傷つけて、傷つけられて、俊一に慰めてもらうのが常になっている。
も~っ、最初の頃の望は、私の地雷ですね(>_<)。
フラフラと流されていて、良い子というより頼りない子ですから~(>_<)。
でも、望を好きだという相手も…俊一が好きだという望の気持ちも丸ごと受入れて、「いつかは自分に気持ちを向かせるぞ!」と思うような心の大きな人はいないのか~そんな人に巡り合えないのか~と可哀想になりました。皆…自分勝手だね(T_T)。
そして、望は、究極の最低男の篠原に出会ってしまう…(T_T)。
望は、心も身体もボロボロになり…やっと自分の気持ちに向き合います。
過去もそして未来も自分が好きなのは俊一だと…受入れて貰えなくてもいいと、その想いを大事にするために望は強くなりましたね。
今まで縋っていた俊一の手を離して、立派に一人立ちした望に萌×2です。
そして、続刊は、手を離されてしまった俊一の話です…。
胸がギュッってなりました。切なかったー。
俊一が彼女の香りを纏って帰宅するシーンとかまだ残ってます。
俊一は人間くさいですね。人間くさいのは好きです。
今回は受が成長する話でした。スッキリしましたよ、ほんと。切なくて切なくてしょうがなかったので。
続編は俊一(攻)の話みたいなので楽しみです。
早く彼の成長が読みたい!
私が初めて読んだBL作品で、これがきっかけで好きになりました。
この話を読んでいると『愛』という漢字発祥地である中国の映画の歌詞を思い出します。
縁を頼りに苦難をのり越えて 縁なき想いは内に秘めよう それでも迷いを断てずに振り返る時は あなたの幸せをそっと祈ろう
って、みたいな訳でした。
好きでもない人と付き合いたいと思うのはその人がガキだからだと思います。
最終的には、自分を偽らずあるがままの自分を受け入れて大人になった望に、俊一が惚れ直したように感じました。
…意外にやられた。
ちょっとないBLであります。
BL、あくまでBLなんだが、BLを軽々と越えてしまう「赦し」があるんですよ。
主人公の望はコクられれば誰とでも付き合って、体さえも許してしまう。
相手が好いてくれれば自分も相手を好きになるにちがいない、と思って。
しかし、望が本当に好きなのは幼馴染の俊一だけで、その俊一が望を思う「好き」と
望が俊一を思う「好き」は種類が違って…。
いやぁ~、色々な意味で深いところ突いてますよ、コレ。
「好き」のカタチが一つだけならいいのに、
…ってなんと切実でみずみずしい想いでしょうか。
しかも、望くんは天然系、いや正直に言えば、おバカな「結果的なビッチ」
かと思いきやそうではない。
自分に暴力を振るう相手に対しても「さびしさ」を感じ取り、
心のどこかで許してしまう、なんだかキリスト教的アガペー精神に満ちています。
少々オツムの弱そうな受けを通して、現代人の持つ「孤独」というテーマにも
切りこんでいて、ありがちなBLにはない哲学的な要素が入っています。
ラストはヒジョーに意味深。
続編は読みたいが、続編になったら陳腐なBLになってしまいそうな気も。
読みながら、「私はこういう作品が一番ツボだったんだ!」と唐突に思いました(笑)
淡々として、切なくてほんのり痛くて、でもじんわり優しい。愛おしいです。
ストーリーは皆様書いてくださっている通りなので割愛します。
ダメな男に捕まってばかりの望くんと、それを見ていられない俊一くんのすれ違いは見ていて心が痛かったです。
でも俊一くんに縋って頼るばかりだった望くんが終盤のある出来事によって成長し、最後には、人を愛することにおいてはむしろ望くんの方がひとつ大人になってしまいます。その成長した望くんは、面と向かってでも素直に想いを言葉にしちゃったりするのですが、それがとてもとても可愛いんです!可愛いんです!!(大事なことなので2回言いました)
俊一くんも望くんの変化に戸惑っている様子が描かれてますが、そりゃああんな可愛い子が傍にいたら、好きになっちゃうのも仕方ないですよー。と、続編を読まずして勝手に思うのでした(笑)
うっかり書店で買ってしまって、今ちるちるさんを見たら、限定ペーパー付き、だと…
続編もすでに買ってあるのですが、これは2セット目に手を出すことになりそうです…(笑)
読み終えてかなり時間をおきましたが、夜中に一気に読み終えていたことは覚えています。
ノンケの幼馴染俊一に想いを寄せるゲイの望。幼少期から抱いたその感情はどうやっても届かないと知っているから他の男に身を任せてしまう望は不幸体質で、家族関係もあまりいいとは言えず、付き合った男はDV男ばかりです。
そんな望の想いを知っていながらも、傷ついた望を毎回ほっとけない俊一。
大人になれないどうしようもない不器用な2人のすれ違いや、感情のぶつけあいが描かれています。ずっと悪循環だった人生をどうにか切り開こうと邁進するこの作品での望の成長する姿は好印象でしたが、どうも俊一が気にくわなかったです。どちらかというと俊一の方がずっと子供のような印象を受けました。望のためとやっているその行動や優しさが望をずっと苦しめるんですよ。
読み終えての感想はうん、あんまりスッキリしなかったです。少しモヤモヤが残りました。ま、この作品ではまだまだ2人はスタートラインに立ったばかりですし、「ぼうや、もっと鏡みて」を見てからやっとスッキリできました。
ぜひ続編の「ぼうや、もっと鏡みて」と一緒に購入して一気に読んでいただきたい作品です。
明るい話が好きなので、途中途中で苦しくて読むのをあきらめようかと思いましたが皆さんのレビューを信じて読みきりました。
そうしたら「言われれば続きものって書いてあったかも?」て思い出す最後でした。
主人公が成長して余裕が生まれて、やっとこれから物語が進むんだろうなーってところでおわってます。
これ一冊でも余韻が強くいいできだと思うのですが、BLとしてみるとなんだかな~?ってかんじです。一緒に続編を買わなかったのですごく気になります。続編に期待です。
あらすじ・レビューを見て気になったので手に取ってみました。
ことある事に俊一を頼ってしまう望と、それを庇う俊一。
望の性格行動全てが、まさに過去の自分を見ているようで。(苦笑)
本に感情移入は滅多にありませんが、自分自身の体験と重なりなかなかページを捲ることが出来ませんでした(笑)。
そんな望ですが、あるコトをきっかけに俊一を頼らなくなります。
俊一の方も、離れていく望からあるコトに気づかされるのですが...
なかなか素直になれない俊一は正反対の言葉で何度も何度も望を陵辱してしまうわけで...。
“愛はね、” は、望の成長を描いた 望視点での ストーリーですね^^
『お前の求めてる愛とは違うけど、好きだよ』...ハッピーでもアンハッピーでもない。けれども、友情も愛情のひとつなんですよね。
個人的にはハッピーエンドが好きなので、続編読みました。
ハッピーエンドが好きな方は是非続編を!! 気になって眠れないかも...(*゚Д゚*)
店頭で並んでいるこの本を見て、レビューを読み返した時に、「選り好みする作品」とあって、購入するかどうか悩んだのですが、ノンケ×ゲイが読みたかったので思わず購入しました。とても切なくて、痛い話だと聞いていたので、あんまり気が乗っていなかったのですが、序章を経て、一章に入る頃には、もう吸い込まれるようにしてページをめくっていました。
それぐらい、こういうお話が好きな人にとっては、引力のある作品だったと思います。
このお話は、ずっと幼馴染の俊一に片思いするゲイの望くんが、「さみしい」「愛されたい」「かなしい」「僕を見て」というような気持ちをなかなか他人に向けられず、一人で苦しみもがきながら、成長していくお話です。
作品上は、俊一×望くんになっていますが、正直、この二人のイチャイチャや、和解のようなものは一切ありませんし、悶々とした終わり方ですので、買って失敗したなあと思う方もいるかもしれません。
ですが、精神的成長や、束縛、愛というものに対しての脆さや強さをとても綺麗に、そして美しく表現されているので、読み終わったあとのしばらくの間「愛ってなんだろう」と考えさせられてしまう、そんな小説をお探しの方は買って損は無いと思います。
愛されているかどうか、自分は愛しているかどうか、
これは愛なのか? これは愛じゃないのか?
作中の、望くんが、たくさんの人とカラダを重ねて、寂しさを埋めて、それでもやっぱり満たされなくて、悲しくて、そんな自分が気持ち悪くて、自己嫌悪して。そんな望くんを読み始めたときは周りの人から「強くて、いい子」と言われてることに対して、違和感がありました。
でも、「生きる」とか「愛」とか難しいようで簡単で、見ようと思わなければ流れずぎていってしまうものを、しっかりと見つめて受け止めようと考えを巡らせる望くんを見て、ああ、これが「強い」ってことなのか、と思いました。
どんなときも、同情して、許してしまうのは、決して強さではないと思います。けれど、何度も、何度も、裏切られても「愛したい」と頑張る姿は、本当に健気で、それに、登場するキャラクターたちが人間臭くて、読んでいくうちに感情がリンクしてしまいそうでした。
確かに「選り好みする作品」ですが、BLとしても、本としても、素敵な作品ですので、「愛」について考えてみたくなった方には是非オススメしたいな、と思いました。
デビュー作からずっと樋口美沙緒さんの作るお話が大好きです。
でもこれは評価難しいなー。
おそらく多くの人が地雷だろう主人公のウジウジした性格、私は大丈夫でした。
普段は私、ウジウジ受けが「しね!」と思うほど嫌いなんですが、なぜか大丈夫で。
他のかたのレビューに「ウジウジ受け大丈夫なのに、この受けは苦手だった」みたいな記述があったから、この受けにはいわゆる「BLのウジウジ受け属性」にはハマらない“ナニカ”があるんだろうなと思います。
その“ナニカ”を分析したら他のことが書けなくなるから、そこは割愛。
ストーリーの骨格も好きです。
ノンケとゲイの幼馴染み同士。ゲイくんはノンケくんのことが大好きで大好きで、でも報われないから、愛の放浪者を続けている。端的にいうと、執着系の男たちにばかり目をつけられ遊ばれている。暴力をふるわれ、レイプされ。
悲しくて切なくて不毛な愛のボヘミアンだ。
ただ、「それは受けの自業自得って面もあり、実は遊び人たちのほうも愛を求めてる寂しい人間」みたいなオチにもっていこうとしてる面があるんだけど、そこの描写はいまいち上手くない気がしました。
まあ「悪人も実は寂しいいい人なんだよ」ってオチを安易に使われるのは好きじゃないという個人的な趣味の問題があるんですが。
キャラをしっかり落としきってくれないまま引き上げられちゃうと、カタルシスが薄れるんですよね。
つーか篠原の執着は、さすがに不自然な気が…。
それは、主役二人の関係性についても同じでした。
私はこれ、いっそ完全な片思いオチ小説で良かった気がする。
作中で何度も「BL的な落としどころ」に至りそうな部分があって、「うう…それはやめて…ここまで引っ張って、最後は愛とセックスがすべてを解決してめでたしめでたしみたいな、そんなオチはやめて…」と祈ってしまいました。
祈りが通じてそういうことにはならなかったんですが(笑)、この逆方向のハラハラが、作品を素直に読む集中力を削いでしまいました。
セックスがないかわりキスシーンは多くあるんですが、やりすぎじゃないかな。もうちょい数を減らしてくれたほうが萌えるのになと。
男友達に簡単にキスしてしまうノンケだと、なんかノりきれないし、切なくなりきれないんだよね。
モヤモヤ。
うう、文字数足りねーや。
いずれにせよ続編しだいですね!
続編のデキしだいで、このレビューが根底からひっくり返る可能性アリです。
物語に何を望んでいるかで評価が大きく揺れてしまう作品ですよね。
「続きないほうがいい」と何人かの方が既に仰られてますが、
私もこの話はここで終わってくれたら「神」だと思います。
ま、続きはないことにして(出たら出たら読みそうですが)神で。
受けはちょっと芯がなさすぎるというか「愛されたい」ばっかりで
好きって口で言ってくる相手に流されまくりすぎなんですが
人間、若いってバカっぽいことやってきてるもんだよな…
と、この子ほどではないけど恥ずかしい過去を振り返ると
結構この駄目な子ちゃんなとこは許容範囲内でした。
駄目っぷりがなんか不思議と理解できてしまうというか…
「そっちいっちゃ駄目~」と思いつつ、その痛さに共感したりして
「頑張れ頑張れ」と普通に思えたんです。
攻めはね、正直、ノンケだと思う。鉄壁なノンケですよね彼。
いや、作者的にはそうじゃないのかもしれないんですが
私の中では彼はもうノンケ設定です。
幼馴染を深く愛してるんだけど、決して性愛ではない。
ラブだけどたたない。たたないけどラブ。
実を言うと自分、この話で好きというか心うたれるのは実はそこで、
だって性愛があっての「好き」のほうが上って誰に言えるんでしょう。
「やりたい」って欲望に後押しされて頑張る攻めは山ほど居れど
「やりたくもない」相手のために心を砕いて傷つきつつ愛しちゃってる彼が
自分はものすごく好きだったみたいです。
おとなしいばかりの受けがそんな彼に対してきれる箇所も
自分にとってはハッとさせられました。
誰に対しても優柔不断というかはっきり言えない子が
彼に対してだけはあそこまで言えた…
やっぱりそれもお互いに「愛」があるからこそと思えて。
激しいエゴのぶつけあいだったりもして実に痛々しいのですが
愛の物語のひとつであると自然に思えたんです。
続き、自分はここで終わって欲しいのですが…
でも、BL的にはこの続きが求められているような気もして
なんとなく複雑な気分。
「お前の求めてる形と違うけど、でも本当にお前が好きなんだ」
これはこれで立派に愛だと思う。
珍しくだらだら泣きながら読んだ一冊でした。
帯『幼なじみのふたりがたどる、長く苦しく、そして優しい、愛の軌跡-』
樋口さんはこの本が4冊目、デビュー作から気に入って読み続けてたので新刊もかなり期待してたんですが……あれ?
読んでてどうにも乗り切れない。望[受]の性格が一番原因なんだけど彼に対する周りの人々の評価や対応もなんか同意出来ないというか何だかなー。
望視点で書かれてるので入り込みやすい筈なんですが首傾げたまま読み終わりました。
最初から絶対面白いって思い込みがあるからかえっていけないのかも~と後日読み返したんですが何度読んでも同じで、どうも好きになれなくて面白いと思えない。
ウジウジしたタイプの受は割に好きな方だと自負してるんですが、何でしょうかこのモヤモヤ感は。
周りの人間がやたらに望を強いって言うけどどこがー?無自覚に迷惑かけまくるタイプだと思うんですが。
どうも望っていう人物ありきで、その為に周りの人間の言動が都合良く動いてる気がして(五島の変化や兄の登場とか)それでストーリーが動いてた感がしちゃってどうにも駄目でした。
物語ってものは多少なりとそういう部分で成り立ってるのは理解してるんですが、そう動いてるっていうより話の為に動かされてるなって感じてしまったのですね。
何だろう、ともかく望のやる事なす事が妙にイラついちゃってイラついちゃって~~~主人公と自分との相性がとことん悪かったんだろうなとしか思えないです。
どうしてこんなにイラっと来たのかの原因は自分でも謎、やっぱ相性かなあ。
期待してただけにありゃって感じが強かったので点数辛めかも。
趣味じゃないの評価と同じくらいです。
レビューを見ると、やはり好き好きがあるようです。
最初に読んだ時はノンケ←ガチホモというカップリングが好きなので頑張って読み終えました。
心の余裕が無い時に読んだから苦痛だったのかと思いもう一度読んでみましたが、印象は変わりませんでした。
ノンケ←ガチホモとしてのストーリーはとても素敵です。
しかし登場人物全員が全員、絶対に友達にしたくない人間ばかりでした。
特に主人公は、引いてしまうくらいダメでした。
主人公が強い、優しい、等と作中に有りましたが、私には知能的、情緒的に障害が有るようにしか見えません。
ノンケ←ガチホモとして話の流れだけは良かったので、この評価です。
ここで終わったからもわっと、というのとも違う。むしろ終わるならラブラブやり始める前にここで終わってくれてよかったって思うんですが、なんでだろう。
まっすぐな愛情なんですが、それがまっすぐに見えなかったんですよね。
「愛」って友情も家族愛も恋人への愛も全部含めて「愛」なんだな、という読後感で、それがどうにもBLを渇望する私には中途半端な着地点だった気がします。
受けが攻めを欲しがってフラフラしていたことやらに攻めがずっと気付かずにいたのなら、ハッピーエンドだった気がするんだけど。
受けの気持ちを知っていて、それでも男を愛せずに気付かない振りで受けを見守ってきたんだから、それってもう、ガチでストレートだと思うんですよ。
これだけ仲良しで大切なんだから、応えられる気持ちならとっくに応えていた気がするんですよね。
それくらい、受けの気持ちは痛々しいくらいに一途だもの。
少なくとも攻めの気持ちが純粋に「恋人の愛」に発展するには、今までの紆余曲折が長すぎた気がします。
けど、だからといって受けに感情移入できたかと言えば、それも無理。
受けがあまりにも周りを巻き込んで傷つけすぎです。
これまでの数々の恋愛で受けがとても傷ついていた、という書き方をされていますが、受けのほうが相手を傷つけてきたんだと思うんです。
ただ、受けの心理が「他の人で寂しさを紛らわす」ってものではなく、心から「誰かを愛したい」と渇望して、そうなれるかもしれないと誰かの手を取って、結果やっぱり愛せなくて…というものだったので、嫌いにはなりませんでした。イラッとはしたけど。
ちょっとズルイというか、方向間違った前向きさなんですよね。
無自覚だからいっそ罪って気がしました。
五島君が良い仕事しましたね。
すっごい酷い奴だと思ってたけど、彼は物凄く受けに傷つけられて、けども受けのことちゃんと大好きだったんだな…と思いました。
この作品の攻めと受けの続編よりも、五島救済の続編を見たい気がします。
彼側の目線に立つと、受けと五島君の付き合いって、まったく別のちょっと切ない物語が見えそうな気がします。
好きな相手は別の人を大好きで…、それが許せなくてついつい酷い扱いをしてしまう、だからといって好きだと向き合う素直さはない…、みたいな。
ギリギリ「萌」評価。
大好きな樋口さんとムクさんのコンボですから(笑)
この繊細なお話に、ムクさんの挿絵はとても合っていました。
初めて読む作家さんです。
あらすじを見て面白そうだなーと思ったのですが…。
正直なことを言えば主人公である望の性格になかなか馴染めませんでした。
ずっと幼馴染みの俊一のことが好きで好きで仕方ないのに。
俊一から言われた言葉のせいもあってなのか、それを俊一には伝えられず。
言い寄ってくる男たちと付き合う。
心は俊一に向かっているのに。
ほかの誰かを好きになれたらいいなという思いはあるんだけども、そう簡単にいくものでもなく。
そういう男との付き合いで泣かされるたびに俊一に泣きつくような始末。
断るよりも先に相手の寂しいとかいう言葉とかに共感してしまって付き合ってしまう。
それの繰り返しなので正直イライラしてしまう部分が多くて。
どこかフラフラと頼りない印象の望。
それがようやくラストに来て変わり始めて。
兄の助言によるせいもあるし、きっと俊一との間に起きた出来事もあって。
いろいろな物の見方が変わったというか、冷静に見れるようになったというか。
今までの独りよがりだった感情を置いて、周りの心情とかも省みれるようになったというか。
そうして成長した望は最初の頃よりかなり好きです。
一方で、まだまだこれからな印象の俊一。
これまでは一身に望から愛情を向けられて来て。
自分なりに出来る範囲でそれに応えて来たつもりで。
けれど、どこか2人の関係はちぐはぐで。
望の気持ちは明らかなのに俊一の気持ちが見えて来ない。
何かあればどうしても放っておけない。
せがまれればキスだってする。
けれど、どうしても越えられない部分があって。
というか、俊一はまだ自分のそういった気持ちに名前を付けきれていないようで。
望を大切なことは確かで。
それと同様に自分を振り回す(自分がどうしても振り回されてしまう)望を憎んでもいて。
それでもどうしても手放しきれないところがあって。
望が前を向いて1人で歩き始めた段になって、ようやく焦燥感のようなものが出てきて。
明確な答えが出ない限り前には進めないような感じさえしました。
俊一にとってはここからがスタートラインというか。
そんなところで物語が終わっているので歯がゆいというか、ちょっとどうなってんのよ!?みたいな(苦笑)
本編だけでは完全にスッキリしないというか望の成長物語で終わってしまったような気がしないでもないし。
その後の俊一視点のSSで少しは俊一の感じ方とかもわかってきたけども、まだまだこれからです。
ここからです。
作者さまは続編も考えておられるそうなので、是非そこで納得のいく答えに出会えればいいなと思います。
個人的には、ホントはきっとイイヤツでは絶対にないけれど五島がなんか後半イイ人っぽくて憎めない感じで好きでした。
これは・・・いろんな、たくさんの人に読んでもらって語り合いたいお話でした。萌えとかは(私は)なかったです。正直三分の二くらいまで読んでいた段階では「しゅみじゃない」でした。
でもまさに『愛はね、』というお話。
そしてあとがきで続編があるとのことらしいですが、ん~!ここで終わってほしい、かも・・・。あとがき後のSSも読み出すの怖かったです。いちゃいちゃラブ話になってたらどうしよう!と思って。
もし「続編は無しです!」と書かれていたら「神」つけてました。
あらすじは、望(ゲイ)と俊一(ノンケ)、同級生の2人がいろいろ紆余曲折を経て、それぞれの愛の形に折り合いをつけて受け入れていくという話(はしょりすぎか?)です。
望は俊一に、肉欲を伴った好きの気持ちを持っていて、俊一の望に対する気持ちは限りなく恋人に対する愛情に近いけれども、どうもそうではないらしい。
15の頃に自分がゲイらしいと望は俊一に打ち明けるけれど、俊一の言葉は「おれを好きとかじゃなければ、全然構わない」というような返事でした。
望は本当は俊一が大好きで、そして周りの人たちにもそれはダダ漏れで、でも自分をだましだましで、「好きになってくれる人を好きになりたい」と手当たり次第に男と付き合うんですが、いつも手ひどい破局を迎えます。
もうこのお話の三分の二は、ずーーーーーっとその繰り返しで、なんども読むのを断念しそうになりました。
このお話の中では望は俊一にも周りの人にも「おまえは正直で優しすぎる」とか「許し過ぎる」とか果ては「お前は強い」とまで言わしめていますが、私は全く逆で、こんなにも周りを傷つけ振り回す酷い受けの話は無い!と思いました。もしかして心のビョーキとか?とさえ考えました。望は考えることを放棄したままどんどん脇役+俊一を傷つけていきます。
まあ俊一もそうとう酷いんですけども。でも!
攻めが酷いお話は多々あれど、いまんとこ私のなかではベストオブ「酷い受け」です。ビッチでもなく、性格が悪いわけでもない。なのにこんなひどい受け。「だれも自分を愛してくれない」といつも孤独を抱えているのですが、お話の端々にはちゃんと望のことを考えて愛していてくれる人たちの存在が控え目にですが書かれています。このあたりは、うまいな~と思わせられます。
で、三分の二を過ぎたところから、一気にページが進みました!
篠原というDV男を切っ掛けとして、ようやく望と俊一が本音でぶつかりあいになり、望がようやく俊一以外に目を向けます。そしてどれだけ自分が俊一と周りを傷つけていたか、自分の頭で考え始めます。家族のこと、いままで付き合っていた人たちのこと、未来のこと。
そしてちゃんと俊一に失恋して、一歩大人になりました(ああよかった!)。望の昔の男、五島の扱いもナイス!
結構私と同じように途中でくじけそうになる人いるんじゃないかなー、と思うんですが、ぜひ負けないで最後まで読み切ってほしい!(大きなお世話かな)
そして、このお話についてだけは、プラトニック希望です!もう俊一、勃起とかしなくていいから!
続編・・・読みたいような、読みたくないような。でも出たら買っちゃうんだろうな~。
なんかタイトルが見たことあるなぁ……と思ったら、以前webで掲載されていたものを読んでいました。途中まで全く気が付きませんでした。以前掲載されていたものよりもだいぶ文章は直されていましたが、内容はほとんど変わっていませんでした。読んだのが数年前だったのでちょっと懐かしくなりました。
作者の方も初めて描かれたBL小説と仰っているとおり、若干文章の書き方には若さと粗さが感じられます。
内容は精神面を強く押し出しており、受けと攻めとの恋愛要素は薄いです。というより、恋愛未満。個人的にはこういうJUNEっぽい話はすごい好きです。愛とは何か、同性を好きになるということはいけないことなのか、友情と愛情は違うのか……など、深いテーマが綴られています。
切ないのが好き、あんまりエロくないのがいい、ストーリー重視、BLに読み慣れていない方にお勧め。
キャラはテンプレで、主人公がずっとウジウジしていて、ちょっとくどい。書き方は気になりませんでしたが、話はそこまで個性的ではなく、先も読める展開です。(これでもう少しエロを入れた話ならどこかにありそう……)
でも、恋愛より根本的なところから書こうとしている意識が伝わってきます。エロだけのBLに慣れて荒んだ気分になった時に読むと元気になれそう。泣けるほどではありませんが、読んだ後に「いい話だったー」と振り返れると思います。
中途半端に終わってしまった感じがあるので、ハッピーエンドが好きな人は続編を待った方がいいでしょう。今後の展開しだいではいい作品にも悪い作品にもなりそうなので、評価は中立。続きに期待します。
もとはウェブで発表されていたものらしく、また、BL処女作?だっただけあって、すごく若い感じ。
精神的な内容です。この人こういうのも書くのか~と思いました。
どちらかというとJUNE的で、愛ってなんだろう、と考えさせられました。
「愛されることは不自由で、愛することは自由」って言葉も、いろいろ、考えちゃいますね。
受の望くんの心の成長を軸に、人を愛することや憎むこと、が表層的ではなくて、結構突っ込んだところから書かれています。
恋愛だけでなく、暴力、家族、孤独などなどのキーワードが描かれてます。
読んでて、若い時のことを思い出しました~・・・。
そういえば、小さなことで傷ついてた・・・と。
よく分からないけど、泣けました。
望くんが自分を振り向いてくれない攻俊一への愛情を再確認するシーンが好き。
続編があるみたいなので、そちらにも期待。
切ないやりきれなさが冒頭から最後まで100%のお話でした。
一番愛が欲しい人からはもらえないから、自分を愛してるという人についていく。
本当はその人の事を好きとか特別意識してるわけじゃないけど、愛されるのは嬉しい、付き合えばそのうち愛せるようになるかもしれない。
それが、相手を傷つけていると知っているから、相手を責めることができなくていつも貧乏くじをひいては、ごめんね、と謝っている受けの主人公・望。
人は皆、”愛”が欲しい、”愛されたい”と願っていると思うのです。
この話は極端な例ですが、彼は自分の映し鏡の様で、その気持ちが切々と迫ってきて思わず同化していました。
まだ、この一冊だけでは完結ではなく、一歩を踏み出した段階なので、続編が出たら、評価をしたいと思います。
それだけ、攻めである俊一の気持ちは微妙だと思うのです。
望はまず、親兄弟から愛されたかった。
でも、母が亡くなったことにより自分の世話で我慢をさせてしまったことで後ろめたい気持ちを持っている。
そして、自分がゲイだとカミングアウトしてしまったことで兄や父にも見放されたと思い、自分が悪いんだからと、迷惑をかけたらいけないからと、いつかは彼等とわかりあいたいと思うのに我慢をして、全て自分の中に収めている。
そして、小さい頃から自分を助けてくれて、今も唯一の頼りである面倒見のいい俊一に、何かあると頼ってしまうのは、望が俊一を好きだからであるが、彼しか甘えさせてくれる人がいないと思っているという、本当に甘えた部分を持った人間だと思います。
望の気持ちはすごくわかります。
俊一は、望を拒否しないで受け入れてくれているから。
でも、それは恋人としてではなくてあくまでも世話の焼ける、目の離せない友人として。
キスくらいは許す、彼女より望を優先する。
その俊一の態度は、俊一が大好きな望にはひどい仕打ちの何者でもないと思うのです。
だって、期待してしまうから。
ありえない、と最初にカミングアウトされた時点で、本当は望はあきらめているはずなのに、甘やかすから望はDVな男に次々とひっかかってしまうのです。
望も、受け身ばかりで悪いと思いますが、俊一が何よりやはり悪いと思いました。
しかし、望は怪我により兄や父が本当は望を心配して愛していてくれたということで自信を得たと思うのです。
だから、俊一に対してもきちんと考えて、自分の態度を改めよう、
嫌なものは嫌、欲しいものは欲しい、と自己主張をしようと考えられるようになったと思うのです。
やはり、一番根っこの部分である家族という安定があってこそ望はまともな思考を取り戻すことができるんですよね。
一応、俊一が望を認める形でエンドにはなっていますが、まだ始まりです。
恋人としてはありえないと思ってきた俊一が、望をきちんと恋人として認識して、一個の人間としてきちんと対等になれるか・・・
続編を期待したいと思います!
望を軽くあしらい、強姦までしたいい加減男の五島ですが、意外にいいヤツで、中盤から好感度UPしました。
本気で好きになれたら、俊一よりいい奴かもしれないと・・・ww
・・・と、散々自分に突っ込みを入れながらこのレビューを書いています。
というのも、この作品、絶対「神」だと思うからです! ←断言。
でも、どうしても、どうしても「神」をつけることが出来ない><
「惜しい」とか「後一歩」とかいう理由ではなく、コレは多分、私の勝手な理由なのです。スミマセン;
なんというか・・・私のBL道(←何言ってんだ;)に反する作品というかぁ・・・。でも、間違いなく「神」というか・・・。
「愛」とは何か?というのをひたすら問い続ける作品だと思います。
望は俊一のことが好きだけれど、4年前に言われた一言のせいで、その気持ちを伝えることが出来ず・・・。「幼馴染」として甘えてしまう。しかし、甘えてばかりの自分が嫌い。そして何より、気持ちを口に出せなくした俊一を憎んでいる。でも、「愛している」。その繰り返し。
深いなぁ、と思います。素直に感動し、涙しました。読み終わった後、表紙を見て、目を閉じている望と、望むを見つめる俊一を見てまた泣きました。
表紙の二人の深さ・・・。「愛」の深さ、複雑さ・・・。全てが切ない!
でも、どうしても「神」をつけたくない!!! ←ただの我が儘ですスミマセンン。
最後に、気を取り直して(?)、この作者様の作品について思ったことを、一言だけ添えさせていただきたいと思います(^^)ノ
この作者様・・・、あらすじから受ける印象と本編の印象が違いすぎますね。BL作品に限らず、「幼馴染もの」として読んだら大間違いです。
なんというか・・・某動画風に言えば、「あらすじを裏切る本編に定評のある作者」といったところ?
つまり、あらすじを信じないでください、ということです。
号泣です、痛いです。単なる幼馴染みの二人が恋人になるまでの甘い話ではありません。私には木原音瀬「美しいこと」と並ぶ大作です。愛することは自分を大切にすること、強くなれる事、愛は報われなくても無償のものなんだと望(受)が成長するまでが痛々しいまでに描かれています。俊一(攻)も望に友情以上の感情を抱きながらマイノリティーの壁を越える事は出来ず、自分以外の男で紛らわす望に対し嫉妬しつつ、どうして自分の友情という愛を大事にしてくれないのか?相反する心の矛盾を抱きながら愛と憎しみを抱き、望もまた然り。どうして自分を好きになってくれないのか?男だからいけないのか?と言葉にはしないまでも何年も傷つけ合います。ようやく望が言葉にし、自分を見つめ直し確執のあった家族の愛を再認識する事で、望が片恋でも良い俊一を愛していく、報われることがなくても愛を知り強くなっていくのが瑞々しく描かれています。おまけで俊一もようやく、望を恋愛感情として受け止める兆候と共に愛される不自由さに心が揺れていきます。続編も出る予定?なので、早々に読みたいので葉書出すことにしました。