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世界は光に満ちている

sekai wa hikari ni michiteiru

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表題作世界は光に満ちている

墜落したB29の乗組員 ジョーイ・21歳
病で療養生活する男 榎戸正之介・29歳

同時収録作品象げ色の銀河

兄の友人で小説家/ニ敷禮次郎・27歳
家族を亡くした元呉服屋の跡取り/廣野楓・25歳

同時収録作品上弦の月が沈んだら

高校生/日吉航太郎
亡き父の部下/天ヶ瀬真尋

同時収録作品契る花

継也の世話係・笹一
村の厄を払う/継也

同時収録作品五月雨る抱擁

田舎から出てきた大学生/神沢
妻を亡くしたアパートの管理人/糸屋(34歳)

その他の収録作品

  • 色にはちょっとうるさい男(表題作描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

時は昭和二十年、太平洋戦争下の日本の小村の片隅。医学の道を志し帝大に進みながらも、病によりその途半ばであきらめ帰郷せざるを得なかった榎戸正之介は、その不遇を託つこともなく世捨て人のごとく、ただ日々を送っていたのだが、そんなある時、撃墜された米軍機から瀕死の状態で脱出した若き米兵・ジョーイの闖入という青天の霹靂に見舞われてしまう。
そして、普通であれば官憲に突き出すべきところを密かに匿い介抱してやるのだが、その過程でそれぞれの境遇を知り、心かよわせ合ううちに互いになくてはならない存在となっていき……果たして、この決して許されぬ恋の道行きの向かう先は――!?

暗く不幸な時代に抗い輝いた至高の愛の邂逅をドラマチックに描き麗人誌上で大反響を呼んだ表題作他、等身大の男たちのピュアな想いに満ちた人生の旅路を綴りエイジングBLの金字塔との呼び声も高い「五月雨る抱擁」等、ヒューマンな魅力にあふれた最新傑作5編を収録!!

……この感動、無限大!!!

作品情報

作品名
世界は光に満ちている
著者
深井結己 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
ISBN
9784812475188
4.3

(33)

(18)

萌々

(9)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
141
評価数
33
平均
4.3 / 5
神率
54.5%

レビュー投稿数9

感動した!!

6本の短編集なんですが、どれも充実していて思わず涙がこぼれるほどに感動する作品も!
ただ、死ネタが3本ほどあるので、バッドエンドではないですが、死によって幸せを得るというハッピーエンドですので、苦手の方注意です。
そしてどれも一本を除いて時代モノ(古いのから昭和まで)、一本を除いて年下攻め、一本を除いてメガネもお約束登場ですw

表題はもう涙ボロボロでした!
終戦も間近い昭和20年。
B29が墜落し、生き残った一人のアメリカ人が、医者を目指しながら結核の為断念し、山手の一軒家にひっそりと暮らしている正之介の元にたどり着き、彼と彼の弟に匿われる。
敵の異国人でありながら、怪我をした彼を看病する正之介の、自らも病を持ち、医学を志した者として、命に生と死に真正面に対峙する姿にアメリカ人ジョーイは惹かれていく。
正之介の言葉の一つ一つが心に染みいる。
なのに、「自分が死んでも誰も困らない」「俺の存在には意味はない」とすでに自分自身の生について諦めて生きている言葉がとても悲しいのです。
正之介を慕う年の離れた弟がいるけれど、彼は寂しくて愛されたいと渇望していたんだなと思います。
ジョーイと愛し合い、初めて生きることの意味を見つけた彼の幸せに、それを語る言葉に、胸が熱くなる思いがします。
短編なのに、要所がぎゅっと詰まってはずしていない。
短いエピソードだけで、この展開に満足する、その見せ方の見事さに、短編でなく一冊まるごとを読んだような満足感があります。

『契る花』は村の繁栄の為に生贄として捧げられる者と、その世話をする者の切ない、恋の成就物語。
エロ的に触手プレイに目がいくのですが、それでなくとも、この主従関係とラストのあっと驚く展開に、こうした愛の成就方法もあるのだと、切ないのに不思議とあたたかさを感じてしまう。
表題と似た展開の雰囲気を持っています。

『五月雨る抱擁』大学の学生寮に住む学生と管理人のお話なんですが、何と壮年(老年?)BLに!?
帯に”エイジングBL”の金字塔との表記がありますが、彼等のその数十年後の姿がチラと出ただけで、本題は出会いのお話がメインですからw
田舎から出てきて、コンプレックスから不安がいっぱいで、それを励ましてくれる暖かい管理人さんは34歳。
それが長年連れ添うことになるとは!?
古い寮にずっと二人で住み続ける、家と共に人間の歩みも感じさせるものは、やはり心に染みいるお話になっていました。

『上弦の月が沈んだら』これも10年以上の年月を重ねるお話。
父親が亡くなってから命日に墓参りに必ず訪れてくれる部下だったと言う男性。
幼い頃から彼と会うのを楽しみいていた、その子供は成長するにつれ、その男性を好きになっていくのだが。
年下の一途で健気な気持ちの話のようでいて、実はものすごい執着なんですよね。
ちょっと恐ろしい気もしますw

『セピア色の象牙』世界が終わるとしたら何がしたい?
そんな気持ちになるほどの覚悟で、昔好きだった人に会いに行く再会のお話。

深井さんの絵もノスタルジックな雰囲気があるので、こうした少し時代がかった舞台とシチュエーションは、作家さんの魅力を増していると思わせる、とても出来のよい一冊でした。

7

これですこれ!!

こういう深井さんの作品を待ってました!
現代ものもありますが少し前の時代の話、昭和初期頃とか大正時代とか、世間も生きる事もままならない、色々な事に翻弄されながらもけれど毎日を生きているそんな少し前の時代の話。
こういう時代設定の話を読むならやはり深井さんの作品が一番好きです。
派手さはなくても、しっとりとしみ込んでくるような話に作画、とにかく大好きです。

全て雑誌で読んでいますが、単行本化を心待ちにしていた作品多数。
まずは表題作『世界は光に満ちている』一緒にいた時間は短くとも気持ちは深く結ばれているふたりの話。
そして『上弦の月が沈んだら』気が付けば幼かった子供が大人の男になっての十年愛。
もうひとつの十年(以上?)愛『五月雨降る抱擁』では、若かった頃~壮年期?の現在でも続く恋愛関係の話。
特にこの三作品は雑誌掲載時に何度も何度も読みました。
で、読む度に涙腺が弱いので涙がダーっと流れる。

深井さんの作品は儚くなってしまわれる登場人物の話がちょこちょこありまして、気持ち的に沈む事もありますが・・・アンハッピーエンドとは言えない「これがハッピーエンドなんだと」思わせられる作品も多数あります。
今回の作品集に収録されているお話も儚く散り、救いがないように思えるけれど実はそうじゃないという話が数本あります。
そして、必ず添い遂げる事の出来る仕組みになっている。その経緯はどうであれ、ですが。

BLでは珍しい触手物『契る花』。
しかし、ぬめっと柔らか変幻自在、太くも細くもぷにっとな、な触手ではなく、木の根?みたいな触手で大変痛そうです。かなり暗めでシリアスな話だったのですが、あとがきでの扱いでは妙に笑える位置付けになっておりました。

それぞれ短編ですが話の流れ、キャラの心情、葛藤、が落ち着いた雰囲気を醸し出していてパラパラと読めない、じっくり読みたい気持ちにさせられる作品集です。
もちろん、恋愛面での甘い部分も沢山あるので、ラブも堪能できます。
カバー下の幸せそうなイラストが、本編を読んだ後だとまた涙を誘います。

4

この絵だからこそ

日本の、ちょっと昔のお話ばかりを集めた短編集。
しっとりと切ない世界観。
お話の中の、雨の匂いや土の匂い、古びた家の日陰の匂いなどが五感にダイレクトに響いてきて、知らないはずの過去の世界なのに、お話の中の世界が、すごくリアルに、懐かしい記憶として、まざまざと目に浮かびます。
そもそも、この作品たちのの、懐かしくって切ない世界観と、繊細な情感を支えているのは、深井さんの、この繊細で端正な絵だからこそ。
お話の結末は、どれもけして軽い物ではないけれど、それでも世界は光に満ちている。
気持ちよくホロリとしたいときにオススメの1冊です。

4

幸せの定義

ちょっ・・切なすぎて胸が痛い(´Д⊂
思わず叫び出しそうになりました。いかん、いかんぜよ
というわけで、今回はちょっぴり時代物なお話の詰め合わせ
いつか、とおくで幸せになるんだろうなと無理やりに心を落ち着かせても
やぱっぱりっこのエンドは頭に残るというか、引きずるというか
「もっと明るいの読みんさいよ」と友人には言われるの毎度のことですが
案外、なんだかんだいいながら引きずるほど切ない話が好きだったりもするわけで
ガツンとくる作品でした。

>>世界は光に満ちている
戦時中、怪我を負ったアメリカ兵を保護した受。
いい大学を出たのにもかかわらず病気のためただのただ飯ぐらい
そんな二人は、寝食を共にするほどに惹かれていった。
老い先短い受が・・とおもいきやな最後
。・゚゚(ノД`)あ゙~
幸せだった、出会いからの期間は短いけれど、そんな言葉が聞こえそうな一作でした

>>象牙色の銀河
好きだったあの人を追いかけて
手を汚す前に一度だけ。一度だけ。。。。
時代が現代じゃないのがいい味をより上げていると思うのです

>>上弦の月が沈んだら
年に1度、父親の墓参りで一緒になる年上の男。
年齢を重ねると、もっと近づきたいと思い、思いは想いに変わり
そして・・・
めぐりめぐっての過去から現在。
伝えられなかった父の言葉と~が重なって思わず゚(゚´Д`゚)゚泣けるお話でした
父がかつて愛した男を息子がってのがなんだかアレですが。。

>>契る花
よもや、木での触手プレイってどーなのよ・・と一瞬思ってしまったわけですが
こいつが一番インパクト大でした。
目の前で「バキバキ」はちょっといくらなんでもエグ・・・・・
でも、このくらいしてくれるBLって最近ないから
ある意味すごいとおもうわけで

12年に一度、山の供物として人が献上される。
選ばれしものの肩には鮮やかな花模様。
村の外から連れてこられた攻が世話を初めて7年。
自らが山に背負っていき、目の前で食われる姿を見てしまう
そしてあまつさえ・・なラスト
残酷なのか、優しいのか。。。12年後ひとつに・・と思えば幸せか
だけれども。。。思い出すと ノД`)泣けてくるからもう言わない

>>五月雨る抱擁
年の差wオヤジ受w
メガネで、目元にちょっとシワな受が可愛かった!!
こういう年の差カップル好きです。
いっこ前が切なかっただけに思わず心が緩むお話でした

4

死ぬ=アンハッピーエンドとは限らない

カラー口絵(五月雨る抱擁)がとても好きです。
雨の中、しゃがんで草木の手入れ(雨の中やる必要はなかろうにというのは野暮か)をする管理人さん(受け)に傘を差し出して背後から抱きつく学生(攻め)。自分はずぶ濡れなのにとても幸せそう。
「一緒にいても…いいんだ…?」「…うん」[ずっと…一緒にいてもいいんだ…」「そうだよ」

くー、たまらないっ!作品【五月雨る抱擁】はこのまんまの世界です。
アパートの管理人さんとそこに住む学生さんとの恋模様で、穏やかな性格の二人の気持ちが寄り添っていく様子が描かれていました。
昭和からお付き合いスタートして、作品の終わりには「ずっと一緒にいた」何十年後かの二人が、出会った頃のやり取りを懐かしむ様子が描かれていて相変わらずお互いを思いやって慈しみあっている様に心打たれます。

全部で6作品(描き下ろし含む)収録されていますが、そのうち三つが死ネタ絡み。死んで全てが終わりではなく更に永遠の結びつきを得るといった内容が多く、アンハッピーエンドとは言えないところが切ない余韻をもたらします。
しかしそのうちの【契る花】には目が点。村の神様の使い「ニギノサマ」として選ばれた青年と、身の回りの世話をする少年とのお話でいよいよ定めに従って人身御供となり永遠の別れかと思いきや、まさかの触手プレイ。
せつないお話かと思ってたら触手ですよ……。あれやめて欲しかったなぁ。なんでここで触手??しかも硬い桜の木の枝で死ぬほど痛そう…。
しかもその桜の木に取り込まれるんだけど、静かに消えるのではなく、バキバキバシャッと潰され&血飛沫飛びまくり系で唖然呆然……。何これ、ホラー?
話の終わりとしては少年(もう大きくなって青年だけど)にも神の使いの証である痣が浮き上がって、次は彼の番、来たる日がきたらやがてその木に彼も取り込まれる事で二人は一緒になれるという終わり方で悪くないんだけど、いかんせん途中がエグすぎて台無し。せっかく綺麗な人だったから、もっとマシな人身御供の方法だったら切ないトーンで作品に浸れたのになぁ…残念。

表題作【世界は光に満ちている】
戦時中、まさかの敵国人・米兵と元医学生の青年のお話。敵兵だけど医学の道を志していたこともあり瀕死の人間を官憲に突き出す事ができず匿う事になります。そして見た目は違えど同じ人間であり、戦ではなく絵を愛する画学生であった事を知りやがて愛し合うようになる。
肺を病んでいて春を待たないと言われている青年だったのにまさか米兵のほうが先に死んでしまいます。そして青年も数日後事切れる。
一番心打たれて泣けたのは死ぬシーンじゃありませんでした。一番最後のページ、二人と一緒に暮らした弟の回想です。確かにそこには儚く短かったけれども光に満ちた世界があったのだと思うと。

4

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