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表題作虹色村のチロリ

市長の息子で開発会社専務 アキラ
マッシュルーム農家 チロリ(ジョナサン)

その他の収録作品

  • ♯1 チロリについて俺が知っていること
  • ♯2 赤い葬列
  • ♯3 ブラックウッドの魔女と黄色い長ぐつ
  • ♯4 ゴールデン・エイジ
  • ♯5 虹色村フェスティバル
  • ♯6 ブルージーン
  • ♯7 いつか虹の向こうに
  • 付録① 教えて!チロリ先生
  • 付録② 周辺地図

あらすじ

虹色村で日々他人のために奔走しているチロリ。幼馴染みのアキラは憎まれ口を叩きつつもそんなチロリに秘めた想いを抱いていて!?
(出版社より)

作品情報

作品名
虹色村のチロリ
著者
  ARUKU  
作画
  ARUKU  
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
ISBN
9784344821804
4.3

(73)

(46)

萌々

(13)

(12)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
12
得点
318
評価数
73
平均
4.3 / 5
神率
63%

レビュー投稿数12

いのちも恋も巡り続ける場所で

初めて読んだ当時、なんかよくわからなかったんですよ。
急にファンタジー?
急にお父さんたちの話?(顔が同じで混乱)
とか思ってしまって。
でも最近のARUKU先生作品を読むにつけ、本作こそがエッセンスの原型的な作品のように思えるようになりました。

自分より誰か、の優しいチロリ。
チロリが好きでたまらないのに嫌な事ばっかり言ってしまうアキラ。
星を離れた仲間を待つ「先住者」。
「赤色」を盗む土悪魔。
次々落ちて死ぬ鳥たち。
悲しみを吸い取る魔女。
村祭りと毛むくじゃらの神様。
土地を買収して無理矢理開発を進めようとしているアキラの父・タロウ。
タロウの叶わなかった恋…

色んな不思議が織り込まれて、切ない色、哀しい色、優しい色、いとしい色…美しい布のような物語。
ところで初めて読んだ当時に萌評価を入れてしまってもう変更できません。
今の評価では神寄り「萌x2」で。

0

心温まる童話のような世界

読み終えた後、あーついに終わってしまった、と思うほどこの世界に入り込んでしまいました。
本作は、ARUKU先生お得意の童話のような異世界ファンタジー。雰囲気としては、明日屋、昨日君が死んだ、に似ています。あの世界観が好きな方なら、BL要素少ないですが楽しめると思います。

虹色村で暮らすチロリが、本当に良い子で良い子で、チロリを想うアキラも小学生みたいな態度がまたいじらしくて前えます。2人の距離は最後までほぼ変わりませんでしたが、(アキラは父親の過去を知りさらに好きになったかな?)この距離感がまた可愛いなと。祭りでアキラがチロリを抱きしめて、その後無職になったアキラをチロリが抱きしめてまた抱きしめられて、の流れでさすがにチロリも祭りの時のお面の正体、アキラの恋心に気が付きそう。ゆっくり進展していきそうな2人です。

ジーンが亡くなってタロウが稲穂で佇むシーン、あの痛々しいモノローグが泣けました。

可愛い動物や不思議な生き物がたくさん出できて癒されます。こんな世界あったらいいなぁと思える素敵なお話でした。

0

優しすぎる上質なお伽話

BLという分類に収めてしまうのはもったいない。
推薦児童文学に推したいくらい素晴らしい。
道徳の授業って、今も小学校でやってるのかな。
あるなら、サブテキストにも推したい。

人が住む4つの惑星のうちのひとつ。
そこにある虹色村に住むマッシュルーム農家の”チロリ”の話です。

相棒の小豚・ボブと慎ましく暮らすチロリは、1日のほとんどを人のために使います。
一人暮らしのおばあさんを始め、困っている人や悲しい思いをしている人がいたら、全部自分が引き受けてしまう、損な役割ですが、そこを「損」と思わないんだなあ。

いつもチロリを「バカ」呼ばわりして、嫌なことばかり言う幼馴染みのアキラは、そんなチロリに好意を抱きつつ、チロリがピンチのときは駆けつけてくれる存在。
だけど話は複雑で、アキラの父親は虹色村の再開発計画を推進している、いわば村民の敵で、アキラ自身も地上げ屋のようなことをしている、言うなればロミオとジュリエットのような立ち位置です。

全体を通してチロリがブレないんですよ。
どんなことがあっても、自分より他人のしあわせを中心に考える。
ARUKUさんの作品を読んだことがある方なら、この作品を読んでいる間、何度も思ったはずです。
「どこに落とし穴があるんだろう」と。
わたしもずっと心の準備をしながら読み進めていました。
いつチロリが村の人たちに利用されてボロボロになっても、それこそ濡れ衣を着せられて村から追放されるような目に遭っても傷つき過ぎないように身構えて読んだ結果。

落とし穴、ありませんでした。

善良な人間がその善良さゆえに裏切られる。
純粋な人間がその純粋さゆえに利用される。
ARUKUさんの作品では、こういう「悲しくて受け入れ難いけれど、でも現実」というものが扱われることが多いので、チロリの存在が何かのアンチテーゼのはずとか、豚は何のメタファーだろうとか、深読みに深読みを重ねたけれど、何もなかった。

そして付け足すと、チロリとアキラにも何もなかった。
アキラの妄想ではいろいろあったけれど、現実では片想いのまま。
アキラの父・タロウとチロリの父・ジーンの回想の部分の2人がアキラとチロリそのものなので、一瞬「ん?アキラに婚約者!?」と混同してしまいました。要注意です。

落とし穴も恋の進展もないけれど、森の奥で見つけた置き去りの巨人、赤いものばかりを盗む土悪魔、村を見守る大きな木が最後につけた実、お祭りで出会った神様、苦しみを集める魔女など、チロリが出会ったひとはみんな、チロリの優しさに触れて、チロリに何かを残してくれたり、味方になってくれたりする。
伝えなかった恋を忘れるためにアキラの父が進めた無謀な開拓計画では、アキラもチロリの味方になる。
チロリの優しさがひとを集めて、ひとを癒す。
本当にあたたかくて、楽しい作品でした。

時間があるときに、お茶でも淹れてゆっくり味わってほしい。
そんな1冊です。

0

世界観にひたれる

ファンタジーでしょうか。
第4の地球のお話です。
設定や世界観が外国のファンタジー映画のようでこれがBLであることを忘れ物語に夢中になります。

チロリが村で様々な存在と出会い助けたり色んなお礼をもらったり。
暖かな交流にほっこりしたりどうにもならないことに心を痛めたり。
チロリがとってもいい青年でお金にならないことをするなとか、損なことばかりしているとか言われても困った人や悲しんでる人を放っておけません。

最初からちょくちょく出ていた虹色村開発計画がアキラの父のどうしても一生消えない片想い、行き場のない愛情の行く末だったんですね。

村民達にとってチロリはみんなの子供同然なんですね。アキラの祖母の知恵とアキラのおかげでチロリが村長になってチロリは村の危機を救います。

チロリとアキラの父に他にどんなやりとりがあったのか。
そして会社を辞めたアキラがもしかしてチロリと住んでいるのか?とても気になります。
せめてアキラの想いは届いて欲しい!

0

日々、つましく丁寧に生きる

「虹色村のチロリ」
この響きどおり、可愛らしい作品です。
今まで読んだARUKUさん作品が、「ほんとは好きだ」「明日屋商い繁盛」だったので、このお話を読みながらも心のどこかでこんなもんじゃ済まないだろう・・・どっかで突き落とされるのでは?とちょっと身構えていたのですが、お話のトーンは変わらずそのままで終始一貫しており読み終わったらあら不思議、癒されてました。
トラウマ級に泣けるBLを読んだ後、心を立て直すためにこちらの作品を再度手にしたくらい。

星の中で一番美しいとされる虹色村に住む、マッシュルーム農家のチロリの生活は「つましいながらも日々丁寧に生きる」っていうんでしょうか。
リニューアルされる前の昔のku:nelという雑誌に取り上げられそうな感じ。(今はリニューアルして完全に読者層&路線が変わっちゃいましたけど。)
そんな清貧のチロリの周囲で起きる数々のエピソードが描かれます。

BL要素は薄くてアキラというチロリに恋する幼馴染もいるんだけど、なんせアキラは憎まれ口ばかり叩いていて不器用すぎるのでほぼ進展がありません。
でもところどころで、素直じゃないアキラの独白の数々がせつなく響きます。

それと並行してアキラの父親タロウが企む虹色村のリゾート開発話も描かれるのですが、一番美しいとされる虹色村の自然を破壊してまでもリゾート開発に拘る心の底には、今は亡きチロリの父親ジーンに対する思いがあります。相手が死んでもなお、いや伝えられなかったこそ続く苦しくてせつない愛が。
虹かげろうの意味、そしてかつてジーンがタロウに語った回想シーンの「もしも俺が死んだら・・・」のくだりは何度読んでも泣けます。

最後までアキラの片思いのままで終わりますが、そこがかえってこのお話らしくていいなと思いました。

そしてちょこちょこ登場する子豚のボブが可愛くて癒される〜。
そしてアキラの将来ってハゲちゃうのかな?お父さんに似ちゃったら・・・(笑)

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews

で教えていただいたのがこちらの一冊。
ARUKKUさんって本当に凄いなぁ、いろんなお話が書けるのだなぁと本当に恐れ入りました。
教えてくださりありがとうございました。

4

可愛いなぁ~

表紙はパステル調で一瞬ARUKUさんとは分からないくらいでしたが、中身の絵はやはりARUKUさんでした。
今回はSF要素のある、不思議な生物達が登場するお話です。
地球からこの惑星にやってきた人間たちは、この惑星に元から住んでいる生命たちと共存する形で生活しています。
そしてこの惑星で最も美しい場所と言われているのが、主人公チロルが住む虹色村。
マッシュルーム農家を一人で切り盛りするチロルが出会う人々や不思議な生物達とのお話が綴られています。
チロルの幼馴染でいじめっ子のアキラ、アキラの父親で市長のタロウ、そしてチロルの父親…。
登場人物達は多く、チロルとアキラがそれぞれの父親にそっくりなので少し混乱するかもしれませんが、筋をきっちり追っていれば大丈夫かと。
チロルの優しさ、横暴なアキラがかなり一途で純粋だったり、チロルが飼っている子ブタのボビーが超キュートだったり、地味なのですがちょこちょことした萌え所が心憎い(笑)。
中でもお気に入りだったのはアキラの心中の台詞。思わずクスッと笑ってしまいます。
暖かく、切なく、じわじわと心に沁みてくる作品でした。

4

ある惑星でのお話

純粋で他人のために自分を犠牲にするチロリと、チロリが好きなのに素直になれない幼馴染のアキラとの、ある惑星でのお話です。BL要素は少ないけど、大人の童話のようで、読み終わったあとは心が温かくなります。

舞台は、地球を飛び出した人々が住んでいる、第4惑星にある虹色村です。
この星には、大きな石で出来ている『大きい人』や10センチぐらいの体長の土悪魔やぬいぐるみの姿をした神様が出てきて、可愛いです。その生き物たちや村の人たちとチロリの交流に、心がホッコリします。
チロリの勇敢で優しくて漢気のあるところが好きです。
アキラの子供っぽい意地悪は可愛いし、でも好きなコを守ろうと頑張るところには好感が持てます。
アキラの思いは成就しなかったけど、心の距離は縮まった二人。チロリパパとアキラパパの報われなかった思いを、二人が叶えるのではないかと思える最後でした。

1

読み終わった後にじんわりきます

アルクさんのお話の中では、一番可愛いお話だと思ってます。
一応、SFですが、のどかな雰囲気です。
のどかなのですが、何処か物悲しい。
ありCさんも仰ってる通り「雨ニモマケズ」な心優しいチロリとチロリが好きでたまらない幼馴染みのアキラのお話。
想いは全くもって成就しないし、BL要素はないですが(あ、いや話の核になる開発計画の元はアキラパパのチロリパパへの恋慕が元なんで、一応BLでないと成り立たない?)とても素敵な作品です。
萌えと云われると萌えかなあ?と思いますが、読み終わった後にじんわりきます。大好き。

アルクさん読んだ事ない人には、チロリと猿喰山、どっちを勧めようか悩みます。もしくは「ビター×スイート」か。

3

虹色村の不思議なお話

チロリの質素な生活と、そして他人に対する慈悲深い態度を見ていると、
あの有名な詩の一節を思い出してしまいます。

略・・・
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい・・・略

きっと作者さんは読み込んでいるんじゃないかと思います。ARUKUさん多分お好きですよね!?
チロリはこの詩のような人だと思いました。

純粋で汚れない心を持った青年チロリと、そんなチロリにお熱のツンツンデレ・アキラと、少し不思議な惑星の、心温まるお話でした。
やっぱりARUKUさんはこういう不思議なお話がいいですね!

2

物語なの

ARUKUさんの作品、前作でも思ったけど、この作品も、物語として、とってもおもしろい。

舞台は、地球を遠く離れた植民星なんだけど、植民星だからこそ描ける、自然と一体になった農村の生活であり、童話的な世界であり、この辺の舞台設定の仕方がとってもうまい。
すごく上質なSF小説かファンタジーを読んだ気分。
もう、むしろ小説で読みたい。

正直言って、絵は、動きに乏しいし、華やかさもないけど、とにかく、お話そのものがよくできていて、何度でも読み返したいって思える本。

評価は「萌」だけど、コレはあくまでも「BL」の「コミック」としては、「萌え萌でうっとり~」とか「エチシーンが素敵~」ってゆう、見た目の萌度を「萌」に加算しなかったから。
BL縛りがなかったら、評価は5段階の4.5です。

2

物語があります

ARUKUさんの以前のレビューでも書いたんですが、この作品も「物語」と表現すべきそんな作品。
自分は児童文学と絵本を心から愛して止まない人間なのですが、ARUKUさんの作品にはそれに似た匂いをふっとそこここに感じます。

独特の世界観は流石ARUKUさん、冒頭当たり前の田舎町の様でいて読進めて行く内にこの世界が広がって行く、土台がどんどん広がって最終的には丸く世界を取り巻く様なそんなイメージ。
他人の為に翻弄して一生懸命なチロリ。
けれど彼自身もそんな自分を自覚している。
不器用で優しくて、けれどしっかりと地に足を付けた揺るぎないチロリ。
そんなチロリについ憎まれ口を叩いてしまうのだけれど、彼を好きなアキラ。
アキラ頑張れよーっていう気分になりました、といってもあの2人だと先は長そうですが。
茶鬼さんが書かれている様にこれは「大人の童話」だと私も思います。

3

大人の童話

元々ARUKUさんのお話は、童話要素がたっぷり含まれたものであり、それが悲哀が濃いとか切なさがあふれているとか、いくらか心の物語としてその要素を薄めているのだけれど、今回のこのお話は童話全開!
未知の生物や植物、現代と古代の共存、そんな設定や登場があり、まさに童話の世界でした。
お話的には恋愛未満なんですが、色んな全てのものが対比されて表現されている点が、面白いと思わせるつくりでした。

地球から人類が移住して何百年の第四惑星。
そこの虹色村でマッシュルーム農家をしながらつつましく生きているのが「チロリ」と呼ばれる青年。
彼は、人々の哀しみの心に敏感でいつくしみの心を持ち常に人のために働いている、がそれでも幸せ。
小さい頃からチロリを苛めている、市長の息子アキラはそんなチロリをいつも馬鹿だといいつつ、本当はチロリが大好き。
この二人の住む環境や生活が田舎と都会の対比であるように、人間性もまた正直とひねくれの対比になっている。
一体何が大切なのか。
村を買収して大型リゾート開発するというアキラの父(市長)の思惑と彼の秘めた想いをずっと根っこに置きながら、虹色村の素晴らしさをチロリを介して描写しながら、アキラの気持ちがグイグイとチロリに引き寄せられる話となっている。

それは、村の大きな木から獲れた美で作った果実酒が魅せる幻覚が引き金でもあるが、アキラにチロリへの欲情を覚えさせるという本音を見せている。
残念ながら(?)本編はキス止まりでエチシーンはこの幻覚妄想のみとなっている。

何百年も同胞の迎えを待っている古代人、優しい心を持った土悪魔、変わり者の魔女、祭に現れる不思議な生き物たち、それはそれはちょっとたんかく的比喩であるが、解りやすく説明すると「夏○友人帳」みたいな世界観です。
ひょっとして、環境破壊とか失われゆく者へのノスタルジックな想いや環境保護の啓発的要素を持っているかもしれないと感じ取ることができます。

虹色村の開発に固執するアキラの父親の叶わなかった想いが、それを封印して壊す為に村の開発を強引に推し進めようとする態度は、ひょっとするとチロリを理解できなかったらアキラもそうなっていたかも?と思うのです。
親子二代でチロリ親子に片想いwww
このアキラのお父さん、若い頃アキラにそっくりなんですが・・・・アキラはあと二十年もしたらこのお父さんみたいなハゲに~~!!??
思わず爆笑です。

この二人が結ばれるエンドではなく、延々と続くアキラの片想い。
しかもますますチロリが大好きになるという、アキラにとっては苦難の恋心でしょうが、何故かあたたかくほっこりと、おとぎ話ぽくていいじゃないかvと許せてしまうのです。
それにしても人外キャラがユニークで可愛らしいって外見でないのに、まるでムーミンの世界みたいでほほえましいです♪
ここにもARUKUさんのオリジナリティが出ていて独特なのです。

5

この作品が収納されている本棚

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