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ミステリー作家串田寥生の考察

mysterysakka kushida ryousei no kousatsu

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表題作ミステリー作家串田寥生の考察

串田寥生,31歳,人気のミステリー作家
神凪守,29歳,担当編集者

あらすじ

出版社に勤める神凪 守の悩みの種は、担当のミステリー作家の 串田寥生。 子供のように好奇心旺盛で口がうまくて強引。 そんな串田が神凪の実家のある瀬戸内の島に、取材に行きたいと言い出した。
前作「眠る劣情」に登場した、人気ミステリー作家&若手編集者の、謎解きミステリーツアーLOVE!!
(出版社より)

作品情報

作品名
ミステリー作家串田寥生の考察
著者
夜光花 
イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
眠る劣情
発売日
ISBN
9784199006203
3.7

(67)

(20)

萌々

(20)

(18)

中立

(8)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
15
得点
242
評価数
67
平均
3.7 / 5
神率
29.9%

レビュー投稿数15

面白い!

夜光花先生らしい作品でした。「眠る劣情」は未読でしたが、時間が出来たらそちらも読みたいと思いました。

串田寥生と言う人物が不思議で破天荒でとても魅力的でした。守が一方的に好意を抱いているのですが、その出会いから事件解決までが串田の計画の一部だった事に驚きました。

守が目を背けて来た実家の神凪家と故郷の女凪島の秘密が徐々に明らかになって来るのですが、読んでてゾッとしてミステリーとしてもとても読み応えがありました。
なるべく予備知識無く読む事をお勧めします。


10年以上前の作品とは思えませんし、この頃から先生が実力があったのがハッキリ分かる作品でした。「ミステリー作家串田寥生の見解」も読みたいと思います。

1

制御不能な攻め

腐友さんのおすすめで読んでみましたが、面白かった!
勧められなかったら、手に取ることはなかったわ。ありがとう!

神凪の実家のある瀬戸内の島っていうのが、もう気持ち悪くて!
超排他的で、皆さんおっしゃってますが横溝正史的な世界。
とてもじゃないけど生理的に受け付けなくて、ぞぞぞぉぉ〜としました。

攻めの串田はあとがきで「糸の切れた風船のような人をイメージしている」と書かれてたけど、まさに!
制御不能な言動を繰り広げ、受けの守をぶんぶん振り回すんですね。
守は惚れた弱みもあって、しぶしぶお供するハメに……。
いや、守の帰省なんだから、本来なら赤の他人である串田はあくまでお供させてもらう立場なんだけど、この二人はそうじゃないんだな(笑)

ミステリー部分はとても面白かったです。
ラブが少ないとは感じませんでした。
というよりも、ミステリー部分が面白くてラブ面の不満を抱く暇がなかったわ。

それにしても、最後の最後のほうまで、串田が守に対してラブ感情抱いてるのかわからん…って感じだったのに、いきなり「運命」と言い切っちゃうところがギャア!ってなります。
しかも、「(この出会いは)まさに運命だと思ったよ!」と無邪気に言い放って、守をやっぱりそうか……と落胆させておきながらの二度目の「運命」がこう来るか!!
ずるい!!ずるいよ!!!

でもこういう夜光さんのどんでん返し愛、大好きです。
私の中では「眷愛隷属」の有生や、「不浄の回廊」の西条と同じ枠ですね。
奴らよりは串田のほうがマトモな気がするけど、でもその代わり変人力がすごくて互角な気もする。

0

面白い……面白いんだけど……

ミステリ好きにはたまらない設定が大量に詰め込まれた作品。ミステリ作家と編集で、探偵と助手のような関係性。よそ者を排除する離島と因習、大雨台風と殺人事件。
それでいて読み心地はとても軽い。サクサク進むノベルゲーのシナリオを読んでいるような、本格ミステリをラノベ用にリライトしたような、読みやすい雰囲気。BLはあってもなくてもな感じで、ここでエロシーンに突入?という違和感があった。

串田のキャラはとても好き。ひょうひょうとして傍若無人さは適度で外面を取り繕うことができ、ユーモアのあるセリフ回しが良い。常に余裕なのも好み。

神凪はただの編集や探偵の助手役なだけなら可愛く思えたかもしれない。だがBLも含めて串田の相手役となると、あまり見ていて楽しいカプではなかった。

串田に揶揄われ振り回されても、神凪は反論どころかまともな返しすらできていない。そこに片思いと振られ要素が加わると、哀れさと情けなさが爆上がりする。せめてそれなりに渡り合える頭の回転か口の上手さか精神的強さを持っていて欲しい。

神凪が対応できず串田が一方的に見えると、串田の好感度も下がってしまう。逆に神凪が負けていなければ、相乗効果でさらに串田の魅力も引き立てられていたと思う。特に前半の二人はカプとしての組み合わせに萌えが圧倒的に不足していた。

事件部分は面白かった。少々懐かしさを感じる王道ミステリを正面から堂々となぞっている。気になっていた子供の骨のオチの付け方が雑すぎた点は不満だが、全体的に重く暗くなりすぎないよう配慮されており、気負わず読めた。

BLとしてはラストで一応くっついたっぽいけど……どうなの?と微妙な後味。確かに面白いのは面白い。が……ただミステリが読みたいだけなら別の作品を選ぶし、BLが読みたいときにこの作品は選択肢に入らない。
串田は好きだったんだけどな。

0

最後の真相にどう思うか?

夜光花さんの変人攻めが読みたくて数年ぶりの再読です。けっこう忘れていて新鮮でした。

瀬戸内海の孤島もの。惹かれます。
他の作家や作品を出すのは良くないかもしれませんがジャンルが違うからいいかな?
漫画の「有閑倶楽部」が大好きで、ホラー回がいくつかあるうちの一つに瀬戸内海の孤島ものがあってすごく面白くて。
そこに登場人物が「横溝正史の世界だな」みたいな台詞があり、その後は横溝正史も読み漁り。それ以来いつか行ってみたいとも思いつつ。

海に囲まれ地主が頂点に立つ世間とは断絶した世界。生贄を捧げる島独特な祭。そこへミステリー作家ときたら…!

ミステリー作家の串田がとっても面白いキャラなんですよね。子供みたいでなのにイケメンで書く本は大ヒットで。
密かに想いを寄せる編集者の守。振り回されっぱなしで。

島でのハラハラドキドキ。串田は何を知っているのか?島の皆や守の家族やサークルのメンバーは?
大変楽しめました。閉じられた島ならではな締めくくりは本当にいいの?と思いますが。

しかし最後にわかる真相が、これまでの全てを根底からひっくり返すといいますか。
さすがなんですよ!なんですが、それでいいの?と思う気持ちもあり、すっきりしないような…。運命の人だけど恋愛できるの?まあ串田は倫理観がゆるそうだけど、うーん。

あのときは抱き合ってる場合じゃなかったんじゃ?

0

攻めに少しムカつきますw

「眠る劣情」に出てくるキャラのスピンオフということを知らずに読みました。
夜光花先生の昔の作品はまだ全てを読んだわけでは無いのですが「眠る劣情」はたまたま読了済みでした。
この作品に出てくる久緒の話だと後書きに書いてあり、「眠る劣情」を確認して、あの変わり者の作家かぁ!と読み終わってから把握しました。

とにかく前半は串田の性格にモヤモヤ、イライラ…w
この2人の間にLOVEはあるのか!?と思うくらい。
しかし、そこは夜光花先生の作品。事件が起きるに連れて串田が少しカッコよく思えてくるし、いつのまにか2人はくっついてるし、どんどん話に引き込まれていきました。

事件の真相は少々無理がある気がしなくもなく…
脅すだけなのに致命傷になる傷を負わせるとかやりすぎ感もあり。
被害者はいくら家族と疎遠とはいえ、さすがに亡くなったら大ごとになりそうですし。
昔から癒着のある警察官1人(?)の力だけで色々と揉み消せるものなのかとか、串田の推理がまるで全てを見てきたように細かいのも、推測だけでは少し説得力が薄いかなと…

主人公の神凪守が、ごく普通の真面目で常識的な人なせいか彼の家族の異様さが際立って、結果的に家族も因習もそのままで何も解決せず物語が終了するのがちょっとモヤっとしました。
特に妹の沙良。善悪の判断がついてない?というような描写がありましたが、それでよく普通の大学生として生活できてたなと…(島の中の隔離された世界だけで暮らしてるならともかく)そう考えるとすごく怖いキャラだなと感じました。

でもこういう世界観は嫌いではないので楽しんで読みました。
この1巻の時点では串田と神凪の関係は多少心許ない感じですが、2巻ではしっかりとした関係になっているので、2巻も続けて読むのがおすすめです。

0

 

ミステリーというよりはホラーです
萌はないけど、一般小説としてなら面白いかも
この逆の感想を抱くBL作品はなら多々あるんですけどねw
意外な犯人には、○って怖いなぁと思いました

0

惚れたが負け。神凪守の場合

「眠る劣情」に登場した天然オトコ、本名久緒静(ひさお しずか)、ペンネーム「串田蓼生」がメインキャラとなっております。
ゲイの担当編集者神凪守と、守の出身地である瀬戸内海の孤島「女凪島」での怪事件を推理する…という筋立て。
女凪島は横溝正史ミステリー的な舞台で、普段は警察も医者もいない島で、7年ごとの大きな祭祀があり、女系家族である神凪家が島の秘密を握っている…島を離れた守は、島のしきたりや神凪家の闇を知らない。
天然男串田蓼生は、ゲイであることに引け目を感じている守の心情などお構い無しに一緒にお風呂に入って手○キしてきたり、酔ってキスしてきたり。
イケメンの串田に惹かれている守は、そんなことされてもう恋の虜。
BL小説としてのHシーンはなかなか甘くて良いと思います。でも、なんか2時間ドラマの原作みたいで、全くBL要素がなくても「ミステリー作家と担当編集者のバディもの」としても充分イケる感じもしますね。うす〜く匂わせるくらいなら地上波でも大丈夫そうです。
さて謎解きも終わり(謎は横溝作品ばりに結構オドロオドロしい)、串田に恋をしてしまった守の切ない気持ち。知ってか知らずかあっさりと別行動をとる串田。
そのまま連絡が取れなくなり2か月、そして守は意外な串田の真実を知る。
守は傷つくけど、さすが変人串田。屈託無く守に言い放つ。
『俺は君を運命の人だと思っているよ。君は?』
惚れたが負けさ、神凪守くん。

4

孤島ミステリーちっく

「眠る劣情」のスピンオフ作品ですが、この作品だけ読んでも破綻はありません。前作とはかなり雰囲気が異なっていて、こちらは恋愛やセクシャルな描写は控えめでミステリー色が強くなっています。登場人物が多くて人間関係も様々なので、火サスあたりで映像化したら面白いかも。

串田先生、最初は厄介な不思議ちゃんかと思いましたが、最後まで読むと飄々としながらもカッコ良い男性でした。前作ではほぼ掴みどころがなかった彼の内面が少し分かったような気がします。オチの感じも私は結構好きでした。

2

次回作が楽しみです

BL小説ではありますが、推理物要素の方が強い作品、
推理物好きからするとちょっと物足りなさがあるかもしれないけど、
私自身、推理物はあまり読まない質なので、面白かったです。
正直、最後の方はちょっと急いじゃったかなー感あり、
おさまる所も引き受けちゃった彼に対して、
「おいおい!それで君はいいのかよー!」と心でツッコミ、
一件落着を受け入れてる側にも、「おいおい、皆頭おかしーだろ!」と思い、
「え、何何?BL小説だからこんな感じなんです♪っで終わらせちゃうの?」と、ちょっとがっかり感を感じましたが、
でもふと「なんでこうなってるの?」を改めて考えたら
「この人達変…」って思ってきて、
なんか急に「なんだ?この世界?」っとなり、
この生理的な気持ち悪さがいいのかな…となりました、いい意味で。

横溝正史の世界に出てくる人達しかり、
こういう世界に生きる人達は、理解不能なしきたりに縛られてる。
なんでそんなもん守るのか理解出来ない。
私には想像の世界でしかないし、
その想像の世界にもし自分がいたら確実に頭おかしくなっちゃう。
だっておかしいでしょう。
なんなんですか、それ。
確実なものはなんもなくって、ただただ背負っていくものが増えるだけで
誰も幸せになんかなれない。苦しくなるだけ。で、そこで生きていくだけ。
耐えられないですよ。
でもそのしきたりや家に疑問を感じながらも縛られてる姿が哀しくて、やるせなくて、
見てるこっちは美しさ迄感じちゃったりするんですよねー。
犬神家の一族とか大好き(映画は古い方の)。
結局、そういうしきたりとか言い伝えとかって、
本当、見てて嫌になっちゃうけど、
人が生きてきたんだなぁ…といつも思う。
欲や憎悪や、でも守りたい気持ちや伝えたい気持ち、そういうものが複雑に絡んだ結果というか。
なんかなんとも言えない気持ちになります。

相当脱線しましたが…(汗)
今回のこの作品に関して、正直そういうものの美しさとか迄は感じなかったけど、
気持ち悪さがあって、読み終わった後もなんか複雑な気持ちが残る感じ…が好きでした。
最後の最後の串田が何故ここまで関わったかについても、
そこをさら〜っとさせてるのが私は好きでした。
「おい!さらっとし過ぎだろう!」とも思うけど、
だからこそ逆に、これからこの2人は何を背負っていくんだろう…と思い、
なんだかなぁ〜とモヤモヤが残る感じが好きでした。
だって実際、世の中モヤモヤだと思うから。
嫌だけど、なんかそういう方が話が身近に感じると言うか、暖かさを感じてしまうので。

後は串田さんかっこいいですね。
初めての夜に串田から迫っていく所は「わぁ〜ぉ」となりました。
後、守が「僕天然なんです♪」系じゃなくいるのも好きでした。
神社のシーンは正直いらないかなーと思ったけど、
やっぱBL小説という所で出してるからしょうがないのかな。
続編出るみたいですね。
楽しみです。
濡れ場は嫌いではないけれど(BL小説読んでる訳だし)、
無理矢理入れなくていいから、
その分夜光花さんのミステリーに翻弄される2人を見てみたいです。

2

作家には変わり者が多い

読み物として、とても面白かった。
本当にテレビの二時間サスペンスドラマでありそうな癖のあるキャラと、冒険あり、殺人事件ありのストーリーで、一冊読んだ!という充足感がある作品でした。
でもBLしての要素はストーリーの次かな?という感じも。

ゲイの文芸編集者神凪と、(おそらく)バイのミステリー作家串田が、神凪の出身である小さな島に取材旅行に行き、そこで殺人事件に巻き込まれるミステリー。
ミステリー・サスペンス好きには楽しめると思うのですが、恋愛ものをメインに考えると、いつそういう要素がくるのかな?という感じで物足りなく感じます。

キスシーンなどはちょくちょく入るのですが、私はなんだかストーリーの合間にBLだから入れないと、という感じで入ってるように感じてしまいました 。ストーリーが独立してしっかりしていたので、BL要素や恋愛部分が入るのが余計に感じてしまったというか、事件を通して育まれる愛、みたいなのならわかるのですが、事件と恋愛の部分は別々な気がして、うまく交ざってないような気がしました。

神凪は串田に気がありますが、串田は作家にはよくいそうなかなりの変わり者。セックスは出来るけど恋は無理、という串田に落ち込む神凪は可哀想でかわいかったです。

しかしえろいシーンになると急に串田が別人のようにいやらしくなるのが少々驚きでした。
串田のおかしなキャラは魅力的です。男前のはずなのに何故かそうみえない。でも探偵役はちょっと冴えないほうが適役ですね。

事件そのものは最後、人が死んでるのに責任があいまいになって終わっているのが気になるところですが…。
最後の最後、オチまでしっかりつくりこまれていてよかった。
失礼ながら、BLだから推理はそんなにしっかりつくられてないだろうと思ったので、いい意味で予想を裏切られました。
恋愛ものとしては星3、ストーリーは星4という評価をつけたいです。
本当にこんな推理小説シリーズがあったら続きも買おう!って思える作品でした。

3

串田がその目で確かめたかった女凪島の因習

『眠る劣情』に登場した脇役・久緒主役のスピンオフ作は、孤島の因習を話の軸にした、なんだか匂い系のような小説。
孤島ミステリといっても、金○○少年の事件簿みたいな連続殺人とかの血生臭さはないのでご安心を。

一冊通してミステリ作家串田(注・久緒)の唯我独尊っぷりには惹かれるが、彼の頭の中にある島の謎は既に推理されていて後からそれを確かめるという形なので、探偵っぽい雰囲気は薄い。

今回の評価を中立としたのは、ミステリの雰囲気重視で恋愛要素が薄いのが物足りなかったって理由も含まれてはいるかな?
串田にとって女凪島の秘密を探る為に偶然神凪に近づいた経緯と、そこから神凪が好きだって感情に変化した辺りの思い入れの強さがもうひと押し欲しかったかも。

受け・神凪のほうは、過去のカミングアウトが原因で亡き父親に島を感動されたトラウマがあるだろうに、串田の面倒を見る為に渋々帰省した割に、いざいいカンジになるとなだれ込むかのような情事に浸るって落差に妙に萌えた。

ところで神凪の実家は女系家族なのもあり、島に帰省した事で本来跡継ぎのはずだった彼だけが因習の真実を知らない事で蚊帳の外だった事に気づいてしまうのだが、今後神凪にとってこの件をどう消化して、折り合いをつけるのだろうね?
それとも作家串田×編集者・神凪の今後が気になるか?

どちらが気になるかは読んだ人次第という事で…。

4

夜光さんの変人攻め大好きです

夜光さんの作品は、攻めの方が受けを執着めいて好き過ぎるものが多いかと思いますが、こちらは受けの方が攻めを好きなパターンです。
受けの方が好きだった作品は、『サクラ咲ク』や『不浄の回廊』くらいしか思い出せません(苦笑
そして、この作品は変人攻めです。
夜光さんの書かれる変人…ラブです。


受けの神凪守は29歳で、外見は草食系の大人しいタイプ。
出版社に勤め、串田の担当編集者。
ただいま絶賛、串田へ片想い中。

攻めの串田寥生は、人気ミステリー作家。
31歳の独身で見た目は極上。
口を開かなければモテモテでしょうが、中身はだらしない変人さん。


串田が新しい作品の取材旅行先に選んだのは、守の実家がある瀬戸内の島。
ゲイであることをカミングアウトし勘当された守は、その件以降、初めての帰島となります。
嫌がる守ですが、串田のペースに巻き込まれ嫌々ながら付き添うことに。

串田はかなり変な人なんですが、セリフがいちいち良いんですよね。
「君があんなにいやらしい子だったなんて、お兄さんはびっくりだよ」とかね(笑

ラストの種明かしはちょっとびっくりでした。
前フリ部分はすっかり、読むうちに忘れてしまっていたので。
出来れば続編希望です!
夜光さんの作品の中では、かなり好きでした。

イラストは高階佑さん。
高階さんのイラストは夜光さんの作品にはあうとは思うのですが、串田と守の髪型や顔立ちが似てしまっているためちょっと魅力半減かな。
串田はなんだか普通の人みたいですし。
申し訳なくも、脳内変換し読みました。

2

BL界の本格ミステリ

孤島、因習に縛られた一族、仕事以外は生活力ゼロで性格に難ありの探偵役…。ミステリーの定型パターンをこれでもかと揃えたお話です。

出版社に勤務する神凪守は担当小説家・串田寥生に片思い中。ある時、串田は神凪の故郷である瀬戸内海の小さな島・女凪島に取材旅行へ行きたいと言い出します。神凪は事情により10年近く島に帰っていなかったので断りますが、結局は島へ向かうことに。
奇しくも島は7年ぶりに開かれる大祭の季節。串田と神凪は神社と神凪家をつなぐ隠し通路を発見します。
そして神凪家で殺人事件が起きて…。

真相も犯人も拍子抜け。本格ミステリを期待して読むとがっかりします。推理物としては中途半端な感じも否めませんが、BLなので仕方ありません。むしろBL要素があるからこそ飽きずに読めました。とはいえ恋愛要素が薄くて、肝心のミステリー部分を食わなかったのは良かったと思います。

今作はまだまだ序章といったところでしょうか。今回の事件は串田が最初からすべて知っているという展開だったので、彼が予期せぬ事件に巻き込まれるパターンも読んでみたいです。
串田と神凪が日本全国に取材旅行へ行って事件に巻き込まれるという長編シリーズとかもいいかもしれません。ご当地ネタ入れたりして…。

事件と謎がスケールアップする(かもしれない)続編に期待します。

2

孤島ミステリーモノ

帯『孤島の謎にも興味あるけど
君の身体も暴いてみたいんだよ』

今までもミステリー風味の展開をしばしば書かれていた夜花光さんがついにミステリー作家モノと名打って来た孤島ミステリーモノ。
探偵役は作家である一風変わった性格の串田と、その編集担当者であり舞台となる島の名家のお坊ちゃまでもある神凪〔受〕
「眠る劣情」のキャラが出てきますが、そちらは読んでなくても特に支障はないと思います。
余所者を嫌う島の閉塞感と、10人近くの使用人を使う神凪家。
そして7年に1度の特別な祭り。
ミステリー的舞台は全て揃った!って感じです。
そして神凪と同じく、学生仲間達と帰省していた妹の友達が殺されるという事件が起き……。

孤島の謎儀式については、おいおい君はホントにそれでいいのかー7年だぞ?7年閉じ込められるんだぞーと思っちゃいましたですよ。

その後、串田の本来の目的が分かり全ての謎が繋がります。
ミステリーモノとしてはちょっと強引技な部分がありましたが、BL要素を含めたミステリー風味としては良かったかと。

2

喰えない男だぜ、全く

『眠る劣情』で実においしいとこ取りをしていったアテ馬役だったミステリー作家が主人公の本作。
前作もそうだったけど、やっぱりこいつは・・・・喰えない男だよ~
性格が性格だけに、この本は恋愛は薄くミステリーと謎解きに重点をおいてます。

ゲイの編集者神凪の担当作家串田は、実は神凪の好みのタイプ。
だけどゲイであることも隠して担当として、飄々とした串田に振り回されている。
そんな時、次回作の取材旅行に行きたいからと神凪を連れて神凪の生まれた島へ3日の滞在の予定で出かけるのだが、そこで事件が起きる。

ミステリーなので詳しい内容に言及するのはやめておこう。
閉鎖的な島であるがゆえの因習。
それに縛り付けられて生きてきた島の女たちの苦労と思い。
跡取りであるが、ゲイであるために家から絶縁された神凪は男であるが故に島の事をよく知らないと言ういきさつ。
色々な要素が加わって面白い味付けにはなっているのだが・・・
もうっ!結末的にこれは串田の自分の推理の検証のような展開だったので、
いかにも、俺は全てを知っているんだぞ的な、不遜な態度に本当、この男は喰えない奴だと実感!
神凪も、どうもスジガネ入りのゲイかしらww
結構エロい子なんですけど、淡々としていて、余り串田に執着を感じない。
串田自身もそうだから、この二人の関係は間の恋だのというより、やはりセフレみたいな雰囲気が満載なんで、そういう恋愛面を求めてしまうとガッカリするカップリングだと思いました。
でも、この作品の一番おいしいところは、積極的な受けの神凪くんのエロさですねww

何か、今回は(というか今回も)串田は余裕かましてたんで、彼がピンチに陥ったり、予想も出来ないトラブルに巻き込まれたりしない限り、彼のBL作品上の攻めとしての魅力は湧き出て来ないかな?
この作品の彼の様子じゃ、まだアテ馬キャラのままなんですよね。
ミステリーという点でも、串田は全てをしってるという展開だったので読者は神凪視点に立てば、ドキドキするものかもしれません。
本来がBLですので、本格推理小説を求めるのはハードルが高く、この程度でも充分だと言わざるをえないでしょう。
なので申し訳ないが評価としては微妙、中立と萌えの中間くだいなんだな。
そして多分、多分ですが続編の予感がします。

6

茶鬼

匿名さんへ

ご意見ありがとうございます。
自分自身の評価は「中立」ですが、それは作品が悪かったとか恋愛が薄かったからというのではなく、本格ミステリーに足を突っ込んだ本気の創りについガッツリミステリーと比較してしまった部分があったからです。だから萌え心をゆさぶられたとはちょっと違うかな?みたいな。。。
夜光さんの作品の引き出しの多さと作品の魅力は、いつも驚かされとても愉しませてもらっていますので、今回はこうきたか!感が満載でしたよ。
確かに匿名さんがおっしゃられているような題名に的確に表わされているミステリーを全面出しにしたものだと思います。
読み終わった後に、これは絶対続編ありだな?と期待させる終わりでしたので、恋愛面が薄くても納得の終わりだったんです。
もちろん続きはとても気になるし是非見たいな、と思わせる、とても期待大な作品です。
きっとシリーズになるともっと面白みが増すんだと思います。
こういう本格ミステリーBLとしてのジャンルを新たに確立しようとしてるのかもしれませんねv

匿名さん

神凪くんのエロさ…同感です。グッジョブでした(笑)
大人しそうで意外や意外、大胆というのがおもしろかったです。
ただ私はこの作品ものすごく気に入ってます。恋愛面が薄い…と多方面で言われてますが、これで恋愛てんこ盛り!だとしつこいかなと。ミステリーと恋愛がせめぎ合ってしまうので、結局はどちらかをメインにせざる得ない。そこで作品名に「ミステリー」とある通りミステリー中心にした、のではないかと勝手ながら推測しました。私はここまでミステリー調、しかも横溝作品のような世界観に挑戦したBLは他には知りません。だから新しい扉を開き挑戦した、という点でも素晴らしいと思う。夜光花さんは「BLはこうあるべき」という型にはまらずこれからも突進んで欲しい。続編も期待しています。

この作品が収納されている本棚

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