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七海の心情は、語られることや出来事からすんなりイメージ出来るんですが、何とも攻めの進一の気持ちが、どこからどういう風に七海へ傾いたのか?友達、親友の好きから、恋愛感情へ移行したのかがわからず、萌えどころを掴みきれませんでした。
ただ、七海の気持ちが痛くもわかるというか、他の男性に抱かれてしまう弱さや、勢いで吐露してしまった本当の気持ちを、忘れてくれとバッサリ切り捨ててしまうところとか。
きっと、再会しなかったら、進一とのことも風化していったのかも知れません。でも出会ってしまった。
進一の方は、過去のやりとりがしっくりきてなかった所に、元カレ?が登場したりして、盛り上がっちゃったのでは?忘れ去っていたオモチャを取り上げられた感じの思いじゃないの?って七海でなくても疑っちゃうような。
実際には、昔もそう言った感情は持っていたけれども、気が付いてなかった、そしてそれをちゃんと考えることも出来なかったってことなのかも。緩やかな愛情ってことなのかな、その分ずっと続きそう。進一の性格上も自信持ってないと好きって言わなそうだし。
でも、結果として七海に欲情して、そして大切にしようという攻めは、もっと言葉や態度で七海を甘やかしてあげて欲しかったかも。
私は、あらすじを読まなかったので、親友だった相手・七海と仕事場で6年ぶりに再会するもなんか微妙な雰囲気&そもそも親友だったはずなのに疎遠になったのは何故?という部分を手探り状態で読み進めました。
攻め視点だったので、攻めの進一の記憶の発掘とでもいうのかな。
読み終わってあらすじを見たら、「親友だと思っていた男から突然の告白!? 応えないまま忘れてくれと告げられ、そのまま距離が遠くなって6年──」とあったわ……。
これ、もし受け視点だったらめーーーちゃくちゃ切な苦しいお話だったろうなぁ……って思います。
高校・大学時代の七海(受け)は、ずーっと進一に恋い焦がれていたけど、進一はそんなことつゆ知らずにただの親友だと思ってる。
大学時代、七海は、一度だけ同級生相手に体を許すんですね、
その相手はずっと七海の事が好きだったんだけど、実家の都合で郷里に戻ることになり「一回だけ」と縋りつき、七海は餞別代わりに体を許す。
それを知った進一はなぜかモヤモヤしてしまい、つい責めてしまった際に、
「一回だけでもいいって 必死にそう願うこともあるんだよ。いいかげんわかれよ」と七海が言うんだけど。
もうここが、七海の心の叫びみたいそのものでしたねー。
「一回だけ」と縋る相手の気持ちが痛いほどわかるから、受け入れてしまった。
何故なら、自分も同じことを進一に望んでいるから。
だけど、それに気づかない進一……。
ここがなんとも残酷で、可哀想すぎて一番記憶に残ってる。
再会後も「俺はもう失敗したくないんだ」と言い距離を取ろうとする七海。
そして、ようやく自分の気持ちに気づいた進一からの告白も「いまさら」と拒否する。
そして「ノンケなのにわざわざ将来結婚できない男を選ぶ理由がない」などとあれこれ理由をつけて拒否する。
ようやく進一が追いかけて距離が近づいたかと思いきや、七海が逃げてしまう姿に、初読時は、はぁ、臆病風吹かせていないでさっさと、くっついちまえ!!と、暴論を言いたくなったのだけど、七海のキャラが自分なりにわかってくると、なんかそこも愛おしいというか。
だから、「……うれし……い。だけど、こわい」とか、ずきゅーん!!とさせられます。
振り向いてくれない進一には慣れてるけど、自分のことを好きだって言ってくれる進一には不慣れな七海とか、いじらしいじゃありませんか!!
「恋人の時間」は、七海視点。
進一の愛情にとっぷりと包まれながらも、いまだに恋人どうしになったのは夢じゃなかろうか、幸せすぎてなんだか怖いと思ってる七海がいじらしい。
なんか優しい飼い主に拾われて面倒見てもらっているのに、いまだに部屋の隅でおびえる子猫風情というか。
初読時は、七海のツン具合にいまいちついていけなかったけど、何度か読み返すと、七海が可愛く思えてきます。
ダイナミックサスペンスもドラマチックラグジュアリーもコミカルファンタジーもなくて、ひたすらに旧友同士の心の機微が描かれた作品。
リーマンものだけど仕事内容は地味めで可もなく不可もなく、
全体を通して真面目で淡々とした印象。
なのに全然退屈しない。
ちゃんと、引き込まれる。
終始穏やかなのに、底の方から熱量が伝わってくる不思議な作品。
その秘密は、飾りすぎないキャラクター、過不足ない会話、巧みな心理描写、タイミング軸の存在にあると思う。
大学時代のある日、片思い相手だった進一(攻)にぽろっと告白してしまった七海(受)。
それが叶わないことを一瞬で悟り、「忘れてくれ」と自ら幕を引く。その後進一とは疎遠になったが数年の時を経て仕事で再会。昔の気まずさなど無かったかのように友人づきあいを再開するが…
攻視点進行ゆえに途中までは受のキャラがミステリアスに映ります。
しかし読み進めてみれば、実際の七海は上手くいかないことに慣れ過ぎて、全力でバリアを張る臆病で天邪鬼な美人さん。男らしいのに、いじらしい繊細なキャラでした。
一方攻はバリバリノンケの好青年。
歪みや鬱屈の少ない彼の視点で描かれるからこそ、アクが強くなりすぎず丁度良い温度で読むことができます。
物語では進一と七海のチリチリとした距離感の移ろいが描写されていきます。
友人という枠に落とし込もうとして無理をしている七海の痛々しさ
踏み込まない、過去を蒸し返さないことが優しさだと勘違いしている進一
2人の友人関係は一見とても自然。だからこそ超不自然。
このモヤモヤを一つずつほどいていく繊細な過程がこの本の醍醐味です。
そこにはキャラの派手さやご都合主義は必要ありません。
考えては対話をして、相手を観察して、また考えての繰り返し。
丁寧に丁寧に描かれています。
進一がようやく恋愛感情に気づいてからも、トントン拍子に行かないところも二人らしい展開で好印象。
こじらせ体質の七海は簡単には受け入れてくれずに話は中々の平行線。
それを最後の最後に「100%の好き」で覆しにかかるところが、この本のクライマックスです。
10年以上の二人の関係が交わる感慨がぶわっと押し寄せます。
だけどその気持ちはドキドキハッピーではなくて、ほっと胸をなでおろすような安堵。
とてもとても静かな沸点、とてもとても不思議な感覚でした。
読中はさらさらと読めるのに、読後に感じる圧倒的ボリューム感。
時間・タイミング軸を上手に絡めながら着地させたことによって、装飾せずとも自然とストーリーに深みが増したのだと思います。
派手そうに見えて、派手に面白い作品は多々あれど、
こういうさらっとしているけど面白い作品って探すと中々無いんですよね。
あらすじだけだと判別できないし。
というわけで個人的にはアタリ作。
静の作品がお好きな方には特にお勧めします。
親友だと思っていた男から突然告白され、応えないまま「忘れてくれ」と告げられ、そのまま疎遠になってしまった親友。
それから6年。
大学時代の親友・七海と仕事で再会した進一。
動揺すると進一とは対照的に、七海は気まずい過去など忘れたように振る舞ってくる。
そんな七海がなんとなく腑に落ちない進一は、次第にモヤモヤを募らせていく。
そして、七海の元恋人に会った進一は……
という話でした。
当時は二人の関係を形にできなかった男が、成人して、ある程度の自由を手に入れて、ようやく、自分の本当に気がつくことができたお話。
どちらも真面目だからこそ、簡単に気持ちも身体も重ねることを躊躇って今になってしまった……という話でした。
この作者さんの話を続けて読みましたけど、真面目で優しい男の人が主人公の話が多くて、そういうのが作風なんだな……って思いました。
年月を経たからこその二人の関係に興味のある方におススメします。
せつない描写が秀逸な作品でした
攻め視点で進んでいくので、せつなさが少し伝わり難いというか、想像し難いというか‥
受け視点の方が、個人的には好きな流れかなと思いますした
後日談も掲載されてますが、もう少しイチャイチャしててもよくないですか?
なんか、読んでてちょっと辛くなってきました
片想いをこじらせるとこんな風になっちゃうのかなぁ
幸せって、恐怖と隣り合わせなんですよね
気持ちはわかりますよ
けど、やっぱりだからこそもうちょっと心通わせた2人が読みたかったかな
大人の男はこんな感じがリアルなのかな
BLのファンタジー感は少なめでした