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今宵は…兄さんの、望むままに
特典ペーパー付き新刊で購入しました。
血の繋がった双子なのに、性格や体格が正反対なので、
読んでいると実の兄弟ということを何度も忘れてしまいそうになりました。
双子というよりも義兄弟という印象が強かったです。
あらすじに書いてあるように、猟奇殺人事件を軸に物語が進んでいきますが、
読んでいて、二時間サスペンスドラマのようだと思いました。
明治時代の言葉使いや文章など、硬すぎたり難しすぎたりすることなく
表現されているので、読みやすくて、明治時代の雰囲気が伝わってきて
作品の世界観に直ぐに溶け込むことが出来ました。
妹が、永之助くんのことを緋牡丹と、直次郎くんのことを白百合だと
表現していたように、特に直次郎くんは本当に心が清らかだと思いました。
それにしても、妹はとても寛大な人だと思いました。
兄二人の情事を聞いて知ってしまったとはいえ、
明治時代であれば同性愛の偏見など強かったと思うのに、
妹の初恋の相手が双子のどちらかであったのに、
表立って取り乱したりせず応援するのには、
強い人だと改めて思いました。
二人の気持ちが通じ合った後も、通じ合う前と変わらず、
笑ってしまう面白い場面は最後まで無いだろうと思っていたのですが、
まさか最後に笑ってしまう場面があるとは思いもしませんでした。
最後の最後になって「僕は○○と心中するのです!」と必死の思いで
叫んだ直次郎くんに意表を突かれて思わず吹き出してしまいました。
あの直次郎くんがこのセリフを言う姿を想像すると可愛らしくて
微笑ましくて萌えました。
今回の評価は「萌×2」と「神」で少し迷いました。
読みながら「この感じだったら萌×2かな」と、
迷うことなく、ほぼ決めていたのですが、
最後の最後になって、直次郎くんの
「僕は○○と心中するのです!」
っていうセリフで、全く頭をよぎることもなかった
「神」評価が頭に浮かんで、迷ってしまいました。
最後の最後までシリアスな雰囲気を貫き通すのも良いけれど、
あの直次郎くんが必死になって「○○と心中するのです」
と言ったのには意表を突かれて思わず吹き出してしまったので、
最後のインパクトが、大半を占めていたシリアスな部分と
面白い部分の両方が引き立てられたと思うので、
最終的に「神」評価にしました。
電子書籍で購入。挿絵も大きく入っていたので助かりました。
(電子だと挿絵がすごく小さいものがたまにあるので……)
冷たい永之助(兄・攻)に苦悩する直次郎(弟・受)、
近場で起こる凄惨なな事件と、それに関わっているかのような行動をとる永之助、
もし兄が犯人だったら?ということに悩み考え、そして決断する直次郎、
戦地で目にした悲惨な光景に自己を投影して悪夢にうなされる永之助の思い、
そして事件の結末、締めへと続くお話が、短く章ごとに分けられて美しい言葉で綴られています。
このお話はサスペンス風なところもあるので、ここで詳しく書かないほうがいいのでしょう。
けれどあくまでサスペンス風なのはお話のアクセントであって、本筋は兄弟の純愛です。
そこに歪んだものを見ながらも、本当はひとつのものだったはずのふたりが
ひとつに戻っていく、というようなお話です。
他のかたもおっしゃっているように、兄弟間の禁忌というものはあまりないです。
兄弟ものは苦手だけど……というかたでも多分大丈夫じゃないかな、と。
ただ、カニバリズム的な描写が少しあります。
とはいっても兄弟がどうこうなるというわけではないので、悲惨な事件・事実のひとつとして読めば、そんなに気分が悪くなることはないのではないかと思います。
私がこのお話に非常に萌えた点はふたつ。
ひとつは丸木先生の挿絵です。なんか他のとちょっと違う!陰気で素敵です。
陰気というのは、このお話においては褒め言葉として受け取ってもらえれば。
もうひとつは、物語の終盤で「直次郎が永之助より早く死んでしまったら」ということを
話し合っているシーンがあります。
ここで出した永之助の答えです!
永之助の答えにしびれはしたんですが、これが本当にそうなると私は本をブン投げると思います。
お話としては大っ嫌いなパターンなんですが、愛の深さを知らしめるために言葉にすると萌えるという、ちょっと我が侭で申し訳ないんですが……
良かった、作中で直次郎が死ななくて。
「はなひらく」ではいちゃいちゃっぷりに顔がにやけてしまいます。
直次郎は、戦地へ赴く兄・永之介の頼みを受け入れ、体を許す。
しかし戦地から帰還した兄は別人になっていた…
あれほど愛してくれたのに、なぜか直次郎を避ける永之介。
すれ違う日々の中、世間を震撼させる猟奇的殺人が発生。…人の肉を食べる。
この事件をきっかけに、永之介の様子がおかしくなってゆく…
離れ離れになるくらいなら、手の届かなくなるところに行ってしまうのなら
食べてしまおう。 そうして一つになる。
本人にとっては究極の愛のカタチ
なのでしょうね。物理的な結合を越えて、生物的、細胞の一部として
自分の中に取り入れる。こんな発想はなかなかありません。
永之介が犯人なの?なんていう心理描写にまんまとひっかかって
はらはらしっぱなしでした。
兄弟愛、ですから禁忌…タブーの恋は萌えますね。
「鬼子の夢」が鬼(神)だったので早速丸木先生の他の作品をkindle unlimitedで。
文体や会話の端々の雰囲気が違うのに驚きました。簡潔で男らしいと言いますか。
「鬼子の夢」が下から突き上げるような激しい純愛とエロスであるならば、今作は声を殺してじわじわ追い詰める純愛とエロスという感じでした。
思いを通わせたのは宿でも、家族と住む家で毎夜ひっそりと部屋を訪ね音と声を出さぬよう抱き合うという描写が、その時代背景も含めその暗さや静かさの中にエロティックが潜んでいて美しくもあり興奮しました。下帯付けないで相手を待ちわびる表現、癖になりそうです。
イラストも丸木先生で素晴らしい。とても丁寧で体格差も最高でした!凄いなぁ。
正反対の二人が惹かれ合うお話は大好きなのですが、この作品ではそれが双子でしかも相手を誇らしく尊敬しているところがとても良いなと思いました(大きくすれ違いますが)
元は一つだったのに分けられて、それを埋めるように求め合うというのはロマンティックでもあり何となく納得させられます。でもこの二人が元の一人だったら最強過ぎる(笑)
硬派というのがそんな意味もあるとは知りませんでした。
愛する人を食らうことについての会話は究極なのだろうけれど結構引いて読んでいました。凄まじ過ぎます。
お話自体は鬼子の方が圧倒されましたが、こちらの文体がとても好きで、東京の地名や料理なんかの雰囲気も作品を盛り上げている点読んでいてワクワクしました。
あまり引用が過ぎるのは良くないのでしょうが、この見事な一文は購入を迷っている方を全力で堕とすと思うのです。
“下から思うさまに突かれると体が面白いように揺れ、恥ずかしい形になった陽物も玩具のように頻りに首を振ってしまい、漏れた露が兄の胸の上に飛び散り、直次郎はその光景に体中の血が煮えるようになった。”
双子の兄から請われて、出生前に情を交わした弟。
日露戦争から帰還した軍医の兄、直次郎は人が変わっていた。
同じころ、帝都では女性ばかりを狙った猟奇殺人事件が多発する。
学生時代の友人、児島と事件の検死について議論になり、
兄が話した言葉、
「犯人は、肉を切り取り食ったのではないか?」
「きみは、愛した者の肉を食いたいと思ったことはあるか??」
こんな展開だと、誰だって兄の仕業ではないかと、思ってしまう。
そして後半、お約束のどんでん返しが仕込まれてました。
冒頭で推理ものか?と思ったのですけど、作品中に出てくる「雨月物語の蒼頭巾」の、
寵愛した少年の遺体を食った阿闍梨の話が話中に出てくる。
・・・奥が深いというか、なんとも言えない凄みがある物語でした。。