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レビューがたくさんあがってるので感想だけで。
うーん、智秋が自己評価が低すぎて、ダメ男に何年も尽くして騙され捨てられ忘れられず。その上極上の男前がせっせとお店に通って口説いてくれてるのに、全く気が付かない上に勝手に医者だから優しいんだ、僕の身体が目当てなんだと延々と傷ついて…。
鈍すぎるのと自分から不幸になりに行こうとしてるというか。
2歳の頃に両親が離婚して…とか、ゲイだから…とか理由はあるんでしょうが。
もう読んでてじれったいというか。なぜ素直に受け取れない?
あと元カレだけは止めときなー!!!っていうか。
檜野の執着にご苦労さま!ですよ。よくぞ諦めずにいてくれた!
ちんちん言い過ぎで笑いました。
「節操がないんですね」
「心が広いと言え」
「広いのは心じゃなくて守備範囲かと。けどそのおかげでおれは路上から救出された」
安曇さんの書く会話劇はゆるい漫才のようで、読んでいて心地よい面白さがあります。映画の脚本書いてほしい…!
万年筆を愛する自営業とチャリでやってくる開業医、押せ押せな攻めとタジタジに反らす鈍感受け。
粗筋に出てくる出会いの事実までが割と遅くて焦れてしまいましたが、笑えたりしんみりしたり、一緒に商店街の空気を感じられるような風合いのお話でした。
あれこれと考えたり責めたりモヤモヤすることも、「誰かを責め出したらキリがない」とお医者さんから言われれば、頷くしか出来ません。
落ち葉を踏むのに「ポテトチップスを齧るような音」、頭と行動の不一致を「頭の中にハムスターがいるみたいだ」、「鼻腔に広がる」(擽る表現多いけど、そこまで擽られないよねと思っている)など表現や、軽率な元彼の分析など、文章の面白さと人情と冷静さが滲んでいて、軽く読めるのに読後感はちゃんとありました。
そして昔手術した担当とのエッチってエッチだな…濡れ場は少ないのですが、慣れない騎乗位とか、受けの誘い文句とか最高でした。
ハガキ書き直すSSが当然あるのだろうと思ってめくった巻末…無いのね残念!
四年近く付き合った彼氏に、結婚を理由に突然振られてしまうんですね、受けが。
で、やけ酒くらって道端で寝ている受けを見かけた攻めが、心配して声をかけてくれるんだけど、攻めの服をゲロまみれにしちゃうんですよ。
で、酔った勢いで一晩過ごすも、明け方にこっそりとホテルから逃げてしまう。
(おまけに、どうやらクリーニング代も置かずに逃げたらしい)
そして後日、受けの店に来た攻めを見て、「え?!どういうつもりで来たんだろ?」とぐるぐるしながら素知らぬふりして接客するんだけど……。
まず真っ先に「先日はすみませんでしたっ!!!」と謝るのが筋でしょー…と思ってしまって。
忘れたい出来事として葬りたいのはわかるけど、攻めの服をゲロまみれにしておいて素知らぬふりするのはないわー……と思ってしまいました。
……と、初っ端から、受けに対して好印象を抱けなかったので、その後もぐるぐるもめんどくせーやつ……としか思えず……。
万年筆と包茎の融合は面白かったし、攻めは口は悪いけどおおらかで懐深い男でそこは良かったです。
元研修医・現町医者×元患者・現文房具屋です。
電子書籍で読みましたが、挿絵はないので、挿絵が必須な方はお気をつけください。
受の智秋は、付き合っていた男に突然、女性と結婚するからと振られ、ボロボロになって道端で寝転んでいたところを攻の檜野に拾われ、勢いで体の関係を持ちます。その後、もう二度と会うことはないと思っていた檜野に、足繁く文房具店に通われ、言い寄られ、ある日うっかり食事をすることになってしまいます。
そこでまさかの、檜野がかつて、中学を卒業したばかりの自分が、包茎手術からフルチンで(笑)逃げ出したときに、追いかけてなだめてくれた研修医だったと発覚し…というお話です。
なお、智秋は最初あっさり檜野と寝ていますが、それは酔っていた上にあまりにも傷ついていたためで、決してビッチという訳ではありません。
智秋の仕事の描写が良いです。万年筆のことやインクのこと、指先が汚れることなど、詳細に描かれていて、やっぱり作家さんってすごいなーと思いました。
檜野は口は悪いし豪快すぎるくらいの性格ですが、智秋のちょっとした変化には目敏く気付き、智秋の身に何が起こったのか、言い当てまくります。この言い当てる力、すごすぎて占い師やった方が良いんじゃないかと思うレベル(笑)。もちろん医者としてその洞察力は遺憾なく発揮されているのでしょうが。
人に甘えるのが苦手で、願望を押し込めがちな智秋。身勝手な元彼にも強く出ることができず、檜野のことを好きになってからも、檜野には他に好きな人がいるのだと思い込んで、逃げ出してしまいます。読者からしたら檜野はずーーーーっと智秋のことが好きなのが明らかなのですが、一応、思い込む原因は納得できるものではありました。
檜野にも辛い過去があること、それを救ってくれたのが実は智秋であることが明かされ、ようやく両思いに。
ちょっとしたセリフ回しや登場させるアイテムが、後の展開につながるというストーリー運びがうまいなと感じる作品でした。
夏みかん色のインク、素敵だな〜と思い、つい「万年筆 インク オレンジ」で画像を検索してしまいました(笑)。万年筆はハードルが高いですが、オレンジ色のペンなら、いつか使ってみたいな〜という気持ちにさせられました。
丸ごと1冊表題作です。智秋の目線で進みます。
医師×ペンドクターという珍しい組み合わせです。檜野(攻め)は万年筆の購入・修理に智秋(受け)の文具店を訪れますし、それ以外にも万年筆が小道具として様々に登場します。自分も万年筆が欲しくなりました。
単に珍しい仕事だから使ったというのではなく、智秋がペンドクターであることの必要性もありますし、指先の汚れへの対応で、檜野と元彼・芳朝との違いも示してくれてます。
芳朝との関係や、序盤で登場した下ろしたままの看板をラストでは揚げるなど、隅から隅まで、伏線を綺麗に回収してくれているので、読後はすっきり爽快な気持ちになりました。
切ない話なのですが、会話や智秋の思考にユーモアがあるので、読んでいて辛くはありません。「耐震偽装」には吹き出しました。シリアスとコミカルの緩急のバランスがとても良いです。智秋の心中を丁寧に書いてくれているので読みやすいです。
俺様な年上攻め、可愛く天然な年下受け、切ないけれどコミカルな恋、がお好きな方にお勧めです!