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この作品、初読のときに考え込み過ぎちゃってだめだったんですよ…。
だめというのは、気持ちの切り替えがうまくできなかったという意味で。
そんなわけで数年ぶり読み返しです。
田舎から東京の大学に出てきた大地は、訛りのせいでひとと上手く話をすることができなくて学校でも馴染めずにいた。
隣人の菊池は、隠すこともなく大っぴらに男と付き合っているような奔放な人。
ある日、彼氏と揉めた菊池を助けた大地は…。
1話目の扉絵をご覧ください。
漫画の世界では「何頭身!?」っていうくらい小顔に大柄というデッサン仕方をする方が多いように思いますが、佳門さんの描く人物は7.6頭身くらい。
芸能人並みではあるものの、そこまで現実離れしていない体に、イケメンや美人な顔が乗ったら、何が起こりますか?
そう、ときめきです。
扉絵で既にときめくこの作品、つらいんですよ。
母が好きだった歌手がその昔、「会えない時間が、愛育てるのさ」と歌っていましたが、冒頭部分のお隣さん同士が物理的に一番距離が近い。
その後はどんどん離れちゃう。
彼氏との別れに納得のいかない菊池を送り出してから、菊池行方不明。
その後、やっと見つけた!と思ったものの、今度は大地が距離を置く。
そしてとうとう気持ちが通じ合った!と思ったら…、あああああという展開。
若いうちは時間は無限に思えるかもしれないけれど、年をある程度重ねた身としては、一分一秒も無駄にできない!と思ってしまう。
特に引きずる要因となるのが、大地の実家の問題です。
上京してからバイトもしていなかったところを見ると、大地と妹が大学卒業できるくらいの蓄えは、両親が遺してくれたのでしょう。
だけど、小さな妹と倒れた祖母を放っておけるような子ではないのも分かる。
でも!大学卒業と第一希望の就職を蹴ってまで、地元に戻ってくることをおばあちゃんは望んだでしょうか?
大地の夢を知っていたというおばあちゃん。
自分のせいで、それを諦めて戻ってきたと知ったとき、おばあちゃんは「ありがとう」の前に「取り返しのつかないことを!!」って思うんじゃないかと。
ひたすらおばあちゃん抱くであろう罪悪感の部分で引っかかってしまって、菊池のモノローグや大地の気持ちにも「あああああああ」って思うし、ダブルで引きずってしまう。
でも終わり良ければ、ですよ。
終わりはとても良いです。
モノローグや台詞がすごく良いんですよ。
訛りのせいで話せなかった大地が、菊池に声を褒められて一歩前へ踏み出す。
そんな大地が、好きだった男との別れに納得していない菊池に言う台詞、「あの人と分かり合える言葉をたくさん持っているのに」っていうところ。
来ますね。
その後のモノローグも良い。
社会人として学生の大地に甘えたくないという菊池に、それまでの自分を顧みるシーンも良い。
しあわせの絶頂から一転、離れることになった大地に、菊池が自分の過去を回想しつつ思うモノローグもすごく良い。
とにかく良い。
おばあちゃんの罪悪感さえ感じることがなければ、神をつけていたかもしれません。
イケメンに美人、そして素晴らしいストーリー展開。
未読の方は、おばあちゃんに肩入れし過ぎないように気をつけてください。
上京した大地の隣人はいつも男を連れ込んでいる。そんな菊池の痴話喧嘩を助けたことから、2人は親しくなっていき―。
サエコさんにしては珍しく純愛だなぁ、というのが率直な感想。2人が引かれ逢うところが丁寧に描かれています。でも大地が菊池さんを好きになるくだりがちょっと急展開な気が……
本人はあとがきでいつもと違う感じで~っておっしゃってたけど、ひょっとして例の件で自重しているのかも?と思ったり。
ストーリー重視で感動する反面少し物足りなさも感じる作品でした。
KONOKA様、
ご丁寧にありがとうございます!条例には色々な事情がありそうですが、それが作品自体を否定するようであって欲しくないなと思ってしまいます。今作を通して、佳門先生の良さに、甘さ+ストーリー性がくっついて、より幅を広げていって貰えたらなと思いました。貴重なご感想をありがとうございました!
chellydish様、質問をいただいていたのに気付かず申し訳ありませんでした。
まさしく茶鬼様のおっしゃる通り、「例の件」とはその条例のことでした。代返ありがとうございます!
茶鬼様、
ご丁寧なご回答をありがとうございました。
そうですか・・・そんなことが。。。ああ、なんというかショックです。
それでサエコ先生が、ショックを受けて「自粛しなきゃ」等と思われたのだとしたら、尚更かなしいし寂しいです。先日サエコ先生の同人誌を買ったのですが、水着シリーズに対する意欲にあふれたコメントがあって、これからもドンドン書かれるのかなと思っていたのですが・・・泪
私個人としては、サエコさんの描写は本当に好きです。生半可なものであればあるほど詰らない。藤井先生の作品にしても、そういう描写にとことんこだわっているのが分かるので、面白いと感じるのだと思います。成人指定にしなければいけないという意見は、解りますが、ポイントはそこではないぞ、と言いたくなる気持ちが正直あります。
作者の勢いというか情熱みたいなものを感じるからこそ、読者はファンになっていくものです。今後、たとえサエコ先生がR18になっても、買い続けるので、どうかどうか諦めず、へこたれず、まだまだ有り余るサエコ先生の頭の中にあるファンタジーを描き続けていって欲しいと思います。
彼女の漫画の大いなる魅力の核に、エロがあると確信しているので、もったいないです。
つらつらと語ってしまってすみませんでした。御丁寧に答えて頂き、本当に有難うございました。
訂正
すみません、藤井あやさんの指定されたのは、桃色男子でなくて「男巫女」だったかもしれません。
調べればわかりますが、とりあえずということで御免なさい
ご本人ではないのですが、「例の件」で自粛というと思い当たるのはあのことだけ。
答えさせていただきます
昨年、「先輩の水着」が都の青少年健全育成条例に引っかかりまして、摘発されてしまったのです。
きっとそれの事と思います。
それ以前ですと宮下キツネさんの「殿下の家電」、藤井あやさんの「桃色男子」←すみません、シリーズのどれだったか定かでないです。などが指定されました。
「例の件」が気になります!差し支えなければ教えて頂けないでしょうか?(> <)
1冊通しのお話です。
先のレビュア様の仰る通り、純愛な印象を受けました。
相手を思いやる気持ちとか、相手の為に必死になるところとか。
2人なら障害もどうにかなる、なところとか。(春子ちゃん、大人やなぁ。)
嫉妬や不甲斐なさ、もどかしさなんかも少し。
菊池さんですら(失礼)一途なところなんかも、そう感じさせる要因かも。
本編の最後の言葉、凄くステキです。
恋をする多くの人はそう思うのではないでしょうか。
本作は、目が大きくないと思います。(個人的には、この方が好きなんです。)
大地はいったいどんな声なんでしょう。。。
きっと、自分好みの声で読んでしまうと思います。
イケメンでイケボな攻めの方言がほのぼのしい。
いやーもーとにかく大地の声を聞きたい!!
声だけでイっちゃうとかどんだけ素敵voiceなんだhshs(*´Д`≡´Д`*)hshs!
音声ついてないのが残念すぎる。
今回、純愛な感じでしたー。
佳門さんといえばエロ(*´Д`)ハァハァ…というイメージだったんで意外。
エロは普段よりも少な目かな。
大地標準語化特訓のテキストが“(菊池さんが)男に言われたいセリフ集”なのが(。-∀-)ニヤリ
ってか大地!
菊池さんの顔を見たら決心鈍るからって黙って実家に帰ろうとするな(_・ω・)_バァン!
そんな急にいなくなったら心配するでしょ!
黙っていなくなられる側の気持ち考えてー(」゚ロ゚)」
それにしても大地の妹小さいのにしっかりしてるわー。
菊池さんは都会じゃないと…というか仕事で店長任命されてるんでそれを投げ出すのはアレですし…。
だから大地には定期的におばあちゃんと妹に顔見せに帰郷してもらいたいなー…とか思っちゃったり。
ってかマジで田舎だな!
圏外どころか、今時電話線通ってないなんて(((゜Д゜;)))
佳門先生の作品と言えば、フェティッシュ全開のエロエロさが特徴的ですが、
本作はビックリするくらい、エロ自体が少なく、恋愛を通して 成長していくハートフルなお話。
先生もあとがきで、「目指したのはささやかな幸せ。いろんな所で頑張っている人達に伝われば、と。」書いてらっしゃいます。
大地は、極度の訛りの為に引っ込み思案になっている大学生。
進学の為に上京したアパートの隣には、いつも男が出入りしている美しい男が住んでいる。
ある日その「となりの美しいひと」が、男に殴られて倒れているのを介抱した事で、大地は彼と関わっていく事になる。
菊池さんは、大地の良い声を聞いて「勿体ない、訛りを直してやる。」と半ばからかいながら、二人は一緒に過ごす事になる。少しずつ学校生活に慣れた大地のその声が「俳優みたい!」だと女子たちにポーってされたりするので。ここはちょっと声フェチ的な、ものもあるにはあるんだけど。
もちろん、菊池さんとのエッチの時には、その良い声は遺憾無く発揮されます!
けれど、いかんせん大地は純朴な青年なので、その声でエロい事を言うとかはありません。
大地の真っ直ぐさに絆されて、自分の気持ちに素直になっていく菊池さんと、そんな菊池さんと肩を並べられる様になりたいと、逆上せているだけではダメだと頑張る大地。
もともと大地は背が高く、見た目は良いんだけど、どんどん垢抜けていく様子が描かれているのもいい。けれど中味は純朴なまま。
時は移り、せっかく希望の会社の内定が取れたのに、お祖母さんが倒れたというので、田舎に帰ってしまう。大地にはお祖母さんと年の離れた妹しかいないのだ。
菊池さんは、バーテンダーの仕事をしていた店のオーナーから新店舗を店長として任される事になり、責任も生じて、やり甲斐も感じているので、おいそれと大地を追うことは出来ない。
結局「どこにいても人はひとりだ。寂しくて、誰かに縋りたくても、ひとりで歩んでいくしかない。」
というモノローグが切ないんですけど、菊池さんは、男に縋って生きていた最初の頃より、大地と恋をした事で、強くなっているんです。
一人ひとりが、お互いに依存し合う事なく自分の足で立っていて。
その上で、また共に生きていこうとする。
遠い将来的には、二人が何処で生きて行く事になるのかは分かりませんが、それでもずっと一緒にいるんだと思える素敵なラストだと思います。