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表題作ひばりの朝 1

あらすじ

*BLではありません。

手島日波里、14歳。 同い年の子どもより、肉感的な身体つき。 彼女を知れば、男はたいがい性的な感情を抱き、女はたいがい悪意の弾をこめる。 彼女に劣情を抱いている男や、片思いをしている少年、劣等感を抱く女、そして彼女をおとしめたい少女が、ひっそりと、かつエゴイステッィに彼女について語り出す。 彼女にまつわる心理展覧図はどこまでも広がるが、真実の正体は誰が知るのか? 少女の正体は魔性か、凡庸か――『HER』を超える“怪作"誕生!

(出版社より)

作品情報

作品名
ひばりの朝 1
著者
ヤマシタトモコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
発売日
ISBN
9784396765552
4

(5)

(2)

萌々

(1)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
20
評価数
5
平均
4 / 5
神率
40%

レビュー投稿数4

微妙な読後感

糸目のブスなおばはんが良い女気取りで色気振りまいている冒頭、猛烈に吐き気がしました。
娘のひばりはなんかぼーっとしてるし、ひばりに色目使ってるメガネ男も深い。さらに何故かそのメガネ男に執着してるガリガリ女も何考えてるかよくわかりません。

総じて好きになれるキャラが誰一人居ず、かといってストーリーで読ませる程の求心力も皆無。割と当たりはずれが多い作家さんなのですが、これは外れの部類でした。

こういう境遇に共感できる人なら面白いんじゃないかな売女の方とか。

0

彼女の行く先は

ヤマシタトモコ先生の非BL作品です。
実はわたくし、こんなにもこんなにも有名な先生の作品(BL含め)をあまり読んだことが
ないのです。読んだら絶対面白いんだろうな、とはわかっていてもなかなか手を出せず…

しかし今回、この「ひばりの朝」が本屋さんでかなり積まれていまして、帯にある
『あたしがわるいんです』という言葉にものすごく目を惹かれてしまって!
きっと、表紙の女の子がひばりちゃんで、きっとすごい魔性の女の子でその子に
どうしようもなく惹かれていってしまう人達のお話かな…と勝手に想像し手に取ってみました。
おおまかに言ってしまえばそうなんですが、そんな言葉で片付けられないほど、人間の
きっと誰しもが持っているであろう汚い部分、人の内の明と暗で言えば、暗の部分が
大変巧妙に描かれていまして、ぱらぱらーっとあっさりとは読めない、1ページ1ページをじっくり時間をかけて読む作品でした。

1冊読み切ってなんだかドッと疲れたというか、決して不快ではない疲労感に包まれたと
いうか…やっぱりヤマシタ先生ってすごいのですね!他のBL作品をもっと読んでみたく
なりました。

14歳の少女、手島日波里に関わる様々な男女たちがそれぞれ1話ごとに視点が変わり
描かれています。
手島日波里という女の子は、14歳にしては周りよりも成長した肉感的な身体つき。
あまり感情を出さず、クラスからも浮いている存在。でも、どこかその危ない雰囲気に
男たちは惹かれてしまう。学校にも家にも行き場、居場所がない。「そういう対象」に
見られてしまうのも『わたしが悪いんです』。
危なげで、何か些細なことをきっかけにどこか壊れてしまいそうな少女なのです。

その少女と望んでも望まなくても関わっていく男女たちは、これからどうなっていくのか。
誰か彼女を救い出して光を与えてくれるのか、堕ちていくのか。
とっても気になるところです。2巻の発売を心から楽しみにしています!

1

初めての感覚。

続きものの本はできればちゃんと完結してから
最終巻を横に置いた状態で一巻から読みたいタイプです。
それができない時は、「すぐに続きが読めない…」と言い聞かせながら
本に入り込まないようにして読みます。
はまって続きがめちゃくちゃ気になるのに我慢!というのがどうにもダメ
はい、ただ我慢が苦手なだけです…

この本も続きものなので、いつものように自分に言い聞かせながら読み始めましたが
あっという間にそんなことは忘れて、この本に呑み込まれていきました…
「人の心の中は深い井戸のようだ」と言いますが
まさしくそれを描いたこの本は、わたしをその深みに引いてゆくのです

 まるで自分みたい、友だちのあの子みたい、昔の恋人みたい、
 親や先生でもそんなこと考えるのだろうか、
 よくあることなんじゃないだろうか、
 じゃあ、自分だったら…?
 すごくよくわかるなぁ、ここは共感できるなぁ、そう考えてしまう人もいるの?
 その思考回路は辛いなぁ、どうしてそうなのかなぁ
 じゃあ、自分がそこにいたら…?

主人公ひばりと、彼女を軸にしてその周りにいる大人と子供
それぞれがその状況その立場で、時に好き勝手に、時に真剣に考えている心の内は
ページをめるればめくるほど、読み手が自分や周りとリンクさせ
物語はどんどん現実味を帯び、心に刺さっていくのです

すっかり本に引き込まれたのに、もうめくるページがなくなって感じるのは
早く続きを!とは何故かすぐには思えない飽満感。
そして、ヤマシタトモコさんのその才能。
井戸の底から真昼の空を見上げた時のように、それは眩しく絶対的でした。


6

人の暗部を突きつけられる怖さ

ヤマシタトモコ作。

劣等感、嫉妬、暗い欲望…
登場人物のそれぞれが、外面は普通に暮しながら心の中で抱えているドロドロしたもの。
次々に語り手が変わりながら、そんな心の中の暗部が延々モノローグとして語られる。
一つ一つは、誰しもに馴染みのある感情。
それをこれでもか、と突きつけてくる物語。

日波里14歳。ただいるだけで男達に劣情を 女達に嫌悪感を起こさせる少女。
肉感的な肢体、濃い睫毛に縁取られた大きな目、ぼってりした唇、
母親にも「オンナ」と言われてしまう存在。
彼女自身は中身は無知で不用意な普通の中学生なのに、本人が意図せずに性的に見られ
中傷されてしまう。

彼女を前にすると、男も女も自分の中の普段繕って表に出さない情動が刺激され
それぞれにそれを投影してしまうのだろう。
隠しておいた、見たくもない、自分の中のそれ。

そんな日波里が語り始める。

 「親も先生もともだちも…皆死ねとと思っても全員殺してまわれないから
 あたしが死んだら全員消しちゃったのとおんなじことにならないかなって
 …世界中の 全員 しねってゆう 
 ちがうのかな わかんなくて 」

濃厚な負のパワーが迫って来て、読んでいて息苦しい。
まだ序章の1巻なので何の進展もカタルシスもなく、決して後味のよい作品ではない。
でも、読まされてしまうなんとも言えない作品。
どうなる、2巻?!

*ごめんなさい。萌えなんてありませーん。萌え評価無理!
 でもすごく面白い。趣味じゃなくないし、中立でもないので、「萌」で。

3

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