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表題作ゲシュタルト

慧に片想いしている大学生 聡嗣
慧にそっくりな慧と名乗る男

同時収録作品君に一番近い場所

一貫校の学生 田中映二 高校1年~大学
高台で男と性交する大学生 黒江 

同時収録作品星くずの街

同時収録作品シースルー

その他の収録作品

  • 星くずの街~おまけ~
  • あとがき

あらすじ

大学生の聡嗣は親友の慧にむくわれない片想いをしている。そんなある日、聡嗣の目の前に慧と同じ姿をした謎の「慧」が現れ――!?

作品情報

作品名
ゲシュタルト
著者
大槻ミゥ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス・リンクスコレクション
発売日
ISBN
9784344828957
3.4

(25)

(3)

萌々

(7)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
83
評価数
25
平均
3.4 / 5
神率
12%

レビュー投稿数9

Don't think,feelな表題作

扱われているテーマやタイトルから、いろいろ考えすぎてわけがわからなくなってしまう作品ってありますね。
筋道が立つように解釈をしようとしても、自分が立てた仮説にそぐわないシーンがあったりすると、また1から仮説を組み立て直さないといけません。
そんな感じで、組み立て直しまくって、何度も読み返した結果、「もしかしてそこまで深い意味はない?」と思った作品がこちらです。

【ゲシュタルト】中立
長年抱えた「好き」という想い。
何度も何度も伝えたのに受け入れてもらえない慧の気持ち。
一度も伝えたことはないし、これからもきっと伝えない聡嗣(あさつぐ)の気持ち。
頭と心中でずっと繰り返し想っているうちに「好き」がゲシュタルト崩壊を起こします。
突然、聡嗣の部屋に現れた「聡嗣が好きなところだけの慧」。
聡嗣が見つめられたいと願った恋する視線を聡嗣に向け、聡嗣だけを欲する慧。
でもそれは現実の慧ではなくて…。
難しいですね。
好きなところも嫌だなと思うところも全部引っくるめて慧なわけで、中学からずっとひとりの女の子を一途に想い続けている部分や、「友人として」聡嗣を一番頼りにしているところ、聡嗣の想いを受け入れてくれないであろうことを排除した慧は、果たして慧と言えるのか。
現実の慧とここにいる慧と、自分が好きなのは…?という妄想かファンタジーか、線引きが曖昧なラインで物語が進行していきます。
自分に都合の良い部分だけの慧を消しても、結局残った想いは、慧という存在そのものに向けたものだから、ということなのかな?
「ここが好き」「それは嫌だ」とパートに分けるのではなくて、全部ひっくるめた慧が好き、むしろ聡嗣の存在が「慧を好き」という意識に統合されたような?
報われない恋に飲み込まれていくようで、美しいラストシーンが物悲しく見えました。

【君に一番近い場所】萌
やっと来ました、チビじゃない攻め。
秘密基地にしようと思っていた高台の廃墟で、男同士のえろすを見てしまったDK。
その後、何度も覗きにいくうちに…。
恋に夢みがちで性に多感な年頃の少年と、自分の恋心をある程度割り切らざるを得ない大学生の対比が切ない話でした。
ラストはしあわせになれる予感でいっぱいです。

【星くずの街】しゅみじゃない
こっちの都合なんてお構いなしに呼び出しては、わがままばかり言う先輩と、そんな先輩を好きな後輩。
本人が良いなら、それでいいんじゃないでしょうかという話。

【シースルー】萌2
女子にモテるイケメンな友人のことが好きな眼鏡くん。
ある雨の放課後、雨宿りをしていた2人は…。
瑞々しい!初々しい!ときめきます!!
短い話ですが、この2人、続きが読みたい!と思わせる可愛い2人でした。

まだ未読という方にひとつだけアドバイスを。
表題作は深く考えれば考えるほど、自分の仮説の辻褄合わせの要素を探してしまって萌が遠のく危険があります。
大槻さんが提示しているものをそのまま受け入れて考えないのが、ベストな読み方です。

0

「切ない片思い」がテーマな一冊。

”想い合う男達が結ばれる”そんなBLセオリーからちょっと外れている一冊。

「ゲシュタルト」
聡嗣は、ある女の子に何度振られても想い続ける慧を密かに想っている。
そんな時、慧にそっくりな慧が部屋に居て、そっくり慧は本物が女の子に向けている恋する瞳を自分に向けてくれて…
好きな人とあれこれしたいって妄想を実体で体験するファンタジー。
聡嗣はそっくり慧に溺れるけど、現実の慧への想いにも揺れて、「消えろ」と叫んでしまい、そっくり慧は消えてしまう…
そっくり慧がなんだったのか明かされてないし、世界に聡嗣しかいないあやふやな存在だけど、その聡嗣から「消えろ」と言われてしまうのは切ない…
本物の慧の「好きなことはやめられない」って言葉にうなずく聡嗣、この先も慧を想っていくのがうかがえます。でも慧からの「失恋した?」って質問にうなずく聡嗣は、そっくり慧にもちゃんと想いがあったんだなって、ただ消えたそっくり慧が無意味じゃないように思えて救われました。

「君に一番近い場所」
高校生の映二がエロ本を隠している裏山の小屋で男同士がヤッてる!
今度は男同士のセックスを覗くために小屋通い。それが受けの黒江にバレて…
「あいつが俺を抱いていたことを覚えていて」って映二に頼む黒江。
攻めの竹村が遊びでそのうち捨てられるのをわかっているから、黒江は抱かれていても実感が持てないのが切ない。そして、そんな黒江に惹かれてしまう映二。
黒江は消えてしまうけど、二人がした約束は守られそうなエンディングが用意されてます。
黒江が綺麗で切なくて、この話がすごく好きです!

「星くずの街」
人妻と不倫してる先輩にパシリとして使われてる後輩。
切ない恋をしてる人に片思いしているテーマは表題作と共通。
二人がどうこなることはない短編です。

「シースルー」
雨宿りしている高校生。雨に濡れて洋服が透けてしまうように気持ちも透けて…
なにかが始まりそうな短編です。

想いが通じあうハッピーエンドが書かれてない、BLとしては珍しい一冊じゃないかと思います。その分、片思いの切なさがつまっていて余韻が残ります。

1

生き霊?

あとがきで二人は同じ慧と書いてあったんで、生き霊?なのかと思った。タイトルがゲシュタルトだから、聡嗣の好きすぎて自分でもわからないうちに精神崩壊しての幻覚なのかと思ったりもした。

慧がフラれて泣いていたけど、二人が同じ慧なら聡嗣に消えろと言われたから?とか思ったりもしたけど…それなら、女の子の意味ないし、理解力足らなくて苦しんだ。

どんなに問題のある恋でも最後は出来るだけハッピーで終わってほしい。

雨宿りしてるのに車に水かけられて乳首が透けちゃう話が一番好き。眼鏡の子が可愛い。

1

最後まで雰囲気を壊さずまとまった佳作

表題作のほかに3つの短編が入っています。どれもちくっとした苦しさが効いていました。

「ゲシュタルト」
表題作は、不思議な設定でどうなるのかハラハラしました。二人の慧の間で揺れ動く心理
が切なくて苦しくて。室内慧は願望そのものだったのかな?設定は不思議なのにストーリーはリアルで、心地よい浮遊感のある作品でした。

「君に一番近い場所」
自分たちのセックスの様子を「覚えておいて」という黒江がきれいで切なくて、印象的でした。会えなくなってからの攻めのモノローグもじわじわきました。

「星くずの街」
片思いのお話。ラストの言葉が非常によくて、はっとしました。

「シースルー」
最後のお話は、ハッピーエンドの予感で終わっていて、読後感もよかったです。

短編はほんとに短い場面を切り取ってるんですが、詩情があってすごくよかったです。長さが、---、--、-、・、とだんだん短くなっていっておしまい、という1冊の中での構成もあってか、ふわふわ・ゆらゆら・とん、と着地する感じで1冊を読み終えました。
大槻さんの世界にダイブして、夢見心地になれるような1冊です。

2

片想いの果てに

他の女に、何度玉砕してもアタックする慧をひそかに思い続ける聡嗣。
片想いをこじらせた結果、聡嗣の目の前にもうひとりの慧が現れるという、不思議でなんともファンタジックな、そして切ないお話。
タイトルのゲシュタルトは…ゲシュタルト崩壊って同じ字をずっと見続けてると字が崩れてきてなんだかおかしい見え方になってくるということですよね。つまり、思い続けるあまりなにかが崩れておかしくなってきたということなのかな。

聡嗣の部屋に突然現れた慧は、しゃべるしご飯も食べるし寝るし普通の人間と変わらないように見えるけど、聡嗣の部屋から一歩も出ない。
理想が具現化したかのような、部屋の中の慧とのセックスに溺れる聡嗣。
現実の慧と室内の慧は同じなのか違うのか、どうして室内の慧は聡嗣の前に現れたのか。

終わり方も、完全なハッピーエンドというわけではなくて…
切なく、もの悲しく、でも聡嗣と現実の慧との関係に今後を感じさせるようなエンディングで感慨深かったです。

1

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