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衝撃的な始まりからどうなることかと思ったら、読み終わるころには最初の衝撃など忘れてしまうほどに、杉浦のことで頭がいっぱいになっていた。実は三者視点で語られる杉浦充の物語だったんだろうか。ラストはめちゃくちゃ泣いた。
「秘密Ⅰ」は啓太視点で、冷凍庫に殺した死体が、という驚きの展開。でも決定的な場面になると描写が曖昧になり、啓太が本当に殺人犯なのか、確信が持てないまま緊張感を持って話が進む。
で、その秘密が暴かれるタイミングは、ギリギリを超えて行き過ぎてからのように見え、このラインを超えられるのが木原さんのすごいとこだと個人的に思う。充のように、人並みの社会生活が難しいキャラを多く生み出すのもすごいが。
「秘密Ⅱ」は充の従兄弟の榎本視点の過去話。杉浦家が崩壊していく様子と、充が自立するまでが描かれており、それぞれのどうしようもなさがとてもリアルに伝わってくる。辛すぎるお話で、充と啓太が五年経っても続いていることが唯一の救い。
「秘密Ⅲ」は充の弟視点。樹は父親の価値観を色濃く受け継いでいるようで、充と素直に話ができる日が来るとは思えない。ただ、最後の描写から、まだ残っていた良心が間接的に見えたのはとても良かった。
通して見ると波乱万丈な人生を送っている充は、純粋な心根がずっと変わっていないように思える。啓太のためなら、どんなことでも成し遂げるであろう愛の重さは怖くもあるが、啓太が道を踏み外さない限り大丈夫という安心感がある。
警察騒動後、啓太の妄想癖がどうなったのか分からないけど、充のおかげでこちらも安定したのかな。最後の最後で嬉しくて焦る充が見れて、心地良い読後感。幸せの予感に浸れる余韻がとても良かった。泣いた。
すんごく面白かった。
まさに秘密ってタイトルに相応しいお話だった。
秘密Ⅰは、受けの啓太視点
秘密Ⅱは、攻めの充の従兄弟、孝則視点
秘密Ⅲは、攻めの充の弟、樹視点
どの視点にも秘密の事柄があるんだけど、一作目が1番ディープな啓太の秘密[恋人を殺して冷凍庫に保管している]なんだけど、これは薄々違うんじゃないかな?と思いながら読んでた。
だって、周りが騒がしくないんだもの。人が1人失踪したらざわつくはず。警察沙汰にもなるかもしれない。それがないんだもん。
もう一つが充の秘密[文字の読み書きが出来ない]バカだと思われたくないからって言うけど、言動と行動が知的障害あるんかな?って思ってたんだけど、よくよく読んでいくとそれは無いんだね。
文字が読めない書けないって二作目のお話でどんな問題点があるか過去回想で書かれていて本当に生きづらい事だなと感じました。
二作目は孝則による過去回想。充を引き取ってどんな事があったのかここで知れた。最初は親しくも無い従兄弟の家庭の揉め事に巻き込まれて面倒くさいなと思ってたのに、引き取って同居生活しながら社会人としての基盤を作ってくれたのは孝則。
世話焼きだよね。なんだかんだ言ってずっと面倒見てくれてる。筆下ろしからテクニック伝授まで。充って愚鈍そうなのに、相手の反応をみての快感を引き出す能力は長けてるってのが凄い。喜ばせたい、褒められたい気持ちが大きいんだろな。
秘密は、孝則は充を愛する事は出来ないと突き放したけど本当は好きってところなんだろうな。甘くほろ苦いお話。
三作目の秘密が一番罪深いと思う。
これは、充弟の樹視点。読み書きが出来ない充は学校でいじめられていて、そのせいで自分までいじめに遭っていたから兄が大嫌いだった樹。どちらかと言うと差別主義者の父の影響をモロに受けてる人物。悪酔いして道で偶然介抱して自宅に連れ帰ってくれた兄充に対して金の無心されるんじゃ無いかと疑心暗鬼。関わりたく無いと思ってたりする。
充はそんな気持ち全然無いのに。久しぶりに会った家族に懐かしんでるだけなのに。
なんか嫌な気持ちで終わるんじゃないかと不安になったけどそれはなく、とても良い終わり方でした。
ただ、母親の判断がなんだかな〜と思わされた。
全部の不幸を充に背負わせたのは母親。
でも、この事があったから孝則さんと親しくなれたし自立出来たし、SEXテクニック身に付けられたし、運命の人 啓太と出会えたし、結果良かったんだよね。啓太にとっても充は最適な相手だと思うし本当に良かったねと思えた。
DMMブックスで講談社文庫版で購入。
解説はなかったです、残念。
新書版も持ってるので何処か違うところあるのか読み比べてみようかな。
大変遅ればせながら、『箱の中』を拝読したのは最近のこと。
そこからは木原作品にどっぷり浸かり、数作品を経て今作を拝読しました。
当たり前ですが、どの作品も素晴らしさに唸りました。
ここまで書くのか…と。
今作も読みだしたら止まらなくなってしまうことはわかっていましたが、やはりそうでした。
木原作品を読むたびに、容赦がない、といつも思います。
サラッと読み流す事ができずに没頭するしかなくなり、気づけば物語は終わりを迎えている、ということばかりです。
今作も没頭し気づけばあっという間でした。
3つの章に分かれていますが、組み立てが秀逸で最後まで読み切って初めて安心できました。
人間の身勝手さや、他人と異なること、他人と同じようにできないことへの不理解や拒絶、読んでいてそれが苦しくもあり、それが普通だとも思う。
単純に好きだという気持ちだけでは成り立たない複雑な感情に、振り回される身体や精神が苦しい。
妄想癖、ということすら自覚できていなかった啓太と、劣っている自分を受け入れてくれる啓太を盲目的に愛する充、充にとってきっと救世主であり理解者の孝則、それぞれの思いにいろんな感情が引っ張り出されるわ、やきもきするわで正直しんどいです。でも読まずにいられない。
充の弟である樹目線で書かれている最後の章は、これがあってこそ本当のハッピーエンドだと思えました。
手に取ったら最後、木原作品の中毒性たるや…
ストーリーももちろんですが、とにかくどの作品も人物の印象が強く残ります。
まだ未読の作品もたくさんありますので、この先もどっぷり浸かっていきたいです。
読んだのはホリーノベルズ、旧版です。
文庫の解説読みたかったけど…
で、この作品も「木原音瀬」です(笑)
男性同士の恋愛模様がベースにあるので、BLなんですけど、木原音瀬って言うジャンルなんじゃないかと思えてきます。
実写化出来そうな世界観。エロシーンはさっくり流しても成り立つんじゃないかな。啓太の危うい精神状態と杉浦のディスレクシア、二人が思い合えるようになる過程。秘密がそれぞれにあるんですけど、地上波深夜帯でやって欲しいな。視聴者は選ぶから難しいか。
物語の軸にあるディスレクシア、初めて聞きました。認知度が上がって泰のように幼いうちに気づいて手を打てる人が増えると良いな。最後に弟が理解するところまで書かれていたので、辛い話にも安堵の気持ちがあって救われます。
萌的には薄いですけど、タチの悪い男に引っ掛かっていた啓太が、本当の意味で相愛の関係に落ち着き、杉浦と一緒に人生を歩んで行っているのは良いなと。啓太を精神的に支えたのは杉浦の素直な愛情。月日が経って啓太は公務員になっているし、杉浦は通信教育を受けて調理師の専門学校へも進む。そのために啓太は前向きに杉浦を支える。
お互いが補完し合って成り立っている関係に落ち着いたようでホッとしました。
読後は、いやぁ、やっぱり木原音瀬は凄い、としか言えなくなった作品です。これだけのページ数でシンプルに構成できるのが素晴らしいと思う。
文庫版のみしか読んでいないので比較はできませんが、Holy novels版も今度購入しようと思っています。
ずっと前から読みたかった「秘密」よく利用する電子書籍アプリでキャンペーン中だったので購入しました。
知ってたけど、木原作品は苦しくて痛くてどろどろしてるものが多い。これもそう。
でもそこまでハードルは高くないかと思います。比較的読みやすい方です。
まず設定から重い。ハンディを抱える攻めと殺人犯の受け。実際は受けの方は妄想で実際には殺していなかったわけではありますが。
でもね、受けの元彼がひどいんです。クズのDV野郎なんです。そりゃ殺してやりたくもなるよ。
そんな元彼を殺す妄想を日常的にするうちに現実と妄想の境がわからなくなってしまって本当に殺したんだと思い込んでいた受け。
最初は攻めの名前すら覚えていなかったのに気がついた時にはどっぷりとハマってしまっていた受け。好きだ好きだと言われるうちに体を重ねるうちにどうしようもないくらい好きになってしまっていた。
結果としてこの2人は「運命」だったんだと思います。
個人的に攻めのこのセリフがとても好きです。
「殺してしまいたいと思うんだから、僕も啓太と同じなんだよ」
受けのことが好きで、大好きでしょうがない攻めの、健気さ、一途さ、真っ直ぐさが伝わってくるセリフだと思いました。
欲を言えばもう少し2人のラブラブなところが読みたかった……!
いつの間にか4年経ってるて!苗字呼びから名前呼びに変わっとるやん!!
そこもう少し詳しく……!
でもま、物足りないくらいの甘さが木原作品っぽい気はしています。
暗くて痛くて重くて苦くてでも最後にはほんのりした甘さが胸を占める。
シリアスなミステリーでも読んでる気分でした。おかげで一気読みしてしまいました。
読了後に「ああ、いいものを読んだ!」という感想が最初に出てくるのでこれは私の中では間違いなく神作品です。
