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表題作ほんとは好きだ

北条崇臣,リア充の全寮制男子高校2年生
柾麻人,つまはじき者のクラスメイト,高校2年生

同時収録作品ほんとは好きだ

夏目征也,カトリック系高等学校の校長
藍沢,同学校の神父

その他の収録作品

  • たった一粒の砂糖の甘さ
  • 恋に落ちるときの重力加速度g
  • 番外編 二人だけの夏休み
  • 僕の恋人は赤い赤い薔薇
  • この世界のすべては君の宝物
  • 幸せになってはいけない運命
  • 番外編 Kについて
  • 君を失った僕の世界に冷たい雨が降る
  • ほんとは好きです(描き下ろし)
  • カバー下 : ほんとは好きです 新学期篇
  • カバー下 : 諦めない男

あらすじ

郊外の全寮制男子校。リア充・北条が恋したのは皆のつまはじき者・柾。人を寄せ付けない柾がふと見せた笑顔で北条の世界は一変し?

作品情報

作品名
ほんとは好きだ
著者
ARUKU  
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
ISBN
9784344831254
4.4

(236)

(159)

萌々

(45)

(12)

中立

(8)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
27
得点
1019
評価数
236
平均
4.4 / 5
神率
67.4%

レビュー投稿数27

夢物語

例えば、ここにコップ一杯の水があるとします。
一杯の水は、誰にとっても物理的に一杯の水であることは絶対的な事実。
だけど、クーラーが効いたカフェでお茶している人にとっての一杯の水と、インフラどころか飲料水の基準に足る地下水さえ汲めない土地の住人にとっての一杯の水を比べたとき、それぞれにとって同じだけの価値があると考える人はまずいないでしょう。
その価値をわけるのは重要性であり、単純に言えば、各々の「水が欲しい」という実感の深度。
つまり価値とは総じて相対的だということ。例えそれが人間にとって必要不可欠な水であっても。
では、「一杯の水」が「人からの好意」だったなら?
この作品は、その問いを投げかけてきます。

クラスの人気者の北条と、クラスのつまはじき者の柾。そんな対照的な二人の恋がテーマです。
特に北条は、恵まれた容姿と頭脳を生まれながら持ち、沢山の友人に囲まれ、使い放題のカードを与えられ、モデルの彼女までいて、おまけに進学校の自治会のメンバー……列挙するのもアホらしくなるくらいもう無条件で勝ち組ってやつ。
対する柾はというと、友達どころか実の両親ですらいない無い無いづくし。
この格差の意味は、身分違いの恋のロマンスというよりも、シンプルに「二人は違う」ということです。では何が違うのか。
それを象徴するのが第一話で登場する、母親からの贈り物を北条が捨ててしまうエピソード。
偶然その場に居合わせた柾は、北条のことが嫌いだったにも関わらず躊躇いなく探すのを手伝ってあげます。べつに柾が親切ということじゃない。
相手が嫌いだということが問題にならないくらいに、柾にとっては母親からの贈り物とは即ち「大事なもの」に他ならないということ。
子供っぽい拗ねでつい捨ててしまえる北条とは、決定的に尺度が違うことが示されています。
この違いは、後に大きな意味をもってきます。

確かに北条は一途です。
でももしも恋心に重さがあるとすれば、北条と柾の想いの比重の針は常に柾に傾いている。どれだけ夢中になっても、北条にとって柾との恋は沢山持っているものの中の一つなんですね。
なぜなら、北条は「カフェでお茶する人」であり、柾は「水不足の土地の人」だからです。
同じだけの切実さで水を欲して味わえ!と命令したところで、それは土台無理なこと。
ところがどっこい、ARUKUさんはその不可能を覆すんです。凄いよ。

話数が進むにつれ北条は、自慢の彼女を皮切りに、柾への想いと自分が持っているものを少しずつ天秤にかけて、捨てていきます。それも無自覚のまま。
両手に抱えきれないほど持ってるものが自分にとって大事なものかどうか、結果的に取捨選択し直していくわけです。
対して柾は何も捨てないんだよね。秤にかけることすらしない。
だってあの小さな箱には最初から大事なものしか入ってないから。もちろんそこには北条も入っている。そして悲しいことに柾自身は含まれていない。
だからこそ柾は、微塵の迷いもなくあの小箱を守る決断ができるんでしょう。
皮肉なことに、喪失して初めて、この恋がお互いの中で同じだけの価値をもつようになります。

だからこの作品は、失う物語と同時に得る物語です。
不可能を描くという意味で、夢物語といってもいいと思う。
自分が求めるだけ求められたい。ラブレターへの憧れに秘められた、柾の儚い望みを昇華する奇跡の話なんです。

野暮は百も承知なんですが、この後の二人を新連載してくれませんか。
カバー下だけじゃ足りない。
超読みたいよー!

46

Penelope

ほんと、素晴らしいレビューです!ありがとうございます。

ともふみ

茶鬼さんおひさしぶりでーーーす!ぐわしっ

クーラー効いた部屋できんきんに冷やしたカフェオレ飲みながら書いたダメダメともふみでーすw
コメントありがとう。何より忘れないでいてくれて涙がちょちょぎれます。
コメントもらうの久しぶりすぎてどうやって書き込むのかしばらく悩んじゃった(笑)

てゆか、そのコメントそっくりそのままお返ししちゃう。
私がどんだけ茶鬼さんのレビューをチェックしてるか知らないでしょー!へへん!

茶鬼

ともふみさん、こんにちは

もう、毎度毎度ともふみさんのレビューは目から鱗がこぼれるどころか
ボロボロこぼれ落ち過ぎて禿げるんじゃないか?ってくらいこぼれます(!?)
今回も、なるほどな~って、
水の例えにうならされました!
もう、ボタン連打しても1しか入れられないのが悔しい(T_T)

お元気そうで嬉しかったデス☆

読み返すたびに泣けます

アルクさんの作品で一番好きな作品です。ただ読み終わった後に物凄く切なくなるので、読み返す時には気力がいります。

舞台は、人里離れたカトリック系の男子校。柾(受け)は、出生の秘密から人付き合いが苦手で、クラスではつまはじきにされています。対して北条(攻め)は、裕福な家に育ってクラスでも人気者です。
正反対な二人なのに、柾が気になって仕方ない北条。二人の思い出が重なるたびに、心の距離が近づいていきます。

そして、意地悪な同級生のせいで、発覚してしまった関係。柾の決断と北条の後悔に、切なくて涙が止まりません。確かに、北条の行動は、ズルいと思います。でも、その後10年も辛い気持ちを抱えている北条を見ていると、胸が痛くて痛くて…。
北条の『ここで僕はただ一度本当の恋をした』の一言が全てを表しています。
再会できた時の北条の笑顔に、辛い気持ちが吹き飛んで嬉しくなります。

本当に本当に素晴らしいお話だと思います。ほんとに好きだ~。

18

泣いた、泣いた、泣いた、、、

ARUKUさんの作品にしては思い切り現代風の明るい高校生の二人が表紙。
いつもとどう違うんだろう?
でも、この本の厚み。
あらすじ含め全くの予備知識を入れずにこの本を手にした時の期待感。
絶対裏切らないARUKU作品だから!
・・・かくして、ティッシュが手放せないほどにボロボロと涙がこぼれて絵がかすんでセリフが読めなくなるほどに心を打たれました!!


カトリックの全寮制の高校を舞台に
生まれや育ちに差のある二人、だけどどこか心に孤独を抱えた二人が
ある手紙をきっかけに近づき、そして恋の素晴らしさと苦しみを知る
思いっきり要約してしまえばそんな話なのかもしれない。


いつもARUKU作品について触れていることは、ARUKUさんの描きだすストーリーはお伽話というよりアンデルセンなどの童話をモチーフ的要素にして作られたお話が多い。
それが実に心を打つのですが、
今回はそんな童話的要素もありながら、作中でも引用しているが詩であったり、夏目漱石の「こころ」であったり、そんな要素も含まれている。
ARUKU作品の特徴としていつも何かしら登場人物にハンデを与えているのだが、これが童話的要素。
今回は身分差というか生まれ育ちの部分。

ああー!!逐一触れてしまうと全部ストーリーをなぞりたくなって某大なテキストになってしまう。
どうやってこの感動を伝えたらいいのか!?
逐一のエピソード、そしてセリフ
登場する場面全てが、ホントに、全てがあますことなく心を打つのです!
もう、それしか言えないよ~(涙)
読んでみて!としか言えないのがもどかしい。

クライマックスの二人のとった態度。
互いを思いやる為とはいい、切ないよ、でも、現実なんだよ。

彼等と同時進行で過去の恋愛も絡んでくる。
大人達の幼かった恋愛。
若者の恋愛と大人になってしまった彼等の恋愛が、微妙に絡み合いながら
ラストで希望を与える終わりに救いがある。
こうした「救い」の持ってきかたもARUKU作品独特だ。

重いモノがありながら、軽妙さも併せ持ち
絶妙なバランスで見せるストーリー
ARUKU作品は素晴らしい☆☆☆
決して涙を誘われるから素晴らしいわけじゃないのは読んだ人にはわかると思う!

神?悩み中、悩む必要ない?
・・・やっぱり神にします(号泣)

16

読ませるなぁ~~~~~~~~~

相変わらず読ませます!!キング・オフ・グッドストーリー作家です★
ARUKUさんの描くお話はどれもストーリーがしっかりしていて、文章のひとつひとつに魅力があります。この方のすごいところは、1ページめの冒頭に魅力があること。
「あれから10年たった今でも誓って言えることがある
たとえこの先どれだけ素晴らしい人に出会おうとも
僕が17歳のときに失った恋以上に
もう僕は他の誰かを愛することはできないと」
「君が僕に残していった数々の記憶
それが今も 大人になった僕を支えている」
この文章から、受けは死んでしまったの?一体ふたりの過去に何があったの~~~?と
すっごく気になるっっ!!

舞台は全寮制の由緒ある進学校。
金持ち北条×親に捨てられ神父に育てられた貧乏な柾。

柾が図書館で、昔この学校の生徒が同級生にあてて書いたと思われる手紙を発見し、
持ち主を探す間、北条から一目ぼれされ、猛アタックを受けていた。

最終的に二人は再会し、ハッピーエンドになるけど、それまでの不器用な二人の恋のストーリーの描き方が素晴らしいです!!彼らを取り巻く友達や家族にもそれぞれ色々な人生があることもしっかり描かれている。
夏目と藍沢神父もハッピーエンドになってくれた事も感動・・・!!!
柾が手紙を偶然発見していなかったらこの結末もなかった!
ARUKUさん、やっぱ本当に素晴らしいストーリーでした。(><)

柾が最後にあの風貌になったのは謎でしたが、美人でした。

ARUKUさんの描く話は、境遇が不幸だったり、障害があったりとか、不器用な人間が多く描かれています。ありきたりのストーリーがひとつもないし、ショートストーリーさえも何回読んでも、読んでも飽きない読み応えのある作品ばかり。
貧乏だけど、心が清らかさんな健気受けさんが多いところも私のキュンキュンポイントを刺激します。次回作も楽しみです♪♪

15

神様どうか許してください!

読み終えた後の程よい余韻と
もう一度最初から読み返したくなる魅力があります。
間違いなく神作品だと言えるでしょう!
本当に素晴らしいです、泣けますし、笑えますし、萌えられます!!
どうして早くに出会わなかったんでしょうか。不思議なくらいです。
ものすごく個人的な話をしますと、身内が持っていたんですけどね!
何故もっと早くにおすすめしてくれなかったのか!w

ARUKUさん特有の攻めが受けを好きでたまらない話で
それは最後まで突き抜けていて、相変わらず幸せになれました。
受けの嫌々をしつつもまんざらではない仕草や挙動も
ものすごくかわいくて好感を持てました。
受けは生まれ育ちが可哀そうで、周りからの扱いも酷くて
攻めとは表だって仲良くできない間柄で、
読んでいて二人はいつ報われるんだとやきもきさせられました。
マフラーをあげたらそれを大事に使ったり、
鬼ごっこを提案したりと無邪気な受けにきゅんきゅんしっぱなしでした。

後半の走り抜けるような疾走感がたまりませんでした。
らぶらぶからの一気に絶望感に苛まれる感じは、
今回ばかりはARUKUさんに裏切られた!と思いました。
須藤(と先生)を絶対に許しません、ことごとく邪魔な存在でしたね。
BL界における必要悪だったのは分かるんですが、
本当に許されない行いばかりしましたね、受けをしいたげて
最終的にふたりの仲を引き裂くとかね、ありえませんよね。
そのあと数年会えないままだった二人に謝っても許されませんよね。
消えていただきたいと何度願ったことか・・・。
会長も酷い人なんでしょうが、どうしても憎めませんでした。
学園の治安維持に努めるばかり、やっていることは度が過ぎており
周りから恐れられている存在なんですが、きちんと二人のことを
分かってくれていた貴重な存在だったように感じ取りました。

神父と理事長も出張ってきたので不思議に思っていたんですが
まさか、それと関連しているとは気づきもしませんでした。
ラブレターの件も無事に解決して良かったです!
残り数ページになって、これはどうやって終わるんだと
ハラハラしていたので綺麗にまとまって安心しました。
数年後に再会とか卑怯すぎますよね。
そういう展開に弱いので、ARUKUさんの馬鹿!大好きだ!と
心の中で叫びましたw しかし、受けのツンツン具合が進化しており
攻めはその心を解くことができるんでしょうかね。
ピアスじゃらじゃら、タトゥーまでしていてあの純情だった彼は
どこにいったんでしょうかね。カバー下でも報われない攻めに涙しました。

途中つらいシーンがいくつもありますが、読後は必ず幸せになれます。
是非読んでみて一緒に萌えましょう!!

13

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