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表題作獣の妻乞い

狩野飛月,猟狼
由原尚季,高校生

その他の収録作品

  • いつか来る約束の日
  • 水色影絵
  • ダブルベッド
  • あとがき

あらすじ

通り魔に襲われた尚季は飛月に助けられ一緒に暮らすようになる。だが次第に尋常さを失う飛月が秘密裏に造られた猟獣だと知り…?

作品情報

作品名
獣の妻乞い
著者
沙野風結子 
イラスト
実相寺紫子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫L
シリーズ
獣の妻乞い
発売日
ISBN
9784344835405
4

(24)

(10)

萌々

(9)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
3
得点
95
評価数
24
平均
4 / 5
神率
41.7%

レビュー投稿数3

SS目当て。

ノベルズから文庫化されての登場です。
実は既にノベルズで本編は読破済み。
日頃はこんな買い方しませんが、どうしてもその後のショートが読みたくてレジ特攻です。
本編はノベルズで皆様レビューされていますので割愛。

「水色影絵」
時系列がどうなのかよくわかんないですが尚季が洗面所で歯磨きしてたら飛月がやってきてのイチャイチャ。

「ダブルベッド」
所謂お義父さんととよばせてくださいネタです。
尚季パパが登場します。
その後の仲睦まじいエピソードとして二人は時間があればいろんなとこの温泉や旅行をしているようで微笑ましい様子が窺えます。
しかし、獣化していないとはいえ、いつ二人の間に辛い現実が起こるかわからない、だからこそ急ぐように二人で思い出を作っていく背景には幸せの反面、しょっぱいところもあり…。
そして尚季がパパに将来の進路として獣医を目指すと伝えるエピソードも。
不確定要素の多い不安定な二人の未来ですが短い作品でありながらも二人が未来に向かって生きていこうとする姿が垣間見れてよかったです。

私としては獣姦ものとしては一番押しですね。
文庫化にもなりましたし、SSもついてますし、未読の方は是非読んでみてはいかがでしょう。
ということで神評価とさせてもらいました。

5

SSが加わったことにより印象が違う、名作の文庫化。

新書版は既読。
非常に印象深く心動かされた作品なので、
新書版に入っていないSSを読みたくて購入しました。
(※ただしこのSS二編、新規書き下ろしではなく
フェアなどで既出のものへの加筆修正だそうです。)

本編は、殺伐とした近未来世界を舞台に描かれる、
高校生・尚季と半狼・飛月の痛ましくも美しいファンタジーだが
(新書版にレビュー済みなので、詳しくは割愛します)
今回の加えられた2編は、本編のダークさは影を潜め
どちらも甘めのSSだった。

『水色影絵』は、洗面所でのラブラブイチャイチャ話。
『ダブルベッド』は普段海外に赴任していていない父が帰宅し、
二人の関係がばれてしまう話。

これらが加わることによって、読後の印象は随分違う。
その後の幸せそうな二人が見られたのが嬉しくはあるが
好みとしては切なさが長く尾をひく、新書版の読後感の方。

3

傷だらけのわんこ

元は2008年にリンクスロマンスより刊行された小説だが、2015年刊の文庫化されたほうを購入。
個人的に沙野さん作品ってどうも取っ付きにくいイメージからこれを読みたい!!って直感が働かないのだが、コレだけは外しちゃいけないなと思っていたのでようやく読めた次第だ。

舞台となるのは凶悪犯罪者の多くが更生しきれずに再犯率の高さが社会問題となっている設定の現代で、猟獣の成り立ちも必要悪を盾にした使い捨て兵士状態で痛ましい。
結構ヘビー目な展開だし、血生臭さに戸惑ってしまうかも知れない。

幼い頃より常に父親が不在で寂しいのを我慢してきた尚季は、愛犬が無残な死に追いやられた事もあって、周囲を頼らず人に壁を作るようになってしまった。
そんなある日、通り魔から助けてもらった時に、家に転がり込んできた飛月と共に暮らすうちに次第に絆されていく。
もふもふを愛でるには程遠いが、飛月は自らの正体を隠しつつ尚季の側でだけ素直に懐いている。
猟獣として凶悪犯を狩って育ってきた飛月が、尚季と共に暮らすのを夢見て傷だらけで懸命に生き抜いてきた姿には、狼の性が強いながらもまるでわんこのようないじましさを感じる。

もしこの本を発売された時にすぐ手に取っていたら、色々と生々しいシーンに抵抗があったかも知れない。
飛月がバスルームで欲情を抑えるか尚季を組み敷くかってギリギリの場面に、当時の姐さん達がグッときたのも今なら分かる。
個人的にグッときたのは、尚季も同じように傷だらけになって飛月を救いたいと山中に留まるシーンと、最期の別れを意識しての件のエッチシーンかな。
今やコレが難なく読めるってのも年の功…ってヤツですかね…(^_^;)

奇跡を乗り越えた後は、飛月の刺々しさが消えて穏やかになったのと、尚季が彼を慈しみたいという気持ちに変わった大きな変化にジワリをくる。
ちなみにもう一冊『獣の月隠り』とセットで読む事をお薦めする。
どちらも自分の中では高い評価なのだが…
どうしても"倫理の矛盾"というものに引っ掛かる点は否めないね。

1

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