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跡取り鹿の白羽と幼なじみ草介のお話。
付かず離れずの白羽と草介がカップルになっていくのが見れるのかと思いきや
わりと複雑に入り組んでいて切ないお話でしたね。
お互いがそれぞれ抱える葛藤が痛々しく読んでいるのがつらいところもありました。
壮大な世界観がリアルに描かれていて素晴らしかったと思うのですが
草介の素直になれなさが度がすぎている気がしてなんだかもやっとしてしまいました。
ひねくれている、で片付けられない感じがしてしまったので。
一度読んだだけではもしかしたら内容をうまく噛み砕けていないのかも。
2度目以降はまた印象が変わりそうだなと思いました。
これはBLなのでしょうか。
読んで鳥肌が立つほど感動するって、もはやBLという枠を飛び越えていませんか。
本編だけでも相当ですが、そこからの描き下ろしで本気で全身にぞわっと鳥肌が立って、まだぞわぞわ感が抜けません。
読み直しでこれです。何という作品でしょう。
奈良。
鹿が治めるその土地で、最高位の神使の後継として生まれた白羽と、幼馴染みの草介。
誰もが慕い、崇め敬う白羽に、草介だけが歯に衣着せぬ物言いをしてくる。
いつも一緒だったのに高校を卒業して19才になった2人に変化のときが訪れます。
完璧な画力、無駄のない流れるようなストーリー展開、ブレない人物描写、情緒豊かな世界観、何もかもに圧倒されます。
鹿(人型)と人間。由緒ある家柄の後継と捨て子。
何もかもが違う2人が「俺がお前のことは一番分かってる」と言い切れる関係を育みつつも、それと同時に「お前は俺のことを分かっていない」と思ってしまう劣等感や妬む黒い気持ちが草介にはある。
受け入れてくれた家族の無償の愛が深ければ深いほど、白羽のような選ばれし人間(鹿)が自分のような捨て子に執着すればするほど、「どうして自分なんかを」という気持ちが増してしまう。
白羽の祖母からの厳しい進言こそが自分にはふさわしいと思いつつも、奈良から出て行く決意はできない。
これ、シリアスに表現すればどこまでもシリアスに、切ない一辺倒な話にできるテーマですよね。
ただ、そこはちしゃの実さん。シリアスと笑いを絶妙に織り交ぜて、暗い展開にはしません。重い雰囲気でこのテーマを扱われると、きっと読んだ後まで引きずってしまうくらいヘヴィーな話になったと思うのです。
草介の白羽に対する暴君っぷりや、白羽のハアハアっぷりが面白おかしく描写されていたおかげで読後感爽やかでした。
それでも隠されていた2人の過去はあまりにも重くて、自分だったらどうしようと考えてみても答えが出ないくらい大きな出来事でした。もともとあった劣等感がさらに助長されるような展開に草介が出した答えが素晴らしいです。
「受け入れる」って言葉では簡単に言えるけれど、行動に起こすのはすごく難しい。純粋に草介がそばにいてくれればいいと願う白羽のまっさらな想いが、草介の黒い気持ちを吹き飛ばして、ラストの相変わらずに見える2人の姿が余計に微笑ましく見えました。
はー、何でしょうね。
好きだ!感動した!という作品ほど、レビューがうまく書けません。
胸で感じた感動を頭の中に移動させて言葉にする作業がまったく進まなくなるくらい、感動が胸に居座ってしまう。
ごちゃごちゃいろいろ書きましたが、結局言いたいのは一言だけです。
「この作品、素晴らしすぎた!!」
ちしゃの実先生にしてはあくが少ないというか、王道ストーリーでした。
攻めが神獣のような巫女のような神官のような存在で、周囲にも神霊のようなものがウロついていますが、総じて全然尊くないのがちしゃの実先生らしいです。
攻めはM属性のようで罵られたり踏みつけられたりするのが快感のようですし、神霊は鼻をほじってますし。
それと攻めのチンコは獣サイズだそうですが、それは初心者には無理でしょー?
いくらBLドリームでも人間の枠を超えたサイズはチョット夢が見れない。
それと受けが攻めと合体後に「二度とHはしない」と宣言してて、「えーーー!?なにそれ!そんな終わり方アリ!?それってバッドエンディングなの!?そんなのヤダ!」と焦ったけど、その後のエピローグがあって、普通にヤっていてホッとした。
ところで関係ないのだけど、今日は1日中雨がザザ降りなのですが、こんな日は奈良の鹿さんたちはどうしてるのでしょう。
真冬に雨が降る時なんかどうしてるのだろう?
ふと疑問に思った。
ちしゃの実先生の作品は、新婚さんシリーズ2冊のみ既読
中身知らずに購入したので、がっつり和ファンタジーでびっくりしました。奈良ファンタジー、一時期流行りましたがBL界にもあったのですね。
ちしゃの実先生お得意の、キャラの説明が少ないままどんどん進む話です。テンポ良くなる所は良いのですが。今作は主役については最終的には過去の描写があるけれど、このまま6割ぐらいしか情報が与えられないのではとドキドキしてしまった。
BL和ファンタジーは志水ゆき先生の作品ぐらいしか読んだことありませんでしたが、しっかり作ってあって面白かったです。萌〜萌2
※電子書籍 ebj / 白抜き カバー裏・裏表紙無し
攻めの白羽が鹿ということで神道も絡んでくるので、独特の雰囲気が流れている作品でした。鹿といっても人間との見た目の違いは表紙の通り、短い角が生えていることくらいしかないので、そんなに気にならないと思います。神聖なキャラ・舞台設定であると同時に、ちしゃの実先生らしいギャグ感も通常運転でした。
受けの草介が周囲に対して投げやりな態度なのは、何の取り柄もない自分に愛を注いでくれる彼らに無意識に引け目を感じているからでしょうかね。こんな自分を大切にしたって無駄だと主張しているように感じました。白羽は幼い頃、自分が怪我をさせ生死の境を彷徨わせてしまった受けの草介を救うため、己の霊力など特別な力をすべて捧げて完全に失ったという過去があります。その頃の記憶がなく、今になって初めて当時のことを聞かされた草介はさらに自己嫌悪に陥り、自分の命を軽んじる発言をして白羽に怒られます。幼馴染だからこそ相手の考えが痛いほど分かり、上手くいかないことがもどかしくて想いが通じ合うまで時間のかかる2人。草介は自分のありのままの生を受け入れることで、ようやく白羽にも向き合えるようになるのです。シリアスなシーンと笑えるシーンとのメリハリの効いた作品でした。