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義父はゲイでした。
じじいに惹かれて本作を買いました。はい、そういう人間です。
三角関係が苦手な私は読み始めると嫌な予感がしましたが、進んだら良い意味で期待から外れました。3人の主人公はそれぞれ問題や心配を抱えながら一生懸命生きようと、幸せになろうとしています。行き来していてお互いにぶつかり合う時の描き方、この先生の心理的な描写が特に上手いと思います。同じシチュエーションを三視点からアプローチするのが中々難しいですし、悪い点もしっかりつけながら悪い人にしないのも簡単ではありません。
絵柄が綺麗で、ストーリーのテンポも良い感じです。あと切なさも丁度良い量だと思います、個人的に。
何よりもじじいは最高に可愛かったのでオススメします。
義父と生徒とわちゃわちゃ三角関係!!!
青春の甘酸っぱさも苦さも、積み重ねた余裕も余裕のなさも良いものです。
ロマンスグレーな庚子さん、粋でどうしようもなくて可愛いくて反則!!年齢を気にしつつも押したり、乱れる姿はたまりません!!
マサトラは掴みどころがないと思いきや、真っ直ぐな懸命さが可愛い!!
つまらない男と言われる甲太郎も図々しさといたって普通なとこに甘えてしまう心地良さがあって、甲太郎がいたから関係が回ったとこがあるのかなと感じました。
ちるちるのカプ表記を見ずに読んだので、最後までどうなる?もしかして?とドキドキしながら読めました。
読んでいる最中はピリリと痛むけれど、拝読後はスッーと浄化されるような甘い雰囲気になれる作品でした。
他の方もコメントされているように、BLのファンタジー部分とリアルがとてもうまい具合に押し出されていました。それをちょっと歪な男3人の三角関係で描かれているのだからとても面白い。その立役者はやはり50オーバーの庚子さん。
酸いも甘いも経験し、ゲイとして一人娘を育ててきた、、、男性への初恋の思い出に苛まれ、本心を隠して生きてきた年月、、、とても重いです。
それ故に一言一言のセリフの重さがずっしりと沁みます。哀愁漂う雰囲気も相まって。
親子以上に歳の離れた男の子からの澱みのない真っ直ぐな言葉に立ちくらみしそうな庚子さん。残された人生、心の赴くままに生きて欲しいと、エールを送りたくなります。
ブルーとシルバーのあいだではなく。
あくまでグレー。
ロマンスグレーなのです。
おじいちゃんの恋愛話は苦手なのですが、よもやそういうシーンは出てこないであろうとタカを括っていた自分がばかでした。
がっつりと、そりゃもうがっつりとおじいちゃんの性欲を見せつけられるので、おじいちゃんのそういうのはいじめにしか見えないから無理という方はお気をつけください。
ふつうなら「要回避」と言いたいところなのですが、苦手な方にも読んでほしい。
そういう場面の不快感を越える何かが感じ取れるはずです。
妻の父と教え子。
おじいちゃんと孫でもおかしくない年の差で恋愛するのは異常なのか。
高校教師で世界史を教える冴えない自分とNYに短期留学に行った妻。
何も言わずに妻の希望を叶えてやることが正しい夫なのか。
何が正解で何が不正解なのか、常識では測れないものなのだと教えられた気がします。
高校教師の甲太郎にとって教え子の小夜谷は、背も小さく悩みに押し潰されそうなときから見守ってきた、他の生徒よりも近いし、少し違う存在。
妻の父である庚子は、結婚の時に顔を合わせたくらいで疎遠だったけれど、妻との関係が終わっても離れがたいくらいに親しみを抱いた存在。
この2人が抱える「同性愛者」という部分を甲太郎は理解しているようでしていません。「自分は分かってる」と思うゲイフレンドリーの人ほど、優しさや思いやりが逆に無神経な棘になるような。
庚子と甲太郎が初恋の話をしているときに庚子が思い出していた過去は、甲太郎の想像を絶する出来事で、思い浮かべるものが違いすぎるからこそ「戻りたいと思いません?」と軽々しく言えるのです。
だからこそ小夜谷の想いを知ったときに「大切な存在である2人」の気持ちよりも「常識」に基づいた意見をしてしまう。それどころか何も言っていない庚子に対しては、打ちのめすのに一番効果のありそうな言葉で傷付ける。ふつうに異性を好きになって結婚を望むような人間には表面のきれいなところしか見えていないから、リアルになった瞬間に本当に「理解」しているかが問われるのだろうと思いました。
甲太郎が言ったことなんてとっくに分かってるし、さんざん考えていることなんですよね。でも「正論」で「感情」を押さえつけられると思っている「ノーマル」な人間にはそれしか言えないのも事実だろうなとも思う。すごく考えさせられたシーンでした。
庚子が初恋の相手にされたことはあまりにもひどくて、トラウマから性癖になってしまっているのが見ていて苦しかったです。どういう経緯で結婚して子供が生まれたのかは描かれていません。ただあまりにつらい経験で、「ふつうの人生」に逃げたかったのだろうとは思いました。
甲太郎の眼鏡と酔ったときに触られた耳のほくろが初恋の人と重なるのも切ない。切ないという言葉で片付けてはいけないのかもしれませんが、わたしの乏しい語彙では良い言葉が浮かびません。
それにしても現実問題、厳しいだろうなとは思います。60近い男性とまだ17才の少年。文字通り青二才で、若さと情熱だけで何でも乗り越えられると思っている世代と、もう人生も夕暮れに差し掛かった世代では共有できることも少ないし、それこそ体力の差もある。
だけどそんな杓子定規な見方ではなくて、どうか庚子がこの世を去る瞬間、最期に見るものが小夜谷であってほしいと願ってしまう。目を閉じるときに「しあわせな恋をした」と思ってほしい。
おじいちゃんの恋愛は苦手だけど、そういう風に思えたのは糸井のぞさんの人物描写の為せる技なんでしょうね。
タイトルの「グレーとブルーのあいまで」は、庚子と小夜谷の間で2人を見ている甲太郎のことであり、庚子と小夜谷の「愛」が育つまでの「愛まで」にかけているのかな、と思いました。ベタですかね。
良い作品でした。
評価を入れてていなかった自分が悔しい。圧倒的な名作です!!
シルバー受けというジャンルでしょうか。年下攻め好き、追い求めるとここに行き着けます!
受けの庚子さんの色っぽさが突出してる。私が付き合いたいです。
微妙な関係性でのトライアングルどきどき感もあり、恋の酸い甘いのそわそわきゅんきゅん感もあり。丸々一冊楽しめて、お代わりが欲しいくらいの作品です。
糸井のぞさんの作品、この痛さと切なさと甘くて幸せな余韻が同居する作風、本当に好きです。