イラスト入り
前作の視淫に溺れる、から間が開いてしまい、この作品を読んだときに弥上の立ち位置を忘れてました…
全く素の状態で、和基と弥上のお話に入ってしまい、悪役だったことを思い出せないまま読み進めました。そういう意味では前作読んでなくても大丈夫なのかも。途中、十市兄弟が出てきたり天人という言葉が出てきて思い出しましたが。
弥上の抑え込まれた記憶、抉られてしまった過去の記憶、そういったものが和基と居ることであぶり出されてしまう、その苦悩が描かれていて素晴らしい。和基の「視力を失ってでも」という想いを篠束はちゃんと条件を付けることで(その条件も憎らしい!)弥上の気持ちを開放するという。
悪人弥上はつくられた悪人であって、本来の弥上はイイ奴だったのかと最後には思えるんですよね。そう思うとやはり前作を読んでからの方が楽しめると思います。
最初のやり取りで弥上が紳士的に我慢しているけど我慢できずに和基を食っちゃうトコロは萌えました。和基もクライアントなのに…と思いつつも歯止めが聞かない気持ちとの葛藤も良かったです。
「視淫に溺れる」(黒・弥上)→「視姦に沈む」(白・弥上)
・・・の順番で読むと良かったみたいです。関連本があると知らず、また後ろから読んでしまった。
①「視淫に溺れる」美貌の弁護士・篠束灯 天人の力でほぼ無敗。それに気づいた検事・西賀の恋。
②「視姦に沈む」美貌の代議士・・弥上時澄の担当医、精神科医の紺野和基の純愛。
笠井あゆみ先生のイラストが耽美です。でも、あの「オトコの花道」を読んで以来、美少年の絵がギャグに脳内変換されてひよこが見えて、笑っちゃう。(酷い後遺症だわ)
この物語は、無意識層と意識層について触れていて、深層心理学を素材にしたサスペンス、割と真面目な内容でした。暗示を解く為に大事なことを書かれています。
無意識層の呪縛を解く方法は、宗教の洗脳を解く方法にも応用されている大事な鍵です。
タイトルの印象から受ける「視て犯す痴漢が登場する変態物語」では無かった。
この巻は、異能力を持つ政治家「天人」の弥上時澄の恋人になった臨床心理学の医師・紺野和基が、弥上の「天人」を封じる暗示と、弥上の幼少時のトラウマ「黒いもの」を解消して、弥上の酷い頭痛を解消する物語です。
予想外に面白かったので、ヨカッタ!
目で他人の意識を操作する「天人の異能」から自我を防衛するには、視力を失うことだと紺野和基は気づいて、一族のもう一人の天人、篠束灯に自分の視力を奪ってもらい、恋人の弥上時澄が無意識下に閉じ込めた過去のトラウマを引き出します。
紺野和基は視力を失った後、自分が意識して抑え込んでいた第六の能力に気づいて開眼する。肉眼の視力を失ったけど、他人の意識の動き=視線をチクチクと感じて分かるようになる。
それで「視」:「視姦に沈む」/「視姦」という際どい単語をtitleに入れたみたい。直に内容とは深い関連が無いので、紛らわしいと思った。
篠束灯が、紺野の視力を奪う時に粋な条件付けをしていたので、弥上時澄がトラウマを解消すると同時に、恋人の紺野和基の視力が復活します。
入水自殺をした弥上(実父)先代の天人が残した二枚の絵は、実の子の幸せを願う祈りが込められていたものでした。
脳を覚醒する「水鏡」の神道や陰陽道の使い方は、小説に有るような用い方じゃないのですけれど、著者さんは、色々調べて書いたんだなーと感心しました。書く姿勢が真面目な方なんですね。
良い物語でした。結末がハッピーエンドだとホントに読後気持ちいい。
『視淫に溺れる』のスピンオフと言うか、前作のクライマックスの事件を『悪役』として書かれた時澄サイドから見たお話です。つまり『何故〇〇は〇〇という凶行を行うに至ったか』という、あれです。
私としては『視淫~』も好きなんですけれど、よりこちらの方が好みでした。
だって前作にもあった『精神操作』のエロさはそのままで『真直ぐな故に愚かしい精神科医(セラピスト系)の恋』が書かれているのですもの。
優秀な、それも患者に強く共感することの危険性を充分理解している理知的な精神科医が、恋ゆえに愚かになってしまうっていう処にねぇ、激しい萌えを感じてしまったのです。
この『よろめき』!
そうなんですよ。このお話、『よろめきもの』なんですよ。
それもAさんとBさんの間でよろめくなんて半端な話ではなく、理性と恋の間で、あるいは倫理と慕情の間で和基先生(年下だけど)はよろめきまくるのです。
恋の発端も和基が優秀な、そして患者の痛みを取り除いてあげたいという所謂『良い精神科医』であった為に、時澄の抱える欠陥に気づいてしまったからなんですよね。
その為に彼はどんどん堕ちて行ってしまうんですよ。
和基は『精神操作』をされる側ですから、今作では操作される辛さが徹底的に書かれています。
これ結構キツイなと思ったのは、自我が消えてしまうわけではないのね。自分を持ちながら、抗えない力で『やらされる』のですよ。
そこには時澄からの愛を全くもって感じられない訳で。
それでも最終的に和基は自分の意志で時澄と共に堕ちていくことを選択します。
殉教者の様に。
まさに愛だよ、愛。
前作よりもダークで鬼畜なのですけれど、それに故に健気さ、純さがより際立つように感じました。
私的にはとても面白かったのですけれど、疲れている時や沈んでいる時には避けた方が良いかも。
読むのに、気力・体力が必要な一冊だと思います。
笠井先生挿絵見たさ+前作で気になっていた弥上読みたさにget。
大好きな 忍耐一筋健気受けパターン。かつプロ意識高い医者様で、好感度大!
もうだめか とハラハラする展開で、読み終わった後の安堵感も大!
ただ、金髪きらきらん or 羽根物 ではないので萌2.
前作より当作の方が、断然好みでした!
私も前作読んだ後に、当作読むことをお勧めします。
1.挿絵話
受けは精神科医、白衣+眼鏡ちゃん。
攻めさんはドイツがクオーター入ってる?国会議員。カラー口絵なし。
中の挿絵は、キス2、イタしてるとこ3、
前作攻め受けさんと当作受けさんの図1 などでした。
一番好きなのは最後の今生の別れかという場面でのキスシーン。
二人の思いとあいまって、半泣きになりました。
そう、エチシーンはあるにはあるんだけどその印象より、
攻めさん受けさんのお互いと思う気持ちにシンクロしてしまって
エチシーンの印象が割合飛んでしまい、キスシーンの方が好き。
2.お話
前作受け(天人)との争いに決着がつきます。
(めっちゃ前作の攻め受け、いとこたちが出てきます。)
黒弥上(前作と当作後半での状態)と白弥上と作者様は評していましたが
白弥上が受けさんに心開いていく感じが好きでした。
二人が恋に落ちていくところは、こっちもとろとろ~
で急転直下な状況になり、そっから最後までハラハラドキドキ。
受けさんが一生懸命すぎて、もうこっちがキリキリしちゃう。
最後、二人の力で立ち上がって、元の世界に帰ったところが好き。
誰かに助けてもらうわけではなく、二人で戻れた ってのがよかったわ。
前作攻め受けもゆっくり幸せそうのが窺えて 良かったです。
当作の攻め受けもまだまだ大変だと思うけど、
二人で一緒に歩いて行って欲しいなあ と思います。
すっかり元気になった二人で、きゃんきゃん喧嘩してるところとかも
見てみたいなあ。。。
スプンオフだと全く気付かずに読む進めていて、なんだか見覚えのあるような名前と天人だって?!というところで、やっとスピンオフだと気付きました。。
多分前作を読まないとちんぷんかんぷんだと思います。
かくいう私も若干うろ覚えでしたが。。
謎めいたシリアスなストーリーでハラハラドキドキはするものの、萌えが足りなかったです。。
壊れかけた攻めをなんとか救おうとする受けの自己犠牲というか献身的な愛は凄まじいです。
ただ、前作で極悪人だったハズの攻めがどうして受けだけに心を許していたのかが若干謎でした。
ごっそり抜けてた記憶の謎もそこまで意外性はなく、想定の範囲内という感じでした。
お話としての重厚感はありますが、萌え度は低めですいません。。