SS付き電子限定版
何度目かの再読。
表題作は、同僚の広瀬に「長年、実家では犬と添い寝してきたから一人では眠れない」と言われ、一緒に寝る羽目になった攻めの 岡田視点で進みます。
なんで男の同僚と??と思いつつも、断りきれずに一緒に寝たら、なんと広瀬を抱く夢を見ちゃうんですね。
それからも一緒に寝るたびに、岡田は必ず広瀬を抱く夢を見るようになってしまい…
眠れないのは広瀬だったのに、淫夢のせいで岡田が次第に眠れなくなっていくところが、タイトルに絡んでで好き。
【愛してると言え】同級生もの。
攻めの角倉はとにかく惚れっぽい。
そんな角倉の様子を相川は苛々しながら見続けてきた。
ほんとは俺だって、角倉のこと好きなのに!と。
だけど相川は、入学式でいきなり告白してきた角倉を振った過去があるだけに、今更、角倉のことが好きになったなんて言えないんですね。
おまけに弩級のツンデレ。
そんな二人をくっつけた友達の真澄のお手製CDがウケます。
脇役がイキイキとしてるところが、上田にくさんらしいなと思う。
【魔法をかけて】幼馴染もの
晴生の登場シーンはBL界の攻めとは思えないダサさ。
(あのとき君とシておけば。の越地さんを思い出す髪型)
晴生からイメチェンを依頼された千昭は、張り切ってイメチェンさせるんですね。
その甲斐あって、見事イケメンになった晴生が健気でかわいいお話。
【不確かなビジョン】同級生もの
眼鏡デビューしたら、気になる女子から「賢そう!図書室とか似合いそう!」とのせられて、図書室に行った明里と、先生(男)に片思いしている図書委員とのお話。
『あのとき君とシておけば。』が大変良かった上田にく先生の過去作。個人的な話ですが、好きな作家さんは既刊8割がた好き、デビュー作から推せるってのが多かったところ、正直に上田先生の初期作品は全然ハマらない。マイナス点っぽいですけど、むしろ自分にとって僥倖で、過去作が合わなかった作家さんも最新作がツボをついてくる場合があるんだな〜と気づいたわけです。
今作の表題は、こういう話ですよ〜って見えてくるのが遅いのが勿体ない。特に最近の漫画はBLに限らず、1話で作品全体の方向性がしっかり見えるものが多い気がする。『あのとき君とシておけば。』なんかはまさに1話目で作品の自己紹介がしっかり済んでますね。この点に限らず、本人が意図的になのか編集者の助言なのか、ブラッシュアップして最新作に至っているならなんと素晴らしいことだろうと感慨深く思います。
作者買いです。
①そして今夜も眠れない 萌2
攻くんの妄想がセーヘキど真ん中なんですよねえ・・・♡絶対本気では嫌がってない、いやよいやよも系!大好き!抱きたい!全力でいじわるしたい!!!!
前後編の短めのお話ではありますが、夢と現実が混ざって、ただそのまま・・・ではない流れもめちゃくちゃ好みの展開。あとはもう少し時間をかけてモダモダしてくれれば、完璧!やっぱり上田にく先生のお話が大好きです。同じ時代に生まれてしあわせ!
②愛してると言え 萌
こちらも、、!可愛い(*´◒`*)
素直になれないツンデレDKと彼を思い続ける(けど忘れるためにめちゃくちゃ彼女つくる)マイペースDKの話。マスミくん(ともだち)のアシストが絶妙。歌詞最高笑
③魔法をかけて 中立
④ふたしかなビジョン 中立
キャラがハマらないのと、ちょっと不完全燃焼です・・・!
珍しく収録されている全てが攻め視点の短編集でした。
「そして今夜も眠れない」5割
「ふたしかなヴィジョン」1割
「愛してると言え」 1.5割
「魔法をかけて」 2割
描き下ろし 0.5割
【そして今夜も眠れない】
表題作で一番長めのお話。
こちらは唯一の社会人(同僚)で不眠症の受けに一緒に眠ってくれと頼まれた攻め。
一緒に眠るうちに妄想が止まらなくなり…。
受けの方が最初に攻めに片思いしていた実に平和な作品でした。
【ふたしかなヴィジョン】
コンタクトだった攻めが眼鏡にイメチェン。
【魔法をかけて】
ダサいオタクの攻めがイメチェン。
エロは表題作のみで、それでもかなり薄め。
BL初心者さんにはオススメですが、かなりBLを嗜んでいる方には物足りないかもしれません。
地雷もなく、当たり障りのないほのぼのBLが楽しめます。
ただ、私は読んだ後にあまり思い出せないくらい、特出した面白みを感じられませんでした…。
睡眠不足に悩んでいた広瀬から、安眠の為に添い寝して欲しいと、頼まれた岡田は、一緒に寝る様になってから不埒な夢を見る。この、岡田の「夢」は、実は現実で…。っていう話かと思った。夢遊病的な?もしくは、広瀬の想いが夢枕に立つのか。あるいは、作中、岡田も訝しんでいる様に、自身の願望なのか…?気持ちも恋も。無意識下では芽生えていたのか。
物語は、明確な答えを出さないまま、二人の関係が変化していくところを描いていく。
とにかく、職場では普通の友達なのに、夢の中で抱かれている広瀬が可愛くて、ヤバい。電子限定のおまけを読んで、この一見不思議な物語の答えを見つけた様な気がした。それは本編の前日譚。広瀬の方も、岡田を気にしていたのだ。さりげなく優しくて、人たらしなところがある岡田を素直にいいな、って想う気持ち。添い寝を申し出たのは、岡田に近づく為だったのかどうか…?は判らないままだけど、もしそうだったら、そんな大胆なアプローチを選択した広瀬がやっぱり可愛いと思ってしまう。
同時収録は、ツンデレが過ぎる相川の、気持ちと真逆の可愛げの無さにちゃんと気づいてあげられる角倉。「愛していると言え」。友人の真澄作詞・作曲「ツンデレハート」が相川の気持ちを表して、キューピッド♡ しっかし、相川の気持ちを思うと、これは恥ずか死ぬ。若さ故の…って事でいいのかな。
オタクの晴生に頼まれて、イメチェンをしてあげた幼馴染の千昭。「魔法をかけて」。クラス中の皆んなが驚く程のイケメンに変身した晴生の一念発起の目的は…、もちろん千昭への恋心ゆえ。よくある設定だけど、予想の斜め上に行動する晴生には驚かされます。
視力が落ちてしまい、眼鏡をかける事になった明里と教師に淡い想いを寄せる三隈とのショートストーリー「ふたしかなヴィジョン」。眼鏡をかける前の日に、ぼんやりとした視界で三隈の泣き顔を見てしまう、明里。短かすぎて、この二人の間には何かが始まる予感だけ残して終わる。
短編はいずれも可愛いけど、やっぱり表題作の不思議な夢の物語が一番好き♡ 描き下ろしも可愛くて。夢より現実の広瀬がエロくて可愛いよ、っていうあまあま後日談です♡ そうでなくっちゃね!