SS付き電子限定版
標題作は、俳優同士。
天才子役でその名を知られ、成長した今も才能ある俳優として知られる零。
一方の全(あきら)は、イケメン高身長のモデルだが、実は俳優志望。
そんな二人が共演することになり。。
あきらは外見スペックは高いが、俳優としてはこれから。しかし少年時代に芝居をした経験があり、そこで零と出会っていた。
俳優をやりたい気持ちと、強烈な天才との共演。葛藤しながらも仕事に向き合うあきらが良いです。
零は常に役を憑依させる。はたからみれば鬼才だが、本人は自分がどこにあるのか意識していない。。
世話焼きのあきらと、無垢な子供のような零のカップルが出来るまでを描いた作品です。
他に、三角関係を描いた作品がありました。つきあっている二人、でもお互いに違う人が。。
誰の気持ちも切ない。でも初期作品なのかな?ちょっぴり青いセンチメンタルな春の印象でした。
◆さあ、俺に恋をしろ(表題作)
究極の憑依型俳優とでも言うべき零と、そんな彼を追いかけるアキラのやりとりが面白かったです。自分がなくて何にでも染まれる真っ白な零。逆に、どんな役をやっても自分色が出てしまうアキラ。一見前者の方が役者に向いてそうだなと思うのですが、役を自分なりに噛み砕いてさらにその魅力を引き上げる、というのも俳優としては大事な素質ですよね。あの人にこそ演じてもらいたい!と思わせるのは意外と後者だったりするのかも。そういう演じ方の違い、性格の違いも楽しみながら、2人が距離を縮めていく過程に萌えました。
◆君は一万光年のひかり
一筋縄ではいかない三角関係に複雑で拗らせてるなぁと思いつつつ、共感できる部分もある作品でした。浮気イコール本命への気持ちが冷めている、本命よりももっと好きな人ができてしまったというのがもちろん一番多いと思いますが、むしろそこまでしても自分は許してもらえるのか、と本命の愛を試している人も確かにいるでしょうね。歪んでいるけれど、なんだか責められない。それから、友情と恋情の線引きだって曖昧なもの。そういう繊細な部分を描き出していて、短編ではもったいないくらいの作品でした。
萌2は同時収録作に。
◾︎さぁ、俺に恋をしろ
自分の中身が空っぽな人に役者ができると思えないと思ってるところがあって、零のキャラクター設定は正直疑問でした。憑依型だったとしても、表現者に自分がない人なんているのかなぁ。読み進めていけば零にも零としての人格があることが分かりますが、なんとなく引っ掛かりが取れない。
役者やってるわけではないので、そんな人も居るのかもしれないけれど。
水素水て…と全然関係ないところが気になったり。
◾︎君は一万光年のひかり
◾︎鐘ヶ江、星、久世、そして藤島
前編のラストにうぎゃあああとなりました。
そうくるか、そうくるかぁぁぁ。うわぁ、そう、くるかぁ。自分の中であんまり固まってませんが、久世は恋愛の意味で好きだったのか。でも友情の独占欲も恋愛の独占欲も完全にスパンと分けられるものでもないですよね。
うーんこの作品好きだわぁ。このあと彼等が付き合ってもいいし、一緒にいて笑顔になれる人が別に、みんな4人それぞれに見つかってもいい。それでもおじさんになっても連絡取っててほしいな。
なんだかわかったようなわからないような。
零は不憫な子だと思うけど。そして零にこだわるアキラも。
アキラは役者を零を知って辞めたけどやっぱりやりたくてオーディションを受けたら共演が零だった。
そこまではわかるのですが。
俺に恋をしろって言ったり世話したり、結局アキラの方が無意識に零に恋してたの?
零は言われたので恋をしますが撮影が終われば忘れるはずだったのに…。
がむしゃらに頑張るアキラに思うところがあって零も目覚めた感じ?
零のマネージャーさんが腐女子なのは笑えました。…左。
ちなみにドラマの脚本とラストが違うようなんですがあれでいいの?
なんかよくわからないし二人にも共感できませんでした。強いて言えば零のマネージャーさんがいい人で良かったです。
どちらかというと業界ものが苦手なのですが、
こちらはとても胸に迫るものがありました。
天才役者の零とモデル出身の全のお話です。
零はいわゆる憑依型の俳優で、
私生活から何から全て役に入り込みます。
そして終われば全て忘れて次の役を入れる……その繰り返し。
全はそんな零に憧れ、恋い焦がれて一時は役者の道を諦めた男。
そんな2人がドラマ共演するところから物語は展開していきます。
零に憧れる全と全のようになりたいと思う零。
惹かれ合っていく過程がとても自然で、
気付いたら一緒にいて……みたいな流れが好きでした。
真剣に役に向き合い純粋に芝居を楽しむ全に、
初めて悔しさを覚え憧れを抱く零。
ちゃんと役者という職業を軸に展開されていくストーリーにグッときます。
いつもは役の終了と共に作品も演者も忘れてしまう零が、
役を終えても全のそばにいる事が嬉しかったです。
最後、キスをして微笑み合う2人を見てこみ上げてくるものを感じました。
同時収録作も秀作でした!
男4人の映画サークルの中、星と久世は恋人同士です。
星を好きな鐘ヶ江。
そして、星も久世も鐘ヶ江が好きで……
その3人を見守るのが藤島です。
実は両思いの星と鐘ヶ江。
酷くされて酷くして、それでもそばにいてくれる人に愛情を感じる星と久世。
彼らは似た者同士で、拗らせた者同士……
だけど鐘ヶ江は、好きな人には笑っていて欲しいと考える真っ直ぐな男です。
合わないけど両思いな星と鐘ヶ江がこれからどうなっていくのか?
4人のうち2人が恋人同士という関係性から、
4人のうち2人が友達以上恋人未満という関係性に変化していくお話でした。
久世が浮気者でダメダメな男なんだけど、
なんだか嫌いになれなかったです。
藤島が久世に対していい役回りを果たしていて、
ベストアシスト賞をあげたいくらいでした^^
表題作も同時収録作も、
とても素晴らしい一冊だったと思います。