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表題作ワンダー・ボーダー

八代和秋,元彼,マンション隣人,在宅ワーカー
八嶋洋春,雑貨ショップ店員

その他の収録作品

  • ワンダー・オーバー(描き下ろし)

あらすじ

5年前に別れた元カレ・和秋と偶然再会し、飲みに誘われた洋春。
もう吹っ切れたつもりだったのに、和秋の何気ない一言に翻弄されまくりで……。

お互い恋人がいるにも関わらずホテルに連れていかれ、
突っぱねても悪気なくけしかけてくる和秋に、ずっと蓋をしていた想いが溢れてしまう。
ダメだと理解しつつも、ついに身体を重ねてしまうが――…。

過去に置いてきた恋が、再び動き出すーー。

「あの時 手離さなきゃよかった」
天然無自覚沼男x引きずりソバカス男子のフクザツ再会ラブ
ダメなのに惹かれてしまう自分を止められない、本能レベルの恋。

作品情報

作品名
ワンダー・ボーダー
著者
上田アキ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス Qpaコレクション
シリーズ
ワンダー・ボーダー
発売日
ISBN
9784801960480
4

(345)

(168)

萌々

(89)

(43)

中立

(21)

趣味じゃない

(24)

レビュー数
50
得点
1346
評価数
345
平均
4 / 5
神率
48.7%

レビュー投稿数50

カラダから引きずり出される忘れたい気持ち…

たぶん私は”傍観者”としてBLを楽しんでるんですが、登場人物の心情表現がうますぎる上田作品は、”当事者”のようにキャラの気持ちに入り込んで一緒にジッタンバッタンしてしまう。
あとですね、これが上田作品?????って驚くくらい、本作はエロが濃ゆいんです!
ジッタンバッタンなテンションのままレビュー書いちゃいます。

洋春は、自分を大事にしてくれる夏朗さんって年上の恋人がいるのに、高校の時の元彼・和秋と再会して、強引に抱かれてしまう…
抱かれてる最中に気持ちが高ぶってキスしそうになるのを、ふと我に返ってやめる、でも強引に激しくキスされて冷静でいられなくなる…
すげぇ萌える!

和秋にも遠距離恋愛の彼女がいて、高校卒業時は一方的に洋春を振ったクズ系オトコなんだけど、和秋なりに洋春のことを想っていたんだなってエピソードが後から明かされてくると、なんか健気に見えないこともない。
第一印象が悪かった奴の、後からわかる良い所は5割増しで良く見えるってやつ?

高校の時の洋春は、和秋と一緒にいることが楽しくて、和秋がすべてだったのに、突然、別れを切り出されて何も言うことができなかった。和秋のことなんて忘れて、夏朗さんのことだけを大事にしたいのに、何度も和秋に抱かれて、「夏朗さんのことが好きだ」と自分に言い聞かせているのって…
ずっと自分の中でくすぶっていた気持ちに気付いてしまった洋春は、もう夏朗さんと一緒にはいられない。

別れ話の時にわかるんですが、夏朗さんと洋春は、洋春が和秋に振られた日から始まっているんです。5年間ずっと夏朗さんは洋春を支えて愛してきたんだ…
夏朗さんは大人だから、洋春が何を言うのかわかっていて、それでも言葉にされると男泣きをしてしまう。そして洋春を惹きつけておけなかった自分が悪いと、洋春のことを全く責めない。
夏朗さんの大人なところが洋春には心地良くて、同時に物足りなかったのかもしれない。
このシーンは何度読んでも泣いてしまう…
和秋と洋春が関係をリスタートさせる裏には、こんな風に泣いた人たちがいるってことを忘れて欲しくない。
(和秋の彼女さんはたくましいけどw)

最初に上田作品とは思えないくらいエロが濃いと書きました。
和秋とだけでなく、夏朗さんとのエッチも描かれていて、ほんと上田作品とは思えないエロ度なんですが、でもキスもエッチも洋春の気持ちのグラつきを効果的に表していて、上田先生はなんて魅せる展開を描くのがうまいんだろうと感激します!
同時代に生きて、リアルタイムで作品を読めることに幸せを感じます。

ちなみに和秋は無精ヒゲ、洋春はそばかすです。
最初は見た目は好みじゃないなと思ったけど、読み終えると、二人とも愛おしくてしかたない。

描き下ろしは、ゆっくりしたい和秋の焦らしエッチからの、早朝自転車デート、ファミレス朝ごはんって二人の日常。
和秋はこれからもずっと洋春と一緒に居たいってことをあえて言葉にする。
高校卒業の時もちゃんと理由を伝えていれば離れることはなかったのに。
反省?して変わった和秋と、それを素直に受け入れられる洋春との、これから長く続く未来が想像できる短編です。

カバー下で、夏朗さんにも幸せの予兆があってほっこりです。
夏朗さんのスピンオフがあったらいいな。
幸せになったところがちゃんと見たい。

20

全てにおいて、無理がなくてとにかくお見事!

上田アキさんの描く男性が好きです。色気があって肩のラインとか肩甲骨とか喉仏とかが好き。そして受けも女々しくなくて女には見えない・女の代わりではなくちゃんと男性が描かれている。
今作は過去三冊の上田さん作品に比べてエロが多めなんだけど、必然のエロといいますか、どーしてここでヤっちゃうのさ?!みたいな無理やり感がありません。

「受けには5年も付き合っている人がいるのに忘れらない元カレと再会をして、浮気をして、その挙句、今カレを振って元カレとくっつく」

平たく言えばそういうストーリーです。

この付き合っているカレ・夏朗さんがどっからどう見てもいい人そのものでして、誠実で優しくて思い遣りがあって受けの事をとっても愛してて非がないんですよ。こんないい人いないって位の人。

それなのにそういう人を振るのか…と読む前から気が重かった。

案の定、夏朗さんに別れを告げて振るシーンで夏朗さんが涙をこぼすのですが、つられて私も泣いてしまいました。しかもなかなか切り出せない受けのために別れを言わせるように切り出してくれたり、罪悪感を抱く受けに対して自分も気付いていたけどあわよくばこのままで…と思ってた、卑怯だろ?と受けの罪悪感を少しでも減らそうと気遣う発言までしてくれて、最後の最後までパーーーフェクト!!!!

そんな彼を振ってまで高校時代の元カレとくっつくにはそれなりの説得力が必要だと思うのですが、とにかく丁寧な心理描写がお見事で、首を傾げたくなるようなツッコミどころもなく、展開にも無理な点もなくてお見事でした。
本当にお見事だと思います。

特に付き合っている優しいカレ・夏朗さんを大事にしよう、元カレと再会したことはなかった事にしよう、戻らなきゃ…と自分に言い聞かせながらも、天然無自覚でちょい厄介な攻めに揺さぶられて心も体も吸い寄せられていってしまう過程が素晴らしいし、自分の心が夏朗さんにはもう無いと気付くメールの着信のシーンは本当にリアルで、こうきたか!と思いました。

夏朗さんの事を考えると、心が痛むのですが読んで良かったなと思えます。

そして夏朗さんには幸せになってほしいのでスピンオフ希望です。

15

すごく読み応えありです‼

主役二人のビジュアルだったり、身体のラインだったりがとても好みなので購入してみました。スジっぽい感じの腕とか、喉のラインとか、さりげない普通の1コマに色気を感じさせてくれるイラストだと思います。あと、それぞれのそばかすや顎髭がまたそそられます(//∇//)

しかし、それ以上に秀逸だったのが心情表現。どっちつかずに二人の間でウロウロしている受けは好みでは無いはずなのに、洋春に対してはすごい勢いで感情移入してしまいました。彼の葛藤している心理描写がすごく巧くて!
卒業式でいきなり別れを告げられ、頭の中では怒濤の疑問や文句が出ているのに、何一つ言えずに行かせてしまった時の哀しさ。
自分を優しく包み込んでくれる穏やかな恋人との安寧を望む気持ちや、その彼を裏切っている心苦しさ。
それでも否応無く、和秋に引きずられてしまう心と身体。
この葛藤部分が痛くて切なくて仕方ないです。
洋春自身は、特別ズルくもないけど心がキレイなワケでも無い、ごく普通の青年だと思うのですよね。そんな等身大の弱さや臆病さだったりにリアリティがあって心に響く。

そして和秋ですが、帯には「天然無自覚沼男」となってます。これがホントに上手いコピーで、まさに「沼」なんですよ。覗き込んでいると、引きずり込まれていくような感覚を覚える事が無いですかね?
そんな感じの男です。すごく素直な感情を見せたかと思うと、底知れない表情を見せてくれたりします。でもたまに、ごくごくストレートに嫉妬してると分かる所もあったりして、萌えさせてくれるのですが(*´ω`*)

内容としては、高校の時に別れた二人が再会し、過去にしたはずの恋心に翻弄され-・・といった所ですが、基本的に洋春はずっと自分の本心を押し隠してます。山場になるのが、二人の気持ちが通じるシーン。キレて自分の本心をぶちまける洋春の表情には、胸が痛くなります。泣き笑いのような表情で、正直に言えば醜い・・・。でもこれ以上無いほど心を揺さぶられる。そしてここからのエッチシーンが最高でした(//∇//)

あと、くっついたその後の二人もちょっと読めますが、こちらはとても甘いです。和秋の隣でうたた寝をして、起こされた後の洋春の無防備な笑顔にジーンとなりました。

ちと気の毒なのが、洋春の恋人だった夏朗さん。まぁ、浮気されたうえにフラれたワケですが。彼も穏やかで優しいばかりの人だと思っていたら、やっぱりズルい部分なんかもあったりして。でも最後までいい人でした。彼には幸せになってもらいたいです。

11

本能的に好きな人といるのが一番いいに決まってる

高校卒業を機に別れてしまった2人が、大人になって再会して、お互い恋人がいるのに心の奥底にくすぶっていた気持ちに火が付いて止められなくて───

「フロム・グリーンキッキン」でドハマりして、めちゃくちゃ楽しみにしていた上田アキさんの新刊。読み始めてしばらくは「うわー浮気モノかぁ・・ダメかも・・(-_-;)」と少し苦々しい気持ちで読み進めたのですが、そこは上田さんの作品。恋愛に対して人一倍潔癖の気がある自分が「浮気」の何を不快に思っているのかがこの作品を読んだおかげではっきりと分かって、読み終える頃には逆にびっくりするくらい気持ちがスッキリしていました。

これどうなんだろう、好き嫌い分かれるのかなぁ?
私はリアルさがすごくいいと思いました。
心情を描くのに長けてらっしゃる作家さんのラブストーリーってリアルで引き込まれます。萌えは一旦脇において、洋春(受)の頭の中に完全に同調しながら読んでました。
またねぇ、“天然無自覚沼男” 和秋(攻)がねぇ、女子目線でもう絶対あかんやつなんですよ、ハマっていくしかない沼系男子なんです。本人は思ったことをただ口にしてるだけなんだろうけど言動が何から何までずるい、ドキドキせずにはいられない男なんですよ。一方的に振られてずっと引きずってて再会してグイグイこられたらそんなもんいくら理性がアラート鳴らしたところで無理でしょ、って本能全開で読んでしまいました。
(それにしても“天然無自覚沼男”って字面のインパクト凄いw さすがQpaさんだわ・・)

結局のところ、当たり前だけど本能的に好きな人といるのが一番いいに決まってる。
でも人間には理性があるから、あれやこれやと葛藤したり心を誤魔化したりしちゃう。
そこら辺の心情がとても実直に描かれていて、洋春の心のグラつきが本当にリアルでした。
洋春の彼氏の夏朗さんは優しくていい人だけど、優しくていい人は損な役回りになりがちなところもなんだかリアルで切なかったな…

エロがね、いいエロです。これもすっごいドキドキしました。
上田さんそんなにガッツリ描かれる方じゃないけど描き方がいつもいいんですよ。それが今回は「萌えるエロを読みたいならここのレーベルを買え!!」ランキング第1位(私の中で)のQpaですから、そりゃあもういいエロが読めます。
エロ多めですが、全部良かった!!!
浮気のエッチから恋人のエッチに変わっていく感じがとても巧く描かれていました。
第3話のオムライス食べた後の、洋春の心が一番ぐっちゃぐちゃになってる時のシーンが何気に一番萌えたかも。洋春の身体は「和秋だいすきー」って全身で言ってるみたいになってるんだもん!

浮気に尻込みせず読んで良かった!と心から思える良作でした。
夏朗さんと冬子ちゃんもどうか幸せになれますように。

【電子】レンタ版:修正○、カバー下○、裏表紙○、電子限定特典(4p)付き

11

作者様の覚悟を感じました!

「恋が落ちたら」で上田アキ先生を知りファンになり、過去作も読みたいな〜と思っていたところ、タイミングよくソムリエよりオススメされまして。
うちのソムリエ、実に優秀なのです。

浮気、NTR、地雷な方はたくさんおられると思います。
私も自身の恋愛観としてはやはりNGなんですが、作品として見た場合、ある種残酷なリアリティがとても響きました。

「好き」という言葉がどこまで本気かわからないような、ちょっと軽薄で、なのにグイグイ強引に身も心も奪いにくる元カレ、和秋。
深入りするのが怖いけど、どうしても抗えない。本能がどうしても求めてしまう、そんな男。
優しくて誠実な夏朗が一番いいとわかってるのに、優しい夏朗を裏切りたくないのに、気持ちが止められない。
幾度となく思い留まろうと葛藤し、夏朗を選ぼうと自分に言い聞かせ、戦っていた洋春のことを、私は憎めなかった。

「他の人を好きになってしまうこと」「いい人が勝者になるとは限らない」これって現実にはとてもよくある恋愛のシチュエーションだと思う。
BLでは意外とそのへんタブーになってる感じがしていたので(気持ちまっすぐ一途にハッピーエンド♪がたしかに一番好きですが)、こういうリアルな恋愛を描いてくれた作品に出会えたことが嬉しいです。

どの視点で誰に感情移入して読むか。
完全な傍観者として。あるいは洋春なのか、夏朗なのか、和秋なのか、はたまた和秋の彼女冬子なのか…
ある人にとっては切ない物語かも知れない。苦しい物語かも知れない。またある人には怒りに震える物語かも知れない。ドキドキワクワクする恋物語と感じる人もいるかも知れない。一途な純愛だと思う人もいるでしょう。
本当に見る人によって違う感触を持つ作品だと思う。

ただ間違いなく「夏朗さんに幸せになって欲しい」は共通認識なはず。
あ、冬子ちゃんもね!

エロ多め。
ストーリーに即した過不足ないエロなのに、しっかりエロ〜いのはさすがの巧さ!
他、夏朗をすごく誠実な男として描いたところに、上田先生のすごさを感じました。
「あ〜、こんな今カレなら元カレに戻っても仕方ないよね〜」というようなダメ男ではなく、いい彼氏として描く。
それって乗り換えを描く上で、作家側としてはとてもハードルが上がる行為だと思う。
そんなところにも作品に対する覚悟のようなものを感じました。

はぁ…やっぱり恋って魔物。

10

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