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表題作愛とは美味なるものである

マオ(魔王),伶に淫魔と勘違いして招喚された魔王
神子田伶,神社で暮らす青年,18歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

異能を持つため幼いころ神社に預けられ俗世に疎いまま成長した伶。養父亡き後、宝物庫で、数代前の主が外遊先から持ち帰ったらしい壺と手記、呪術書を見つけ、好奇心に駆られて壺から淫魔を招喚した。
手記によるとめくるめく官能が体験できるはずだが、現れた美丈夫はやたら傍若無人。
淫魔ではなく魔王を招喚してしまったことに気づかない伶は!?

作品情報

作品名
愛とは美味なるものである
著者
野原滋 
イラスト
花小蒔朔衣 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344840812
3.8

(45)

(16)

萌々

(18)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
7
得点
169
評価数
45
平均
3.8 / 5
神率
35.6%

レビュー投稿数7

読ませてくれます‼

個人的に、どこか一癖あって油断のならない作風の作家さんだと思っています。既刊を全て読んだワケじゃありませんが。

今回もまさにそんな感じ。「淫魔と間違えて魔王を呼び出しちゃいました!」からは想像がつかないストーリー運びです。ちょっとエッチなほのぼのラブコメだと思って笑いながら読んでいたので、ガツンと衝撃を受ける羽目になりました。
この、ほのぼのからの意外な事実→切ない展開と言う、緩急の付け方がお見事としか言いようが無い・・・!やられましたー!!

内容ですが、保護者を亡くし、神社で世捨て人のように一人で暮らす伶。宝物庫で見つけた壺の封印を解き、封じられている「淫魔」を呼び出そうとしますが、現れた「淫魔」はかなり尊大でー・・・というお話です。

「淫魔」にマオと言う名前を与えて二人で暮らし始めますが、中盤までのここが「ちょっとエッチなほのぼのラブコメ」部分。
尊大なのに、どこか子どものように無邪気なマオがズレた言動で笑わせてくれます。おっとりしている伶が、そんなマオに振り回されつつ幼稚園の先生のように面倒をみてるのがほのぼのします。
そして再び封印される事を恐れ、「淫魔」のフリをするしか無くなったマオ。「無礼な人間め」とか何とか言いつつ、ちゃっかり伶に手を出してるのが笑えます。

そしてここからある事実が分かり、結構切ない展開になるんですね。
また、同時進行でマオが正体を明かしてと言った感じです。

もうここからが胸が痛くて仕方ない。マオのアホー!と怒り狂いつつ読み進めると、実はー・・とマオの真意が分かります。彼が徹底的にズレてる事も。やっぱこいつアホだ・・・。
まぁしかし、結構健気で泣かせてくれるのです。健気な行動を尊大な態度でやってる所が、また彼らしくて笑わせてくれるんですけどね。

結末に至る過程なんかはちょっと都合が良すぎな気もしますが・・・。

まぁしかし、落とし所としては文句無しです。
ラストの二人の、ありふれていて平凡な日常がとても愛おしく思えました。+゚(*ノ∀`)

12

笑って笑って…ちょっとほろり

エロは少なめ、体感10%といったところです。
が!ストーリーがおもしろくてスイスイ読めちゃいます。
淫魔と間違って魔王を召喚、弱っちいかと思えば実はすごい力を持っていてその魔王を無意識に呪縛、マオと名付け、手懐け?、一緒に暮らし始めるサトシ(本来は漢字。最後までこの名前が読めずに苦戦しましたw)
ン千年ぶりの人間界で巻き起こすマオの珍道中とサトシとの掛け合いにかなり笑いましたwww
純粋に楽しかった!
このままほのぼのいくのかと思いきや、まさかの別れ……!
からの~~そんな展開⁉️
最後の最後、マオの思ってもみなかった行動をタネ明かしされ、最幸の読後感(≧∇≦)b

0

淫魔の正体は魔王様でした

訳あって1人神社で暮らしている18歳の受け。ある日、宝物庫で淫魔を封じているという壺を見つけます。淫魔というなまめかしい響きに受けが心ウキウキしていると、突然封印が解けてしまいました。でも中から出てきたのは不遜な褐色肌の男で…という話。


妖艶なお姉さんが出てくるかと思ったら、出てきた魔物は傲岸不遜。それもそのはず、受けが封印を解いてしまったのは淫魔ではなく魔王様でした。
魔王は封印が解けたばかりでなんの力もなく、正体を知られて再び封印されてはいけないので、受けの誤解に乗っかって「そうだ、淫魔だ」という対応をとります。
人の黒い心を糧に力を取り戻したくても受けはぽやぽやの善人。早く大魔王として君臨したいのに受けからは淫魔扱いだし、受けの家庭菜園の手伝いをしたり、不憫な感じがおかしい。それでもだんだん打ち解け、日常生活を送るようになってきます。
攻めの服を買いに出かけるエピソードが楽しかったです。「甲冑がいい」「売ってませんよ」ってやり取りとか、「右に曲がります」というトラックに「よかろう」と返したり、エスカレーターに乗って「おおおおお」とか…エラそうな魔王の可愛げのギャップがよかった。

ページ中盤まではそんな微笑ましい展開でしたが、受けの事情が判明するに連れちょっと切ない展開に。ある能力がある受けは悪人に搾取され続けていて、その後攻めとも決裂することになります。読んでいて激しく攻めザマァを期待する展開。
でもそこからの急展開にはうるっとしました。ほのぼのからイライラ、そしてうるうるまで落差の激しいお話でした。

ラストはちょっと駆け足だったかな…。描写が足りないほどではないのですが、前半のほのぼのパートがやたら長かったせいでバランスが釣り合わず、急ぎ足に感じてしまったかもしれません。

7

ほのぼの

"淫魔"とあったのでエロエロか…?と思って読んだらそんなことはなく
はじめにちょろっとお触り程度で、本番は最後に1回。
魔王と世捨て人が人間らしくなっていくお話でした。

基本的にコミカルなトーンで所々クスッとさせられました。
思わずツッコんだのが、伶が生き絶えそうな場面。
マオの発言に驚いた伶の、"伶は死ぬのも忘れて目を見開いた"という描写。
"死ぬのも忘れて"って!瞬きするのも忘れてみたいな軽さで!

終盤まではイチャイチャ恋愛的な雰囲気は少なく、もっとマオが伶に惹かれていく心理描写が読みたかったです。終盤の展開的にマオがどう思っているのか本心があまり見えない方が効果的だったのかもしれませんが。
でもマオが終盤の神様に懇願するシーンでトントンかな。まぁ良いか。

最初は、伶が現代に不慣れなマオの世話を焼いていたのが、最後の方ではすっかり人間が板についたマオに伶が世話を焼かれるようになり、マオが おかんのようになりましたね。甘やかしてます。

電子限定のSS『真は語らぬものである』では、マオが人間になったことで、体の強度や扱い方がわからず体調を崩したり筋肉痛に大騒ぎしたという話が妙にリアリィがありおもしろかったです。
マオが神様たちに伶の命が戻るようにお願いした時のマオの切実な様子、心情も書かれており胸が締め付けられました。
また、神様たちに近況報告という名の惚気を聞かせて、呆れられている(と思われる)シーンがほのぼのして、挿絵がないのは残念だけど電子版を購入してよかったなぁと思いました。

----以下あらすじ・大いにネタバレ--------------
伶は「清眼の神子」と呼ばれる、千里眼をもつ18歳の男の子です。
父母とは離別、死別しており町の有力者・埜島が後見人となり山の神社に一人で暮らしています。ときおり埜島の依頼で各界の大物の先読みを、「お祓い」という名目で行なっています。

伶は好奇心で、神社の宝物庫にある淫魔を封印したとされる壺から、淫魔を呼び出そうとします。ところが出てきたのは魔王。淫魔ではなく魔王だとバレるとすぐにまた封印されてしまうと思った魔王は、自身を淫魔であると偽り、「魔王」と名乗りかけたところから「マオ」という名前であることにします。
マオは、人間の負の感情をたくさん吸い取り、失った魔力を取り戻し、自由になるまで…と、伶と一緒に暮らし始めますが、次第に2人は心を通わせるようになります。

実は、埜島が「お祓い」と称し、伶に依頼している先読みは、伶の寿命を縮める危険なものでした。
埜島が提示する「お祓い」のペースでは、すぐにに伶が命を落としてしまう。
そのことを、マオから聞かされた伶は、埜島からの「お祓い」を断り、埜島の庇護下から出ていくことを決心します。
埜島は「お祓い」によって伶の寿命が縮むことを知っていましたが、伶の「お祓い」によって私腹を肥やしていたので、大いに焦り、伶の説得に乗り出します。
その場面で、マオは人々の負の感情を吸いとり、魔力を取り戻し、自由の身になり伶の前から姿を消します。

マオが姿を消して2ヶ月間、マオを探すために「清眼の神子」の力を使い続けたため瀕死になります。そこへマオが戻ってきます。
実はマオは、自分の力と命を引き換えに、伶の少なくなった命を取り戻そうと神様にお願いに行くため姿を消し、神様の出した条件を遂行中だったのです。
マオの願いを聞き入れた神様の粋な計らいで、伶の寿命は伸び、マオは人間になり、埜島とは関係のない遠い田舎の地で、マオは初めての、伶はやり直しの人生を送り始めます。めでたしめでたし。

電子限定SSは本編後の二人の生活のひとコマ。
願いを叶えてくれた神様たちは人間たちの暮らしに興味津々のようで、マオが近況報告をするということが、願いを聞く条件の一つだったようです。
夜に一人、祠の前で伶との生活について話すマオ。近況報告は気づけば惚気に。
「伶が車の免許を取るという。怪我でもしたら大変だというけど伶は聞かない。車で自分をデートに連れていくといっている。デートって!はん!仕方ないから付き合ってやるけど」「自分の料理を伶は喜んで食べ、もう他では食べらる気がしないという。他愛もない」など。
最終には、今自分たちが幸せにいられることに対して感謝の言葉を述べたところで、伶が現れ、神様は退出。
2人でキスをするところで神様が(冷やかしに)戻ってきて、おしまい。

6

独りぼっちの切なさが身にしみた

電子書籍で読了。挿絵なし。表紙イラストはとても綺麗なので残念。

前半は、神職(もどき?なのかな)の伶くんが覚悟を決める前に召喚してしまった『淫魔をかたる魔王』との、田舎暮らしほのぼのストーリーなのですが、途中からお話は大展開いたします。
確かにね。「学校にも行かず神社で一人暮らす18歳って、なんか事情があるよね」とは思いましたが、そんな事情があったのか……

この伶くんの孤独に思いを馳せると本当にやるせない。
淫魔を呼び出したのも、お話の冒頭では「まぁ、興味津々な10代ですこと」と片付けていたのですが、そういうことばかりじゃないんじゃないか、彼に優しく触ってくれる人って今まで何人いたんだろうと思うと、切ないのなんの。
この『孤独』があったからこそ魔王=マオが玲くんと共に居ようとしたのではないかと思います。自分も封印されて孤独を感じてきたからこそ、独りぼっちで世を恨んで当然の玲くんが、拗くれていないことに興味を抱いたのでは。
お話の終わりに魔王は一大決心をするわけですけれど、それはまた将来に別の寂しさを作り出すことになります。でも、最初から最後まで一人っきりの孤独とは違うものですから。睦み合った記憶がありますものね。それは幸せなことだろうなどと、いらんことまで考えてしまいました。

2

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