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学校の屋上で偶然知り合った二人の高校生のお話。
音楽の才能があるのにやめようとしている早川と、写真が好きで写真のことばっかりな紺野。
子供の頃から音楽が好きで作曲ばかりしている早川はなかなか友達ができず、ピアノ教室で仲良くなった山下くんと行き違いから中学の頃に仲違いをして、それをきっかけに音楽をやめようと思う。でも曲が生まれてくるものを止めることはできない。
早川の子供時代のエピソードがとても切なくて、なまじ優勝してしまうからやっかまれたりして、友達ができるどころかどんどん孤立する様子がとても気の毒でした。山下くんもああは言ったけど言葉全てが本心ではなくて、そういう気持ちとは裏腹に早川のことを友達だと思っていたとおもうので、下巻で和解するといいなと思っています。
早川にしてみれば自分が音楽馬鹿ならば紺野は突出した写真馬鹿なのに、音楽好きを隠さなくてはいけない自分とは違って写真が好きだと素直に口にできてそれでも友達がいることを羨ましい。早川が紺野に惹かれる気持ちは山下くんの早川に対する気持ちと似ているものがあると思いました。なので、ちょっとBL展開は私には唐突に感じていて、紺野に対する最初の嫌がらせみたいな八つ当たりみたいなのは分からなくもないのですが、そこから一転しての好き好きモードは、ちょっと落ち着けと思ってしまいます。
それにしても学校の屋上で、それまで知らなかった二人が出会って、パーソナリティーの深いところを共有したり誰にも話さないようなことを話したりするのは、大変揺さぶられます。吹き抜ける風も感じられ、いちごみるくが飲みたくなりました。
偶然見かけたので試し読みをしてみたら、絵柄も文章もストーリーテリングもすっかり好みにハマって、あっという間に引き込まれ、上巻を一気に読了しました。早川くんのような、重い過去を背負っていて二面性のある謎めいた誘い受け(?)が本当にたまらなく好き!紺ちゃんも表面はクールで実際はとても優しい人で、二人の関係は最初からケミストリーが起きていて、特に気がよく合うんですね。早くも下巻を読みたくて待ちきれません~
音声作品の「兎の森」で苑生さんを知り、原作を読みたくなって購入したのですが、完結しないまま休載という不完全燃焼に耐えきれず、兎の森以外の唯一の商業作品であるこちらもすぐに購入しました。
兎の森と違わぬ名作でした!
画力の高さには目を見張るばかりですが、とりわけ「目」と「目線」で心情を表現する技術には感動しかありませんでした。
上巻での秀一郎くんの高校時代の目には光が感じられませんが、下巻では幼少期の輝きが戻っています。
作品紹介には興味を引くためなのか受けの早川秀一郎くんは「下半身がユルい」とだけありますが、「心」に焦点が当てられた内容なので、そこだけを期待して読むと裏切られると思います。
秀一郎くんの「天性の才能」と「それを理解して伸ばす環境」という最善の状況が周囲の羨望と嫉妬を招き、理不尽に向けられる悪意や誤解を若さゆえの純粋さと未熟さから消化しきれなくなり、ついには自分の本心を偽る選択をして「好き」を全て投げ出してしまいます。
一方、紺野遼平くんは天性の才能に恵まれているわけではないけれど、自分の興味と「好き」を誰にも邪魔されずに貫いています。
この対照的な2人の成長と惹かれ合う気持ちが成就するまでが描かれた作品です。
兎の森同様、こちらにも無垢な子供の心を踏みにじる利己的な毒親が登場し、腹立たしさと心の痛みに苛まれましたが、救いになるユーモラスなシーンが随所にあるので、極端な悲壮感からは救われます。
強く惹き付けられる印象的な「目線」のコマに「台詞」がなく、読み手の想像にその心情を委ねるようなシーンが多くあり、何度も何度も見返してしまいます。
もっともっともっともっと作品に触れたいのに、現時点では兎の森と、この作品しか入手できないのがほんっとに残念でなりません。
もっと描いて~!
(ご事情があることは理解しています。言うは易し、すみません)
持って生まれた音楽の感性、才能を持つ早川。天才だからこそ周りに溶け込めずに無理して笑顔をつくる臆病過ぎる主人公と、真っ直ぐ自分に正直で好きな事をやり、周りからも受け入れられて自由に生きる対照的な紺ちゃん、二人の高校~大学のお話
早川くんの紺ちゃん呼び。これほんと好き。男が男友達にちゃん呼びするのが好き。(同士求む)
シリアスな場面も多いのに、ゆるい描き方もちょこちょこ入れてきてずっと張り詰めた感じじゃないから読んでて辛くなりすぎない!
あと、早川くんの元々素直な性格からくる言動が可愛い。
そして先生が描かれる絵がバチくそにきれい。余白、行間、表情が全部に意味があってドラマや映画を観ているような感覚になった!
早川くんのやっている事は中々理解しにくいが、音楽が色や映像で見えますっていう人居ますよね。
早川くんもその人その人の「テーマソング」が音楽となって自然と口に出てくる。
上巻読んでて辛かったのが、早川くんは本当に音楽が好きで好きな事をやっているだけなのに全て人に嫌われる行動になってしまっているところ。何でもできてしまうが故に、人に要求する難易度が要求された側にとっては負担になり嫉妬になり…。
嫌われるぐらいなら捨てる、と色んな好きな事を辞めてきた早川くんが唯一捨てれなかったのは幼い頃から思いついた曲を録音するボイスレコーダーだった。
お母さんの言葉がずっと印象に残ってた。
『秀のクセ含めて好きになってくれる人は必ずいるよ』
早川くんもきっとこの言葉が心にあって、最後まで心のどこかで期待することを諦められなかったんだと思う。紺ちゃんに出逢えた事、自分と比べて嫉妬して辛かったとは思うけど、まるっと受け入れてくれる存在ができたのは本当によかった。
上巻終わりが切ない…。やっと自分の気持ちに気付けて紺ちゃんに伝えたのに、答えを聞く前に自分から一歩引いてしまって臆病になって、また作った笑顔の仮面つけてしまう。紺ちゃんの前ではもうそんな笑顔作らなくていいよ〜!と切なくなる終わり方でした。
