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表題作箍冬 -cotoh-

ヤクザ  岡林祐司
大学生  沢田雪洋

あらすじ

学生の沢田雪洋はふとしたきっかけから暴力団の要人、岡林裕司の目にとまり、陵辱の果てに愛人としての生活を余儀なくされている。一緒に暮らすうちに冷淡で酷薄な岡林の歪んだ愛情を受け入れるようになったとはいえ、時に見せつけられる非情な態度に対する恐怖心だけはいまだに拭えない。大学の研究に没頭する雪洋だったが、岡林と対立している兄たちの動きが不穏な様相を見せ始めーー!?
話題を読んだ『夏陰-Cain-』の続編、待望のリリース!!

作品情報

作品名
箍冬 -cotoh-
著者
水原とほる 
イラスト
高緒拾 
媒体
小説
出版社
マガジン・マガジン
レーベル
ピアスノベルズ
シリーズ
夏陰 -cain-
発売日
ISBN
9784914967437
3.9

(48)

(22)

萌々

(8)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
183
評価数
48
平均
3.9 / 5
神率
45.8%

レビュー投稿数8

痛い話

ネタバレは、他の姐さんが書いているので割愛。

上巻の夏陰に続いて、下巻の箍冬も紙本で読了。
上巻で、何故岡林が雪洋に執着するのか、訳が分からなかった。
・・雪洋が、美貌の勝気で、岡林の大学の後輩・・という設定。
だけど挿絵の雪洋は、苦しがっている場面ばかりでちっとも綺麗じゃない。
岡林ばかりが、イケメン顔。

下巻はどうか?、と思ったけど、
やっぱり美人顔の雪洋の挿絵は一枚もなかった 苦しんでいるか、泣いている。

辛い凌辱と不自由が増すのに、逃げようとしない雪洋。
・・雪洋は、逃げられないというより、逃げる気が無い。共依存かな?
下巻も散々な目に遭うのに、雪洋は益々岡林にしがみ付く。
 雪洋はすっかり調教されてしまった。

夏陰の終わり方が不完全な7曖昧風だったので、下巻も読んだ。
痛い暴力の連続の昔流行ったタイプの耽美小説だと思った一読目。
暴力の連続で、不憫受を書きたいだけ?

再読して思ったのは、無意識の構成かもしれないけれど、 
読者は、暴力が連続するその先に明るい何かがありそうで読み進むし、暴力の訳が分からないので読み直すのだと思う。
そうして、読者は著者の罠に沼るんだけど、
計算して靄ッとまとめているなら、大したもんだなーと感心。

1

続編も容赦ない痛さ

2004年刊、再読。
衝撃作『夏陰』の続編だが、この一冊も容赦ない痛さだった。
岡林も鬼畜一辺倒って訳ではなく、雪洋の様子を見ながら慎重に甘やかそうとする素振りもあるかな?って感じるものの、まだまだ痛いっす。

過酷な状況の中でも岡林に歩み寄ろうと、ようやく彼を「祐司さん」と呼ぶのに馴れてきたところだが、それでも二人の間柄は世間一般の夫婦とはかけ離れたものだ。
濡れ場も満載で、岡林は淫蕩になっていく雪洋に悦びを見出しているようだが、当の雪洋は快楽に浸っているようには到底見えない。
目の前で人が亡くなったり命で落とし前を着けろという暴力沙汰の連続に晒さ続けて、常人ならナーバスになってしまうのも無理はない環境なのだが…

そんな訳で二人の関係に萌えを見出すのは難しいのだが、覚悟を背負って生きているヤクザ者達の強烈さは半端ない。
前巻でもそうだったが、BがLしている内容ではなく、登場人物達の痛い生き様に目を惹かれる。

ちなみに物語のほうは、岡林が関西を牛耳る暴力団・橋口組の組長を父親に持つ為に義兄弟との対立に巻き込まれていく途中で終わっているが、敢えて白黒つける結末までは見届けなくてもいいかな。
まぁ2003~2004年刊からしてあともう一巻ってのもこの御時世厳しいものだが。
でもその後の展開を想像すると、また誰かが命を落としても不思議じゃない気がする。

1

前作の雰囲気そのままの続編

1冊すべて表題作。「夏陰」の続編です。前作を未読だと内容がついていけませんのでご注意ください。

前作と同様に雪洋(受け)が主人公です。

冷酷なヤクザである岡林(攻め)は愛の分からない男で、前作で岡林を愛すると決めたはずの雪洋は悩みます。岡林は言動に何の変化もなかったので、雪洋が迷いを吹っ切って覚悟を決めるという内容でした。

雪洋は「夏陰」の序盤ほど痛い目には遭いませんが、「愛してる」を告げたラストのような甘さもないです。岡林との関係は前作の方が甘い気がしました。今回は指を切るような暴力的な場面もなく、痛さもそこそこでしたが、甘さもそこそこで、不満があるのではないですがレベルアップまでには至らなかったという印象でした。

そんな中、前作から引き続いて個人的にお気に入りの木島が、良い味を出していました!高緒先生が描かれた若い頃のイラストも嬉しかったです。

3

陰鬱な心

全体的に陰鬱な空気が淀んでいるのがひしひしと伝わって来て、前作より精神崩壊加減がいい感じでよかったです。主人公が精神不安から何度も過呼吸になってしまいます。
コトの最中に部下を部屋に招き入れたり、部下の前で致したり、玩具を入れられてそれを必死で取ろうともがいている時に部下に声をかけられたり、羞恥プレイのオンパレード。
しかし、最後の最後で部下の恩田がめちゃくちゃカワイイ奴だな~!と思いました。それをふまえて、もう一度読んでみると、新たなる羞恥プレイが浮かび上がってきて、2度おいしくいただけました。

3

魔性の本

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
白神組代行の岡林×岡林の「伴侶」の雪洋、『夏陰』の続編。
デビュー作でいきなり続編てことは、結構な支持を受けたんですね。
否応無しに引きずり込まれるような力があるので、それも納得です。

ヤクザに力ずくでモノにされる一般人というある意味テンプレ話ですが、このシリーズで重要なのは雪洋はあくまでも岡林のいうところのバシタ、つまり「伴侶」であることです。
一介の堅気の大学生でしかない雪洋がヤクザの「伴侶」として心を固めていく。
それは“姐さん“になるということではなく、あくまでヤクザの男に寄り添って生きていく存在としての「伴侶」であるということ。そこに焦点が合わせられた続編です。

前作ではラブラブで決着がついたと思っていた二人ですが、どこまでも「岡林のモノ」として服従を要求されることにストレスが溜まってしまった雪洋の体に変調が現れます。
自分の意志で岡林の傍にいると思いたい雪洋と、何かあればすぐ力で従わせる岡林。
心が納得しないまま体で屈服させられるからそのストレスが体に異変をきたす。
どう考えても雪洋の主張は至極まっとうなんですけど、相手は岡林ですから。そういう当たり前の理屈は通りません。おー怖っ

攻めのレイプじみたセックス=強すぎる受けへの愛情という図式がなぜか成り立つBLですが、この話でおお!と思うのは、愛情度というよりむしろ攻めの人格が破綻していることの証明として描かれている点です。
そして雪洋もそれを分かっている。
レイプはどんな流れだろうとそれは好きだからじゃなくて本人(攻め)の性格に問題があるからだろうにと、たまに歯痒く思ったりするのでこの辺は潔く感じました。

今回の雪洋の葛藤の解決法は、ある意味前作と変わりがない。
でもそのブレなさが、ヤクザ攻めの作品として筋が通っているように思えて、個人的にはそこを評価したいです。

理不尽な男にどうしても惹かれてしまう、その岡林の求心力がそのままこのシリーズの求心力なのだと思います。
痛いんだけど妙に魅力がある魔性の本なんだな。
反面、岡林が生理的に無理ならこのシリーズはキツイと思います。
自分の何もかもを支配されることへの恐怖と、一抹の魅惑。
嫌悪感を抱くか、引きずり込まれるか…試してみるのもいいかもしれません。

フォローじゃないんですけど、岡林の可愛い面も紹介。笑
行ってきます、お帰りなさいの時は必ず「チュー」を要求します。
新妻もらいたての浮かれ旦那ぶり。どの面下げて。笑
このレビューだと信用できないかもしれませんが、結局二人はラブラブなんですよ!

7

鬼畜「夏陰」の続編

表現はハードなのかも知れませんが、私は前作「夏陰」よりもあまあまになってると思いました→岡林。
どこがぁ~~~~~ってツッコミ入れられるかも知れませんが、夏陰の方では雪洋に対してどこかよくわからずに暴力振るっていた印象があったのです。
自分でもよくわからないけど……みたいな。
でも今回はどう見ても執着、嫉妬。
とにかくほしいぃ~~~っていう前回から、自分には絶対に欲しい人間(モノ)だから逃がさないっ!って感じがね、ちょっと可愛いかなって。
そうはいっても今回も展開としては似たり寄ったりですが。
でも過呼吸の雪洋をちょっと手が出せずに遠目で心配している風な岡林が可愛かったとも思いました。
雪洋もいい加減往生際が悪い!!
実際問題だったら当然でしょうが、BLの受けはもうちょっとはやく陥落するものです(笑)
だからいつまでも酷い目に遭っちゃう。
でもそこが飽きずに読めるツボでもあるので、たまにはこういう話がいいです←どっちなんだ。
なかなか妥協しない水原さんがやっぱり好きだなぁ……
久しぶりに続編書きませんか?なんて。

10

拒絶できない愛情って…

『夏陰』の続編です。
前回同様、いや前回以上にハードなプレイの連続でした。

『夏陰』では、嫌がりながらも岡林の狂気に溺れていく雪洋でした。
こちらの作品では、さらに岡林の愛情は歪んでいきます。
セックスの最中をわざと世話係の恩田に見せたり、偶然一緒に歩いていただけの先輩に、異常な嫉妬心で雪洋を攻めたり…。
道具も使えば毛も剃っちゃう!
お互いに愛し合っているはずなのに、恐怖と絶対的な力で縛る岡林と、対等で愛し合いたいと願う雪洋とは気持ちがすれ違う。
羞恥心を煽るセックスに文句が言えない雪洋は、精神的ストレスから岡林とセックスができなくなります。
性交渉ができなくなることで、役立たずになったと思い込み、暴力や非情に怯えるのですが、岡林は予想に反して雪洋に優しく接してくれます。

二人の関係が、お互いを思いやるごく普通の恋人同士と見え始めたとき、雪洋は岡林の兄の陰謀に巻き込まれ、拉致されます。
まぁ、お約束通り…ちょっと危ないところで無事に助け出されるんですが…。
岡林と対等な関係を求めていた雪洋でしたが、拉致された事で自分の無力さや身勝手さを思い知り、改めて自分を見直します。
ラストのHシーンで雪洋は羞恥心さえ捨てて恩田の前で喘いでます。
やくざの恋人になるって大変ねぇ~、と思わせるラストシーンでしたね。

サクサク進むストーリー展開は、とても楽しく読むことができました。
岡林に弄ばれるセックスシーンも、退屈させてくれません。
でもやはり好き嫌いがはっきり別れる作品だと思います。
甘々に少し飽きた…という人には良いのではないでしょうか…。

9

もう好きにして

いやー、スゴイ話です。
『夏陰』との二部作ですが、熱狂的なファンがいるであろうことを確信しました。私はそこまで熱狂的ではないですが、熱狂的にスキという方の感想を読んでみたくなった。

対等に愛し合うこととか、惚れてたら優しくすべきだとか、そういう当たり前の価値観にたち戻ろうとしなかったところが潔くて好きです。
過酷です。無茶苦茶です。
私が雪洋なら岡林の寝込みおそって刺してます。過呼吸起こしてるのに、「俺を受け入れないなら死んでしまえ」とチンコつっこまれたら、私じゃなくても刺すでしょ?w

二部作とも、世話役くんが好きでした。前作の明も、今作の恩田も。恩田の土下座シーンはキューンときた。きっと彼は、今後もストイックに雪洋を守るんだろうなと思った。

8

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